花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    2015年11月 の記事一覧

    1130 本日の呟き

    …………。

    こんにちは
    さくらぱんです←

    本日も、外出中。
    風邪気味の家族を病院に連れてきています!

    今日で、コミュニティーが永久凍結なのですが……
    相変わらず携帯で入国できず、大変不便です!
    というか…
    リアルタイムでアクション起こせない!
    お返事できない事態です←

    どうしよう!

    …もどかしさMax
    帰宅時の入国がちょっと怖いかも!

    帰ったらお返事しますね!


    さくらぱん
    スポンサーサイト

    1129  本日の呟き

    皆様
    今晩は
    さくらぱんです。



    明日の正午、某SNSのパラレル・コミュニティの永久凍結を控え、
    落ち着かない眠れぬ夜を過ごしています。
    ひと言では、言い表せないほどの色濃い時をココで過ごしてきました。


    メンバーの皆さんとご交流出来て、とても楽しかった。
    宝物のような日々をココで過ごしてきました。

















    いざ明日、無くなるとなるとなると本当に寂しいものですね。



    ああ・・・
    本当に、あの場所は私にとって
    【さくらぱんという書き手が生まれた故郷】であり、
    【居場所】だったと実感しています。


    とてつもない喪失感。
    胸がつまり何も言葉が出てこない。







    ただ一つだけ伝えたい。

    コミュのメンバーの皆さんへ


    短い間でしたが、大変お世話になりました。
    こんな頼りない管理人に、みんな付いてきてくれて有難うございました。
    そして、コミュを一緒に守ってくれて有難うございました。
    皆さんに、たくさん感謝しています。



    皆さんは、同じ時を過ごした仲間であり、共有の思い出を持っています。
    なにかしらココで過ごした楽しい思いが残ってくれたら、とても嬉しい。

    皆さんの新しい門出が華々しいものでありますよう…いのっています。
    私もここでのたくさんの想い出を携えて、新たなスタートを切りたいと思います。

    私は、コミュのメンバーが大好きです。
    ホントにホントに今まで、どうもありがとうございました!!!


    2015.11.29.
    さくらぱん

    DSCN9377-20151129.jpg 

    【イラスト】  シンデレラのロイヤルKiss

    某SNSの新・現代風・時代物な黎翔×夕鈴コミュニティ

    とんとんさんの【新】本屋<白陽> ~シンデレラ~

    王様 珀黎翔陛下
    シンデレラ 夕鈴

    アナログで線画まで、あとはスキャンして、クリスタです。
    拙いですが、よろしければ、どうぞ。



    ↓イラストは追記に畳んでいます。
    よろしければ、どうぞ。
    続きを読む

    1128 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    今晩は
    さくらぱんです。

    こっそりお知らせを、ご用意しました。
    PCで、条件の合う方だけの美味しいお知らせです。
    ●【PCユーザー限定】 陛下の花嫁 好きな方へ   例のアレ完成しました。

    それと、しっとり現代パラレル蜜話を分館に更新しました。
    ●現パラ【微熱】 eternal love 

    それとHでお馬鹿な短いお話
    ●1122 黎翔の紐ぱんつ SS朝からなんのお買い物?

    よろしければ、お楽しみください。

    DSCN9184-20151128.jpg


    1126 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    今晩は
    さくらぱんです。

    本日、しっとり蜜話を分館に更新しました。

    【微熱】 eternal love 

    よろしければ、お楽しみください。

    DSCN9277-20151125.jpg 

    宮城は、昨夜から今朝にかけて初雪が降りました。
    皆様、風邪などひかないように温かくお過ごしくださいね。

    現パラ【中編】 君に告ぐ 2

    嫌だわ……

    もう!
    こんな時に限って、エレベーターが来ないなんて!

    夕鈴はエレベーターホールで、足止めをくっていた。
    黎翔さんに別れを切り出して急いでいるだけに、早くここから立ち去りたい!

    そう思っているのに……
    自身の焦りとは、裏腹に。
    下りのエレベーターは、全然来なくて。

    焦らせる気持ちが、なんど下りるボタンを押し続けたことだろう。
    やっと来たエレベーターに乗れたのと同時に……

    「待つんだ!
    行くなっ、夕鈴!」

    彼がエレベーターホールに飛び出して来たのは……










    今にも閉じられそうなエレベータードアに、黎翔さんは身体を挟み
    エレベーターを止めた。

    普段、焦ることなんてない黎翔さんの
    必死に止める姿に、私は唖然として逃げることを忘れた。

    「夕鈴!
    こっちへ来るんだ!」

    そう言って、私の手首を掴み
    去ったばかりのエレベーターホールに連れ戻された。

    私を引き寄せた勢いあまって、二人ともエレベーターホールの壁に激突したけれど……
    黎翔さんが私を抱き抱えてくれたので、私はどこも怪我をしなかった。

    「何で……
    なんで、追いかけてくるの?
    こんな無茶……」

    「君の為なら、無茶だってするよ。
    君の誤解を解きたい……」

    「誤解?」

    「誤解だろう?!
    あのゴシップ記事」

    夕鈴が持ち込み、社長室に捨ててきた新聞。

    “若き狼
    珀コーポレーション会長・珀黎翔
    ハリウッド進出女優 ●●●●と熱愛発覚!
    結婚も秒読みか!?”



    「…………」

    「隠しているとはいえ、僕の妻は君一人だ。
    あんなもの……デマに過ぎない」

    「あの女優の売名行為だ!
    もっと僕を信用してくれないか?」

    「でも…あの写真!」

    「あれは、先日のパーティーで
    勝手にあっちからKISSしてきたんだ……
    あんなところを、写真に撮られていたなんて
    僕がKISSしたい相手は、世界中で君一人だけだ」

    苦々しげに呟く黎翔さん。
    夕陽に照らされた真剣な紅い瞳に射竦められ
    徐々に近付く彼の顔。

    「泣かせてゴメン、夕鈴。
    もう不安にさせない
    ……君を…愛してる」



    んっ!

    chu…

    気づけば、私は黎翔さんに囚われ
    唇は奪われていた。

    「君は分っているはずだ。

    僕のすべてをさらけ出せる相手は
    君だけだということを……」

    「君だけが僕の安らぎ」

    chu…

    ふ…ぁ。

    chu… chu…

    ン。

    chu…  chu… chu…

    「君に離婚を切り出されて
    僕の世界は一度死んだよ、夕鈴」

    「……ごめんなさい」

    「この罪は君の一生をかけて償ってもらうから……
    覚悟して!」

    chu…

    「僕は君一人しか愛せない!」

    「君は僕だけを信じて愛するんだ……
    離婚なんて……許さない」

    chu…

    ぁ……

    chu…      chu…     chu…

    ャ…


    逃げ出せない。
    黎翔さんのくすぐったいようなKISSの雨
    優しい彼に囚われて……蜜の時間は永遠に続くかに思われた。







    「……コホン、会長。
    失礼致します。

    問題は、解決したようですね」

    「李順!「李順さんっっっ!」」

    「いつからソコに居たんだ?」

    「お忘れでしょうが……
    最初から一部始終です」

    「さて、会長。
    時間があまりございません。
    記者会見の準備を整えました」

    ……?

