花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

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    0228 地震、驚きました。

    大きいなと思ったときには、
    激しく揺れて驚きました。

    先程の地震、今のところ家族全員無事です。
    というのも、中学校と、福島気象台勤務の連れがまだ帰宅してないので。

    強かったですが、どちらかというと瞬間的な揺れ。

    東日本大震災のような長く揺り返されるような揺れでなくて良かったですね。
    津波もなくて。

    もうすぐ3月11日。
    震災から六年。
    強く震災を思い出した
    今回の地震でした。

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    【現パラ】chocolate poison -チョコレート プワゾン-

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    「ねぇ!
    これって、どういう意味だと思う?」

    ここは夕鈴の通う大学のカフェテラス。
    大きな緑の鉢植えがアクセント
    天窓から明るい陽射しが燦々と降り注ぐ。

    その一番奥まった目立たないテーブル席で夕鈴は、
    テーブルに小さな小箱を親友の明玉の目の前に置いた。

    「あら!
    これ今、話題の入手困難な香水じゃない?」

    「どうしたの?
    夕鈴が香水なんて珍しいじゃない?」

    小さなビターチョコレート色のパッケージには
    金色の小さな文字で、

    「chocolate Poison 」

    と印字されていた。

    「黎翔さんが、バレンタインデーで私にくれたの」

    「え!
    コレを黎翔さんが……

    バレンタインデーになんで?」

    「本来、欧州では
    バレンタインデーに男性から意中の女性に、プレゼントを贈る習慣だとかで、
    日本のバレンタインデーは馴染みがないんですって……」

    「ふぅ~ん。
    黎翔さんらしいって言えば、らしいわ~(笑)」

    「コレって確か、チョコレートの薫りだよね。
    夕鈴も、バレンタインデーに本命チョコをあげたのでしょ?」

    「もちろん手作りチョコをあげたよ。

    でも、コレと一緒に
    海外の高そうなチョコレートがオマケについてきた」

    うわー。
    女心をまるで分かってない!
    明玉は心の中で、夕鈴に同情する。

    手作り本命チョコを渡しても……
    本命チョコを喜んで受け取ってもらえても
    それはちょっと、ありえない!

    「入手困難の品を手に入れるのは、
    さすが世界を馳せる狼陛下ってことなのかしら?

    コレ……黎翔さん本人が、買いに走ったのかしらね?
    想像できないwwwwww


    ねぇ、夕鈴。
    香りを試してみた?」

    「うん。
    でも甘くって……」

    「どれどれ?
    少しだけ付けてみて!」


    プシュ……


    夕鈴が、ひと噴きだけ手首に付けた香水は、
    甘いスイーツの香りをカフェテラスに満たした。


    甘いあまぁいチョコレート。
    その中に少しだけオレンジが、ふんわり香る。


    「うわ!
    ホントだ!
    甘いーー!
    でも美味しそうな香り」

    「で……なんで、
    バレンタインデーに香水なんだろう?」

    「夕鈴、知らないの?
    これ、スッゴい意味が有るんだよ!」

    「明玉?」

    ………?

