花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    2012年09月 の記事一覧

    【短編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー おまけ 』

    『夕鈴、もうそろそろいいだろう?』
    『・・・・部屋に戻ろう。』

    「はい。黎翔様。」

    肩を抱かれて、部屋へと歩き出す。
    ふと、名残惜しく見上げた空に
    綺麗な満月の姿・・・・そこに見つけた満月うさぎの黒い影。

    「・・・あら?」

    夕鈴は、立ち止まりまじまじと望月を見上げた。

    『夕鈴、どうしたの?』

    「月が・・・・」

    『ん?・・・・ああ、綺麗な月だね。月がどうしたの?』

    「満月うさぎが、望月に二羽。」

    『夕鈴、満月うさぎのお話知ってるの?』

    「はい。」

    『その後の続きの話は?』

    「いいえ。知りません。続きあるんですか?」

    『あまりに、嘆くうさぎを可愛そうに思った神様が、
    望月兎を救いあげて月に帰してあげたんだって。
    今は幸せに、二羽とも月に住んでいるって話。

    時々、満月うさぎの姿が三羽みえるって話だよ。
    もしかしたら
    満月うさぎも僕たちみたいに、家族ができたのかもしれないね。』

    そういって、満月を背に笑う夫は、いつか見た面影と重なった。



                      ―完―

    スポンサーサイト

    【詩文】『水晶柱の結晶水』




    太古の水が閉じ込められているという

    水晶柱の石

    手のひらほどの大きさの透明なその石を

    陽の光に透かし見れば

    ゆらゆらと揺れる太古の水

    永久の年月を

    水晶柱のゆりかごに包まれ

    淀みなく流れるはずの雫は、

    永久に結晶水となってまどろみ続ける

    その夢は、太古の調べ

    淀みなく流れる太古の河の子守唄。




    私も、この水晶柱の結晶水と同じ運命

    淀みなく流れるはずの水のようだった、下町の汀夕鈴は

    後宮というきらびやかなゆりかごで

    望まれるままに、妃という名の夢を見る

    壮絶に美しくて、優しい陛下の腕に囚われ

    愛という名の夢を見る。

    なんて、甘美で美しい夢なのでしょう。

    私は、夢から覚めたくないのです。


    2012.09.29.  さくらぱん。 続きを読む

    【コミュ】コスプレとぴ『医師・黎翔』 設定

    ギリギリ・・・スレスレ・・・ちょい微○の実投下。

    思いつくまま、書きなぐりました。

    設定

    設定放り込み・・・・こんなのいかがでしょうか?


    院長 老師

    李順医師       珀医師の指導医 怖い眼鏡の先生。

    医師  珀 黎翔  肩書き・内科も診る小児科医でもあり、マルチ医師 
                 但し夕鈴限定

    看護師 汀 夕鈴  珀黎翔 医師の恋人兼仕事のパートナー
                 ピンクのマイクロミニのナース服・ピンクのナースキャップ
                 担当医師・珀先生が、子供も見るので、小児看護師・
                 子供に好かれる(特に、男の子)
                 注射が上手い。
                 
                  実は、珀医師と恋人同士。
                 他の看護師は、清潔感溢れる白なのに、本人かなり不満です。

    看護師 汎 紅珠  夕鈴を先輩と慕う後輩看護師。
                 優秀なのだけど、血を見ると倒れてしまう。
                 実は、看護師向いてない。注射が苦手のお嬢様看護師。


    【短編】 if メルヘンパラレル 『満月うさぎ・望月兎・おまけ2・ー君の香りー』

    いつもの時間に夕鈴の自室に訪れた黎翔は、
    自室に愛しい妻の姿が、見えないことに気付いた。

    身重の身体が、気になる。
    いったいどこへ、行ったのか?


    開け放たれた、庭へと続く窓辺の扉が少しだけ開いていた。
    隙間から、差し込む 明るい月の光。

    そこから、夜の芳香が部屋中に香る

    夜に艶めく純白の百合・月下香の
    濃厚で複雑なエキゾチックな甘い香り

    ジャスミンのように濃厚で完熟した葡萄のような強い芳香

    月下香の芳香は、夜になると強さを増す
    夜に愛されし、神秘の香り・・・

    いつしか、香りを辿るように、夕鈴の姿を探していた。
    庭へと続く扉を黎翔は、解き放つ・・・

    開放したとたんに、更に濃く艶めく濃厚な夜の香り
    私の心をかき乱す甘い夜の芳香

    たなびく魅惑の香りの軌跡を辿る
    たぶん夕鈴が歩いたであろう道を

    何故か月下香の咲く場所に、夕鈴は居ると確信していた。
    黎翔の足は、迷いなく進む。

    鼻(ね)で辿る  不思議な引力に引き寄せられる

    月下香の咲き乱れる 白亜の四苛の近くで
    月に照らされた愛しい妻の姿を黎翔は、見つけた。

    金色の砂が降るような月の光を浴びて輝く
    愛しい妻は、まるで女神のように佇む

    月を見上げる、夢見る瞳は潤み。
    背に垂らされた金茶の髪がうねりながら流れ落ちる。
    月光の光りを弾き、自ら光りを放つかのよう。

    神聖な母性の目覚めが、神秘的で優しい雰囲気をかもし出していた。
    甘くときめかす濃厚な月下香の芳香の中で、佇む。
    夜に艶めく月下美人のような楚々とした神秘的なその姿。

    穢れ無き純白の美しさと神秘性、そして透明感のある甘い艶めき

    彼女はまだ僕に気付かない。
    何を思ってそんなに熱心に月を見つめているのか?


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけた外套ごと、君を抱きしめた。
    とたんに、感じる抱きしめた妻のぬくもり。
    熱を感じて
    黎翔の内側から、愛しいという想いが溢れる。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    君の首筋から君の本来の香り、夜来香(イエライシャ)の香
    やわらかで透明感のある上品な甘さ
    心を静める不思議な香に僕の心が安らぐ。

    ・・・・・愛しさが溢れ出す。
    ・・・・・君が愛しくてたまらない。
    抱き寄せて、口付ける。
    君の香りが大好きで、頬に口付け、耳朶に甘い言葉を囁く