    唐突な李順さんの言葉に、私は付いていけず黎翔さんと顔を見合わせた。

    「会長のお考えは、お見通しです。
    何時までも奥様を隠し通せるとは思っていません」

    「良い機会ですから、正式にご発表なさりたいのでしょう!
    ●●●●ホテルに、結婚報告記者会見の手配を整えております」

    「手回しがいいな……
    さすが私の秘書だ」

    「お褒めにあづかり光栄です。
    ですが、時間はあまりございません。
    夕鈴さん!?」

    夕陽に、硬質な光を煌かせ眼鏡の李順さんは呟いた。
    昔、夕鈴が独身だった頃、アルバイトの雇い主だった李順さん。

    「うぁあっ!
    はい」

    「何ですか!
    その気の抜けた返事は!
    返事は短く、可憐にお淑やかで慎ましく!

    本当に貴女って人は、教育のし甲斐が無い」

    「……すみません」

    鬼の上司として名高い李順さんの部下だっただけに、
    本能的に夕鈴は居住まいを正して謝った。

    「まあ、いいでしょう。
    今は時間が惜しいですから……」

    「貴女の淑女教育が、終っておりませんが…致し方ない事態です。
    今までのおさらいがてら、記者会見を乗り切っていただきましょう」

    Σ!
    「記者会見!?
    乗り切るって何をですか!?」

    「鈍い人ですね。
    貴女と会長の結婚発表ですよ。
    きっと貴女に質問攻めです」

    「とにかく準備を致しましょう。
    私に、ついて来て下さい」

    「ドレスとメイク道具をご用意しました。
    素材は十人並みですが、私が何とかいたしましょう!」

    「え゛
    李順さんが、メイクするのですか?」

    「時間がありませんし……
    僭越ながら私が致します」

    「黎翔さんっ」

    「夕鈴、諦めて……
    本気の李順は、もう誰にも止められないから」

    「夕鈴さん、ちゃっちゃと来る!!」

    「は……はい!」











    パタパタと走り去る彼女の後姿を見送った後。
    黎翔は、手のひらをゆっくりと開いた。
    そこには、先ほど李順から手渡されたプラチナに光る夕鈴のシンプルな結婚指輪があった。

    今度こそ君の指に、ずっと光らせることができるんだ!

    まだ新品のようなソレを、どうやって彼女の指にはめようか……
    黎翔には、頬を染め嬉しそうに微笑む夕鈴の姿が想像できた。

    “黎翔さん
    この指輪、今度こそ一生大事にするね!”

    優しく微笑む妻の姿が……




    黎翔は幸せを握り締めて、足取り軽くエレベーターホールを去っていく。
    美しく着飾った妻を待つべく、記者会見会場に向うのだった。






    おしまい



    2015.11.27.改訂
    2015.11.26.改訂
    2015.11.23.初稿  トピックいい夫婦の日 final  参加作品 続きを読む

    現パラ【中編】 君に告ぐ  1  SNS45000hitキリリク

    その日、朝刊の一面を飾ったゴシップ記事に、
    新たな嵐の予感。

    何も知らない当事者たちは、
    静かに……まだ微睡み続けていた。









    西日が傾きかけた陽射しが差し込む
    最上階の会長室。
    このビルのオーナーであり、
    珀コーポレーションの会長、珀黎翔は、鬼の秘書から会長室に缶詰にされ
    今日は外界と遮断された生活だった。

    「李順、もう疲れた。
    そろそろ休憩にしないか?」

    本皮貼りの豪奢な椅子から落ちそうになりながら、
    情けない顔で机に突っ伏し、この部屋の主である黎翔は、ぼやいた。

    「まだです。
    もう、そろそろ奥様の到着する時刻です」

    「奥様が来たら、
    きっと会長は、仕事しないでしょう!?」

    「…………」

    「休憩はそれからでも、いいはずです。
    わかったら、ちゃっちゃとここにある書類を終らせてください」

    「分かった。
    夕鈴が来たら、必ず休憩だぞ。
    約束だ!」

    よし、さっさと終らせるぞ……

    黎翔は、ひとつ背伸びして、また新しい書類を手に取った。
    李順は、手持ちの書類の影で困ったものだと気重なため息を一つつくと……
    部屋の時計をチラリと見た。

    もう、そろそろでしょうか?
    夕鈴さんの到着が早いか?
    会長の仕事が終るのが早いか?
    さて、どちらでしょう。

    私としては、明日の分の書類も一つ二つ混ぜておきたい所ですが・・・









    一方うまく李順に乗せられたとは知らない黎翔は、もうすぐ訪れるだろう
    “愛する妻”を待っていた。

    世界中を傘下に束ねる会長の妻。
    まだ高校に通学している、うら若き少女。
    黎翔が見初めた唯一の女だった。

    現在、お披露目前の彼女は淑女教育中の真っ最中で、
    黎翔と夕鈴の結婚は、極秘事項とされていた。










    パタパタパタパタ……

    小走りに、廊下を走る軽やかな足音。


    黎翔は、その音を聞きつけ歓喜に湧いた。

    ――――夕鈴だ!

    もうすぐ彼女が、会長室のドアを開けて
    可愛い笑顔で僕の名前を呼ぶんだ!


    “黎翔さんっ!!”







    黎翔は、今サインしたばかりの最後の書類を李順に手渡すと、
    可愛い妻を出迎える為、簡単に机の上を整理した。



    「黎翔さんっ!!」





    え?

    扉を開けて入ってきた最愛の人に、黎翔は驚いた。


    扉を開けた彼女は、いつもの輝くような笑顔ではなく……
    唇を青ざめ、大粒の涙をボロボロと零しながら、黎翔の前に現れた。

    「ど…どうしたの!?
    夕鈴?」

    ガタん!


    めったに泣かない彼女の大粒の涙に、黎翔は激しい動揺を隠せない。
    椅子を蹴飛ばしながら、彼女に近付いた。

    ところが、彼女を慰めようと抱き締めようとしたら

    スッ……

    黎翔は、避けられてしまった。

    「……夕鈴?」











    代わりに投げつけられた彼女の身を切るような言葉

    「黎翔さんなんて、大ッ嫌い!
    もう離婚です!」

    黎翔の顔に投げつけられた、ぐしゃぐしゃに握られた新聞紙。
    訳もわからず……彼女の離婚の意思に、黎翔は顔色を失い固まってしまった。


    何も言わない夫に、失望の色を見せて、
    夕鈴は悲しそうに、首に掛けられた結婚指輪を床に投げ捨てた。

    “命より大事にするね”
    嬉しそうに、そう言ってた指輪を……




    「黎翔さんを信じてたのに……
    さよなら!」

    静かにそう言って
    彼女は来た道を、エレベーターホールへと走り去っていく。

    彼女の突飛な行動は、今に始まったことじゃない。
    いつも本気の彼女は、実現不可能なことまでも、いつの間にか実現していく。

    皆を巻き込み、幸せにしていく……

    いつの間にか、僕の心を揺さぶり
    君が僕の心に住んでいた。

    君も僕が好きだと知った時は、迷わずプロポーズしていた。
    僕たちは、こんなところで別れる運命じゃない。
    これは何かの間違いだ。

    僕はようやく状況を飲み込み、ゆるゆると動き出した。
    ふと手元の彼女の投げつけた新聞に目をやると……

    そこには、彼女のこの不可解の行動の元凶が一面を飾っていた。



    僕だった。

    それと……



    「夕鈴!
    待って!」

    黎翔は逃げる彼女を追うべく、エレベーターホールへと走っていった。







    「これは……!」

    「とんだ茶番ですね。
    今時、昼ドラでもしませんよ」

    会長室に残された秘書は、床に投げ捨てられた新聞を開くとポツリ呟いた。


    「もう、そろそろ潮時ということでしょうか?