    意味深でニヤニヤと至近距離で
    明玉に笑われて、夕鈴は嫌な予感しかしない。

    彼女の意図に気付けない夕鈴は、
    ますもって分からないと首を傾げた。

    「まだ分かんないの?」

    「黎翔さんに、次のデートで
    コレを付けてきてって頼まれた……」

    「あーあははははwwww
    黎翔さんったら、ヤル気満々!」

    「どういうこと?
    ねぇ、何を?
    明玉、分かっているなら説明してよ!」

    「……夕鈴。
    彼も、普通の男だったってことよ」

    「この商品の
    キャッチコピー知ってる?」

    「知らない」

    【チョコより甘い私……】

    【ベッドの上で、貴方と甘く溶けあいたい……】

    【甘い香りだけ纏った私を、今すぐ食べてね♪】

    【チョコレート プワゾン】

    かああああぁぁぁーー

    全身が真っ赤になった夕鈴が、
    「れ、黎翔さっーー!」
    小さく叫び、

    彼女は慌ててテーブルの上の香水を
    上着のポケットに仕舞った。

    昔からあるじゃない。
    チョコの代わりに、私を召し上がれ!っての。

    数年前は、真っ赤なリボンにしか見えないランジェリーがあったけど。
    今は、何にも身につけない甘い私をプレゼント!(笑)
    だから入手困難だったのよ



    「ね。
    だから黎翔さんも、
    ただの“男は狼”なんだってこと。
    夕鈴、やっと分かった?」

    「/////////!」


    驚き過ぎて開いた口が塞がらなくて、
    金魚のようにパクパク……と、口を開ける夕鈴に、親友からと止めの一撃。

    「あららー
    そんなに真っ赤になっちゃって、
    夕鈴ったら、カ、ワ、イ、イ!
    黎翔さん、ならずとも食べちゃいたい」

    「明玉!」

    昔から、夕鈴をからかう友を
    夕鈴は、軽く睨み付けた。

    そんな彼女を軽くあしらい、友は急にまじめな顔で聞いてくる。

    「……で。
    次の黎翔さんとのデートはいつなの?」

    「来月。
    3月14日、ホワイトデー!」

    「行き先は?」

    「分かんない。
    家まで迎えに行くから部屋で待っててって………」

    「こりゃ、絶対ホテルだね。
    お泊まり決定!
    彼は朝まで夕鈴を離さないわよ。
    きっと……」

    「明玉ぅ~~
    どうしよう。
    私どうすれば……」

    「あきらめなよ、夕鈴。
    これも愛の試練よ。
    夕鈴、頑張って!」





    ****

    男も女も溶かす
    チョコレート プワゾン。

    嗅いだら最後。
    ドロドロに一つに溶け合うまで、
    離れません。

    【POISON】
    それは毒の意。

    【毒】は、「薬」にもなるもの。

    彼女は「薬?」
    それとも「毒?」

    その恋の効能は、黎翔さんしか知らない。

    ※夕鈴の健闘を祈る!



    おしまい


    蜜館改訂しました。(R20) 2/28改訂
    微エロ【現パラ】chocolate poison -チョコレート プワゾン-
    こちらには置けない写真挿絵と共に
    本館とは違うお話を、お楽しみください。