    君の夜来香(イエライシャ)の香りと濃厚な月下香の強い芳香に
    クラクラと
    軽い酩酊感。
    美しき我が妻・・・・月下美人に酔いしれる

    三つの花の共通点。
    どれも月に愛された夜に艶めく愛の花 

    芳醇な香気を放つ君に酔いしれる
    夢のような幸せに酔う。

    きっと僕は君が夜に隠れても、今日のように見つけ出せる
    君の艶めく香りは、夜の帳には、隠し切れないのだから・・・。

    2012.10.01さくらぱん

                ―完―


    ー『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー』完ー

    ※長文お読みいただきまして、ありがとうございます。
                                  2012.10.02. さくらぱん


    【詩文】『月光浴』

    砂金の光が
    蒼空から
    零れ落ちた

    月の雫は
    あまねく皆に

    金色に
    ゆらめき
    輝きながら

    優しい光を
    全ての者へ

    まどろみの粉を
    降り注ぐ
    夢守人は

    例えば…鳥に
    例えば…猫に

    例えば…川に
    例えば…蒼空に

    例えば…ワタシに
    例えば…アナタに

    全てのものに
    等しく
    まどろみの粉を
    かけていく

    ほらね。
    アナタもすでにまどろみの中。




    書き下ろしメッセで、某白友さんに贈ったもの。今頃見つけた。笑

    2012.09.29.さくらぱん

    【詩文】『雨音ーあまおとー』




    たつ・・・たつ・・・と
    雨音が 聞こえる
    静かな夕暮れの部屋に

    窓辺に寄り添い 眺める空
    薄暗い景色と 水溜りに
    波紋が広がる

    屋根から落ちる
    雨だれの音に
    耳を澄ます 心を凪ぐ

    しっとりした空気と
    ほんの少しの冷たい風
    探しているのは 貴方の姿
    ぼんやり滲む 青い影

    雨だれの音しか 聞こえない
    静かな時に 心癒される

    澄んだ音に
    心を研ぎ澄ます
    聞こえてくるのは 貴方の足音


    2012.09.28. さくらぱん

    【短編】『白衣』※現代パラレル


    「珀先生、コーヒーをお持ちしました。」

    『ああ…ありがとう。』

    コーヒーの味と香は、忙しい黎翔の1日の始まりを告げる欠かせないものだった。

    『ん…君の入れるコーヒーは、いつも美味いな。』

    朝のいつものブラックコーヒーを飲みながら、今日の予約の確認をする、白衣の黎翔。
    今日も、予約患者でいっぱいだった。

    『珀先生、朝から今日も沢山の患者さんが、もう先生の診察をお持ちですよ』

    ピンクのマイクロミニのナース・看護士夕鈴が、隣でニッコリ笑った。

    『…夕鈴』

    『患者が居ない時は、黎翔と呼んでくれないか?』

    ぷうぅ…

    膨れっ面の子犬顔で、隣の恋人に拗ねて見せる。

    『だって、ここは仕事場です。けじめは、しっかりつけたいです。珀先生。』

    『えー!僕夕鈴に、珀先生って、呼ばれたくないよ―』

    『せめて、黎翔先生にしてくれない?』

    『拗ねても、ゴネてもダメです。』

    『他の先生方が、名字読みなんですよ。珀先生だけ名前呼びは、冷やかされます。困ります。』

    仁王立ちで、恋人に睨まれ子犬は、シブシブ了承する。

    『じゃあ…珀先生で我慢するから…』

    ツンツンと黎翔は、頬を指差した

    『我慢するから、ここにキスしてよ。』
    『キスしてくれなきゃ、診察しないよ!?』

    『…っ!!!』

    (それって、脅迫だわ!)

    十分後、定刻より二分ほど遅れたが診察が始まるのだった。


    ―完―

    完【長編】黒龍『葡萄棚の下で4』 ※角砂糖の甘さに注意!!!

    灼熱の柔らかな黎翔の舌先で、夕鈴の口に押し込まれる一粒の葡萄。
    情熱の深い口付けは、夕鈴を酔わせる。

    「・・・んふぅ・・・」

    夕鈴は、黎翔に口付けされて甘い吐息がもれ漏れる

    夕鈴の口唇から零れ落ちる甘い葡萄の果汁。
    口の中に広がる葡萄の甘さ
    口付けの滴る甘さにーーーーーーーーーーー痺れる舌先。
    そしてーーーーーーーーーーーーーーーーほんのりとした葡萄酒の香り

    くらくらとーーーーー酔いが廻っていく

    ( 嗚呼 ・・・何も考えられない。 )

    陛下に酔わされる・・・・・酔わされる・・・・酔う・・・・・




    ・・・・・・・・ふわ・・ふわ・・・ふわり

    ーーーーーーーーーーー夕鈴は、遠のく意識に逆らえない

    ほろ酔いのまどろみに滑り落ちる意識。

    夢と現実の区別が無くなる

    かすみゆく意識 



    『お休み、夕鈴』

    夕鈴の深いまどろみに滑りゆくなかで、囁かれた黎翔の言葉。

    繰り返し耳に木霊する優しい囁き




    爽やかな風が頬を撫でる
    葡萄の芳醇な香りが、二人を包む

    いつしか、うららかな日差しの下、たわわに実る葡萄棚の下で
    夕鈴は、黎翔に腕枕をされながら深い眠りに落ちた。

    夕鈴に掛けられた陛下の外套の上で、しっかりと繋がれた二人の手。
    二人寄り添いまどろむ二人の見る夢は、同じ甘い夢なのだろう。
    微笑みを浮かべる二人の幸せな時は、誰にも邪魔されなかったという。



    さわさわと、葡萄の葉ずれの音がする。
    艶やかな葡萄の実が、爽やかな風にそよぐ
    うららかな陽射しが二人に降り注ぐ

    穏やかな時間が静かに流れる。

    葡萄棚から零れる暖かな陽射しは、
    二人を更なる幸せな深いまどろみへと導くのだった。


                     ー完ー

    【長編】黒龍『葡萄棚の下で3』※角砂糖の甘さに注意!!!

    『君の手料理は、どれも旨いな。』

    美味しそうにほおばる陛下に笑みが零れる
    頬に陛下の口付けとともに、賛辞の言葉が囁かれる

    誉められて、悪い気がしない
    素直な賛辞に、夕鈴は笑みが零れた

    夕鈴は陛下に、微笑む表情を隠さない
    うららかな陽射しとともに、穏やかな時間が流れる。

    夕鈴は、次の肴を陛下の口へと運ぼうと箸を進めると
    その手を陛下に止められた。

    『さっきから君は、食していない』
    『夕鈴、葡萄は、どうだ』
    『私が、食べさせてあげよう。』

    夕鈴は、返事をする間も与えられず、世界が反転した。
    急に抱き寄せられて、陛下に押し倒された

    宙を舞う金茶の髪
    状況が飲み込めず、混乱する頭。
    背に当たる毛織の敷物の柔らかな感触を確認した頃は、
    すでに夕鈴は世界を見上げていた。

    目の前には、たわわに稔る葡萄の房と眩しい青空。
    陛下の指先に、飲み干された杯の代わりに、一房の大きな葡萄。

    めまいがしそうなほどの至近距離に陛下の綺麗な顔がある。
    夕鈴は、混乱する頭のままで、陛下の紅い瞳に吸い寄せられる。
    そのまま、陛下は手の中の葡萄の房から瑞々しい一粒を口に銜(くわ)えた。




    黎翔は、腕の中の夕鈴が愛しくてたまらない。
    私の為に一生懸命に作ってくれたであろうお弁当は、どれも美味しい。
    まだ赤みの残る瞳。

    (まるで・・・兎のようだな。)

    その頑張りをねぎらいたい。
    手の中の瑞々しい葡萄を黎翔は、口に含むと夕鈴の唇へと運んだ。

    ・・・・・・口移しで運ばれる葡萄の一粒。

    ・・・続く

    【長編】黒龍『葡萄棚の下で 2 』

    大きな美味しそうな葡萄が鈴なりの葡萄棚
    うららかな陽射しが、葡萄の梢から降り注ぐ

    二人の座る頭上には、赤や黒・緑といった、大粒の房が重そうに下がる。
    辺りに香る、芳醇な葡萄の甘い良い香りに二人は包まれていた。

    発酵した葡萄酒の香りも・・・黎翔の手元には、今年の葡萄酒が
    並々と注がれていた。

    甘い葡萄の香りと葡萄酒の匂いと二人っきりの甘い時。

    (・・・・・・ああ・・・酔ってしまいそう。・・・・・)