    まだ仕上がっていませんが……しかたありません」

    はぁ~~~


    気重なため息を一つつくと、どこかへ電話したのだった。



    ……続く

    【詩文】氷雨

    この哀しみは、
    どこからくるのでしょう?

    あなたと触れ合っているのに……

    胸に詰まる
    この重さはなぜでしょう?

    遠かったはずの
    終焉が見えているから?

    あなたと私の関係が消えてしまうから?

    頬を伝う涙の色さえも
    わからず…

    ただ冷たい氷雨にうたれ

    別れの時を待つ


    終焉は、始まりだと諭すあなたに

    あんなに近かった心が離れていったことを知る

    いつの間にか
    タバコの匂い

    いつからか
    私の知らない女の影




    ……どこを曲がり
    損ねたのだろう?

    冷たい氷雨は、降りしきる

    私と貴方の心のよう

    冷えてしまった心を いったい何で温めればいいの?

    冷たい氷雨が降る夜は

    あなたが傍に居ても寒いから…

    雨が私の涙を隠すから

    上を向いて笑うんだ

    ……さよなら

    君を愛してた。


    明日から、それぞれのひとりをはじめよう

    春は笑顔で二人会えたらいいね!

    1123 本日の呟き

    今晩は
    さくらぱんです

    現在、内部の「いい夫婦の日final」限定トピック最終日です!
    本来なら、率先してトピックを盛り上げる筈でしたかが……
    入国トラブルで携帯入国出来ず…ジリジリしとります!
    はぁ~~…

    あと数時間で限定トピックが終わっちゃう!
    最後の〆ぐらい自分の手で締めたいなぁ~~

    賑やかで嬉しい反面、ものすごく淋しい!

    未だに「永久凍結」で良かったのかなと迷います←

    迷ってます←

    こんなに楽しいのに……終わらせていいのだろうかと。

    生まれ変わる為の一つの終焉の形。

    楽しい思い出が、いつまでもメンバーの心に残りますように……

    そう願っています!

    さくらぱん

    現パラ【長編】 誰も予想もつかない失態  5

    車から降りた黎翔は、まだ夕鈴を拉致したままだった。

    お互いに、気まずいムード。
    私は、残してきた紅珠が気の毒で、素直に謝れなくなっていた。
    黎翔も黎翔で、ひと言も口を利かない。

    終始無言は、二人の間に重い空気を作り出していた。

    「もう、そろそろ下ろしてくれませんか?」

    玄関ホールに入った頃に、夕鈴が冷たく呟いた。
    大人しくこのまま自室まで抱かれて行くのは、嫌だった。
    親切にしてくれた紅珠への仕打ちもある。

    非難をする瞳で、黎翔さんを見ていたら、彼が譲歩してくれた。

    「君が私の何を気に入らなくて、
    家出したのか分らない」



    「今日は、もう遅い。

    今日の件は、明日時間を作るから、キチンと話し合おう。
    今日は、もうお休み。
    ゆーりん」

    床に下ろされた私が、
    二階の自室に行こうと階段を上り始めたら……

    「……ゆーりん」

    黎翔さんに呼び止められた。

    「スカートに変な紐がくっついてる……
    とってあげる」

    Σ!?

    え!?

    あっ!

    きゃあ!


    紐に気づいた黎翔さんの手を止めるのが、一歩遅かった。

    はらり……解けた紐は太腿を滑り
    階段に落ちた……


    「Σ!?「ぇ????」」

    呆然と、私たちは、階段の私の足元に落ちた小さなピンクの布を見つめた。

    吹き抜ける冷たい外気が、私のおまたを吹き抜けた。

    かぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっと
    身体が熱くなる。

    紅珠から貰った褌が落ちて、文字通り、私はノーパンだった。

    私は黎翔さんを涙目で睨みつけると…

    「黎翔さんのムッツリスケベ!」
    ゴン☆

    気づいたら、私はグーで黎翔さんの顔を殴って、全力で自室に閉じこもった。

    しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。しんじらんない。



    すべては、サイズの合わなかったおぱんつのせい。






























    誰も居なくなった階段に残された小さな布。
    黎翔は、いまだ夕鈴の温もりが残るソレをそっとポケットにしまったのだった。


    おしまい。


    現パラ【長編】 誰も予想もつかない失態  4

    “バンッッッッ!”

    ゲストルームのドアを蹴飛ばされ、私は一瞬ひるんだが、
    フロアライトを大きく振りかぶって入ってきた人物に襲い掛かった。

    ヤァ! ァァァァーー・・・「探したよ、ゆーりん」」

    振り下ろしたフロアライトを掴み、軽々と手で制してきた不法侵入者。

    その意外な人物に驚いた。
    家に残してきたはずの人。
    私は、ここにいるはずのない人物をマジマジと凝視した。

    それは、紛れも無く日中逃げてきたばかりの夫の姿だった。

    「なぜ、ココに居るの……」

    「そのセリフ、私が言いたい。
    何故、君がココに居るんだ!?」

    「マスコミが嗅ぎつけている。
    家に帰るぞ!
    ゆーりん」

    きゃあ☆

    攫うように黎翔さんに抱きかかえられて、
    紅珠の家から私は連れ去られた。

    黎翔さんの部下たちかしら?
    人に阻まれて、泣きじゃくる紅珠の顔が見えた。

    「やめてっっ!
    お姉さまを、連れて行かないでっっっっ!」

    悲痛な叫びがフロアに響いた。

    「お願いっ
    黎翔さん、キチンとさよならの挨拶をさせて!」

    「ダメだ。
    はやくココを離れないと……

    文句なら家で聞こう」

    聞く耳持たない黎翔さんは、紅珠にお別れの挨拶もさせてくれない。

    仕方なく黎翔さんの背中越しに、紅珠に謝罪とお礼とお別れを言った。

    私の気持ち
    紅珠に届いていると良いのだけれど……




    騒ぎを聞きつけて、他のフロアからの住人が
    マンションのエントランス。
    エレベーターホールに集まってきていた。

    黎翔さんは、すぐさま着いたばかりのエレベーターの扉を閉めて
    地下駐車場のフロアを押した。

    そのまま……車に乗り
    私たちは、ひと言も喋らず
    あっという間に夜の街を走り、珀家に着いた。

    私の家出では、一日も経たずに幕を閉じたのだった。


    ……続く

    現パラ【長編】 誰も予想もつかない失態  3

    「お姉さま…ご用意した部屋着がぴったりですわね。
    良くお似合いですわ」

    ふわふわの白のワンピース
    柔らかな肌触りの良い生地が心地良い。

    少し長めのAラインのスカート丈は、サイズの合わない大きな下着でも
    人前でも恥ずかしさが薄れた。

    バスルームから出てきた私に、紅珠は温かな飲み物を勧めてくれたが、
    今日はいろいろなことがありすぎて、すごく眠かった。
    早くベッドで休みたい。

    私が疲れているのを察した紅珠は、嫌な顔一つせず……
    珀家を家出してきた理由をも、なに一つ聞かずに……
    夜景が綺麗に見える素敵なゲストルームに案内してくれた。

    自分が珀家で寝ているベッドより、大きいゲストベッドに入り込むなり
    私は日中の疲れがどっと出たのか、泥のように眠りに落ちていった。












    ……
    …………
    ……………………

    ところが、その真夜中。
    私は紅珠の声で、目が覚めた。







    「もう何時だとお思いですか?
    非常識にも、程があります!

