花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

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    本誌設定【長編】 緑風―彼女のときめき―

    緑風




    後宮の一角。
    春の球根の優しげな色の花が咲きそろう四阿で、寛ぐ夕鈴と黎翔。

    爽やかな風は、豊かな春の香りを四阿にいる二人に届けてくれた。

    冬場、小さく固かった木々の芽は、柔らかな緑の小さな葉をようやく広げ
    春の太陽の光を浴びて競い合うように新緑に輝いている。

    その美しい刻に目を奪われる。
    一年で一番、生命の息吹の不思議さを感じさせる季節。
    止まった時間が急に動きだしたような、色鮮やかな世界に彼女の心は弾みだす。


    そんな夕鈴に、更なる胸弾ませる知らせが届いた。

    彼女の手づから淹れてもらった茶を一口飲んだ黎翔は
    「今日も、美味いな」
    愛する妃に労いのひと言を添えると、
    お茶を飲む手を休めて、彼女をまっすぐ見た。

    「夕鈴。
    あと数日で緑風の荘園から、特産の茶葉の献上品が王宮に届くという知らせが来た」

    ……愛する夫が、もたらした知らせ。
    それは夕鈴が心待ちにしていたものだった。
    そのことに、彼女の瞳が輝く。

    彼女のいつも淹れるお茶。
    その中でも、一番のお気に入りの茶葉。

    陛下も、夕鈴も一番大好きな春の香りのするお茶。


    この時期の緑風の荘園から、届けられる新茶は、緑茶(リュイ茶)の中でも特別で、
    東国の国の製法を取り入れた手間のかかる特殊なお茶だった。
    釜煎りで作られることの多い、白陽国の緑茶(リュイ茶)

    緑風の荘園の緑茶は、(リョク茶)と呼ばれ、東方国の名で呼ばれていた。
    東方国から伝来した製法の蒸す工程が取り入れられている緑茶(リョク茶)。
    その茶は、甘みがありまろみのあるとろりとした翡翠色の美しいお茶だった。
    甘味と旨みと渋みのバランスのとれた味も大変美味しいお茶である。

    夕鈴の瞳が輝く。
    「もう、そんな時期なのですね。
    緑風の新茶ですか……わぁ♪
    到着が今から楽しみです」

    急に、ウキウキしだした夕鈴。
    可愛らしい素直な反応に、黎翔は心から微笑む。

    「到着したら、真っ先に君に届けるよ。
    そしたら僕にお茶を淹れてくれる?」

    「もちろんですわ、陛下。
    陛下の為に、とびきり美味しいお茶を淹れて差し上げます」

    「その時は、一緒に飲もうね。
    夕鈴」

    「ハイ」

    「約束だよ」

    何だか弾んだ夕鈴の気持ちが、黎翔にまで伝わったようで……
    嬉しそうな彼女の様子に黎翔の心も弾みだす。

    春風に乗って……
    一足早く訪れた春の知らせに、
    二人はドキドキ・ワクワクしながら、茶葉の到着を待ちわびるのだった。


    ……「彼のときめき」へ 続く


    2016.01.31.改訂
    2013.05.03.初稿 続きを読む
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    本誌設定【長編】 緑風―それぞれの至福―


    緑風




    ーーーー風薫る新緑の頃。

    ようやく芽吹き出した草木が生命の息吹を感じさせる時期に、
    白陽国の王宮は、にわかに活気づく。
    続々と荷物を乗せた荷馬車が到着し、王宮に運び入れられた。

    主に、各地方荘園からの献上品なのだか…。
    中には、陛下に仕える貴族からの貢ぎ物も多い。

    荘園主、貴族たちが・・・・
    まるで競い合うかのように、次々と王宮に運び入れられる品たち。
    ……あっという間に、献上品の部屋は埋め尽くされてしまった。


    献上品と共に届けられた目録も、政務室へと運ばれる。
    目録と共に添えられた手紙を抱えて、政務室に到着の報告に行く政務次官。

    このような現象は、一年を通して見かけられるが……
    春は特に活気に溢れていた。
    それゆえ目録も多く、品も多彩で様々だった。


    一年の最初の実りを、国王陛下へ……

    それぞれが、それぞれに
    御国自慢を競う品評会の場が、王宮だった。
    特に、国王陛下とお妃様の目に止まった品は、市場で高額の高値がつく。
    国王陛下もお気に入りということで、評価が高く高額でも飛ぶように売れる為、
    その評価が欲しくて、必然的に最高級品が王宮に集うことになっていた。