    腰に廻された黎翔の手は夕鈴を離さない。
    敷物の上で、広げられたお弁当から、野菜を肉で巻いたものを
    黎翔の口に箸で運びながら、必死で夕鈴は、自分を保つ。
    夕鈴は、のぼせそうな頭で先程の記憶を手繰り寄せた。


    一軒の民家に黒龍が入っていったのは、つい先程。
    この家の主夫婦の二人が、黎翔達を待っていた。
    深々と礼をとる主人。

    《・・・・陛下、お妃様、お待ちしておりました。》
    『今年も、世話になるぞ。主人。』
    《心得まして、ございます。》
    《今年は、お妃様も一緒に視察と伺い、楽しみにしておりました。》
    《陛下、今年の葡萄も豊作にございます。》
    『それは重畳。楽しみだ。』
    《ごゆるりと、お妃さまとお楽しみくださいませ。》
    『では行こうか。夕鈴。』

    民家の主に黒龍をあずけ、二人は、葡萄畑へ向かったのだった。


    ・・・続く

    【長編】黒龍『葡萄棚の下で 1 』※要注意!!!一部・大人表現あり

    ※一部KISS表現で、大人表現があります。
    ご不快に思う方は、お読みにならないでください。
    それでも、よいと思う方は、そのままお進みください。
                2012.09.27.さくらぱん

    うららかな秋空の下

    「・・・ふぁ・・・・」

    少し目尻が赤い 今朝の兎妃は、黒龍の背でアクビをかみころす

    しっかりと黎翔が、夕鈴を支えているが、夕鈴は、必死で腕の中のお弁当を護り、睡魔と闘っていた。

    ともすれば落馬しそうな夕鈴の様子に、黎翔は苦笑する。
    原因の一端は自分なので、落ちないように夕鈴を支えねばならない。
    いつもなら、怒られるこの状況に、
    大義名分がつき公然と夕鈴に触れられることを黎翔は、楽しんでいた。


    ことのはじまりは、昨夜のこと

    朝の早い時間に、弟青慎のお弁当を作るため
    王宮の厨房を使える代わりに、黎翔と交わした昨夜の二人の約束。

    『明日の朝、青慎のお弁当を王宮の厨房で作るといい。』
    『出来たら、浩大に届けさせるよ。』
    「いいいんですか?」

    『そのかわり、僕にもお弁当作ってくれる?』
    『僕のお弁当を作る為といえば、快く貸してくれるよ。』
    「それでいいのですか?助かりますけど・・・。」
    『せっかくだから、黒龍で遠乗りしようか?』
    『二人分作ってよ。この時期だし、ちょっと遠出したいな。』
    『外で、二人でお弁当食べよう。明日が楽しみだな。』
    「遠乗りに連れて行ってくれるのですか・」
    「ありがとうございます。陛下。」
    「では、たいしたものは、作れませんけど、張り切って作りますね。」





    先ほどまで、早朝から王宮の厨房にいた夕鈴。
    手早く、三人分作り、一人分は浩大に渡した。


    色づき始めた初秋の森をさほど早くない速度で駆け抜ける。
    流れる輝く森の景色を黒龍の背から眺める

    紅葉の兆しは、まだ無いが秋草が咲き乱れる秋の森は、夕鈴の眼を惹いた。
    いつもなら、このまま王領地の森を駆け抜けるのがいつもの遠乗り
    今日は、少しコースが違っていた。

    早々と森を抜け、葡萄棚の続く人里へ
    丘陵地に延々と秋の果物が稔る。
    民たちが、忙しく収穫の喜びにいそしむ丘をゆっくりと通り過ぎる

    この穀物や果物の稔りは、白陽国が豊かであることの証

    豊富な水源を使い水路が張り巡らされ、
    水が途絶えることの無いように黎翔が地道に治水した。

    その行政の大きな結実。
    豊かな大地は、諸外国の羨望だった。

    それほど、豊かな大地を治める黎翔は
    実りの季節の遠乗りをいつも大事にしていた。

    民たちの喜びに輝く笑顔を見るたびに、
    黎翔の心に誇らしい気持ちが、膨れ上がる

    この黎翔が治める豊かな大地をいつか夕鈴に見せたいと思っていた。
    秋の実りのこの季節に。


    続く 続きを読む

    【書庫】完『薔薇の園―そうびのその―』 ※要注意!! 一部大人味。・・・・ご説明

    ※一部表現で、大人表現があります。
    ご不快に思う方は、お読みにならないでください。
    それでも、よいと思う方は、そのままお進みください。

    短編・長編・詩文を一本にまとめてみました。
                       2012.09.27.さくらぱん


    【短編】『薔薇の雫―そうびのしずく―』プロローグ
    【詩文】『薔薇色の月ーローズムーンー』
    【短編】『薔薇色の夢』※がっつり大人味
    【詩文】『朝露の薔薇―あさつゆのばら―』
    【詩文】『一滴の為に-薔薇の香油ー』
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー1 』
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー2 』
    【詩文】『秋咲きの粉粧楼』 ※がっつり大人味
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー3 』
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー4 』※舞台は夜。
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー5 』※舞台は夜。
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー6 』※舞台は夜。
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー7 』※舞台は夜。
    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー8 』※舞台は夜。
    完【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけー9 』 ※舞台は夜。
    【短編】『濡れそぼる白薔薇―ぬれそぼるしろそうび―』後夜祭
    【短編】『染まりゆく薄紅の薔薇ーそまりゆくうすくれないのばらー』

    【短編】『寝癖』※現代パラレル



    『あー珀先生、また寝ぐせがありますよ!!』

    黎翔の後ろ髪が、一束ぴょんとハネていた。

    『えー…寝ぐせぐらい…』

    『ダメです。』

    『患者さんに笑われますよ!!』

    『最近、珀先生身だしなみなってません。』

    『研修医の時は、きっちりしてたのに…』

    開襟の白衣に、襟ぐりのくたびれた黒のTシャツ・ラフに首にかけられた聴診器。
    寝ぐせのついた黒髪の美形の若先生。

    患者の中には、黎翔を指定してくる患者もいる。

    夕鈴は、研修医時代の首元までのノーカラーのパリッとしてた白衣姿の黎翔を思い出していた。

    『もう、先生なんですからね。身だしなみは、キチンとしてください。』

    『無駄な色気は、いりません。』

    『へぇ~夕鈴。僕の色気感じてるんだ』

    黎翔は夕鈴に、ニヤリと妖艶に微笑んだ。


    ―完―

    【短編】『薔薇の雫―そうびのしずく―』プロローグ

    藍宵(あいよい)の朧月夜(おぼろづきよ)に
    人知れず咲く
    薔薇がある
    後宮のとある場所

    池に面した
    薔薇の庭
    ―そうびのにわ―

    月に照らされた
    秋咲きの薔薇

    月の雫に濡れ
    金色のほのかな光に震える
    その庭の
    いずれの薔薇かを
    選び取り
    とある晩の
    月の池に浮かべれば

    生涯の恋人が
    池の水鏡に現れるという

    君が選ぶ
    その一輪の花に
    秘めたる大いなる月の魔法

    天の定めた
    ただ一人を
    見る為に

    今も昔も
    変わらない

    人知れず
    訪れる者が
    絶えない

    太古の息吹を感じる
    そんな場所が
    後宮の
    忘れ去られた場所に
    あるという

    古い魔法は
    月の雫を湛えた薔薇なのか・・
    それとも月の池なのか・・・・


    -完-

    ☆【短編】『罠』※現代パラレル


    壁際に追い詰められて、夕鈴は逃げ場が無い

    (珀先生の意地悪っ…)