    今日は、お引取りください。
    明日出直すなりしてくださいませ」

    「……
    …………」

    「もう、ぐっすりとお休みです。
    不法侵入で、警察に通報いたしますわよ。

    確かに、わたくしは他人で何ひとつ聞いてません。
    でも、あの方はわたくしを頼られたのです。
    お引取りを!」






    「…………」

    「いったいどなたが悪いかは明白ですわ。
    傷心のあの方をお慰めしたいだけですの.
    うちでしばらくお預かりしますわ」


    「…………」



    なにやら紅珠は、誰かと揉めているらしい。

    普段お淑やかな紅珠からは想像もつかない、
    切羽詰まった他人を非難する大きな声。
    だんだんと、揉める声はこちらのゲストルームへと近付いて来る。

    なにやら非常事態!?

    私は、眠気も吹き飛び、
    ベッドから飛び出して手近な武器を探した。

    枕?
    柔らかすぎる……武器にならない

    椅子?
    重すぎる……振り回せない

    棒状のフロア・ライト
    これなら!

    私は、身の危険を察して、部屋のドアに警戒するように
    フロアスタンドを構えた。

    ホントウ。
    今日は散々な一日だわ。

    そんな本音を言葉に漏らして。

    ……続く。


    現パラ【長編】 誰も予想もつかない失態  2

    下着は、ちゃんと用意されていた。
    最先端のハイファッションに敏感な紅珠の趣味で……

    綺麗に畳まれたハンカチのようなもの。
    それが今夜の夕鈴の下着だった。

    今、密かに流行中
    の女性用「褌ーふんどしー」。

    付け方が分らない夕鈴は、紅珠に教えてもらって着けてみたが……
    スカスカすぎて、心もとない。
    何も穿いてないような気がしてくる。

    慣れない感覚に、先ほど紅珠と交わした会話をちょっぴり後悔していた。

    「ごめんなさい。
    今、ゲスト用の中間サイズを切らしていて……かなり大きなサイズしかないんです。
    サイズが合わなければ、早急にご用意させますから申し付けてください」

    大きな黒曜石の瞳をウルウルさせて、申し訳なさそうに謝罪する紅珠。
    深夜にも係わらず、転がり込んできた自分を快く受けいれてくれた。
    「ぱんつ」が合わないぐらいで、買いに走らせて迷惑かける訳にはいかない。

    「大丈夫よ!
    大は小を兼ねるというし、穿けると思うわ「…でも」」

    「ありがとう、紅珠さん。
    とりあえず身につけてみるわね。」

    ……実際に身につけてみると、やっぱりとても大きくて。
    初めて身につけた褌は、ゆるゆるのがばがばで
    リラックスどころか、開放感ありすぎて……
    とても大は小を兼ねるという代物でなかった。



    ……続く

    現パラ【長編】 誰も予想もつかない失態  1

    「嬉しいですわ。
    お姉さま。
    家にお泊りになるなんて……」

    「ゴメンナサイね。
    急にお邪魔して、泊まらせてくれだなんて……
    でも、本当に行くところなくて……」

    「頼っていただけて嬉しいです。
    お姉さまなら、何日でも泊まってくださっても大歓迎ですわ!」

    あまりにも恥ずかしい黎翔さんの演技に
    とっさに珀家を飛び出した。

    そのまま下町の自宅に帰りたかったが……
    妻として貸し与えられたブランドの衣装のままで、私は飛び出してきてしまった。
    珀グループの若き会長の妻として、
    名の知られてきた夕鈴は下町に帰り
    珀グループに泥を塗るわけには行かない。
    ましてや、偽者夫婦とバレる訳にいかず……

    困った私は、最近たまたま大学で知り合った
    氾財閥のご令嬢“氾紅珠”に、連絡して今に至る。
    まさか、超高層ビルの高層階
    1フロア全部が、紅珠の家だとは思わなかったけど……

    文字通り、着のみ、着のまま転がり込んだ夕鈴は、
    次々と“氾紅珠”カルチャーショックの洗礼にあっていた。

    最たるものは、おぱんつ事件だった。

    「お姉さま、湯上りのお着替えをお持ちしました。
    着替え方が分らない時、呼んでくださいね」

    「?
    ありがとう、紅珠さん」

    バスルームを使い終わった夕鈴は、普段見慣れないハンカチみたいなものと
    着替えを見て戸惑った。

    「下着用意してくれるって聞いたのに……何処にも無いわ」

    「紅珠さんーーー?」

    夕鈴は、バスルームの外の紅珠を呼ぶのだった。



    ……続く

    【微エロ&お馬鹿SS】 誰も予想もつかない失態 について

    某SNS パラレルとぴ 【期間限定】いい夫婦の日 final にて、何故か「おぱんつ祭」勃発
    サイズの合わない褌(ふんどし) をテーマに、さくらぱんが書いたものです。

    「そこに●●があるから……」

    ナニがしたかったかは、最後のページで明かされます…
    お馬鹿なお話ですが、お付き合いください。

    さくらぱん





    続きを読む

    1121 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    おはようございます
    さくらぱんです。

    先ほど、ガッツリ蜜話を、ひっそりこっそり更新しました。

    【微エロ短編】やってられないよ  現代パラレル・お馬鹿なご夫婦 1122の日 いい夫婦の日

    【蜜sss】 勝って兜の緒を締めるには……


    よろしければ、お楽しみください。

    さくらぱん

    DSCN9165-20151119.jpg

    1118 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。 

    こんにちは
    さくらぱんです。

    先ほど、ガッツリ蜜話を、ひっそりこっそり更新しました。

    【蜜SSS】今宵もあなたを温めて……  1122の日 いい夫婦の日フライング

    よろしければ、お楽しみください。


    さくらぱん


    DSCN8614-20151118.jpg


    1112 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    こんにちは
    さくらぱんです。

    先ほど、ガッツリ蜜話を、ひっそりこっそり更新しました。

    【dayーdream】 border 3
    【dayーdream】 border 4
    【dayーdream】 border 5

    よろしければ、お楽しみください。

    気に入れば…ポチください。
    気を良くすれば、続きが読めるかも。

    さくらぱん

    DSCN8639-20151118.jpg

    1109 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    こんな時間に今晩は
    さくらぱんです。

    ひっそり、こっそり更新しました。

    診断メーカー  ラブエッチシチュ 黎翔×夕鈴 どれもネタになりそう。

    歌萌え【詩文】奏―かなで―   死ネタ 暗いです。 ※狼陛下関係なし

    よろしければ、お楽しみください。

    さくらぱん

    DSCN8179-20151115.jpg

    1108 分館「秘密の味は蜜の味」更新しました。

    こんにちは
    さくらぱんです。

    本日、蜜館の「アリスの口付け」コラボ執筆部屋を期間限定公開しました。

    トピックにUPする直前原稿が読めます。
    また、メインベースの執筆者がこちらで分ります。
    よろしければお楽しみください。

    2015.11.08.
    さくらぱん


    DSCN8087-20151105.jpg
    2015.11.05.撮影 内川渓谷

    【Yコラボ】アリスの口付け あとがき

    これで「アリスの口付け」は、完結です。
    長編になると予測していましたが、実際こんなにも長くなるとは
    思ってもいませんでした。
    コラボ中、よゆも私もページが増えるたびに大笑い。
    大変楽しいコラボでした。


    各自ブログで手直ししてUPしています。
    各自違う味で再びお楽しみいただけるかと思います。
    ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。


    2015.10.31.
    瓔悠&さくらぱん

    完【Yコラボ】アリスの口付け 20  アリスの口付け

    どれくらいそうしていたのだろう。

    「ありがとう、夕鈴。
    もう大丈夫だから……」

    ポツリと静かに黎翔さんが呟いた。
    少し、気恥ずかしそうに頬を染めて
    いつも以上に優しく微笑んでくれた。

    私、黎翔さんを慰めることが出来た?

