花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

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    ☆【長編】『安眠の方法Ⅳ』

    真夜中に突然、陛下に強い力で握り締められ痛さで目が覚めた。

    ずるりと陛下の手が汗ばんでいた

    高熱に浮かされたかのようなうめき声

    ただならぬ気配に、飛び起きた

    隣に眠る陛下は、眉間に皺を寄せて、苦しげに悪夢にうなされていた。

    陛下の内政粛然は、血で血を洗う凄惨なものだったという…




    本当だったんだ       

    ・・・・・未だに、悪夢をみるとは。




    どれほどの犠牲を陛下は、支払ってきたのだろう

    痙攣のような震えと苦悶の表情

    確かに これでは、眠れないだろう・・・・

    それが、毎晩も 続くとなれば。




     ーーーーっ

    夕鈴は、胸が痛い。

    こんな陛下は、見てられない。

      


    陛下が、特効薬といってた私の手。

    この手で、陛下を癒せるのならば・・・・

    考えるよりに先に、行動に移していた。




    陛下に寄り添い、宥めるように優しく背を摩っていた。

    昔、弟・青慎にそうしていたように・・・

    ぽん・・・   ぽん・・・   ぽん・・・   ・・・


    リズミカルに、優しく・・・何度も・・・何度も。




    どれほど、そうしていたことだろう・・・・・。

    ・・・ゆうりん・・・

    寝言??

    寝ているはずの陛下から、名前を呼ばれびっくりした。

    いつの間にか、陛下の寝顔は、安らかなものへと変わり

    すやすやとした寝息に変わっていた。

    もう、悪夢の時間は終わったらしい。

    陛下の安らかな様子に、安心した夕鈴は、

    再び 眠りの世界へと 陛下と共に、旅立っていった。




    ・・・続く 続きを読む
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    ☆【長編】『安眠の方法Ⅴ』

    ・・・・・きもちいい・・・

    徐々に覚醒する意識の中で、

    自分の髪を撫でてくれる気持ちよさと

    暖かなぬくもりに包まれている感覚




    ずっとそうしていたいような

    春の陽だまりにいるかのような

    あたたかさ




    ・・・とくん・・・とくん・・・とくん

    定期的に聞こえる力強い音

    不思議な安心感




    何故かしら・・・熟睡した気がする

    ・・・・確かな充足感


    目覚めたくないぬくもりの中で、無常にも覚醒する意識

    チチッ・・・  チッ・・・  ピチュ・・・

    鳥の囀(さえず)る声がする   ・・・ああ    朝なのね。

    もう、起きなくては・・・

    陛下が来ちゃう・・・

    ん?

    ・・・・・・・へいか?

    陛下!!!!



    …続く

    【短編】「劣情」 ※妖艶ですが、健全。偽ギリギリの実投下

    ※妖艶ですが、健全。偽ギリギリの実投下

    もう、みなさん、激しく勘違いしてほしい。にやり。
    続きを読む

    ☆【長編】『安眠の方法Ⅵ』-完-

    陛下は!?

    ぱちっ と、目が覚め、驚いた。

    何コレ 何コレ  

    なんでぇーーーーっ 

    目覚めたとたんに、夕鈴は顔から火が出るほどに恥ずかしい。

    始めに、気付いたのは、誰かの単衣の衣

    乱れた単衣から鎖骨が見える

    その誰かと唇が触れるほど私は近くに居る。

    頭の下にもその誰かの腕で・・・

    その人が、私を

    抱きしめて、髪をずっと撫でていた。

    先ほどからのぬくもりは、その誰かもの

    とくん・・・とくん・・・という心臓の音も、その誰かもの

    その誰かに、腕枕をされ、髪を撫ぜてもらい胸の中で眠っていたという事実。

    その誰か・・・・認めたくない現実と直視せねばならない。

    おそる  おそる  夕鈴が顔をあげると

    凄く嬉しそうな陛下!!!!  

    やっぱりという思いと、信じたくない気持ちが交錯して暴れだす。

    暴走する意識の中で、更に追い討ちをかける陛下の言葉。

    『おはよう。夕鈴。』
    『夕鈴のおかげで、良く眠れたよ』


    『夕鈴、僕に擦り寄ってくるんだもの』
    『僕、困っちゃったよ。』

    ・・・・・は? うそでしょ???


    『でも おかげで、僕のお嫁さん抱きしめて眠ることができた。』
    『いいにおいがするし・・・』
    『夕鈴、あったかいし、身体も柔らかくって・・・・』

    ふえぇ?