    夕鈴の顔が真っ赤だった。
    涙で、視界が滲む。

    今朝のキスの続きを迫られて…

    (そんな事、仕事中です!!できませんっ)

    『夕鈴、顔が赤いよ』
    『熱でもあるのかな?僕、心配だよ。』
    『診察してあげる』

    そう言って、迫られたのは、ついさっき。10分ほど前の話。

    ますます、夕鈴の体温は上がるばかり…。

    聴診器を持った、白衣姿の子犬先生が、愛しのピンクの兎ナースを追いつめていく。

    その顔は妖艶で、子犬の顔で狼の雰囲気。

    真っ赤な顔で、診察室を逃げ回る夕鈴。

    『風邪じゃありません。診察は、結構です』

    叫ぶように逃げ回る。

    (うーん…可愛いなぁ)
    元気で可愛い兎の良い反応に、ますます黎翔は、追い詰めたくなる。

    『珀先生お仕事してください』

    『午後の診察まだ終わってません』

    『患者さん待ってます。お仕事ぉ~』

    看護士夕鈴の受難は、続く。

    待合室では、患者たちが、すべて筒抜けのやり取りに、
    苦笑いを浮かべていたそうな
    続きを読む

    【詩文】『薔薇色の月ーローズムーンー』

    今夜は
    優しい光が降り注ぐ
    月の夜

    星々は、雲間に隠れ
    柔らかな月光が降り注ぐ

    雲母のような
    雲の煌めき

    月を見上げて
    私は、ため息を一つ

    今夜は陛下の姿がない
    地方の視察へと
    王宮を離れてもう幾日

    私の傍らは、とても寒い

    夕方の黄昏時
    この月は、
    薔薇色の月
    ーローズムーンー

    優しく私を見守る
    陛下の紅い瞳の色だった。

    優しい紅は、私の心を慰める
    今もまた優しい光が私を包む
    まるで、陛下が側にいるかのよう

    寂しさを埋める
    月の優しい魔法

    貴方もこの月を見上げているのでしょうか? ・・・・・黎翔様。

    【詩文】『月に焦がれる』





    今宵は
    月のない闇夜

    こんな日は
    貴方が恋しい

    切ない想いが
    万里の道となり
    貴方へと続く

    道に咲くのは
    ひなげしの花
    風にそよぐ
    紅い花びら

    焦がれる想いに
    花々は散り
    後には
    踏み散らされた
    道があるのみ

    惨めな道程を
    トボトボと歩く
    パレードの後の
    虚しさのよう

    月が見えない
    貴方という月が

    暗い闇夜で
    迷子になった

    道が見えない
    進めない

    手探りで探す
    貴方という月

    月はどこにあるの?
    私は貴方のもとへ帰れない。

    2012.09.25.   さくらぱん

    内科医・黎翔先生&看護師・夕鈴

    「珀せんせ…」
    「夕鈴、もう診察時間は過ぎた。―――黎翔と呼べ」
    「や…ぁ…」
    「そうか。―――じゃあ君に特別診察をしないとな」
    「え…!?」
    「専門ではないが、婦人科も知識があるから」
    「な…なに言って…!?」
    「そんなに逃げなくてもいいだろう?―――患者さん」
    「せ…「じゃあ特別診察に移ろうか」


    瀬津音さん作

    【短編】『薔薇色の夢』※がっつり大人味

    色・艶のある作品です。
    お好みで無い方は、開封せずとも『薔薇の園』楽しめます。
    続きを読む

    【詩文】『月夜野の調べ』





    秋の鈴虫達が
    かそけき
    妙なる調べを
    我が耳に届ける

    人知れず囁かれる
    虫たちの情熱の
    愛の調べを
    私はここで愛でる。

    我が腕(かいな)には
    私の心の泉の乙女。
    私と共に、妙なる調べに耳を傾ける。

    小首を傾げて聞き入る
    その仕草も愛らしい。

    二人、息を潜めて
    涼やかな妙なる音色に
    聞き惚れる。

    我が心を打つのは、
    月夜野に輪唱する秋の調べと
    君の心音。

    静かな夜の
    夜想曲(nocturne)は

    月の輝く野原に
    静かに儚く
    消え失せた。


    2012.09.24.さくらぱん 続きを読む

    もしも・・・夕鈴が心像エコーの検査を受ける時、担当医が黎翔先生だったら・・・

    ナースの呼び出しの声がする。
    《・・・汀 夕鈴さん、診察室5番にお入りください。》
    「は・・・はい。」
    少し、緊張した夕鈴の声。
    (心エコーって・・・どんなことするの?)
    まったく初めての検査に、緊張が隠せない。
    《こちらにお入りください。》
    「はい。」
    《失礼ですが、確認のため名前と生年月日お願いいたします。》
    《確認いたしました。間違いないですね。》
    《本日の汀 夕鈴さんの予約は、心エコーとなっています。》

    《こちらにて、上半身を脱いでバスタオルをかけて、診察台の上でお待ちください。準備が出来たら、お声がけ下さい。先生が参ります。》

    『汀 夕鈴さん、入ってもいいかな。』
    「は・・・はい。どうぞ・・・」
    (えっ先生って、・・・・男性なの???)
    『失礼します。』
    (ん?)
    (どこかで聞いた声?)
    (・・・////黎翔さん!!!!)
    「きゃ『しーーーーー』」
    上半身裸で、バスタオル一枚姿に、真っ赤になった夕鈴は、涙目で悲鳴を上げる。
    黎翔先生は、あわてて悲鳴を上げそうな夕鈴の口を、指の長い大きな手で塞いだ゛。

    カーテン越しに、他の患者がいる見えないだけの密室とは、いえない場所。
    他の診察をしている患者の会話は丸聞こえだった・・・・

    大きな手に悲鳴を止められて、全身を朱に染めた夕鈴が恋人・黎翔の手を外そうともがく。
    ・・・だけど、優しく塞がれた手は、何故か外れない。
    外れないことに、ますますパニックになる夕鈴。
    (なんでここに、黎翔さんいるの????)
    (内科医師って、聞いたけど、こんなこともするの??)
    パニックになる夕鈴は、心もとない姿で、黎翔を涙目で睨むことしかできない。
    聞きたいことは、沢山あるのに・・・塞がれた口では、くぐもった音しかでない。
    「・・・・・うぅ・・・・む・・うう・・・」