    誰もが、国王陛下に献上品を認めたがられる。
    目録には、今回の品がどのように素晴らしい品なのかという
    荘園主や貴族の手紙も添えられていた。




    その中に春に献上される、春ならではの高級品があった。

    細い絹糸で織り込まれた繊細な錦の布袋。
    それにひとつひとつ包まれた小さな青磁の壺。
    封がされたその壺は、さらに丁寧に漆塗りの塗り箱に納められていた。
    他の献上品より、ことさら大切に扱われるその品。

    金封がなされた小さな小さな青磁の茶壷。

    白陽国の南の山間で作られた最高級の新茶の茶葉であった。



    ……「彼女のときめき」へ続く


    2016.01.31.改訂
    2013.05.03.初稿 続きを読む

    【書庫】本誌設定『緑風』

    こちらは、本誌設定・長編を収めた書庫室です。
    こちらは、珀 黎翔陛下と汀 夕鈴妃の物語。続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。





    DSCN3353-20160130早朝のエメラルド





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    薔薇色の夕暮れ
    DSCN0083-20160130.jpg

    桜の光
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    桜咲く
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    花冷え
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    水面の向こうの桜
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    花筏
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    二輪草
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    2016.01.30.
    さくらぱん



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    雪の光
    DSCN1956-20160129.jpg

    早朝のエメラルド 1
    DSCN3357-20160130.jpg

    里の冬景色
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    早朝のエメラルド 2
    DSCN3353-20160130早朝のエメラルド

    黒龍 果樹の杜  林檎の花
    DSCN0528-20160130りんごの花900

    春景色
    DSCN9809-20160130.jpg


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    2016.01.30.
    さくらぱん

    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 16  ※要注意!!!古代パラレル     邂逅編・完

    楼蘭







    黎翔は、夕鈴姫の身体を気遣い 声をかけた。

    「夕鈴姫。
    もう、そろそろ水から出た方がいい。
    夜が近づいている。
    あなたの身体に良くない」





    黎翔からの指摘により、
    夕鈴は自分の身体が、震えていることに初めて気が付いた。
    それと同時に、自分がどんな姿で彼と相対峙していたのかを知る。

    夕鈴姫は自分の姿に、ハッ…と気がつくと、
    羞恥で大きく身体が震えだした。

    気付いた途端に、
    ガタガタと大きく膝が震えて、膝から崩れ折れそうになる。

    かろうじて踏みとどまったのは、せっかく乾いた衣が
    水に透けるのが嫌だったから……

    同時に、全身が朱に染まる。
    恥ずかしすぎて・・・景色が涙で滲んだ。

    突然の夕鈴姫の様子に、黎翔が姫に駆け寄ろうとした。

    「来ては、ダメっ!!」

    羞恥に震える彼女の必死な叫びに、黎翔の足が止まった。

    「珀殿……わたくしは、大丈夫。
    ……しかし、このままでは、
    わたくしは、水からあがれません」

    「しばらくの間、わたくしが良いというまで
    ……砂漠の向こうを、向いていてくれませぬか?」

    全身を朱に染めて必死でお願いしている夕鈴姫。
    先ほどの威厳も、神々しさも、今は微塵も感じられない。

    今すぐ、恥ずかしくて消え入りたい。
    そんな彼女の気持ちが、黎翔には感じられた。

    (……面白い)

    姫君にしては、素直すぎる感情の機微を黎翔は気に入った。
    嘘をつけな性格らしく、鮮やかに表情が生き生きと変わる。

    可愛らしい彼女の仕草が庇護欲をそそる
    今頃、恥ずかしがるその様子に、黎翔は苦笑した。

    なんと、アンバランスな姫だ。

    夕鈴姫の願いを叶えるべく、少し離れて黎翔は湖を背にした。

    「ああ……すまなかった。
    後ろを向いたが、これで良いか?」

    「……はい。
    では、そちらに参りますゆえ、
    身支度が整うまで、そうしていてくださいませ」




    夕鈴姫のたてる水音を聞きながら、
    こみあげる笑いを押さえ切れない黎翔だった。


                 ー邂逅編・完ー


    ……離宮編・17へ



    2016.01.26.改訂
    2012.11.20..初稿



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    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 15  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭




    「…………っ。
    できれば、話したくはありません」

    「聞けば、こちらの事情に巻き込まれることでしょう。
    珀殿の為でも、あるのです。
    分かっていただけますか?」

    ハシバミ色の瞳の色を更に深くして、夕鈴姫は懇願した。

    黎翔は、納得いかなかったが、
    姫の彼に対する心優しさに免じて 今、聞き出すことを諦めた。

    しばらく姫の離宮に滞在することになった。
    もしかしたら、その間に姫の事情を聞き出せるかも知れない。

    その望みに賭けた。
    その為には、姫の信頼を勝ち得なければ……

    (夕鈴姫の憂いを取り除きたい!)

    黎翔は、唇を噛み締め、強く決心した。



    ――――そう願い、黎翔は姫を熱く見詰めた。

    夕暮れ迫るロブ=ノール湖が、美しい薔薇色に染まる。
    風が、小さな漣をたてた。


    黎翔は、彼女の異変に気がついた。
    微かに身体が震えているような気がする。

    ひやりとした空気に、砂漠の夜が近づいていたことを知る。
    そういえば、いつから夕鈴姫は、湖に入ったままなのだろうか?

    黎翔は、急にそのことが気になってきたのだった。

    ……16へ続く



    2016.01.26.改訂
    2012.11.20..初稿

    0120 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    今晩は
    さくらぱんです。

    こっそりお知らせです。

    【蜜話】私の小鳥

    黎&夕のファンタジーです。
    ただ単に、微えろの翼夕鈴が書きたかっただけともいう。

    よろしければ、お楽しみください。

    2016.01.20.
    さくらぱん


    DSCN1473-20160120.jpg


    氷結華 2

    凍れる華を捜して……

    DSCN1369-20160116.jpg


    溶け気味だけど・・・
    DSCN1368-20160116-1.jpg


    ほら分かる?
    綺麗な六角形♪
    DSCN1368-20160116.jpg

    これが、ひらひら空から落ちてくるんだね^^
    soraの華吹雪
    DSCN1367-20160116.jpg

    サクサク……冬の音を踏みしめる。
    DSCN1366-20160116.jpg

    たまには、写真館も覗いてみてね。

      flowerbanner0002-花の四阿写真館 

    さくらぱんの東北の四季を見てください。
    待ってます。

    2016.01.20.
    さくらぱん

    氷結華 1

    デジカメで写真も自分で撮ります

    マクロ機能は使いますけど、望遠での接写がどちらかというと好きです。
    ボケ味が好きだから。

    儚い結晶の雪は好き


    ポストの上
    DSCN1378-20160116.jpg


    南天の実

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    南天の葉
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    柿の木
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    枝越しに北限の柚子が見える
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    庭をぐるっと歩いてみたの。
    足跡ひとり分、ぽつんとついた。

    すべての受験生へ

    頑張って!
    きっと大丈夫!



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    2015.04.06.撮影

    悔しくて
    泣いた日もあったね

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    2015.04.06.撮影

    頑張ってきたの
    ちゃんと見守ってたよ

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    2015.04.06.撮影


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    2015.04.06.撮影


    DSCN9907-20150815.jpg
    2015.04.06.撮影



    自信持って
    今日を臨もう


    きっと大丈夫だから!