    『たっぷり、君の可愛い寝顔を見れたし・・・』
    『起きるとすぐに、君の顔が見れるなんて、朝からしあわせ。』

    ええーーーーーっっ

    記憶ないですぅ。
    何してちゃってるんですかっ  陛下ぁ!!!

    『こんなに、熟睡できるなんて・・』

    『ゆうりん 今晩もよろしくね。』

    始終 ご機嫌の子犬は、今夜のことを疑いもせず、瞳を輝かせ 兎にねだる。

    ぼふっん!!!

    耐え切れない兎が、爆発・炎上した。




    ーーその後の臨時花嫁の運命がどうなったのかは、誰も知らない。

                     ―完―
    続きを読む

    ☆【長編】『オレンジⅢ』

    「そうなんです。献上品として、オレンジをいただいたのです。」

    「いい香りですよね。」

    君を誉めたつもりなのに、伝わらなくて…。
    いかにも、彼女らしくて、苦笑してしまう。

    『…いい香りだ。(きみが…)』




    「今夜のお茶の水菓子として、召し上がっていただこうと思ってたんです。」

    「早速、召し上がりますか?」

    『せっかく、夕鈴が選んだのだろう?』

    『では、早速いただくことにしよう。』

    「分かりました。早速ご用意いたします。」

    「お待ちくださいませ。」


    噛み合わない会話のまま、夕べのひと時は、続いてゆく・・・・。


    いつものお茶を待つ時間の間、

    黎翔は、卓上のオレンジの実に気付いた。

    手にとってじっとオレンジの実を見つめ・・・・閃いた。

    隠し切れない笑みが零れる。

    その黎翔の様子は、お茶を用意していた夕鈴は、知らなかった。



    ・・・続く。 続きを読む

    ☆【長編】『オレンジⅡ』

    夜になり
    黎翔が、いつものように
    夕鈴の居室に向かうと

    部屋の前から
    柑橘系の良い香り・・・・

    『夕鈴、今 戻った。』

    「お帰りなさいませ、陛下。」

    優雅に会釈して、黎翔を暖かく迎え入れる夕鈴。

    (ああ・・・やはり、夕鈴はいいなぁ。) 

    毎晩 王ではなく黎翔として
    暖かく迎え入れてくれる花嫁に、
    その変わらない態度に、
    何度、黎翔は心慰められたことだろう。

    愛しさを抑えきれない黎翔は、
    自分の胸に 夕鈴を引き寄せて
    薔薇色の両頬に 素早く口付けた

    とたんに気付く
    彼女の香り

    黎翔の大好きな花の香りは、かすみ
    代わりに 爽やかで甘ずっぱい柑橘の香り

    夕鈴の背中越しに
    卓に置かれた果物
    オレンジの実が目に入る

    夕鈴を抱きしめながら。彼女に移るオレンジの香りを黎翔は味わう。

    甘酸っぱい・瑞々しい香り

    『・・・・いい香りだな。』

    夕鈴に耳元で、賛辞の言葉を呟いた。



    2012.09.07.    

    ・・・続く

    ☆【長編】『オレンジⅠ』

    夏が、駆け足で過ぎ去り
    秋が近づく頃に
    狼陛下の唯一の妃宛に
    沢山のオレンジの実が
    献上品として届けられた。


    籠に盛り付けられた、
    明るい橙色したオレンジの実

    爽やかな香気と瑞々しさに
    夕鈴の心は嬉しくなった。

    ふんだんに
    侍女が盛り付けた実を
    一つ手にして、香りを嗅ぐ

    『・・・・・なんていい香り』

    目を瞑ると、
    お日様の光を、燦々に浴びて
    実るオレンジが見えるようだった。

    オレンジの香気が
    夕鈴の居室を満たす

    心浮き立つ香気は、
    場を明るく華やかにし
    和ませる

    (陛下の為に・・・)

    籠盛のなかで、
    夕鈴は、一番美味しそうに見える
    オレンジの実を選んで

    陛下といつもお茶を飲んでいる
    卓上に一つ置いた。




    ・・・続く

    【詩文】『・・・触れたい』※某日記に、ご進呈

    あなたに 触れたくて 触れてみる
    髪に触れた  漆黒の癖のない柔らかな髪を梳く
    いつもあなたが私にそうするように・・・

    こんな柔らかな表情を見せる貴方を
    誰が      
    『冷酷非情な狼陛下』
    と呼んだのだろうか?

    未だに偽(いつわ)りの仮面を外せない優しいあなた
    心が傷つき 癒やせないのだろうか?