    その様子を予想していたのか夕鈴とは、対照的に冷静な黎翔。
    (かわいい・・・夕鈴。ここまで、予想どうりだと意地悪したくなるな。)

    夕鈴の耳元で、ワザと熱い息と低い艶のある声で囁く。
    夕鈴が、ますます恥ずかしくなるように・・・・
    『ダメだよ。夕鈴、こんなとこで、叫んじゃ・・・』
    『人が来ちゃうよ。』
    『密室じゃないし、今は二人っきりじゃない。』
    『・・・・ほら、君も聞こえているだろう。』
    『カーテン越しでしかないから、丸聞こえだよ。』
    『叫ばれたら僕も君も困ることになるよ。』

    『夕鈴、叫ばないって約束してくれたら、この手を外してあげる。』
    『今日は、僕は君を診察する医師だし、君は患者だ。』
    『何もしないよ』
    『きちんと、まじめに仕事をするだけだよ。』
    『大人しくしてくれるね。』

     至近距離での囁きに、誤解していたことによる恥ずかしさ。
    どうやら、本気でまじめに仕事するみたい。そして夕鈴の担当医師らしい。

     ますます真っ赤な顔で、こくこくと肯定の返事を辛うじてした。

    ようやく、外された口は、酸素を求めて荒く呼吸する

    「・・・・なんで、黎翔さんなの? 内科医ってこんなこともするんですか?」

    ようやく質問ができると、荒い息のまま聞いた疑問は、
    実に単純なあっけらかんとした、黎翔の答えによって解決する。

    『今日、たまたまエコー技師風邪で高熱出してね。休んじゃったんだよ。』
    『器械を扱えて、検査できる僕がピンチヒッターでね。』
    「・・・・そうなんですか。びっくりしました。」
    『僕も、びっくりしちゃった。』
    『朝の予約リストに君の名前を見つけた時は・・・』
    『夕鈴、何も言ってくれなかったし・・・淋しかったよ。』
    『・・・・・まさか、心エコーなんて・・・』
    「ごめんなさい。」
    「黎翔は、お医者さんだから、真っ先に相談すればよかったですね。」
    「最近、胸が苦しくて・・・(黎翔さんに会えない時ばかりですけど・・)」

    『えっ・・夕鈴、いつから?』
    『しっかりと僕が検査するよ。』
    「えっ・・・でも。・・・・//////。」
    『診察させてよ・・・夕鈴。』
    至近距離での、黎翔の心配。
    恋人としての顔を覗かせた、医師としての顔に、不安げな翳りが見える。
    本気で、心配している恋人のためにも、ここは恥ずかしくても彼の言うことを聞くしかない。
    未だ、恋人の顔をした、黎翔に見せたことのない裸の胸。
    バスタオルの端を握り締めながら、医師としての恋人の顔を見つめる。

    そこにある瞳は、真摯なもの。
    純粋に心配する恋人の瞳と、
    仕事を全うしようとしている熱い情熱を持った医師としての瞳。
    混在し、翳りのある瞳。

    (…逆らえない。)
    夕鈴は、肩の力を抜き瞳を閉じた。

    その様子を見ていた黎翔は、夕鈴に問いかける。
    『…夕鈴、バスタオル外すね。』

    素直に、コクリと頷いた夕鈴。
    そのまま、黎翔はバスタオを外す。
    黎翔の手により、夕鈴の上半身は暴かれた。
    黎翔によって、外されたバスタオル。
    恋人の手により、暴かれた身体。
    診察台に、上半身丸裸という恥ずかしい姿を恋人に晒す。

    細身の引き締まった身体に、
    重力に反するぷるりとした柔らかそうな白い双丘。
    その頂きは、淡い綺麗なピンク色で存在を主張する。

    ほの暗いカーテンの薄明かりの下、
    エコー機器の青白いディスプレイだけの光りの中で、
    夕鈴の白い身体は、自ら発光しているかのようだった。

    外したバスタオルを置くことも忘れ、しばし黎翔は我を忘れた。

    こくり・・と黎翔の咽喉がなる。
    初めて見た彼女の裸体に我を忘れて魅入っていた。


    その時、
    「黎翔さん、検査早くしてくださいっ~」
    しっかりと目を瞑(つむ)り、全身を朱に染めた夕鈴からか細い声。
    どうやら、恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない様子。
    何も検査しない黎翔に痺れをきらしたらしい。

    夕鈴の声を聞いたとたんに、我に返る。
    診察で何度も裸の胸など、見飽きてるほど見ているのに、
    相手が、夕鈴だと何故こんなにも胸が騒ぐのだろう・・・。

    (多少、強引な手を使ったが、自分が診察できてよかった。)と、
    つくづく黎翔は、そう思った。

    こんな夕鈴の姿を、例え検査でも他人の目になど触れさせたくはなかった。

    『じゃ、夕鈴心電図計測用のパッチ貼るよ。』

    『すこし、ヒンヤリするかも・・・』

    胸に、三箇所の電極シードを貼り機器を取り付ける。
    極力身体に、触らないように気をつけてても、つい・・・・気になってしまう。
    どぎまぎが、止まらない。

    心エコーのモニターの心電図は、規則正しい波形をはじき出していた。

    勤めて、冷静に心電図の波形を診る。波形に乱れはない。機器も正常を示している。

    波形を見ながら、黎翔は、凄く真面目に夕鈴に話す。

    『今から、心電図の機器が正常かどうか判断するから。』

    『夕鈴は、全部『いいえ』って応えてね。』

    『いくよ』

    『動物は、好き?』
    「いいえ」

    『花は好き?』
    「いいえ」

    『掃除は好き?』
    「いいえ」

    『あー波形が乱れるね。全部すきなんだね。』

    『じゃ…僕のこと好き?』
    「…っ…いいえ」

    『夕鈴、波形凄いことになってるよ。』

    『そっかぁ』
    『そんなに、僕のこと好きなんだね。』

    『大丈夫!!!器機は、正常だよ。』

    …こんな確かめ方って、ホントなの…

    かなり、ご機嫌な小犬先生に、涙目で抗議の視線を送る夕鈴だった。

    『心電図も正常だし、そろそろエコーの検査をしようか。夕鈴。』

    『今から、検査用のゼリー塗るから、我慢してね。』

    「はい。」

    『検査し易いように、頭の後ろで軽く手を組んでくれるとたすかるかな。』

    「はい。」

    『じゃ…始めるよ。』

    生暖かいニュルリとしたゼリーの初めての感触。
    黎翔医師のエコーの器機で塗り伸ばしながら、滑(すべ)らかに夕鈴の身体を滑(すべ)り、
    心臓の位置を探り当てる。