    【FC2:限定】特定ユーザーの閲覧制限・ブラックリストの方法

    お困りのゲスト様へ

    0112 本日の呟き 最低限のマナーを守ってくださいね



    お友達のリンク先に、御迷惑をおかけするかもしれないから、
    相互リンクを切りたいっていうのは、私も時期尚早だと思います。

    自ブログのリンク一覧表をスパムブログに使われたくないのなら、
    自分で出来る対策をしてからだと思います。

    相互リンクは、簡単に出来ないもの。
    長年のやり取りによる信頼の証がリンクと考えています。
    お互いの信頼の証。

    要は、スパムユーザーのみが閲覧できないことにすればいいのです。

    >スパムとして報告したのなら それで充分だと思いますが……
    コメントできなくなるだけで、ブログ閲覧はできますし、お友達のリンクへ飛べます。
    被害ブロガーのリンクを中継拠点として使われ、お友達が被害にあうことを恐れているのだと思います。

    それと沢山のスパム報告に埋もれFC2が、即対応してくれないのが私には不満の一つです。

    なにせ今回は、広告収入などの金銭が絡まない、一般ブロガーのスパムなので
    注意喚起が難しいのだと思います。

    乱暴ですが、自ブログから追い出しちゃうのが一番の方法と思います。
    追い出してから、お友達にブラックリストの方法を教えてグループで追い出せばいいのです。


     FC2ブロガー限定・やおろずコミュニティ
    ~Share with you~ 

    ブラックリストの方法は、追記に折りたたんでいます。 続きを読む

    0112 本日の呟き 最低限のマナーを守ってくださいね

    こんにちは
    さくらぱんです

    今週はじめ
    ちょっとしたスパムコメントがありました。

    Shareコミュニティーにて、その方のことを話あいました。

    内容は、ブログ管理者の日記や作品に一切触れず…
    自分のブログだけを宣伝するコピペコメントをトップ記事に勝手に貼り付けていくというものです。

    ご丁寧にも、コメント欄からも、そのブログに飛べる…という手の込みよう。

    コメントを返しにくい。
    又、承認しずらいコメントスパムでした。

    リンク先に試しに飛んでみると、広告収入を得ていない、普通のブログなのですが……
    リンク先の多いブログを中継基地として、リンク先にまったく同じコピペ文章を無作為に貼るという手口。

    ジャンルを問わない。
    内容に一切触れないコピペ宣伝だけのやり方が、厄介なゲストです。

    金銭が絡まないとはいえ、コメントは、ブログ管理者の記事に触れたものにしてほしいですね!
    最低限のマナーを守って欲しいものです。

    「花の四阿・本館」及び「花の四阿・写真館」が、今回被害にあったわけですが…
    本館では、コメント内容をメールフォームにて送りつけられる被害にもありました。

    また、リンク一覧を中継記事に使われた形跡もあり、同時期に複数のリンク先が被害に会いました。
    今回、初めての閲覧制限・ブラックリスト者となったことが、とても残念です

    Shareコミュでは、このゲストをスパムゲストとして認識。
    私を含めて3ブロガーが閲覧制限・ブラックリストにすることを決めたようです。

    相互リンク先のお友達に、ご迷惑をおかけする訳にはいきませんからね。

    「花の四阿・各館」は、この方に対して閲覧制限をしていますので、
    今後「花の四阿」のリンク一覧を使われることは無いでしょう。

    未だに、お困りのブロガーさんも多いハズ。
    後ほど簡単な閲覧制限・ブラックリストの方法の記事を書きたいと思います。

    広大なWeb海の片隅。様々なブログがあるように
    様々なゲスト様が、いらっしゃいます。

    コメントを書かれる際は、
    最低限、記事についてコメントして頂けると嬉しいです。

    コミュにて、活発な意見を交わしたということは、ジャンルを問わず、多くのブロガーが不快感及び、対応に困っていたからです。

    本来なら、閲覧してくれるゲストは、大切なお客様で、嬉しいものです。

    二度と、閲覧制限をしなくてはならない困ったゲストが、でないことを祈っています。


    2016.01.12.
    さくらぱん


    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 14  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭





    「但し、私の客人になるのに、一つだけ条件がございます」

    わずかに柳眉を寄せて、
    静かで物悲しげな夕鈴姫の声が続く。

    「ここでの滞在期間中、見聞きしたことは
    秘密にしていただきたいのです」

    「特に私が、ここに居ることを秘密にしてほしいのです。
    この条件が、守れるならば…客人として手厚くもてなしましょう」

    物悲し気な夕鈴姫のその様子は、
    酷く黎翔の胸を騒がせた。

    「もちろん、秘密に致しましょう。
    ここのことは勿論、姫のことも誰にも洩らしません。
    お約束致します」

    「ですが……夕鈴姫。
    貴方の様子が、私は気になる」

    「とても悲しげで……
    是非、訳をお聞かせ願いたい」

    意外な申し出に、夕鈴姫は驚き黎翔を見た。

    確かに国の者にも言えぬ、重い憂いを抱えいる。
    誰かに吐露したいとも思っていた。

    しかし国を支える国王の娘が、弱音を吐くことは許されないと考えていた。
    不安を隠し、姫としてふるまうこと。

    与えられた役割を果たすために、
    父上の元を離れ、ここに隠れて暮らしている。

    共の者さえ知らない自分の心を、
    珀 黎翔という若者に見抜かれるとは……。

    見透かされたことは、恥ずべきことだった。
    だが身勝手でも、誰かに打ち明けて……、心を軽くしたいとも思っていた。
    見ず知らずの旅人。

    ましてや、今日会ったばかりの親切な人に話すことは、憚(はばか)られた。

    (できれば、巻き込みたくない……)

    それは、夕鈴姫なりの優しさだった。
    彼女は、しばし迷い……彼の提案を、断る言葉を探した。



    ……15へ続く



    2016.01.10.改訂
    2012.11.20..初稿

    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 13  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭





    薄いベールから滴る雫が、輝き砕けながら落ちていく。
    彼女の強張った身体から、緊張の色が消えた。

    警戒の色の濃い鋭い瞳から、
    柔らかで煙るような優しい色合いのはしばみ色した瞳に変わる

    極度の緊張が解けて、上気しはじめた顔(かんばせ)は、
    黎翔には、可憐な花の咲き始めを思わせた。

    咲き初めの薔薇のような色をした柔らかそうな頬
    薄くれないの瑞々しい蓮のような唇は弧を描き
    彼に、優しく柔らかく微笑んでくれた。

    涼やかな鈴の音のような美しい声が、黎翔の耳に届く
    彼女の眩しい笑顔に、黎翔も微笑むのだった。

    「珀 黎翔殿。
    ここは、ロプ=ノール。」

    「砂漠を1600年周期で移動する幻湖。
    タクラマカン砂漠の伝説のさまよえる湖ですわ」

    「そして、わたくしは西域地区36ヶ国のうちの一つ。
    シルクロードの要衝・楼蘭王国の現国王・比龍王の一人娘・夕鈴です」

    「ようこそ我が王国へ・・・・珀 黎翔殿 幸運でございました。
    砂漠で迷われて、ここロブ=ノールの離宮に辿り着ける者は稀です」

    「聞けば、お困りのご様子」

    「砂漠の仲間と共にしばし、ここに留まりなさい
    わたくしの離宮にて、客人としてもてなしましょう」

    「楼蘭王国の首都までは、まだ距離があります。
    砂漠越えが出来る体力が回復されるまで、癒されるが良いでしょう」








    ……14へ続く

     2016.01.09..改訂

    【長編】楼蘭―邂逅編― 12  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭




    水滴に彩られた
    彼女の誰何(すいか)の求めに応じ
    黎翔は、茂みから素直に彼女の前に姿を現した。

    警戒を解くために、わざと腰の剣から大げさに手を離す。

    「すまない。
    君を驚かすつもりはなかった」

    謝罪し日よけのフードを、後ろへとなぎ払う。
    彼女に顔を見せるなど、愚かな盗賊ならしないであろう。

    数十日間もの間、砂漠を旅してきたであろう日焼けした浅黒い肌。
    品のある西の国の衣装と、黒い日よけマント姿の若い男。

    漆黒の短髪と、優しい光を帯びた瞳。
    生き生きと輝く紅い双貌が印象的な男らしい精悍な顔つき。

    遠目でそれだけが、彼女の知り得る情報だった。

    当然といえば当然。
    彼女は、まだ警戒を解かない。

    「あなたは、いったい誰なのですか?」

    更なる追求の声。
    顔に滲む不安の色を、微塵も感じさせない声に黎翔は驚く。

    凛とした涼やかな声。
    落ち着いたその声に、静かな怒りが滲む。

    人を従わせるのに慣れた言葉遣い。
    気品ある立ち居振る舞いと犯しがたい雰囲気に目を見張る。

    こんな場所で水浴びをしているのだから、土地の村娘かとも思ったが……
    もしや身分の高い娘なのか?


