花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】現代パラレル『僕の恋人』

    人の行き交う大通りの道
    僕は、久しぶりに彼女を見つけて喜んだ。

    背にゆれる金茶の長い髪
    華奢な身体
    未だ学生の君の制服には、見覚えがあった。

    何時から会って居なかったろう。
    二週間ぐらいかな?
    あの後姿は、間違いなく僕の恋人。

    後ろから肩を叩き、
    『久しぶりっ!!元気だった?』
    と声を掛けた。

    僕に、びっくりした夕鈴。
    大きなはしばみ色の瞳が更に大きくなる。

    「・・・あ、黎翔さん。」

    君は、喜ぶどころか、僕の手を振り払い走り出す

    僕の傍から、突然逃げ出した夕鈴。
    逃げ出した訳も分からずに、僕は追いかけた

    先を走る僕の恋人は、本気で逃げる気は無いようで
    追いかけてくれることを信じているようたった。

    少しずつ縮まる距離。

    容易く、追いついた僕。
    ようやく掴まえた彼女の肩は、少し震えていた。

    『どうして逃げるの?』

    振り向かせた君は、少し涙を滲ませ
    僕を見つめる。

    君を傷つける事など心当たりが無くて、困惑する僕。

    一瞬だけの沈黙。
    だけど、永遠に思える時間。

    「・・・・・黎翔さん、私に隠してることないですか?」
    「私たち、別れましょう・・・・・」

    ほろりと落ちた大粒の透明な涙。
    とても綺麗な彼女の涙。
    それが彼女の頬をゆっくりと伝い流れ落ちていく様を目で追った。

    衝撃的な彼女の言葉に、僕は雷に打たれたように動けない。

    『・・・・・なんで、そんな事イうの?』
    『僕の事、嫌いになった??』
    『それとも、僕以外に好きな人でも出来たの?』

    乾いた咽喉でかろうじて紡ぐ、感情も無く抑揚の無い言葉。
    自分の口から紡ぎだされた、擦れた言葉を他人の言葉のように聞く。

    ーーーーー彼女に他に好きな人が出来たら、ソイツを殴ってでも彼女を取り返す。

    血が沸騰するような行き場の無い怒り。
    剣呑な光を帯びて、彼女と向き合った。
    君の言葉が、信じられなくて怒りが収まらない。
    心の中を、凶暴な嵐が荒れ狂う。

    「黎翔さんが好きです。他に好きな人なんて居ません。」
    「・・・・だけど、別れてください。」

    ぼろぼろと泣き出す彼女を引き寄せて抱きしめた。
    困惑する僕。

    『分からないよ、夕鈴。』
    『君と別れるつもりなんて無い。』
    『別れたい理由を教えて!!!』

    「ううっ・・・・」

    『 夕鈴。』

    泣き出した彼女が落ち着くまで、強く抱きしめる。
    好きなのに分かれるなんてこと、絶対に理解できない。

    ―――――――僕は、別れるつもりはなかった。

    僕は、大勢の人が好奇心の視線で見つめている賑わう大通りで、
    泣きじゃくる彼女をつよく強く抱きしめた


    儚く消えそうな彼女を抱きしめて
    この腕のぬくもりが、消えないようにと願いを込めながら・・・・・・。

    ようやく落ち着いてきた夕鈴。
    泣きじゃくる嗚咽が小さくなった。
    こんな人通りの或る場所じゃ・・・理由が聞けない。
    どこか、君と落ち着ける場所で話がしたい。
    僕は、少しもつれ気味の思考を振り払い、夕鈴の手を握り締めた。

    『夕鈴おいで・・・・。』

    君の手を引いて、行き交う人々の流れに混ざる。
    さほどの抵抗も見せず、君は素直に僕について来てくれた。
    僕は、タクシーを止めて、彼女を押し込める。
    向かう先は、僕のマンションだった。

    『どうして別れるなんていうの?』

    ソファーに座る彼女に、ミルクたっぷりと角砂糖2つの珈琲を手渡しながら
    僕は、優しく聞いた。
    沈黙する夕鈴。

    はぁ~

    僕は、少しだけため息をついた。
    ぴくりと反応する彼女に、落ち着くように珈琲を勧めた。
    こくんとマグカップを抱えながら飲む彼女。
    子供みたいな彼女の考えているときの癖。
    小さな癖も、見逃さないほど僕の傍に居て、君と過ごした時間は長い。
    かたんと、テーブルに飲み干した空のマグカップを君は置いた。
    隣に座る僕に向き合い、真っ直ぐな視線で見つめる。

    場が凍りつく。
    どうやら理由を話す気になったのか、緊張感が走る。
    一つも君の言葉を聞き逃さないと、僕は君の言葉に神経を注いだ。

    「・・・・・・あの・・・・・見たんです。」

    「黎翔さんが、嬉しそうに・・・・・・宝石店から・・・・・女の人と出て行くところを。」

    ぽつりぽつりと話す夕鈴。
    とても辛そうに表情が歪んだ。
    再び、あふれ出す大粒の涙。

    「見間違いだと思ったんです。」

    「だけど、見間違いじゃなくて・・・・」

    「しばらく会わなかった理由もそれなのかなって・・・」

    「・・・・・わたし・・・・そんなの耐えられない。」

    「だから・・・だから・・・」

    「黎翔さん、別れてください!!!!」

    『ーーーーーーっ!!!』

    『夕鈴、誤解だ!!!』

    『僕は、別れるつもりは無い。』

    そう言って抱きしめる。

    『君が、僕の恋人だ。』

    『他に恋人なんて居ない。』

    『君しか居ないんだ。』

    『夕鈴、僕は君と別れないよ。』

    抱きしめた君を手放したくなくて、更にきつく抱きしめた。
    柔らかな耳朶に、囁く、謝罪の言葉。

    『ゴメン夕鈴。勘違いさせたね。』

    『愛しているのは、君だけだ。』

    『別れるなんて言わないで・・・・』

    『愛してる・・・・』

    僕の気弱な小犬の言葉。
    君が、コレに弱いことはわかっている。
    大人しく僕の言い分を聞いてよ。
    抱きしめていた夕鈴の身体から強張りがとれていくのを僕は感じていた。

