花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】現代パラレル『六月の花嫁ーはじまりの扉3ー』

    【短編】現代パラレル『六月の花嫁ーはじまりの扉2ー』の続き

    おまけのおまけ。
    『疲れたでしょ!?』
    『…………今、楽にしてあげる』

    そういうと、黎翔は、花嫁の背に回りこみ
    ウェディングドレスの背中にずらっと並んだ胡桃ボタンを一つひとつ外していった。

    「いやっ黎翔さん、恥ずかしい。」
    「黎翔さん、自分で脱ぎます。」

    『夕鈴、コレは一人では脱げないよ。』
    『大丈夫、僕がしっかり脱がせてあげる。』

    (それが、一番恥ずかしいのに~)

    一つボタンが外れるごとに、緩められ
    露になる肌。
    その背中に

    ちゅっ……ちゅっ……

    黎翔の口付けが降る。

    「ぁ……ヤぁン…………」
     
    甘い吐息を零す夕鈴。

    背を逸らし、逃げようとする花嫁を捕らえて
    ボタンを外す行為と口付けをやめない黎翔。

    ほどなく、バサリと音をたてて、ドレスが床に落ちた。
    中から現われたのは、淡い薄紅色に身を染めた純白の花嫁下着を身に着けた兎。

    無垢で美しく、羞恥で身を染めたとても可愛らしい黎翔の花嫁。

    『綺麗だ…………夕鈴。』
    「嫌ッ!!!あんまり見ないで下さい!!!」

    そう言うと、夕鈴は黎翔をすり抜けてベッドに走っていった。
    そのまま布団に頭まですっぽりと潜ってしまった。

    黎翔は、苦笑しつつも自分のジャケットと夕鈴のウェディングドレスをハンガーにかける。
    タイも抜き去りワイシャツも緩め、夕鈴の居るベッドサイドに腰を下ろした。


    『…………夕鈴?』
    『苦しくない?』

    布団を捲り、彼女の顔を出す。
    さらりと、彼女の前髪を掻き分けて様子を窺がうと
    そっぽを向いて、耳まで真っ赤に染まった愛しい人。

    …………彼女らしい行動とその顔に
    くすりと笑い
    黎翔は、夕鈴に呼びかけた。

    『今日は、蒸し暑くて忙しい一日だったから僕、汗かいちゃった。』
    『夕鈴、先に、シャワー使わせてもらうね。』
    これ以上警戒されないように、柔らかな小犬の声で囁く。

    夕鈴は、返事も出来ないようで、こくこくと頷くばかりだった。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    浴室の床に跳ねる水音をベットで聞きながら、
    夕鈴は、身悶える。

    (結婚式をして、黎翔さんと過ごす初めての夜。)

    (…………ってことは今夜は、初夜ぁ!!!!)

    「…………ど・どうしよ。」

    (…………ってことは。) ←なんか考えている。

    (…………ってことはぁ。つまり。////////////。) ←さらに想像しているらしい。

    (…………って、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ///////。) ←キャパを超えた。

    ぼふっっっっ。

    ベッドの中で、派手な音をたてて花嫁は、爆発してしまった。
    そのまま、恥ずかしさに身悶えたままベッドの中で、気絶するように眠りについたのだった。


    ・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    しばらくして、シャワーから戻ってきた黎翔が眼にしたのは、
    無防備に眠ってしまった。愛しい新妻。



    ダリ子 ガーターベルト (2013.07.29.ダリ子さんから転載許可済み)イラストをwクリックしてお楽しみください。 




    髪の雫を拭いながら、ベッドサイドに再び座った。
    眠ってしまったことに苦笑しつつ、眠る彼の花嫁の手を取った。

    『…………夕鈴?』

    『寝てるのかい?』

    返事が無い。

    『夢の中へ逃げてしまったか。』

    『逃げ足が得意な兎らしいな…………』

    『………………さて、どうしようか。』

    彼女の指先の一つ一つに、愛おしげに口付けながらも、
    狼の視線は、ようやく手に入れたばかりの花嫁の寝顔を見つめる。

    すやすやと、無防備に眠る兎。

    美味しそうな肢体を無防備に晒し
    安心しきった寝顔で眠る。

    『・・・・このままでは、寝ずらそうだね、夕鈴。』

    声を掛けるも、夢の中の彼女は応えず・・・・
    黎翔は、眠り続ける花嫁の頬をひと撫でしてみた。

    淡い期待を込めて、輪郭を優しく撫でるも起きる気配も無い。


    熱いシャワーを浴びたはずなのに、湯冷めした手のひらが、
    彼女の子供のように柔らかく熱いぬくもりに触れる。

    触れるたびに、ようやく手に入れたという喜びが心の中に溢れる
    君が愛おしくてたまらない。

    薄い金茶の髪を飾っていた。
    花を抜き取り、ベッドサイドのテーブルに置いた。
    一つ一つ彼女の髪を探り、起こさないようにヘアピンを抜く・・・
    ヘアピンを抜くだびに、サラリと髪が解けて、黎翔の指先から零れ落ちた。

    程なく、白い寝台に艶やかな金茶の髪が、広がる。
    上質な絹糸のような髪。
    ベットサイドの淡い明かりに蜂蜜色のとろりとした耀きを纏っていた。

    こんなにも無垢で甘くて、エロティックな君を目の前にして、
    初夜だというのに、何も出来ない僕がいる。

    愛おしいからこそ、疲れている君を起こしたくはない。
    だけど、初めての夜をこんな形で、終らせたくない。

    せめぎ合う理性と欲望は、全て君が愛しいからこそ。

    窓の外は、荒々しく揺れる木の葉。

    まるで黎翔の心を表しているかのよう・・・君に触れて心は千々に乱れる。

    はぁ~

    自然と小さなため息が零れた。
    黎翔は、部屋の明かりを全て消した。

    黎翔は、しかたがないといったふうに夕鈴の隣に、滑り込む。
    温かな彼女の温もりが、彼を暖める。



    腕にしっかりと彼女を抱き寄せ、
    黎翔は、切ない熱い吐息を漏らした。

    『今は、見逃してあげる夕鈴。』

    『ゆっくり、おやすみ。』

    『だけど、覚悟してて……起きたら最後。』

    『とうぶん眠らせてあげられそうにないから……』

    甘い香りを放ち、擦り寄ってくる花嫁を
    黎翔は、しっかりと抱きしめて
    彼女を起こさないように、唇に羽毛が触れるようなkissをした。

    触れそうで触れないkiss。

    ーー君を起したくない。
    ーー君に触れたい。
    ーー君を今すぐ起したい。
    ーーギリギリの選択の口付け。
    そのまま黎翔も、静かに瞳を閉じる

    『……おやすみ、夕鈴。』
    『……はやく……目覚めてね……』

    二言目の花婿の言葉は、夜の闇に溶けた
    花嫁を抱きしめて、最初の夜を過ごす。
    しばしのまどろみ。

    窓の外は、いつの間にか風も穏やかになり
    美しい月明かりに照らされていた。

    揺れる木々のシルエット。
    窓辺から、柔らかな月明かりが差し込む。

    月も星も、綺麗な夜に、無垢な花嫁を抱きしめて花婿は眠る。
    花嫁が目覚めるまでの穏やかで幸せなしばしの眠り。
    熱く激しい嵐の前のほんの少しの静寂の時間。
     
    捌け口のない花婿の情熱を閉じ込めた夜。

    そのことを花婿の腕の中で、無邪気に眠る花嫁は知らなかった。
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