    【詩文】**私の花**

    香り無い
    ただ綺麗なだけの温室の花なんて興味がない。

    私が手折りたいのは
    たった一輪の瑞々しくも可憐な花。

    小さく目立たずとも
    私を惹きつけて止まぬ

    その芳醇な香り
    色鮮やかな生命力。

    ……生き生きとした命溢れる
    唯一無二の野辺の花

    ずっと君を見ていたいよ。

    夕鈴。
    君の笑顔を誰よりも傍で……




    2017.02.25.改定
    2014.04.07.初稿


    0225 本館「目次」及び「本誌添い短編目次」 更新しました。

    寒日桜1-300

    おはようございます。
    さくらぱんです。

    昨夜、久しぶりに目次を改定しました。

    本当に久しぶりだったんで、お話を忘れていたり。
    手を入れたいと思ったり。

    目次も、時折更新しなければいけませんね。
    反省しきりでした。

    よろしければ、臨時花嫁&本物夫婦の短編をお楽しみください。

    2017.02.25.
    さくらぱん


    【長編】『楼蘭―風の行方―』 53 ※要注意!古代パラレル


    楼蘭







    「どうした夕鈴?
    何を泣いておるのだ?」

    四阿の入り口の桟橋で佇む娘を
    父は見つけて優しく微笑む。

    「こちらに、おいで……」

    馬頭琴を奏でる手を休め
    比龍王は娘を手招き呼び寄せた。


    四阿の篝火が煌々と焚かれて、
    夕闇にそこだけ明るい。
    夜空に赤々と火の粉が舞った。

    優しく微笑む父・比龍王。
    昼間の謁見の間以上に、温かな父の笑顔がそこにあった。

    「夕鈴。
    お前を待っていたよ。
    ずっと会いたいと思っておった」

    馬頭琴を立てかけた小卓に手を伸ばし
    古ぼけた木箱を開ける。


    そこには見知った色とりどりの手紙が入っていた。
    何度も読んだであろう手紙は擦り切れてボロボロに、でも大事に保管されていて。


    それは夕鈴が離宮から父へと送っていた手紙だった。

    「父を恨んでおるか?
    一度も、そなたの顔を見に行かなかった父を……」

    卓に置いた父の手が固く拳を握った。
    いつの間にか老いた手は、離れていた親子の月日を感じさせた。

    その手に、そっと夕鈴姫は手を添えて首を振る。


    「……いいえ。
    お父さま。
    いいえ、夕鈴は恨んでなどおりません。

    ただいま、お父さま……」


    確かに幼い頃は、勝手な真似をした娘を父が怒っているから会いに来ないのだど恨んだ時もあった。
    国の為を思えばこその婚儀による繋がりが、父の為だったと思っていたから。
    そんな事を、今なら望んでいなかったことを成長と共に知った。
    決して娘が嫌いになったからなのではなく、むしろ夕鈴を守るため。
    会いたい気持ちを長年、封印してくれたのだと国政を知るようになって、周辺諸国を知ってわかった。