    「そうみたいですね」

    ようやく見れた彼の笑みに、私はほっと一安心して
    彼に微笑み返した。

    ひとつ。
    黎翔さんの額に、慰めのkissをして、彼の顔を見つめた。

    「……大丈夫ですか?」

    夜景を写し、真っ直ぐな視線の彼の瞳に
    私が映る。

    至近距離で見つめられて、今度は私が頬染める番だった。


    「……夕鈴。
    君に、聞いて欲しいことがあるんだ」

    「さっきは、失敗したから……
    も一度、言うね。
    よく聞いて欲しい」

    彼の膝に抱き抱えられて
    いつの間にか、彼に左手を握られていた。

    「夕鈴。
    僕と結婚して欲しい。
    君と幸せな家庭を築きたいんだ」

    黎翔さんは、私の左手の薬指に、ティア・ドロップ型の大きなダイアモンドの婚約指輪を、ゆっくりとはめてくれた。

    驚いて、その大きな指輪を見つめる私に
    黎翔さんは……ゆっくりと、私を見つめたまま指輪をはめた左手にKISSをした。

    まるで王者の風格。

    “逃がさないよ。
    ゆーりん”

    その瞳は、雄弁だった。
    な…なんで、ここで“狼陛下”なの!?

    「僕の花嫁は、君しか居ない。
    ゆーりん」

    「黎翔さん……」

    真摯で綺麗な深紅の瞳が、私を射抜く。
    嘘でも冗談でもなく、黎翔さんが本気だということが分かった。

    「YESなら
    君から僕にKISSして……僕のアリス」

    もちろん、YESだけど……
    私から黎翔さんにKISSするの?
    プロポーズは嬉しいけど、返事が恥ずかしい。

    私が顔を真っ赤にして躊躇っていると

    「……これでは返事をもらえないっか!
    じゃあ、ゆーりんに返事が貰えるように、
    僕は目を瞑っているね」

    小犬のように無邪気に、笑う黎翔さん。
    くすくす笑いながら、瞳を閉じた。

    …待ってる!?
    うわあん…そんなに期待して待たないでっっ!!!

    私は、仕方なく返事をするべく彼の肩に両手を置いた。
    躊躇いながらも、少しずつ彼の唇に唇を重ねるために近付ける。

    ――震える唇が、彼に触れた時。

    シュ……
    “ドドーーーンッッ!”」

    また、外で花火が上がった。
    でも、今度は花火の音なんて聞こえない。

    “ド「ドーーーンッッ!”」
    何度も閃光で眩しく辺りが光る中…

    夕鈴からの口付けは、いつの間にかお互いを求める
    激しい口付けに。

    彼女の頭を抑え…貪るような彼の口付けを
    夕鈴は、たどたどしく応えてく。

    “答えはYESよ。
    ……あなたを愛してる”

    言葉は無くとも、お互いに伝えて……
    花火が終るまで口付けは止まらない。

    “この先ずっと……
    いつまでもあなたを愛してる”










    ……お幸せに。


    ーアリスの口付け・FINー

    【Yコラボ】アリスの口付け 19  イタズラな花火

    身も心も、ふわふわだった。
    彼の腕の中は、すごく気持ちいい。

    緊張しつつも夢見心地な私は、
    黎翔さんの言葉を素直に待ち耳を傾けるのだった。

    黎翔さんが、息を呑む気配。
    ようやく決心がついたみたい。

    「ゆーりん。
    僕は、君“ひゅるるるる~~”
    “ドドーーーンッッ!”」
    「きゃあ!」


    突然の私たちの乗った観覧車の近くで、眩い閃光。
    雷よりも大きな轟音で鼓膜が破れそうになる。
    空気が震える。
    鳴り響く爆発音と苛烈な閃光に驚いた私は、両目を瞑り両耳を両手で塞いで、黎翔さんの胸に顔を埋めた……

    その間も、黎翔さんは、何かを私に囁いていたが……
    音に掻き消されて何を話していたのかまったく聞こえなかった。

    「……今の何?」

    また静かになった観覧車に、再び静寂が訪れたが……
    私の肩を抱いたまま……私の肩に顔を埋めて
    彼は固まってしまった。

    そういえば、さっき言ってくれた話は、何だったのかしら?
    まったく聞こえなかった。

    「……李順め。
    まったくタイミングが悪い……」

    舌打ち気味に小さく呟く黎翔さん。
    どうしてここに、秘書の李順さんが出てくるの?
    何が、タイミングが悪いの?

    「……何の話ですか?
    黎翔さん……」

    「……なんでも無いよ。
    それより僕の声、聞こえた?」

    「ごめんなさい……
    大きな音に驚いて、聞こえませんでした」

    「……やっぱり。
    失敗か」

    がっくりと肩を落とした黎翔さん。
    何がなんだか分らないけれど……
    彼のうなだれて落ち込んだ様子に
    私は悪いことをしてしまった気分だった。

    なんと言葉をかけてよいか分らず……
    私は、黎翔さんの頭をそっと抱きしめるのだった。

    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 18  空に一番近い場所で……

    ……楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。


    もう時計の針は、23時だった。
    まだまだ遊び足りない気がするけれど……もうすぐデートの時間が終わりを告げる。
    僕たちは、お互いに何も言わなくとも、自然と寄り添っていた。


    ……
    …………
    ……………………


    ミラーハウスで、それぞれ離れ離れで、お互いにお互いを探していた私たち。
    このまま離れ離れのまま……はぐれちゃったらどうしよう。

    そんな馬鹿な考えが浮かんで、私は本気で悲しくなった。
    ミラーハウスで迷いながら、黎翔さんを探し求めた道のり。

    ほんの少しの時間、離れていただけなのに……
    とても長い間、離れていたように感じた。

    だから出会えたときは、ものすごく嬉しかったし、心の底から、ホッとして安心した。

    出会った瞬間、黎翔さんが力強く抱き締めてくれた時は、
    心から湧き上がる想いを止められなくて
    ボロボロと子供みたいに彼の胸で泣いてしまった。

    ぎゅっと握り締めたこの温かな手を、もう二度と離さないで……
    離れたくない!
    あんな思いは、もう二度と味わいたくないの。

    黎翔さんと繋がれた手が熱い。

    私の頬を流れた涙の痕が乾いてく……
    泣きじゃくった私のひどくみっともない顔を見られたくなくて
    私は俯いた顔を上げられず……黙って彼に連れ添って歩いた。