    モニターを見つめる視線は、医師そのもの。

    先ほどまでの冗談みたいな雰囲気は、欠片も見当たらない。

    普段と違う、恋人、黎翔の医師としての顔。

    夕鈴は、自分が今どんな状態なのかも忘れて、医師としてのかっこいい黎翔の顔に見惚れるのだった。

    『夕鈴、コレ見て!』『見える?』

    モニターを夕鈴の方に向けながらも、エコーの位置は、夕鈴の身体から動かない。

    モノクロの画像の中、激しく脈動する心臓らしきもの。

    『動きもいいし…診た感じは、大丈夫そうだね。』

    「激しく動いてる…なんだか赤ちゃんみたい。」

    その夕鈴の言葉に、一瞬言葉を呑む黎翔。

    『夕鈴、子供ほしいの?』

    ポツリと小さくつぶやいた黎翔の言葉に、夕鈴は、びっくりした。

    何度も何度も生暖かいゼリーが塗られ、白い双丘の始まりの輪郭を滑らかな白いエコーの器機の先端部が塗り広げ、心臓を探り行く…

    初めのゼリーは、すでに冷めて、身体に冷たく纏わりつく。

    胸の谷間を中心に、モニターの青白い光に浮かび上がる、ぬめぬめと、妖しい光を放つ夕鈴の裸身。

    黎翔医師の長い指先が、検査の邪魔をする双丘に伸びる…

    夕鈴は、少しドキリとしたが、いやらしさを感じなかったので、すぐに慣れてしまった。

    少し冷たさを感じる指先が、夕鈴の肌をナゾる。

    表情を殺した冷たい視線。
    モニターとエコーの位置を行き来する。

    今、彼の目には、自分はどんな風に映っているのだろうか

    夕鈴の頭の中は、黎翔でいっぱいだった。

    『夕鈴、背中側からも、検査するから僕に背を向けて壁のほうを向いてくれないか?』

    「はい・・・・こうですか?」

    『ちょっと行きすぎ・・・こうだよ。』

    黎翔の大きな手が夕鈴の肩とウエストを掴み角度を調整する

    横になったことで、重力に従い変形する乳房。

    黎翔の大きな手がその乳房を掠めた。

    「どひゃわわわ・・・・・!!!」

    突然の夕鈴の奇声。

    黎翔は、慣れているので動じないが、カーテンの外が一気にざわついた。
    外の気配に、今の奇声で一気に敏感になった夕鈴。

    それからが、二人の受難の始まりだった。

    新たに背中に塗られたぜりーも拍車をかける。

    生暖かいぜりーの感触。

    緩やかに肌をなぞるエコーの機器。

    敏感になった感覚に、この刺激は複雑に作用する。

    「・・・・・・・。」

    ぷるぷるぷる・・・・はじめは、小刻みな震えから・・・

    「・・・・ぷ・・・・ぶほっ・・・」

    「もうだめ!!!きゃははははははは・・・・・」

    突然の大爆笑。

    耐え忍んでいたくすぐったさにもうダメだと判断。

    耐え切れず、夕鈴は、大爆笑し始めてしまった。

    笑い出したら止まらない。

    笑袋のように、げらげらと大声で笑い出す。

    その笑いは、検査終了まで続いた。

    その後カーテンの外で二人は、こってりと李順指導医師に

    怒られましたとさ。  ちゃんちゃん。

    花の四阿 5 -真心-


    私の手のひらから

    零れ落ちる種は
    私の真心

    貴方の世界に
    種を蒔く

    時には、寄り添い
    時には、遠くから
    耳を澄ませ
    声を聞き
    励ましたい

    時には、力強く
    時には、優しく
    手を取り 
    手を引き
    導きたい

    貴方の心に
    私は種を蒔く

    いつかは
    貴方の世界が
    私の花で
    いっぱいになるように

    私は
    今日も
    貴方の心に
    種を蒔く

    いつか
    芽ぶく
    夢をゆめ見る




    2014.10.20.改定
    2012.09.24.初稿


    花の四阿 6 銀杏―いちょう―へ 続きを読む

    【詩文】『朝露の薔薇―あさつゆのばら―』

    いまだ
    日が昇らぬ
    朝霧の
    後宮の庭先

    乳白色の
    白い世界に
    色とりどりの
    薔薇が咲く

    初秋の
    冷たい空気に
    花弁は
    濡れそぼり

    ようやく
    開き初めた
    蕾の薔薇までもが
    朝露の白玉に
    濡れて ぶるりと
    震えている

    私は
    柔らかく白く輝く
    朝露の世界で
    たった一輪を探す

    ようやく
    朝露の白玉のついた
    薄くれないの一輪を
    気に入り
    花弁を傷つけないように
    丁寧に手折る


    薔薇の香りを
    確かめる
    濃く香る
    優しい気高い香り
    高貴なかの人を
    思い浮かべる

    私がお仕えする
    大事なかの人
    大事に抱える
    この一輪を
    かの人のもとへ

    かの人の
    頭上を飾る為に
    それが私の朝の仕事
    大事な早朝の儀式

    あたり一面の
    秋薔薇の香は
    濃厚に私の裳裾に
    染み付いた

    【詩文】『比翼の鳥ーひよくのとりー』





    私の翼は 貴方の翼
    貴方の翼は 私の翼
    二羽でひとつの翼となる 私たちは比翼の鳥

    どちらか欠けては、飛べない鳥
    これが運命(さだめ)の私達
    抱(いだ)きあい 天を目指して翔け続ける

    貴方の翼に 私は合わせる
    私の翼に 貴方は合わせる

    羽ばたく翼は、軌跡を描き
    はるか高みを二人で見据える

    地上はもうかえりみない
    雲の波間に消えうせた

    私は、貴方がいるから飛べる
    貴方は、私を必要としてる

    この強い絆を、運命(さだめ)とは、簡単には呼ぶことが出来ない

    確かなものがただ一つ。

    「私の翼が 貴方でよかった」
    『私の翼が 貴女でよかった』

    お互いに 運命(さだめ)の片翼に恋焦がれる

    抱(いだ)きあう二羽の気持ちは、頂点に

    『君だけを愛してる・・・・・・・共にいこう。高みへと』

    2012.09.23.さくらぱん
    続きを読む

    【詩文】『一滴の為に-薔薇の香油ー』

    濃い朝もやが
    辺りを包む

    濃厚な甘い香りが
    立ちのぼる

    この白い世界に
    美しく咲く
    香油の薔薇を

    一輪一輪
    丁寧に摘み行く

    気高く高貴に咲き誇る花々
    茨の道を 一人ずつ

    薔薇を摘み取り
    花篭へ 

    零れ落ちそうな花篭の中

    一列に並ぶ 
    摘み取る人々は

    遠くへ行くほど白く霞む
    青い人影

    黙々と作業する
    たった一滴の
    香油の為に。

    朝露のついた花を摘む
    今朝 花開いたものばかり

    手元の薔薇は
    白露が宿り

    朝の柔らかな光に
    甘い香気を放つ

    紅い薔薇の海の中
    溺れそうな香りに包まれて

    まだ見ぬ香油を使う かの人の為に
    私達は摘もう 
    薔薇を もっと・・・もっと・・・

    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけーⅠ』

    鳥のさえずりで目が覚めた。
    肌寒さに、思わす布団に潜り込む

    静かな朝のまどろみのひと時
    寝台の帳越しに
    朝日が差し込む

    眩しい光に目が慣れる
    寝室の中央に活けられた真紅の薔薇
    大きな花瓶に大輪の薔薇が咲誇る

    朝の光に映える
    その気高い花は
    今は、居ない陛下を思い起こさせた。

    するりと寝台から降りて
    薔薇に近づく
    甘い香気が夕鈴を優しく包む

    (まるで、陛下のようね・・・)

