花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】時の記念日フライング『月見酒』※浩大と猫

    6/10は、時の記念日です。
    昨年の浩大とお月見の素敵絵で作りました。

    ほのぼののつもりが、狩がはじまっちゃいました。
    もちろん、浩大が狩る側てす。


    雲ひとつ無い空を見上げ
    闇夜にぽっかりと浮かぶ
    満月を眺める…

    お妃ちゃんの居る離宮の警護のほんのつかの間の宵時間

    穏やかな風がほほを撫でる
    今夜も、厄介なお客は来ないらしい。

    緊張を解いて、改めて月を眺めた

    どこから来たのか
    傍らの猫がふぁ~とアクビをしていた。
    ヒゲをぴくり とさせて
    素知らぬ顔をしている。
    だけど、聞き耳の三角の耳がオレを探る

    上目遣いのソイツの瞳
    琥珀の瞳を煌めかせて
    鼻を、ふごふご鳴らして
    (早く、出せよ)
    オレに強請るように
    ふてぶてしくも、一言にゃあごと啼いた。

    一人で飲むのも、つまらない
    丁度良い相棒が出来た。

    懐から、酒とツマミを出して
    屋根の上で、風流に月見酒。

    空には、大きくてまん丸な月
    小さな酒盃には、丸い満月が映る

    隣には、今夜の相棒。
    ツマミの干した魚を旨そうに食べている。

    酒盃の月を、丸ごと飲み干して
    オレは、空っぽの心を酒で満たす

    陛下の大切なものを守る仕事
    生と死がいつも隣り合わせの危険な隠密の仕事

    嫌な訳でない。むしろ陛下の隠密で居ることを誇りに思っている。


    ・・・・・だけど・・・・だけどね。

    二杯目の酒を注ぐ手間が惜しくて、酒瓶ごとぐいっ・・・と飲んだ。

    それだけじゃイヤなんだ。

    こんな穏やかな時に思うのはオレが不必要になった時

    陛下とお妃ちゃんの願いは、国の平和だ。

    平和になったら、俺は何をしているんだろうか?


    その時、影が走った。
    ・・・久しぶりの酒なのに、ゆっくりと飲ませてもらえない。
    ーーーーーさて、この鬱憤は邪魔した当人に支払ってもらおうか?
    俺は、屋根から立ち上がり、走る影を追いかけることにした。

    ニヤリと獲物を狩る気持ちが、湧き上がる。
    ーーまだ、時がオレを必要としているらしい。

    オレの今夜の相棒は、剣呑な空気を察知したのか
    いつの間にか消えていた。

    飲みかけの酒瓶に、この場所の留守番を頼み
    代わりに、懐から黒鋼の飛び道具を出した。

    屋根にオレの長い影が伸びる
    真昼よりほんの少し暗い世界

    「さて、仕事すっかなぁ・・・」

    のんびりとした口調。
    だけど、剣呑な光りを宿す瞳。

    影達の鬼ごっこ
    追走劇の一部始終を、丸い大きな月だけが見ていた。


    ―完ー


    2013年
    06月05日
    11:02
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