    「どこか静かな場所に行きたい……」

    「いいよ。
    何処に行こうか?……」

    ぽつりと呟いた私に、黎翔さんが、うなづく。
    急に甘えん坊になった私は、黎翔さんの肩にもたれて……
    ゆっくりパークを、あてどなく歩いてく。

    甘く…切なく……

    君の温もりを感じて……

    お互いにお互いを、唯一無二の存在。
    無くしたくないと再認識したから……


    …………

    ……………………

    ………………………………


    やがて大きな観覧車の前まで歩くと……

    「観覧車に乗ろうか?」

    優しく囁く黎翔さんに、私はコクンと肯いた。

    二人で観覧車に乗り込むと
    私は彼の肩に頭をあずけて夢見心地で瞳を閉じた。

    肩越しで伝わる彼の温もり。

    「ゆーりん
    見て、夜景が綺麗だよ」

    ゆっくりと瞳を開けた私に飛び込んできたのは……
    眼下の星空と見紛う景色。

    観覧車が、ぐんぐん高度を上げていくと
    おとぎの国が、ますますオモチャ箱に見えた。

    とくん……
    とくん……………とくん……………

    息遣いさえ聞こえるような静かな密室に
    ぴったりと寄り添うと、自分の心音が彼の耳にも届きそう。

    静かな美しい時間に
    私は、身も心も黎翔さんに委ねるのだった。


    ……
    …………

    僕の肩で、夢見心地の夕鈴。

    とろんと濡れたようなハシバミ色の瞳に、
    煌く地上の星々のような夜景が映りこむ……

    「ゆーりん?
    疲れて眠くなった?」

    「ううん……
    眠くない」

    突然、彼女は僕の胸に飛び込んできて
    僕の背中を抱き締めた。

    「黎翔さん……
    私を抱き締めていてね。
    離さないで……」

    「どうしたの?
    ゆーりん?」

    「なんでもないの。
    ねぇ、ぎゅっと抱き締めて………」

    彼女から、甘えてくれるなんて普段は無いから
    僕は、すごく戸惑いつつも嬉しくて………

    こんなチャンスは二度と無いかも……
    僕は、壊れ物を扱うかのように優しくギュッと抱き締めた。

    僕の両腕に、僕の大事な宝物。
    僕の心まで温める、沁み渡るような……優しい彼女の温もり。

    「ゆーりん。
    …………愛してる」

    「私もです。
    …………黎翔さん」

    僕は、しっとりとした大切な人の存在を感じつつ
    柔らかな身体を愛しんだ。
    彼女の髪から、甘い香りが香る。

    今なら……言える?
    僕は、彼女に言わなきゃいけないことがある!

    彼女の甘い香りに、促されて……
    僕は、とうとう告白をする決心をした。

    「ねぇ、ゆーりん。
    聞いてくれる?」

    「はい?
    何でしょうか?
    黎翔さん?」

    少し緊張したような黎翔さんの固い声に
    私は、少しだけ身を離した。

    真剣で、ちょっと怖い顔。
    彼の緊張が私にも伝わって、私まで緊張してきた。

    至近距離で見る彼の顔は、
    夜景に照らされ、彫りの深い顔立ちが際立って見える。
    燃えるような深紅の瞳が、私をジッと見つめていた。

    もう貴方以外、何も見えない。
    きっと私は酔ってるの。

    …………貴方に酔わされ、その瞳に。
    身もココロも魅入られ、瞳が逸らせない。

    珍しく、なかなか言い出さない黎翔さん。
    言いよどむ彼に、
    私はもっと緊張してくるのがわかった。


    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 17  恋の迷路 

    入口につくと、黎翔さんはさりげなく私の手を離した。

    「夕鈴、ここのミラーハウスは普通のモノとはちょっと違うんだ」
    「違うって何が…あっ、ホントですね。
    入口が二つだわ」
    「うん、ここはそれぞれの入口からはコースが違っていてね。途中では合流出来るんだけど、ゴール間際で合流するんだ。だから競争しようよ。どっちが先に相手を見つけられるのか」
    「競争ですか?イイですよ!私負けませんから」
    「じゃあ、後でね」

    そう言うと、黎翔さんは鏡の国の入口へと身体を滑らせた。
    私も慌てて黎翔さんとは違う入口から中へと駆け込んだ。


    私は右手を鏡に触れながら進んでいく。
    鏡が途切れた先を曲がる。
    そしてまた鏡に触れる。

    それを何度も繰り返す。
    何度曲がったのか?
    もう忘れてしまったくらい曲がったと思う。

    でも黎翔さんには会えない。
    段々、本当にこの道で大丈夫なのか心配になってきた。
    実はこのままいくと行き止まりで、私は永遠に抜け出せなくなるような感覚に囚われる。

    見えるモノは、鏡だらけ。
    当たり前のことだけど……。

    周りの鏡に自分の姿が写り込み、無数の『私』が生まれる。
    そしてその『私』は『私』を見詰めている。

    何だか、怖いって思えてきた。
    一人きり。
    誰もいない。
    黎翔さんさえ……。

    両手を胸の前で組んで不安を取り除こうとした。
    その両手は冷えていた。
    先程まで感じていた黎翔さんの温もりは消えていた。

    私は黎翔さんがいないと、ただのちっぽけな私だ。
    何の取り柄も無い。

    考えていると足は止まってしまう。
    歩かないと、黎翔さんには会えない。

    「早く、進まないと…黎翔さんに先を越されちゃう」

    自分を叱咤するように、声を出す。
    空元気でもいい。
    今は黎翔さんに会うことだけを考えよう。

    私は進んだ。
    ただ、前に。
    兎に角、前に。
    力強く踏みしめて。
    心の中で、黎翔さんの笑顔だけを思い描いて。



    「夕鈴!!!!!」

    声が聞こえる……。
    私を呼ぶ声。
    大好きな低めの声音。

    「黎翔さん!!!!!!」

    声を出して自分のいる位置を黎翔さんに知らせる。

    ここにいるの。
    私はここにいるの。


    角を曲がった先に、黎翔さんがいた。
    両手を広げて、私を迎え入れる。

    「僕の勝ちだね」

    そう言って笑った黎翔さんの笑顔が眩しく見えた。



    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 16 てんとうむしのライド

    「へくちッっっ!」

    甘いムードを、私のくしゃみが吹き飛ばした。

    「ゆーりん、風邪ひいた?
    寒くなってきたね」

    「風邪ではないと思いますけど……
    確かに寒いですね」

    「デートの続きをしようか?
    おもいっきり遊べは、寒さなんてきっと吹き飛ばすよ」

    「ゆーりん、近くに、
    このパークで一番人気のアトラクションがあるんだ。
    やってみない!?」

    「いいですね。
    やりましょう」

    「こっちだよ。
    ゆーりん」

    黎翔さんに手を引かれやってきたのは、小さなトンネルの入り口。
    この奥にアトラクションがあるという。

    薄明かりのヒカリゴケが淡く染める細いトンネルを、
    二人肩を寄せ合い進んでいくと、……やがて水の流れる大きな川の音が聞こえた。
    まだ位置的に山の中だけど、洞窟風の開けた場所に抜け出た。

    大きなテントウムシ型の丸いボートが、人工の川にプカプカ浮かんでいる。
    赤や黄色、青、緑、橙色、ピンクといったカラフルなテントウムシ型の乗り物は、
    透明なドーム状の密閉型の屋根がついていた。

    見ようによっては、カラフルな水玉UFOみたい。
    なんだかユーモラスで可愛い雰囲気で、微笑ましいのだけれど……これがパークで一番スリリングな乗り物なのだと言う。
    乗り込んでから、黎翔さんに説明されて私の顔は青褪めた。

    ウォーターボートスライダーと、コーヒーカップとジェットコースターを足して、三で割ったもの。
    訳のわからない彼の説明が、私の恐怖心を煽る。

    覚悟も無いまま…アトラクションのライドに乗り込んでしまった私。
    容赦なく透明なドームの屋根が閉められた。
    アトラクションの案内人のお姉さんの眩しい笑顔が恨めしく感じる。

    「お客様、危ないですから、お席にお座りください。
    楽しんできてください……いってらっしゃいませ♪」

    アトラクションの案内人のお姉さんに送り出されて、あっという間にライドは川の流れに乗った。
    私たちの乗ったライドは、すぐに曲がりくねった流れを、順調に出発していった。

    「ゆーりん
    ……ドキドキするね」

    「黎翔さん…………」

    密閉空間に、二人っきりになったのに、このドキドキは恐怖心から来るドキドキで……ダメだわ。緊張してきた。
    私は、ライドの中央にあるハンドルのような捕まり棒を
    がっちり両手で、握り締めるのだった。

    ……最初は小さな滝を落ちながら、緩やかな流れをたゆとうように下っていった。
    時折ライドは山の外に出て外の夜景を楽しめた。
    岩山には夜にも楽しめるように、光る花々が咲いていて、とても綺麗だった。

    「ゆーりん
    そんなにガチガチに緊張しなくていいよ。
    もっと楽しもう!」

    「Σ!
    黎翔さんっっっ!