    惜しいな。
    ……彼女の弾んだ笑い声が聞きたい。

    初めて出会う娘に、そんな考えが浮かび黎翔は、一人苦笑する。

    「私は、珀 黎翔。
    タクラマカンより西の白陽国から来た」

    黎翔は、なぜか偽りの名を彼女に教えたくなかった。

    彼女の口から偽りの名前で呼ばれたくないと思った。

    彼女には、本名で呼ばれたいと、そう強く願った。

    それが、恋とは知らず……

    「砂漠を越えて、楼蘭王国に向かっていたのだが……
    道に迷ったらしい」

    「水が尽きかけて困っている
    まだ砂漠に仲間がいて、死にかけている。
    助けては、くれないだろうか?」

    まだ他に仲間が……
    私に、助けてと?

    「では盗賊や
    刺客の類ではないのですね!」

    「神に誓って ……
    私たちは断じて盗賊や刺客ではない」

    「確かに……貴方の服装は、カシュガルより西の国のご衣装。
    わかりました。
    私に、助けを請うたのも何かのご縁。

    貴方を信じましょう。
    珀 黎翔殿」


    ……13へ続く

    2016.01.07.改訂
    2012.08.09.初稿

    【長編】楼蘭―邂逅編― 11  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭






    水の乙女の厳しい誰何(すいか)の声に、自分が不審人物に思われたことを知る。

    この状況では、仕方無いことなのだが……
    何故だろう、そのことに“ ツキン ” と、自分の胸が痛い。

    彼女のはしばみ色した大きな瞳が、黎翔を射るように見つめていた。
    お互いに、瞳を逸らさない。逸らせない。

    探りあう瞳。

    ――――視線が外せない。

    ……緊迫した時間の中、お互いをしばらく見つめていた。





    腰まで、水に浸かった彼女のその姿。

    水浴び中だった為 乙女の身体は濡れそぼり
    身体に巻きつけた薄いベールは、意味もなく身体に貼りつき透けていた。

    少女のような未成熟なその身体
    まだ硬い果実のようなその双丘も・・・
    その先端の蕾のような色合いの先端も・・・

    大人にまだ、なりきれていないなだらかな身体のラインも……
    濡れたベール越しに、すべてを黎翔に晒されていた。

    乾いたばかりの柔らかそうな金茶の髪が、
    黄金色(こがねいろ)に風に輝く……

    自分の無防備なその姿に 気づいていないのだろうか?
    そんな姿で男の前にいるというのに、身体を隠そうともせずに
    背筋をピンと伸ばし、黎翔を警戒するその勇気。

    女神の如く神々しいほどのまばゆい気品を全身に放ち
    その瞳に宿した強い勇気とプライドに 黎翔は惹きつけられた。

    (この私に、気丈にも相対して威嚇している。……面白い。)

    そのことに黎翔は、強い興味を覚えた。




    ……12へ続く。



    2016.01.06.改訂
    2012.11.00.初稿

    月晶の雫 18 ※離宮編

    「……あの。
    コレは、いったいなんなのでしょう!?」

    顔を真っ赤にしながら、彼女が囁く。
    彼女は黎翔の太腿に横座り、彼の脚の間に脚を挟まれ、両手で腰を支えられていた。
    密着感が、半端ない。
    少しでも距離を離そうとするのは、とても彼女には無理だった。

    「……我が妃よ。
    何か不満か?」

    涼しい顔をして、切れ長の目が笑う。
    明らかに、面白がっているらしい。
    陛下は、素知らぬふりをして、彼女に問うた。

    「……だって
    こんな格好」

    ……恥ずかしい。
    好きな人の脚の間に挟まれてるだなんて。

    「……夕鈴?
    仲睦まじい夫婦は、稀に、このようなことをするそうだ。
    ……不服か?」

    …え?
    本当に?