    偽りの仮面を少しでも外したくて・・・
    あなたに触れる

    私の願いをこめて・・・

    頬を撫ぜる私の手をとり 
    あなたは手のひらに 口付けた。

    『ありがとう』

    私の大好きな柔らかい微笑とともに

    あなたのありふれた『ありがとう』の言葉は、私の心に沁みる
    私の願いは叶えられたのかしら?



    8/26 白友・天沢真さんの日記に投稿。

    完【書庫】『オレンジ』

    こちらは、本誌設定・長編を収めた書庫室です。
    こちらは、珀 黎翔陛下と汀 夕鈴妃の物語。続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。





    完『オレンジ』
    【長編】『オレンジⅠ』
    【長編】『オレンジⅡ』
    【長編】『オレンジⅢ』
    完【長編】『オレンジⅣ』
    【長編】『オレンジ』番外編

    【短編】 黒龍「黄蝶の楽園」 ※蝶や羽虫が苦手の方は、避けてください。

    翡翠の泉に注ぐ清流の奥にその特別な聖地があるという。

    『この時期しか見られない、特別なものを君に見せたい。』
    黎翔が、そう言って夕鈴を後宮から連れ出した。

    まだ、蒸し暑い夏の陽射しを避けるために
    翌日の早朝、王領地へと出立する。

    いつものように、丘を越え、林を抜け、草原を黒龍で疾走する
    まだ夜露に濡れた緑の大地は、夏の花が咲き乱れ、
    空気がひんやりしていて とても気持が良かった。

    朝日が大地を照らしだすと、雫が反射して
    流れる景色は、きらきらと輝きだした。

    二人っきりの黒龍での遠乗りは、
    暑い日が連日続いたので、本当に久しぶりだった。

    『夕鈴、ごめんね。跳ばすよ・・・』

    そう言って、いつもより激しく跳ばす黎翔。
    揺れる黒龍の背で夕鈴は、
    黒龍から落ちないように
    黎翔に必死で しがみつくしかなかった。

    激しく揺れる背に驚き、夕鈴が黎翔にしがみつくたびに、
    黎翔の楽しげな笑い声がする。

    二人は、久しぶりの遠乗りを楽しんでいた。
    何より、お互いの体温を感じられて嬉しかった。

    黒龍で来れるところは、ここまで・・・そう言って、
    陛下は、泉のほとりで私を黒龍から降ろした。

    静かな翡翠の泉に 一匹の黄蝶が舞う

    凪いだ水面に ぎりぎりに舞う姿は、
    水鏡にくっきりと映って二匹に見えた。

    ここからは、徒歩(かち)だという。

    目印など、どこにも無い山道を陛下の後を追いながら進む
    ちょろちょろと足元に流れる小川を頼りに、森の奥へ・・・
    途中、大きな岩を飛び越え、滑る山道を黎翔を頼りに夕鈴は進んだ。


    どのくらい2人は、歩いたことだろう・・・・

    『着いたよ・・・』
    「ここですか?」
    整わぬ、息を抑え、見上げる夕鈴。

    うっそうと緑の茂る森のお奥。
    蔦(つた)の絡まる小山のような大岩から、ちょろちょろと小川が流れる。

    黎翔が、カーテンのような蔦をめくると・・・・

    人一人がやっと通れる岩の隙間があった。
    冷たい風が、奥から吹いている。
    ひんやりとした風は、疲れた身体に とても気持ちよかった。

    『ここから、奥に入るんだ・・・。』
    『夕鈴、ついて来て!!!』
    「はいっ!!!」
    『僕の手を離さないでね。』
    「こうですか。」
    『うん。』

    湿り気のある空気が二人を包む。
    真っ暗な穴の中を、明かりも無いのに、黎翔の足取りは迷いも無く進む。

    初めての場所、しかも穴の中で真っ暗なのに
    夕鈴は、すごく安心していた。

    黎翔と繋いだ手の温もりによって不安がなかった。
    彼女は、黎翔の後を付いて行く。

    前方に明るい光・・・出口は、すぐだった。

    眩しい外の光に思わず目を閉じる
    岩山の向こうは、輝く黄色の花の世界だった。

    緑の葉に満開に房のような黄色の花が咲き乱れる
    足元にも、明るい花の絨毯
    風がふんわりと、花房を揺らす・・・
    黄色の花に囲まれた奥にちょろちょろと清水の滝が岩肌を滑り落ちる。

    まだ・・日の光は、この場所までは、入らなかった。

    『・・・どうやら、間に合ったかな。』
    「何が、間に合ったのですか?」
    『・・ん・・・君に見せたい景色だよ。』
    『見ててごらん。』
    『もうすぐ、始まる。』