    気高さは、陛下を思い出す
    その真紅の色は 瞳の色
    甘い香りは 貴方の言葉
    今は会えない人だけに
    薔薇に面影を重ねる

    陛下の化身のような薔薇に
    朝の光に彩られた
    夕鈴の砂金のような優しい微笑み

    にっこりと薔薇に微笑む。

    「おはようございます。陛下。」

    真紅の薔薇に、輝く金茶の髪が揺れていた


    ・・・・続く

    【詩文】『秋明菊-しゅうめいぎく-』




    秋の残照に輝く
    後宮の初秋の庭

    庭の片隅に咲く
    秋明菊 -しゅうめいぎく-

    細い花首が風にゆれ
    アンバランスな一重の花が

    秋風に揺れ
    おいで おいで と
    私を手招く

    初秋の庭の片隅で
    細くて長いその茎が
    風にゆれ しなりながら

    可憐に
    私に微笑む

    白い花弁は、より純白に
    花しべの黄は、より鮮やかに

    暮れなずむ四苛の片隅で
    甘い時を過ごす為
    あの人を待つ私と共に

    秋明菊も、待っている
    その色が薄紅色に染まる
    その時を・・・・。


    2012年
    09月21日
    22:59 続きを読む

    【長編】『薔薇の口付けーそうびのくちづけーⅡ』

    朝の光の中
    鏡の私が問いかける
    未だ見慣れぬ【狼陛下の花嫁】 

    【お妃様】と呼ぶ声にも
    だいぶ慣れてしまったけど

    下町の私はここには居ない
    鏡に映るかしずかれた貴婦人

    亜麻色の髪を侍女に梳(くしけず)られ
    唇には、鮮やかな紅を塗り
    きらびやかな錦の衣装
    豪華な宝飾品を身につけた
    白い肌とはしばみ色の瞳の美しいひと。

    (貴方は、だれなの。)

    見知らぬ人に、今日も私は問いかける。

    問いかけに答える美しい人。

    (あなたが求める、ホントの自分とはどちらなの?)

    問い返された言葉に、答えは無い。

    どちらも、私。 【汀 夕鈴】なのだから・・・

    鏡台に置かれた小さな花瓶に
    朝露のついた薔薇が一輪

    乳白色の花弁の中央が薄紅色がほんのりと色づいている
    美しい薔薇の花

    「綺麗な薔薇・・・」

    その夕鈴の小さな呟きを、髪を梳く侍女が聞いていた。

    ーお気に召しましたか?
    :今朝、摘み取ったばかりの薔薇にございます。
    今日のお召し物にあわせてみました。ー

    髪を梳(す)く手を休めて、
    嬉しそうに笑う侍女はとても誇らしげだった。

    ー香りもとても良い花ですわ。
    まるで、お妃様のようですね。-

    上気した頬でそう言うと、また髪を梳(くしけず)るのだった。

    【一纏め長編】パラレルメルヘン『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー』





    ちょっとびっくりな未来夫婦設定。それでもよろしければ、どぞ。


    ☆【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー Ⅰ 』
     ※注意!!!パラレル・捏造あり。

    昔、月には兎が二羽いたのだといういう。

    瞳は、金色
    金銀(きんぎん)の燐分(りんぷん)のような光を纏(まと)う
    純白の白い毛皮を持つ 優しい満月うさぎ

    仲良しうさぎは、いつも一緒
    平和な輝く金色の月の野原で
    夫婦仲良く二羽暮らしてた。

    或る晩、事件は突然起きた
    一羽が地上に落っこちた。
    いつも一緒だった満月うさぎ

    地上に落ちたその一羽 
    落ちた月のうさぎは涙を溢す

    月の連れ合いに会いたくて
    毎日・・毎日・・月を見上げて
    泣き濡れた

    いつの間にやら、地上の満月うさぎ
    真っ赤な瞳の兎になった。
    毛皮の金銀の纏(まと)う光は消えうせて
    ただの白い毛皮になった。
    もう地上の兎と見分けがつかない。

    地上に落ちた満月うさぎ
    今も輝く望月の夜に、月を見上げ泣き濡れる
    望月兎になってしまった。

    もう戻りたくても戻れない・・・。
    月に輝く金色の野原へ
    大好きな伴侶の君のもとへ
    見上げる綺麗な望月に
    半身の満月うさぎの愛しい姿。

    望月兎の潤む瞳は、いつから真っ赤になったのやら。

    地面に落ちた望月兎の涙は、
    昔と同じ金色だったという。





    月のうさぎも泣き濡れる
    空から、毎夜己の伴侶を捜し地上を覗き見る

    満月うさぎの金色の涙は、
    月光となって地上に降る

    望月兎は、それを知り 更に泣き濡れ
    赤から紅へと瞳の色をまた変えた



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    『兎の目が紅い兎は、もしかして望月兎かもしれないよ。』

    はるか昔、幼い自分に御伽噺(おとぎばなし)を話してくれた。
    おぼろげな夢。

    漆黒の髪、紅い瞳。
    年上の優しい男の子。
    名前も知らないはるか彼方の昔の記憶

    『僕も半身を捜しているから瞳が紅くなったのかな。』

    おどけて、満月のすすき野原で、月を背にして私に笑った。
    甘酸っぱい・・・おぼろげな或る月夜の記憶。

    こんな綺麗な月夜には、あの子のことを思い出す。

    今夜は望月、満月の夜。
    漆黒の夜空に、金銀の光りを纏う綺麗な月が輝いていた。



    2012.09.30.さくらぱん







    ☆【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー Ⅱ 』
     ※注意!!!パラレル・捏造あり。



    夕鈴は、後宮の自室に面した庭にて、綺麗な望月を眺めていた。

    輝く満月は、漆黒の空に丸い金粉のような光を濃く纏(まと)い
    綺麗な姿でぽっかり浮かぶ。

    (月には、満月うさぎが、いるのだっけ・・・・)

    昔、一度だけ会った或る男の子に聞いた御伽噺(おとぎばなし)が蘇る・・・・

    (あの子は、もしかして・・・)

    夢の記憶を手繰り寄せたら、不思議な縁(えにし)にたどり着く・・・

    つらつらとそんなことを考えながら夕鈴は月を眺める

    後宮の庭に植えられた。

    白い萩と紅い萩が仲良く並んで、秋風に優しく揺れていた。



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけられた外套と背中から抱きしめられた夫のぬくもり。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    背中に感じるぬくもりは、大好きな貴方の体温。
    最愛の夫に抱きしめられた腕の中で、月を見上げて夕鈴は幸せを感じる。