    父は娘に会いに行きたくても、行けなかったのだ。
    夕鈴は、離宮にいる間に様々なことを教わった。

    それはつかの間の自由と、帝国で夕鈴が生き残る術だった。


    「いいえ。
    いいえ……おとうさま」


    感謝しています………


    最後の言葉は喉に引っ掛かり言葉に出来なかった。
    いつの間にか親子は再会を喜び涙を流していた。



    ーーーー言葉はなくとも
    親子だからこそ伝わる。


    離れていた絆を、溢れる涙が埋めた。
    それで、もう十分だった。





















    「必ず、お前は此処に来る
    と思っておった」

    父の膝で甘える娘の頭を撫でながら、父は愛しそうに言った。

    「お前の到着を待ち望んでいたのは、私だけではない。
    お前の客人(まろうど)が奥におる。
    ……早く会いに行きなさい」

    静かに語りかける父王の声で、夕鈴姫は我に返った。

    頬の涙を袖で拭き、不安そうに首を傾げる。

    「私を……ですか?
    どなたでしょう?」

    優しく慈しむような温かな父の眼差し。

    静かに落ち着いた声で、娘に語りかけた。
    国を支える支配者としての王ではなく……
    娘を持った一人の父親としての言葉。

    「奥の四阿に行けばわかる。
    そなたの良く知る人物だ」

    「……父上?」

    「……積もる話もあるであろう。
    ゆっくりと語らうがよい」

    「お前には、すまなかった。
    父親らしいことを、一つもしてやれなかった」

    「まずは四阿に行きなさい。
    夕鈴」

    「お前の邪魔をするつもりはない。
    私は、ここで琴を奏でていよう」

    そう呟いた比龍王は、再び馬頭琴を手にした。
    弦の震える奏でる音が、再び夜の湖を駆け巡る。


    風が父の想いの音色を運ぶ。


    それ以上夕鈴に、何も言わなくなった父。
    そんな父に不安げな表情を見せる夕鈴姫。

    比龍王は、そんな娘に
    慈しみといたわりの微笑みを投げかけると
    奥の四阿に視線で促した。





    父の脇をすり抜けて
    奥の四阿へと歩き出した娘を
    比龍王は静かに見守る。

    奥の四阿は明かりが落とされていて
    しっかりと風除けの垂れ幕が下ろされ
    中が暗くて見えなかった。
    とても中に待ち人がいるように見えない。

    入り口の垂れ幕の端を持ち上げたものの……中へ入る勇気が出ない。

    父が側にいるのだから、
    彼女に危険な人物と会わせるはずが無い。
    それでも不安だった。

    隔てる布の端を持ち上げたまま……父を振り向くと。

    静かに琴を奏で………中へ入るように
    促す父の顔。

    篝火に煌々と照らされた優しい父としての慈しみ溢れる笑顔だった。

    彼女は、その微笑みに勇気づけられ後押しされるように垂れ幕をくぐり
    四阿の中へと入っていった。


    彼女を待ち望んでいた、もう一人の人物と会うために……



    ……54へ 続く。


    2017年02月23日改訂
    2013年09月28日初稿
    続きを読む

    0223 分館の秘密の味は蜜の味を更新しました。

    今日は♪
    さくらぱんです。

    え~と。
    その。

    昨日の「猫の日」絡みで
    一本お馬鹿を更新しています。

    一発書きなんで、しょうもないものなんですけど。

    【現代パラ蜜】僕に彼女が出来ました


    何でもOK、ドンと来いという方だけ、どうぞ。

    ドン引かないでくださいね!

    忠告は、しましたよ!

    お知らせでした。

    さくらぱん

    0222 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    今晩は
    さくらぱんです。

    うっかり更新しました。
    勢いあまって完結です。
    あれ?
    おかしいな。。。



    言質の夜


    言質の夜  27と1/2  Day Dream 白昼夢  真夏の太陽と君がみせる夢 5


    なんとか、当初のイメージに戻せたので
    ホッとしています。
    お気に召したらポチしてくださいね♪

    ・・・写真館とSNSとコミュニティが、すっかり放棄です。
    そちらのゲスト様は、もう少しだけお待ちくださいね。

    さくらぱん

    【本誌設定】猫になりたい……

    9e0fdda5.jpg





    陛下のお願いは
    いつも唐突で、私は時々困ってしまいます。


    「夕鈴。
    お昼寝するから膝枕してくれる?」

    小犬陛下の可愛らしい?
    おねだりで、その日の午後は始まった。

    「えっ!
    いま、此処で、です、、か?」

    「そう!
    今すぐ」

    「だって、
    ここ執務室ですよ」

    「問題ないよ。
    夫婦が仲良くしているのを見ても、
    誰も何とも思わないさ……」

    日当たりのよい南側の窓を開けて、
    近くにあった長椅子を窓辺に引き寄せた。

    いそいそと昼寝の支度をする陛下に、
    私は呆然と固まってしまった。

    職場で昼寝なんて、本当に平気なの?

    ぽすんぽすんとクッションを叩いて、
    陛下が、これでよしと私を手招きする。
    どうやら、そこに座れと言うことらしい。

    ぐずぐずと迷っていたら、
    急に陛下の機嫌が急降下した。
    眼差しが鋭くなる。

    「君は猫なら簡単に膝に乗せるのに。
    私はダメなのか?」

    ……は?

    突然の態度の急変と話の展開についていけず、
    私は固まったまま陛下を仰ぎ見た。

    「昨日、君は後宮に迷いこんだ仔猫を
    膝にのせたと聞いた。
    私は猫より下なのか?…………」

    だ、誰から聞いたの?
    というか猫に嫉妬ですか?

    やめてください………


    「あれは!
    私、陛下に膝枕しないって、
    言ってないですよ、ね?」

    むくれる陛下を宥めつつ、私は陛下に一歩近づいた。
    ご機嫌が治らない…………って。
    もう、どうして!

    「もお、やだ!
    猫にまで嫉妬しないでくださいっ!」

    ご機嫌を急降下させて、
    半ば脅してくる陛下に本気で呆れながら
    指定された長椅子に私はヤケ気味にポスンと座った。

    ……ああ。
    結局、陛下のお願いは断れないのね。

    首尾よく私の膝を独占することができた陛下は、ごきげん麗しく

    「猫になりたいな。
    猫になったら、
    日がな1日、夕鈴の膝を独占できるのに……」
    などと、まだ寝言を呟いている。

    多少、戸惑ったが、いつもと変わらない午後の昼下がり。
    陛下も、ご機嫌だし。
    これなら午後の政務にも、支障なさそうね。

    私は少しほっとして
    陛下に油断をしてしまった。



    「……夕鈴」

    少し艶を含んだ声で、陛下が私を呼ぶ。

    「はい。
    なんでしょうか?」

    突然、呼ばれたことを無邪気に問う私に
    陛下が、それはそれは艶っぽい微笑みで私を魅了した。

    垂れ下がる私の髪を、くるくると指に巻き
    器用に遊び始めた。

    「私も君に猫の挨拶がしたい。
    鼻と鼻とをあわせるのだったか?」

    次の瞬間……

    そう言うと素早く起き上がって、私の鼻先に陛下の鼻先が触れた。
    それだけでなくペロリと鼻先まで舐められた!