    仲睦まじい夫婦の演技なら、仕方ないけれど……
    今は、侍女も下がらせて二人っきりなのに。
    演技なんて必要ないんじゃ……

    二人っきり……

    うっ……
    やだ。

    なんか緊張してきた。
    私だけ、陛下を変に意識しているの馬鹿みたい。

    先ほどから、陛下に抵抗して膝から降りようと努力しているのだけれど。
    ますます戒められて降りることが叶わない。

    陛下は、そんな私を見て面白がっているようだし……悔しい~~


    とにかく現状を打破するのよ、夕鈴!

    私は、唇を尖らせて、膨れっ面をしてみせた。

    「不満など……
    私は、不敬ではないかと恐れ多くて……」

    「不敬?
    君が?
    ……何故?」

    「王と妃である前に、
    私は君の夫であり、君は妻だ。
    夫が妻を膝に抱えて、愛おしむのに何の不敬がある?」

    「…だって。
    だって、だって~~」

    だから、今は演技は必要ないんじゃ……
    バタバタと手足をばたつかせ、幾度目かの抵抗を試みるも……

    「暴れぬな、夕鈴。
    私から落ちるぞ」

    「////////んなっ!!!」

    引き寄せられ、頬に軽く口付けされた。



    「……それに。
    今は、昼餉の時間だ」

    「私は今、両手が塞がっていて食べられない」

    「君が食べさせてくれなければ…
    私は、餓死してしまう」

    「陛下。
    大袈裟ですわ」

    「私を膝から下ろしてくだされば、
    両手は自由ですし、ご自由にお一人で食べられますわ」

    名案だというように、一人で納得して晴れやかに笑う君だけど、
    僕がそんなに簡単に、君を離す訳無いじゃない。

    顔を曇らせ、弱った小犬のような懇願の表情を作る。
    君は、これが僕の演技と知っていても、僕のお願いは断れないから。

    「夕鈴。
    それじゃ……食事が楽しくない。
    君が手ずから食べさせてくれるから、美味しいのに……」

    ~~~~…。
    ずるいわ、陛下。

    私、このうるうるの瞳に弱いのよ!
    強く断れないじゃない。



    ふぅ~~…

    完敗です。


    「陛下。
    ……負けました!」

    顔を真っ赤にしながら、僕に不平不満を率直に口にする娘。
    それでも、彼女に腹がたたないのは何故だろう?
    私の膝の上で頬を染めて、恥じらいつつも、私の口に食事を運ぶ甲斐甲斐しさ。

    至近距離で、君の潤む大きなハシバミ色の瞳を見つめる
    僕の姿を君の瞳に見付けると、君の視線を独り占めしていることに安堵する。

    …君をもっと困らせたいな…

    そんな心の機微に気がついて、僕は苦笑した

    …君だけなんだ。
    僕が、我が儘を言いたい女性は…

    …君を、もっと独占していたい…

    「……夕鈴」

    「はい。
    何でしょうか!?
    陛下」

    ……この心の距離が、もどかしいよ 。
    僕を陛下と呼ばないで……

    「夕鈴」

    「はい…?」

    何度も君の名を呼び掛けて…
    切ない気持ちの言葉を呑む

    (……愛してる)

    先へ続く言葉は、まだ君に言えなくて。

    君の瞳の色が、変わるのを怖れて言えない。

    もしも、君が好きだと伝えたら

    恐怖の瞳に凝るのだろうか?
    それとも、変わらぬ瞳で見つめてくれるのだろうか?
    ……それとも。


    君との関係を壊したくない。
    だけど、その先の関係に進みたくて。

    僕は臆病にも、君の気持ちを強請る代わりに
    卓に並ぶ料理に言葉を置き換えて、夕鈴に食事をねだった。


    まるで
    雛鳥のように……


    ……続く。

    2016.01.05.初稿

    【長編】楼蘭―邂逅編― 10  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭



    今まで優雅に舞い、遊んでいた青鷺達が激しく羽ばたき
    黎翔を警戒して、けたたましく 鳴きだした。
    つられて、孔雀達も 鋭く鳴き出す。
    静寂を破る 鳥達の声

    何?
    ……どうしたの?

