花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    西国の使者の物語(7)

    さてさて続きになります。
    サクサクと今月中に上げちゃいます。
    まとめ方悩んでたんですけど決めたので。
    バラバラに書くと繋がりがなくなりますね(^-^;
    アラビアンナイトを目指したから余計に(笑)
    ちょっとばっかりファンタジー調に。
    次で軌道修正かけます!



    sana




    ※本物夫婦。オリキャラあり。微妙にファンタジー風味。捏造設定ありまくり。




                   ◆◆◆



    皆に口々に「あの方は狼陛下の唯一の花ですから」と止められた。
    特に白陽国の人達は必死だ。
    狼陛下の妃への寵愛は国外でも評判だ。
    この国の民たちは王の妃への信頼にあきれ返りながらも、面白おかしく見守っているそうだ。
    臣下も身分の低い妃だから思うことはあるようだが、基本的には妃を認めている。

    「お妃様がいらっしゃらなかったら誰が陛下の怒りを沈められるのですか!?」
    「我々の平和の為にお諦め下さい!」

    拝み倒さんばかりの世話役を言い渡された狼陛下の臣下を見る。
    まるで猛獣遣いのような言い様ではないか。

    国益の為にはこれ以上は言うべきではないと頭では分かっている。

    けれど明けの明星のような彼の乙女の姿が目に焼き付いて離れない。

    翌日、狼陛下との会食の席で改めて話す。
    当初の予定ではお妃様もご一緒とのことだったけれど、姿が見えない。


    「陛下、あの方は…」
    「あれの事は忘れるがいい。あれは私の唯一だ」

    狼陛下はにべもない。

    あれほどの乙女だ。
    私だとて手に入れたら大切に守り手放さないだろう。


    私は乙女を諦めきれずに条件を出した。
    我が国に伝わる秘術で、本来は門外不出だ。
    しかしあの乙女にはそれだけの価値がある。


    「陛下は何の病でも治せる妙薬を欲しくはございませんか?」

    狼陛下の眉毛がピクリと動く。

    「この世の全ての知識を得たくはありませんか?」

    私は目の前の冷徹な顔をした国王の目を見た。

    「あなた様はそれを手に入れられる立場にあります」

    私は畳み掛けた。
    これは唯一の乙女を手放すだけの価値のあるものだ。

    「知恵の泉がこんこんと湧き、あらゆることが分かるようになります」

    王であれば喉から手が出るほど欲しいものだろう。

    「天体の動きがありありと見え、野山を眺めると、全ての植物の性質や、その使い方が手に取るように分かります」

    王は無言で私を見ている。

    「そのうえ、数学や医学にも詳しくなり、あらゆる外国語がやすやすと読めるようになります!」

    狼陛下が私の声を遮るように手をあげた。

    「そのようなものはいらぬ」
    「何故ですか!?それにより、国をより良く治められるのですよ!?陛下は唯一それを手にする権利があるのです!」

    私は王に向かい思わず叫んだ。

    各王国にはそれぞれ独特の神事がある。
    今は形骸化してしまっているそれらは、本来国が窮地に整った時の救いの手でもある。


    「4年に一度、月夜の晩、後宮の奥にある宮殿での儀式でございます。孔雀が…」
    「使者殿!!」


    狼陛下の怒声が飛ぶ。
    私は思わずビクリとした。
    さすが戦場の鬼神。
    迫力が違う。


    「使者殿、それは国が窮地に陥った時のものだ」
    「その知識が欲しくはないのですか!?」

    私は王に詰めよった。


    「国は私が治める。妃も支えてくれるし臣下もいる…これ以上はいらぬのだ」

    狼陛下はフウッと息を吐き出した。

    「そのような不思議により国を治めたくないのだ。副作用の想像がつかぬからな」

    狼陛下は慎重で現実的なようだ。
    確かに不思議な事には思わぬ作用がある。

    私は満月の晩に7年に一度だけ現れると言う宮殿に行くと言い残し、砂漠に消えた叔父を思う。
    あれは我が国の不思議。
    月砂漠の宮殿には満月のような女性が住んでいると言われている。
    王になる予定だった叔父は国王になるよりも、そこに残ることを選んだ。



    「それに、私はアレを失えぬのだ。あれは私の唯一。我が命だからな。貴殿は諦められよ」


    これ以上は国と国との問題になる。
    私は渋々口をつぐんだ。




    ・・・・続く

    2013年
    07月29日
    22:48
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