    なななななななななななっ
    何するんですかっっっっっーーーーーーっ」

    突然、ハンドルを回し始めた黎翔さん。
    回すとライドが、コーヒーカップのようにくるくると廻り始めた。

    ライドの下に強力な磁石が埋め込まれているそうで
    水の上でも、遊園地のコーヒーカップと同じ動きが出来るらしい。

    水の流れと、ライドの回転運動……
    ライドの動きが予測不能で、私はすでに目を回しはじめていた。

    私が楽しめたのは最初だけ……後は、恐怖の連続だった。
    強烈な渦潮に巻き込まれたり……不規則にぐるぐる廻り右に左に水の動きに翻弄されるテントウムシに、私は胃が押し上げられる感覚を覚えた。

    だんだんと大きくなる滝は、着地も予想外で……
    何度も、大きな水飛沫がかかった。

    ラストの大滝では、ライドが宙を飛んだ。
    そのまま高波を上げながら水中を勢いよく、ライドは突っ込んで進む。終点まで絶叫続きののあっという間の時間だった。

    「大丈夫?
    ゆーりん?」

    「大丈夫……れないれふ
    ちょうと、ひゃふませて」

    終始、元気で楽しそうな黎翔さんと違って、私は乗り物酔いが酷くて……支えてもらってようやく歩けたほど。

    噂に違わぬ絶叫系アトラクションに、私の咽喉は枯れた。
    ドームの屋根のおかげで、濡れなかったけれど、全力で叫んで寒さは吹き飛んだ……むしろ今は暑いくらいだ。

    黎翔さんには悪いけど
    …………もう二度と、乗りたくない。



    「次は、何して遊ぶ?」

    パークの地図を見ながら、本気で悩む元気な彼に……

    もう乗り物はこりごり…………乗りたくないと
    私は、目の前のミラーハウスを指差した。

    「ミラーハウス?」
    「はいっっ!」

    あそこなら、怖い思いなんてしないから。
    まさかあんなことになるなんて、この時点で私は思いも寄らなかったけど……。

    「いいよ」

    ニッコリ微笑んだ黎翔さんは、私の手を引いて歩き出す。
    私は、繋がれた自身の指が熱を帯びているのを感じていた。

    暖かい………。
    ホンワリと嬉しさを噛みしめて、私は自然と笑みが浮かんでしまっていた。



    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 15 銀の馬車

    「ゆーりん、ゆーりんっ?
    聞いてる?
    ゆーりん?」

    「ぁ……黎翔さん」

    ちょっと懐かしい記憶に浸っていた私は、心配そうな黎翔さんの声で現実に引き戻された。
    私の瞳を覗き込む、心配げな彼の瞳。

    いけない、今デートの最中だったわ……

    「ごめんなさい、聞いていませんでした。
    何ですか?」

    もう疲れたのかと聞いてくる彼に、笑顔で大丈夫と伝えた。

    「……そう?
    なら、いいんだけど。

    「僕、何度もゆーりんの名前を呼んでも
    全然気づいてくれないから心配しちゃった」

    「君とのデートが楽しくて、少し無理させたね。
    ゴメンね、ゆーりん……」

    しゅんとなった黎翔さんは、いつもの辣腕ぶりを発揮する
    狼陛下な社長じゃなくて…… 、

    今は落ち込んだ小犬のよう……
    今にも、きゅーーん、きゅーーんと鳴きだしそうで……
    心配をかけてしまった私は、胸がちくんと痛くなってしまった。

    せっかく彼が時間を作ってくれた
    貴重なデート を楽しまなきゃね。

    私は、きゅっと心をこめて、彼を抱き締めた。
    「心配してくれて、ありがとう」と囁く。
    黎翔さんは、やっと安心したのか私に微笑んでくれた。


    「ゆーりん、ゆーりんっ!
    ほら見て!
    女王様の馬車が来たよ!」

    金と銀の光に包まれて、まばゆい馬車が鈴音を鳴り響かせながら
    近付いてきた。

    絵本のハートの女王様は、怖くて意地悪だけど……
    このパークのハートの女王様は、とても美人で優しい笑顔の
    素敵な女王様だった。

    私が、ぽおっ……と見とれていると、私の目の前で馬車が止まった。

    優雅に女王様が馬車から降りてくる。
    会釈されたので、慌てて返した。

    女王様に促されるままに、黎翔さんと私は眩い馬車に乗る。
    乗り込んだと同時に、馬車の扉が閉められた。

    「黎翔さん??
    女王様が、まだっっっ……」

    「大丈夫だよ、ゆーりん」

    一緒に女王様も乗るものだと思っていた私は、ハートの女王様を広場に残して、馬車が走り出したことに驚いた。

    馬車はパレードを抜け出して、風のように走ってく。
    やがて小高い丘を頂上目指して駆けて行った。

    流れ星のように現れ消え行くパークの光。

    「大丈夫。
    ゆーりんは、何も心配しなくていい」

    微笑みながら隣に座る黎翔さんに、しっかり抱き締められて
    私はようやく安心してきた。

    やがて、パークを見下ろす頂上広場に着いた。
    馬車を降りて展望台まで、ふたり手を繋いで歩いてく。

    「ゆーりん、
    疲れてそうだったから、ここまで連れてきてもらっちゃった」

    悪びれもせずケロリと白状する黎翔さんは、
    いつものワンマン社長で……

    少し過保護すぎるわ……私は、彼に呆れる気持ちと彼の優しさに、ついつい笑みが浮かんでしまう。

    二人で見る眼下の景色は、発光きのこたちが織り成す不思議な世界。
    ハートの女王様の城が、遮るものが無くて近くに感じられたた。
    白亜の城に、真っ赤な薔薇の花の美しい映像が映し出されている。
    パークの夜景の美しさに、知らず感歎のため息が漏れていた。

    「わぁ…綺麗」
    「本当だ…綺麗だね」

    私は照れ隠しで、パークの夜景に夢中になったふりをした。
    繋いだ彼の大きな手を、ギユッ…と強く握り締めて
    小さく「ありがとう」と呟いた。

    隣で黎翔さんが笑った気配がした。

    もぅ!
    何もかも、お見通しなんだから……
    素直に、お礼を言っただけじゃない。
    そんなに笑わなくても……

    素直じゃない私は、少し膨れっ面で夜景を見ていた。
    そんな私に黎翔さんは、クスクス笑いながら
    優しく背中から抱き締めてくれた。

    「ゆーりん、好きだよ」
    「黎翔さん……私も」

    彼のぬくもりに包まれながら、しばらく二人で甘い夢に浸るのだった。



    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 14  星空の告白

    それは、あるパーティの帰りだった。
     
    取引先の創立何十周年かのパーティに、
    いつも通り私は、ドレスアップして黎翔さんと出席していた。
    黎翔さんは濃紺のスーツに身を包み、カッコよさを際立てせていた。
    会場では黎翔さんが、良家のお嬢様たちの視線を一身に受けていた。