    「……ふぎゃ!」

    盛大に驚いた私は、間抜けな大声を出した。
    そのまま涙目で真っ赤な顔のまま、舐められた鼻を両手で押さえる。

    「昨日、仔猫に鼻を舐められたらしいな。
    今後、猫と言えども私以外が触れることは許さない!」

    ……だ、だからなんで、
    そんな事を陛下が知ってるのよ~~~~!

    誰?
    こんなことを陛下の耳に入れたのは!

    「毎日、君の膝を独占できるなら猫の身分もいいな。
    今後、私は君の猫になろうか!」

    「なりません!
    いい加減、お仕事してくださーいっ!!」

    白陽国の王宮は、
    仲睦まじい国王陛下夫婦のおかげで大変賑やかで
    今日も平和なのです。




    おしまい(笑)


    2017.02.22.初稿 本日、猫の日



    続きを読む

    【長編】『楼蘭―風の行方―』 52  ※要注意!古代パラレル

    楼蘭



    ストゥーパの長い影が、楼蘭の水源の湖にかかる。
    砂漠を渡る風は湖で冷やされ、夕鈴の髪を優しく乱した。

    はしばみ色の大きな瞳は、わずかな光を残して消えようとしている
    砂漠の太陽を見詰める。

    物心ついたころの一番古い記憶と何一つ変わらない夕暮れ
    悠久の時の流れを感じる楼蘭の街並み。

    墨流しの空に、美しい一番星が光り輝く。
    過去と変わらぬ星の光。

    日中の謁見の緊張感も今は、ほぐれ……
    穏やかな暮れなずむ空を、ただ…静かに見守る夕鈴姫。

    かけひき上手な漢の将軍。
    ロブ=ノールで別れ、きちんと約束を守ってくれた黎翔国王。

    真昼の強烈な残像が夕陽と共に静かに消えていく。

    ほぅ……

    思わず零れた夕鈴姫の安堵の溜め息は、風にかき消され儚く消えた。











    最後の一条が砂漠の向こうに消えた頃。

    夕鈴姫は、ふと気がついた。
    どこからか聞こえる馬頭琴の寂しげな音色…

    物悲しく心震わす琴(きん)の音色は、間違いない。
    父…比龍王のもの。

    母を想い、奏でられる馬頭琴に誘われるように、
    夕鈴姫は自ら王宮の湖へと、せり出した四阿の方へ
    吸い寄せられていくように自室を抜け出した。


    馬頭琴の音色が流れる四阿に居たのは、やはり父・比龍王だった…

    自分と同じ金茶の髪を、しっとりとした夜風に靡かせて、琴を奏でている。

    謁見では、親子としての対面を、あまり実感出来なかった夕鈴姫。
    四阿の入り口で改めて、父王を見つめた。

    髪に白いものが混じり…
    王としての激務からか、その顔に深い皺が刻み込まれていた。

    年老いた父。

    幼き頃、武帝から隠し
    王宮から逃げるように立ち去った楼蘭。

    その間、夕鈴姫は父王とは、ほとんど会えなかった。

    父と会えない分だけ、武帝から身を隠せた。
    知らぬ間に父から自由を貰った。

    年老いた父を見つめる夕鈴姫。

    会えなかった日々。
    淋しかった離宮での想い出。

    私以上に妻も子も居なかった父は、どのような日々を一人王宮で過ごしていたのだろうか?

    こんな風に馬頭琴をかき鳴らして
    淋しさを紛らわせていたのだろうか?