    「心配かけてごめんなさい。」

    『夕鈴、冷たい夜風は君とお腹の子に悪い。』

    『庭でのお月見は終わらせて、早く部屋へ戻ろう…』
    『部屋からでも、綺麗に見えるよ』

    「分かりました。  ・・・・でも、もう少しだけいいですか?」
    「ここで眺めていたいのです。」

    『・・・・。』
    『・・・・・分かった。少しだけだよ、夕鈴。』

    「ありがとうございます。」

    耳朶に触れるだけの優しい口付けをしながら、黎翔は、夕鈴に囁いた。

    そのまま、目立ち始めた夕鈴のお腹をいたわるように黎翔は優しく背中を暖め抱きしめる。

    『夕鈴、身体は大丈夫か?』
    『どこか、辛くはないか?』

    「黎翔様、大丈夫ですよ。」
    「病気でないのですから、多少運動したほうが、元気なお子が産まれるようですよ。」
    「毎日、心配しすぎです。」

    『でも、私は心配なんだ。』
    『君の身体も、お腹の子も。』

    「・・・・黎翔様。」

    優しい夫からのいたわりの優しい囁きと
    愛しさに溢れた触れるだけの口付け

    (黎翔様。・・・こんなにも私は、貴方に愛されている。)

    降る月光のような黎翔の愛は、夕鈴の内から身体を暖める
    そのまま、二人の愛の結晶が育つ
    夕鈴のお腹を護るようにだきしめている夫の手に自らの手を重ねる。

    「黎翔様・・・・夕鈴は、幸せです。」
    「こんなにも、貴方に愛されて・・・・」

    『私も、幸せなんだ、夕鈴。』
    『君もお腹の子も愛しているよ。』
    『愛する人が側にいて、家族が増える。』
    『これ以上、幸せなことがあるのだろうか?』

    「黎翔様・・・・・私も、貴方を愛しています。」

    『ありがとう。夕鈴。』

    黎翔は、夕鈴の肩越しに目立ち始めた妻のお腹をさする。

    『早く会いたいな。』
    『どっちかな。女の子がいいな。夕鈴みたいな女の子。』

    「わたしは、どっちでも良いです。」
    「元気なお子が産まれれば・・・・」

    『そうだね。どっちでもかわいいね。』
    『君と私の子なのだから・・・』

    どちらともなく
    肩越しに交わされた口付けは、優しい愛の口付けだった。
    溢れる愛と幸せが二人をつつむ。

    『元気な子を産んでくれ、夕鈴。』
    「・・・はい。黎翔様。」

    交わされる約束と願い。

    金色の月が二人を祝福する。・・・・・月光が降る・・・・・月光が降る


                    ー完ー


    ☆【短編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー おまけ 』

    『夕鈴、もうそろそろいいだろう?』
    『・・・・部屋に戻ろう。』

    「はい。黎翔様。」

    肩を抱かれて、部屋へと歩き出す。
    ふと、名残惜しく見上げた空に
    綺麗な満月の姿・・・・そこに見つけた満月うさぎの黒い影。

    「・・・あら?」

    夕鈴は、立ち止まりまじまじと望月を見上げた。

    『夕鈴、どうしたの?』

    「月が・・・・」

    『ん?・・・・ああ、綺麗な月だね。月がどうしたの?』

    「満月うさぎが、望月に二羽。」

    『夕鈴、満月うさぎのお話知ってるの?』

    「はい。」

    『その後の続きの話は?』

    「いいえ。知りません。続きあるんですか?」

    『あまりに、嘆くうさぎを可愛そうに思った神様が、
    望月兎を救いあげて月に帰してあげたんだって。
    今は幸せに、二羽とも月に住んでいるって話。

    時々、満月うさぎの姿が三羽みえるって話だよ。
    もしかしたら
    満月うさぎも僕たちみたいに、家族ができたのかもしれないね。』

    そういって、満月を背に笑う夫は、いつか見た面影と重なった。



                      ―完―




    【短編】『満月うさぎ・望月兎・おまけ2・ー君の香りー』


    いつもの時間に夕鈴の自室に訪れた黎翔は、
    自室に愛しい妻の姿が、見えないことに気付いた。


    身重の身体が、気になる。
    いったいどこへ、行ったのか?


    開け放たれた、庭へと続く窓辺の扉が少しだけ開いていた。
    隙間から、差し込む 明るい月の光。

    そこから、夜の芳香が部屋中に香る

    夜に艶めく純白の百合・月下香の
    濃厚で複雑なエキゾチックな甘い香り

    ジャスミンのように濃厚で完熟した葡萄のような強い芳香

    月下香の芳香は、夜になると強さを増す
    夜に愛されし、神秘の香り・・・

    いつしか、香りを辿るように、夕鈴の姿を探していた。
    庭へと続く扉を黎翔は、解き放つ・・・

    開放したとたんに、更に濃く艶めく濃厚な夜の香り
    私の心をかき乱す甘い夜の芳香

    たなびく魅惑の香りの軌跡を辿る
    たぶん夕鈴が歩いたであろう道を

    何故か月下香の咲く場所に、夕鈴は居ると確信していた。
    黎翔の足は、迷いなく進む。

    鼻(ね)で辿る  不思議な引力に引き寄せられる

    月下香の咲き乱れる 白亜の四苛の近くで
    月に照らされた愛しい妻の姿を黎翔は、見つけた。

    金色の砂が降るような月の光を浴びて輝く
    愛しい妻は、まるで女神のように佇む

    月を見上げる、夢見る瞳は潤み。
    背に垂らされた金茶の髪がうねりながら流れ落ちる。
    月光の光りを弾き、自ら光りを放つかのよう。

    神聖な母性の目覚めが、神秘的で優しい雰囲気をかもし出していた。
    甘くときめかす濃厚な月下香の芳香の中で、佇む。
    夜に艶めく月下美人のような楚々とした神秘的なその姿。

    穢れ無き純白の美しさと神秘性、そして透明感のある甘い艶めき

    彼女はまだ僕に気付かない。
    何を思ってそんなに熱心に月を見つめているのか?


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけた外套ごと、君を抱きしめた。
    とたんに、感じる抱きしめた妻のぬくもり。
    熱を感じて
    黎翔の内側から、愛しいという想いが溢れる。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    君の首筋から君の本来の香り、夜来香(イエライシャ)の香
    やわらかで透明感のある上品な甘さ
    心を静める不思議な香に僕の心が安らぐ。

    ・・・・・愛しさが溢れ出す。
    ・・・・・君が愛しくてたまらない。
    抱き寄せて、口付ける。
    君の香りが大好きで、頬に口付け、耳朶に甘い言葉を囁く

    君の夜来香(イエライシャ)の香りと濃厚な月下香の強い芳香に
    クラクラと
    軽い酩酊感。
    美しき我が妻・・・・月下美人に酔いしれる

    三つの花の共通点。
    どれも月に愛された夜に艶めく愛の花 

    芳醇な香気を放つ君に酔いしれる
    夢のような幸せに酔う。

    きっと僕は君が夜に隠れても、今日のように見つけ出せる
    君の艶めく香りは、夜の帳には、隠し切れないのだから・・・。

    2012.10.01さくらぱん


                      ―完―

              

    ー『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー』完ー


    ※長文お読みいただきまして、ありがとうございます。
                                  2012.10.02. さくらぱん
    続きを読む

    【詩文】『秋咲きの粉粧楼』 ※大人風味

    こちらは、少し色艶のある作品です。

    大人表現の苦手な方は、避けてください。

    もちろん、開封せずとも『薔薇の園』は楽しめます。 続きを読む