    いつも通り…のはずだった。
    パーティが終ったら、そのまま家の付近まで送ってもらって、
    それで今日のバイトも終るはずだった。

    その日は黎翔さんの一言で、ちょっとスケジュールが変更になった。

    「夕鈴。
    今日は、もう少し時間もらってもいいかな?」

    「……はい。
    大丈夫ですよ!?」

    「ありがとう」

    そう言って、黎翔さんは微笑んだ。
    私も何だか嬉しくなって、微笑み返した。

    そして連れていかれた場所は、星が綺麗な丘の上だった。
    空には、零れ落ちそうな星々が瞬いている。
    月も西に沈んで、冴えた星だけが夜空に鎮座する。

    「綺麗ですね~」

    「そうだね」

    「はいっっ!
    街中ではこんなに綺麗には見れませんよ」

    「喜んでくれて良かった」

    「有り難うございます」

    黎翔さんと私は、しばらくの間
    隣に並んで空を見上げていた。
    一言も発することなく…静かで、穏やかに流れる刻。

    しかし、その静寂も黎翔さんの一言で破られた。

    「好きなんだ」

    「!?」

    それは一瞬のことで、不覚にも聞き逃してしまっていた。

    「聞こえた?」

    「何がですか?」

    「だから僕は、
    君が好きだって事!」

    「はい、聞こえまし…
    って!
    えっっ~~~」

    「そんなに驚かなくても…
    傷つくなぁ~」

    「いや、黎翔さん。
    冗談なんでしょ?」

    「冗談なんかで、
    愛の告白なんてしないよ」

    「………」

    「夕鈴?」

    「…………」

    「夕鈴????」

    私の目の前で、黎翔さんは掌を左右に振る。

    「ねぇ、夕鈴?」

    私の薄茶の瞳から、スゥーと一滴、涙が零れていた。

    「えっ?夕鈴。
    泣くほど嫌だった?
    困らせてごめん!
    もう言わないから!!
    冗談だよ!
    うん、冗談っっ!!」

    黎翔さんは慌てて、訂正の言葉を紡ぐ。
    それを聞いた私は、左右に首を激しく振った。

    「違うんです!!!
    私…嬉しくて。
    だって、私もずっと前から
    黎翔さんの事、好きだったから……」

    「夕鈴…じゃあ。
    僕の恋人になってくれるの?」

    「勿論です!
    いえ、私で良ければ、お願いします」

    そうして、黎翔さんは私の身体を引き寄せて
    優しく抱きしめてくれた。

    私は夢なんじゃないかという疑いを、
    黎翔さんの身体を抱きしめ返すことで現実の事なんだと受け入れた。


    嬉しくて、幸せで。
    絶対、忘れられない星夜の事………。


    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 13  運命

    程なくして、私の偽婚約者のバイトは
    いよいよ本格的になった。

    社長さん…もとい黎翔さんは
    あちこちのパーティに、私を付き添わせた。

    突然、降って湧いたような婚約者の存在。
    何処に行っても注目されることになった。

    男性たちのいぶかしむような視線。
    女性たちの鋭い視線。
    時には化粧室で、あからさまな嫌がらせなんてのもあった。

    でも私は兎に角、頑張った。
    黎翔さんの婚約者に見えるように、言動に気を付けた。
    黎翔さんの偽婚約者として……。

    おかしなもので、私は少しでも家計の為になればと
    この特別なバイトを引き受けたはずだった。

    ……なのに、いつの頃からか
    黎翔さんの役に立ちたいと思うようになっていた。
    多分、その時にはもう好きになっていたんだと思う。

    その洗礼された仕草に。
    その信念に満ちた瞳に。

    そして私は、知ってしまった。
    黎翔さんの二面性を。

    狼陛下と小犬陛下の二つの顔を。

    醸し出す雰囲気の違いに、最初は戸惑ったけれど、
    でも段々どちらの黎翔さんもいいなって思う私がいた。

    くつろいだ時に見せる小犬も。
    誰からも畏怖される狼も。
    どれも、私を魅了した。

    でも私は、ただのバイトであって、
    雲の上野存在の黎翔さんに、恋するなんておこがましい。
    だから、絶対にこの恋は秘したままバイトに精を出すつもりだった。

    『好きなんです……』

    何度、そう告げたくなるのを我慢したかしら。
    何度、枕を濡らす夜を過ごしたかしら。


    そして………あの夜が訪れる。

    ……続く

    【Yコラボ】アリスの口付け 12  狼陛下

    そして私は毎日のように、この本社ビルへと足を運んでいた。

    社長の偽婚約者なんて
    ご大層なバイトを引きうけた私は、
    それらしい振舞いの講義を、受けさせられていた。

    更には、全身のサイズまで測られて……
    服まで一点ものが貸与された。
    あくまで貸与だけど。

    しかし普段着から、下着。
    身につける宝石類から、パーティドレスまで…

    どれだけ金掛けるのよ、たかが偽婚約者の為に!!
    と、叫びたくなるくらいのモノだった。
     
    それこそ普通の高校生が、着ることなんてないであろう、ブランド物の服で。
    正直言って服に縛られているような感覚まで、味わう羽目になった。

    しかも肝心の社長さんとは会うことも無く、
    これで本当にバイト代もらってもいいのかしら?と
    申し訳なく感じる始末。

    「はぁ~~~。
    なんで私、こんなバイトを請け負ったのかしら?
    肝心の社長さんとは会えないし…
    もしかして、もう偽婚約者なんて必要なくなったのかしら?」

    私は講義の行われる広い会議室で
    誰も居ないことをいいことに、一人呟いた。

    「そんなに社長に、会いたいのか?」

    私の言葉に間髪入れずに、後ろから掛けられた声。
    驚きのあまり、ビクッと心臓の鼓動が跳ねた。

    誰も居ないと思っていた会議室。
    突然、響いたもう一人の存在……
    私の背筋は、ピピツと、伸びた。

    もしかして私の独り言、聞かれた?
    偽婚約者のことがバレた?
    これってかなりマズい状況よね!

    私は怖くて振り返ることは出来ず、そのままだんまりを決めこんだ。
    でもいつまでもこのままというわけにもいかず……ビクビクしながら振り返ることにした。

    そこに立っていたのは、先日フロアで会ったイケメン青年だった。
    そう……この大企業のトップ、珀社長その人だった。

    「あっ、その、あの、いや、そうじゃなくて!
    初めまして、私、汀夕鈴と申します」

    「知っている」

    「ですよね…」

    「社長さん!一つ訊いても「社長さん、ではなくて黎翔さん!」」

    「はい?」

    「だから、黎翔さん!と呼ぶ!!」

    いきなりそんな事言われても、
    そんな呼び方出来るような器用な私じゃない。

    それでも威圧感に圧倒され、
    小さく囁くように『黎翔さん』と呼んだ私は
    頬を染めて俯いた。

    「聞こえない」

    「………いじわるですね!!」

    「まぁ、私は『狼陛下』なんていう通り名があるから、
    いじわるなのかも知れないな」

    聞いたことがある。
    あれは確か…フロア清掃で聞こえてきた会話の中に
    しばしば『狼陛下』って言葉。

    『陛下』ってどんだけ、ご大層なのかしら?
    どんな人がそう呼ばれてるのかな?って
    興味を覚えたことまで思い出した。

    その人が今、私の目の前にいる。
    そう呼ばれるに相応しい立ち姿で……。

    私は知らず知らずのうちに、見惚れていた。
    視線が外せなくなるほどに。


    ……続く