    いつの間にか夕鈴姫の両頬を静かな涙が濡らしていた。


    四阿の入り口で近づくことさえ出来ない夕鈴は、
    父王を見つめて、ただ一人涙するのだった。


    ……53へ 続く



    2017年 02月21日改訂
    2013年 09月26日初稿


    続きを読む

    【散文】とある朝

    ピューイ……

    ピィー

    何処かで呼ぶ声に振り仰ぐ

    ピューイ……

    ピィー

    曇よりとした曇り空。

    真っ黒な鳶の影と

    真っ白な粉雪と

    雲に隠れた灰色の太陽と

    真っ白な私の吐息



    「ああ、寒いなぁ……」

    すぐ脇をすれ違ったトラックドライバーが呟いた。

    彼の手には真っ白な湯気のたつ
    暖かなカップ麺が握られていた。

    指ぬきの黒い手袋で大事そうに両手で抱えている。
    少し丸めた背中が、彼の寒さを物語っていた。

    そこのコンビニで作ってきたんだろうか。
    車で今から朝食?

    午前9時の賑やかな駐車場。

    静かに円を描く一羽の鳥だけが、この地上の喧騒を知らない。

    【長編】『楼蘭』―再会編―51  ※要注意!古代パラレル

    楼蘭


    「その前に、お前に紹介しておきたい者がおる
    お前も既に見知っておろう……
    東の漢帝国の皇帝の懐刀、炎彬将軍。

    それと遠く西の小国、
    白陽国を治める国王・珀黎翔殿だ」

    あえて見ないようにしていた夕鈴が、その名を聞いて動揺した。

    父王である楼蘭国王に紹介された炎彬将軍と黎翔は夕鈴姫の前に進み出る。
    どちらの眼差しも痛い。

    推し量り、どんな些細なものでも見逃さないであろう厳しい眼差しの将軍と
    謁見の間に入ってから、熱心に見つめる黎翔王の熱い眼差しと。

    ……そんな眼差しで見ないでください。
    黎翔さま。

    気づかれてしまいます。


    顔にかかるベール越しでなく、素顔で相対したい衝動を堪え
    不審がられないように、夕鈴姫は、まず帝国の使者である炎彬将軍に向き合った。

    「お久しぶりですね、将軍。
    皇帝陛下は御健勝ですか?」

    先の楼蘭の遠征時に、武帝に付き添う姿を覚えていた夕鈴姫は、
    サッと立ちあがり将軍に向き合った。
    優雅に臣下の礼をとりながら、炎彬将軍は夕鈴姫の質問に答えた。