    静かな湖に、劈(つんざ)くような鳥たちの警戒音が響き渡る。
    激しく羽ばたき、水面を叩く 青鷺。

    鳥達の警戒は、ただ一点…
    黎翔に 向かっていた。

    耳を塞ぎたくなるような その鳴き声に
    気配を気付かれた、黎翔は歯噛みする。

    鳥たちの鳴き声に 緊張を露にした
    水の乙女が、湖岸を鋭く振り向いた。

    金茶の髪が、振り向きざまにふわりと舞う。
    ふっくらとした頬に、鼻筋の通った美しい顔(かんばせ)。

    遠目の薄いベール越しでも、はっきりと顔立ちが分かる。

    今は、鳥たちの騒ぎに柳眉は寄せられ、不安な弧を描き。
    はしばみ色した大きな瞳には、鋭い警戒の色が滲む。

    言い知れぬ不安に、頬は強張(こわば)り 青ざめ気味に
    唇を白くなるほどかみ締めていた。

    ……素早く周囲を見渡す瞳が、人影をとらえた。

    その大きな瞳が…
    木陰いる不審な男を見つける。
    大きな剣を携えた 黒いフードの男。
    目深に被った日よけのフードからは、紅い瞳が覗いていた。

    男は腰に履いた剣に 手を当てている。
     危害をくわえるつもりなのか?
    瞳に映る、陽光に反射する鋭い光を放つ剣。

    誰?
    ……刺客?
    それとも、盗賊? 

    「……誰っ?
    そこにいるのは!!!」

    先ほどの儚く優しげな雰囲気とは、異なり
    厳しい誰何(すいか)の声が飛ぶ。

    「出て来なさい。
    フードを取り、顔を見せなさい!!!」


    けたたましい鳥達の鳴き声の中、
    その声は、黎翔の耳にハッキリと届いた。


    ……11へ続く。




    2016.01.03.改訂
    2012.11.00.初稿
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    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 9  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭






    ……ぴちゃん

    静寂の場を破り、水鳥がたてた音ではない水音を 黎翔の耳が拾った。
    警戒しつつ周囲を探るも 水音以外、特に変わった様子がない。

    ……ちゃぷん。

    静寂の湖に、響き渡る鮮明な水の音。

    日よけのフードを目深に被りなおし
    腰の剣に手をかける。

    警戒しつつ、水音のするほうへ黎翔は歩みよる

    少しづつ足音を無くし 音のほうへ
    茂みに紛れジリジリ・・と 気配を消して近づく。

    盗賊かと、赤い花の咲く木の茂みの陰から 黎翔が湖を覗くと・・・

    孔雀が遊ぶ花の岸辺の近くの水辺で

    うら若き乙女の水浴び。
    目深に被った薄く透けるヴェールから覗く
    艶やかな絹糸のような金茶の濡れ髪。

    癖のない豊かな髪を背に流し
    強い日差しに、髪の輪郭は黄金色に輝く

    湖に、腰まで浸かり
    冷たい清水に身を沈める、白い肢体。
    水に濡れた衣は、身体に張り付き、悩ましい身体の線を浮き上がらせる。
    衣の貼りついた遠目からでも分かる白い肌。

    水に濡れた透けた衣から、キラキラと水滴が滴る
    水滴は空中で小さないくつもの虹をつくり、霧散していた。

    この世のものとは思えぬ、儚くも美しい娘
    砂漠の湖で出会った瑞々しい乙女に、黎翔は天啓のような衝撃を覚えていた。

    彼女から、目が離せない。
    黎翔は、高鳴る胸の鼓動を抑えきれなかった。


    ――顔が見たい。



    想像もしていなかった乙女の存在に、黎翔は気をとられ
    気配を消すのを忘れたのだった。



    ……10へ続く


    2016.01.03.改訂
    2012.11.00.初稿
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    新年のご挨拶

    DSCN0745-20160101ご挨拶 


    昨年は「花の四阿」を、ご訪問頂き、ゲストの皆様ありがとうございました。
    おかげ様で、いつの間にか総訪問者数が86、000人を突破していました。
    不定期更新にも係わらず、皆様のご愛顧ありがとうございました。

    今年ものんびり更新とは思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。
    本年も宜しくお願い致します。

    2016年元旦
    さくらぱん

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