    『買い物をしてたんだ』
    『君への贈り物を・・・』
    『秘書の子に頼んで、参考意見を聞いたんだ。』
    『そこを見たんだね。』
    『誤解させてゴメン。』





    『少し待ってて・・・』

    そう言って、リビングのソファーに君を残したまま
    僕は、あるものを取りに奥の寝室へと向かった。

    しばらくして、戻ってきた僕の手には、小さな小さな箱。
    再び、夕鈴の隣に座りなおして、彼女の手に小箱を渡した。

    「コレ・・・・なんですか?」

    『いいから、開けてみて』

    綺麗にラッピングされた赤いリボンを解いてゆく・・・
    箱の中には、ブルー・ブラックのベルベットの小箱。

    「これって・・・・」

    困惑し戸惑う彼女。

    『いいから、開けてみて?』

    安心させるように優しく微笑み、僕は先を促した。
    彼女の手の中で、どんどん開封されるその箱を
    僕は、ドキドキと高鳴る胸の鼓動を聞きながら見守った。

    「・・・・・・ぁ、綺麗!!!」

    ブルー・ブラックのベルベットの小箱から出てきたのは、とても綺麗に光る1キャラットほどのダイヤモンドのプラチナリング。
    煌めくリングを、僕は小箱から抜き取った。
    そして、夕鈴の手から小箱を外すとテーブルにそれを置いた。

    『夕鈴、僕と結婚してください。』

    『君が、卒業するまで待つつもりだったけど』

    『もう、待てないんだ。』

    「黎翔さんっっ」

    『君は、どんどん綺麗で可愛くなっていく。』

    「・・・・・・っ!」

    『他の男に君を取られたくない。』

    『一分一秒でも、ずっと君の傍にいたい・・・』

    「・・・・・・っ!!」

    『夕鈴、僕の奥さんになって?』

    そう言って、するりと嵌めた指先に光るダイヤモンドの約束の指輪。
    重たげに光り輝く指輪を信じられないものを見るかのように見つめる夕鈴。
    ぽかんとした顔がとても可愛い。
    真剣な僕の告白も、君の反応は僕の想像通りで面白い。
    容易く想像できる、僕達の未来予想図。
    だから君は、見ていて飽きない。

    『夕鈴、僕の奥さんは、君しか居ないよ。』

    そう言って僕は、彼女の指先に嵌めた誓いのリングにKISSをした。

    『夕鈴?YESと言って?』

    真剣で、切ない僕の願い。
    僕の未来を君が握る。
    真摯な瞳で、君の答えを待った。

    「・・・・・・・はい。貴方のお嫁さんになりたいです。」

    恥ずかしそうに答えた彼女に、僕は飛びついた。

    『夕鈴、ありがとう!!!』

    『僕、嬉しいよ!!!』

    ぎゅーぎゅーに抱きしめて、僕の嬉しさを伝える。

    「・・・黎翔さんっ、苦しっっ!!!」

    夕鈴が、苦しさを訴えても、止められない。
    嬉しくて嬉しくて、君に半分も伝えきれていない気がして、もっとぎゅっと抱きしめた。

    『ゆーうーーりーーん』

    「きゃああぁぁーー!!!  黎翔さん、苦しい!!離してーーーー!」

    『ヤダ!!!離さない。』

    もう、君の口から別れるという言葉はいつの間にか消えていた。







    『僕の奥さん・・・・ふふ、いい響きだね。』

    いつの間にかソファーに押し倒されて、黎翔さんを見上げる。

    『夕鈴、練習してみようか?』

    「・・・・・なにを練習するんですか?」

    『僕のこと、アナタって呼んでみて、僕の未来の奥さん』

    耳元で囁かれた黎翔の御願い。

    「////////。」

    「・・・・言えません。」

    『えーーー言ってよ。夕鈴。』

    『言わなきゃ離さないよ。』

    『「ア・ナ・タ、愛してる」って言ってよ!!!夕鈴。』

    「・・・・・//////っ!!!」

    「       てる。」

    『聞こえないよ。夕鈴。』

    「ア・ナ・タ、愛してる」

    『うん、僕も愛してるよ。僕の奥さん』

    「・・・ん・もぉ・・・・馬鹿!!!」

    恥ずかしそうに真っ赤になって、身悶える僕の可愛いい未来の奥さんに、優しくKISSをした。
    僕は、未来の奥さんの唇を味わいながら、何処まで予行練習しようかな・・・・などと不埒なことを考える。








    君の可愛らしい「・・・ん・もぉ・・・・馬鹿!!!」の甘い言葉は、今日は何回聞けるだろうか?


    ー完ー

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    2013.06.15 23:19 # [EDIT] 返信
    729:慎さん コメントありがとうございます。

    おはようございます。

    こちらは、『恋人の日祭り』に投稿した作品です。
    そういえば、こちらにはまだでしたね。
    近日、こちらにも公開いたしましょう。

    2013.06.16 09:26 さくらぱん #- URL[EDIT] 返信

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