    「お会いできる日を心待ちにしておりました。
    ますますお美しくなられて、皇帝陛下もさぞお喜びでしょう」


    「皇帝陛下は、健やかであらせられます。
    姫が嫁がれる日が待ちきれないとのことで、
    私が護衛とお迎えを仰せつかりました」

    「それはご苦労なことです。
    でも私も、たった今、王宮に着いたばかり……
    すぐにと申されても困ります」

    「もう少し待っていただけないかしら?
    父とも、積もる話がしたいし……」

    「それとも私の夫となる皇帝陛下は、久しぶりの親子の会話を待てないほど
    狭量な方なのかしら?」

    「そんなことはございません。
    現に、姫とのお約束を守り
    十分に姫の成長を待たれたではありませんか?」

    「皇帝陛下にとって夕鈴姫は特別なお方。
    正妃の座をご用意してお待ちです」

    「それは先に嫁がれた貴姫たちの嫉妬が怖いわね。
    皆、正妃の座を欲しがるでしょうに。
    それに真に正妃と望んでいた方は私の母君だったのでしょう?」

    ゆらゆらと陽炎の如く瞼から消えぬ暗い焔の影
    次々と苦悶の影が揺らめく様が幻のように浮かんで消えた。


    ……皮肉なものね。
    望む方には、嫁ぐことが許されず。
    その手を取ることさえ叶わない。

    こんなにも、お傍に居るのに……

    つい本音が口から出てしまったのは、彼女の若さゆえだった。
    ーーー漢帝国と楼蘭王国の関係は、友好であらなければならない。


    そのことを、ふと忘れてしまったのは。
    彼女本人を望まれた婚儀ではなかったためだろう。


    苛立ちぎみの彼女の言葉に……


    「夕鈴!」

    父王の咎める声が響き、夕鈴姫はハッと我に返った。
    いつのまにか荒ぶる心のままに、将軍に対峙していた。

    将軍は、そんな夕鈴姫の態度にも余裕の微笑みを讃えていた。
    底の見えない微笑みは、得たいの知れない人物に見える




    あいかわらずめんどくさい国。
    そんなことをおくびにも出さず……夕鈴姫は、多少慇懃無礼に将軍の答えをかわしながら
    適当に、話を切り上げた。

    どうせ嫁ぐのは変わらない。
    この将軍にどう思われようと彼女にはどうでもよかった。


    *****

    次に、夕鈴に声をかけたのは黎翔王だった。
    夕鈴姫が差し出した手を、恭しく受け取りながら西洋風な挨拶を交わす。
    手の甲に軽く、黎翔の唇が触れた。

    既知の親しみが感じられないように……そっけなく。
    ありきたりな挨拶を、二人は手短に交わした。

    ロブ・ノールでの約束を守り
    二人は、初めて会ったもの同士の当たり障りのない挨拶を交わしたのである。


    黎翔王が触れた彼女の手は
    謁見が終わって自室に戻っても、まだ熱を帯びて熱かった。


    夕鈴姫は、黎翔王が触れた場所に自らの唇を重ねた。



    黎翔さま……


    自室で密かに呟いた声は、誰にも聞かれず静寂に秘された。


















    ……風の行方編・52へ 続く

    2017.02.20..改訂
    2016.04.23..改訂
    2013.04.25.初稿
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    【IF設定】春を待つ

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    小さな鉢植えの花が、後宮に届いた。
    それは硝子細工のような純白の花。

    ……まだ蕾の小さな小さな蕾が数輪。

    「これは……?」

    珍しく居室に届けられた鉢植えを、物珍し気に眺める女主(おんなあるじ)に
    お付きの侍女たちは、微笑みながら答えた。

    「国王陛下からの贈り物だそうです。
    なんでも高地に咲く、とても珍しい花だとか」

    「まあ、陛下が……
    とても愛らしい花ですね」

    「“セツブンソウ”といかいう花で
    春を呼ぶとのことです。
    蕾が膨らんでおりますので、ここ数日のうちに開花しそうですね」

    「ここのところ庭へも、おいでになれない
    お妃さまのお慰めになれば……

    そう、陛下より伝え聞いております」

    「今日は顔色がよろしいようですね。
    お庭へ行かれますか?
    お部屋に籠もりきりなのも、お身体に障りますし」

    「体調がよろしければ、お散歩などはいかがでしょうか?
    陛下からのお誘いが来ておりますが、どういたしましょう……」

    「そうね。
    病気ではないのですし、陛下がご一緒であれば安心だわ」

    大きくなったお腹を摩りながら
    すっかり母の顔をした夕鈴が
    小さな鉢植えを眺めて、嬉しそうに微笑んだ。

    「春」はもうすぐ……

    愛しいあの方に暖かな家族を。
    そう願って、身ごもった。


    彼女が育む命が、白陽国に「春」を呼ぶ

    セツブンソウよりも早く。

    開花を待ちわびる彼女も、また自らの春を待つ。



    子供という宝物を愛する人のその腕に抱かせるために

    その喜怒哀楽を分かち合う為に……


    白陽国の春は、もうすぐ。



    0219 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    今晩は
    お久しぶりです。
    さくらぱんです。


    もう陛下暴走しました。
    エロエロ更新しています。

    言質の夜


    言質の夜  27と1/2  Day Dream 白昼夢  真夏の太陽と君がみせる夢 4


    ふっ…最近、蜜館ばかりの更新でやさぐれ中。
    すいません。

    0202 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    無印私の小鳥

    今晩は
    さくらぱんです。

    既にお気づきかもしれませんが。
    蜜館の「私の小鳥 3 夕鈴編」をUPしています。

    私の小鳥シリーズ 3

    私の小鳥です。


    よかったら遊びに来てください。



    2017.02.02.
    さくらぱん

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