    始まりは、この場所に差し込む陽の光。
    やがて黄色から陽の光に輝く金色の花景色に生まれ変わる。
    そこに突然 強烈な突風が吹く。
    二人が来た岩山の隙間からこの場所に向かって強烈な上昇気流が・・・
    吹き散らされる金色の花々・・・
    青空にいっせいに散されて、空が金色に染まる。

    落ちてくるかと思いきや・・落ちてこない。
    そのままひらひらと飛んでいることに気づいた。

    今まで、花だと思っていたのは、陽の光に金色に輝く
    たくさんの黄蝶だった。

    今の上昇気流により、はるか高く青空を駆け上り
    風に乗ったらしい。
    抜けるような青空に、一筋の金のリボン・・・

    「なんて・・・きれい。」
    感嘆の声で金のリボンを見続ける夕鈴。

    『あれは、渡りの蝶なんだ。』
    『とても珍しくて、ここで休んで、また旅立つ』
    『渡りをするのは、知られているけど・・・』
    『実際、どこまで飛ぶのか誰も知らない。』
    「誰もしらないんですか。」

    『・・・・・。』
    『夕鈴、知ってる!?』
    『この黄蝶は、吉兆といってとても縁起がいいんだ。』
    『君に飛び立つ様を見せれて良かった。』

    その言葉に 夕鈴は振り向いた。
    夕鈴を見つめる陛下の顔は とても幸せそうに輝いていた。
    夕鈴は、黎翔の胸に寄り添い 空を見上げる。

    「黎翔様・・・夕鈴は、とても幸せです。」

    かすかに囁き 幸せに頬を染め、更に黎翔に寄り添う。
    黎翔は、そんな夕鈴を優しく抱きしめていた。

    二人はいつまでもいつまでも寄り添い
    金色の吉兆が、青空に消えるまで 見続けるのだった。

    ー完ー




    2012.08.26. さくらぱん


    黒龍・翡翠の泉『コレクション2』 続きを読む

    【詩文】『あなたに触れたい』 

    ※天沢さんの日記に、ご進呈



    あなたに 触れたくて 触れてみる

    あなたの髪に触れた

    漆黒の癖のない 柔らかな髪を梳く
    あなたが、いつも私にそうするように・・・

    こんな柔らかな表情を見せるあなたを

    誰が      
    『冷酷非情な狼陛下』
    と呼んだのだろうか?

    未だ偽(いつわ)りの仮面を外せない あなた
    心が傷つき 癒やせないのだろうか?

    偽りの仮面を少しでも 外したくて
    あなたに触れる

    私の願いをこめて・・・

    頬を撫ぜる 私の手をとり 
    あなたは私の手のひらに 口付けた。

    『ありがとう』

    私の大好きな柔らかい笑顔とともに

    本当に嬉しそうにあなたは笑う

    あなたの『ありがとう』の言葉は、私の心に滲(にじ)んでく

    私の願いは叶えられたのでしょうか?



    2012年
    08月26日
    12:20 続きを読む

    【詩文】『君だけの特権』 ※天沢さんの日記に、ご進呈





    君の柔らかな手が僕に触れる。
    優しく頬を撫ぜてゆく

    僕に触れることができる
    心の琴線に触れことができる
    唯一の癒しの手

    ・・・・触って
            ・・・・・・もっと。


    誰にも、許さない 君だけの特権
    君から触れてくれることが、こんなにも嬉しい

    夕鈴。

    ・・・・触ってよ
            ・・・・・・もっと、もっと。

    僕に触れていいのは、君だけなんだ。



    2012年
    08月26日
    09:41 続きを読む

    紫陽花の夕立Ⅰ 祝!! 恋人の日

    ある日、侍女たちと共に夕鈴は、宮殿の奥にある
    斜面の紫陽花を見に来ていた。

    複数の花を集めたような、ボールのようなかわいい花は、
    快晴の空の下 風にゆれ、
    今が見ごろと赤や青・ピンクや紫と色見本のような花の盛りを迎えていた。

    紫陽花の小道を侍女とともに、妃の薄い桃色の軽やかな衣が弾むようになびく。
    夏のはじまりを告げるこの日は、とても蒸し暑い日だった。

    花を愛でるのに気をとられ、風が変わり
    湿り気を帯びたことに気づくのが遅れた。
    あっという間に、夜のように雲が厚くなり、突然大粒の雨が降ってきた。

    この辺りに、妃が雨をしのげる四珂は無く、宮殿は遠かった。
    そのことに、気づいた侍女たちは、ますます騒ぎ出す。

    右往左往する侍女たちに、落ち着くように女官長が声をかけるも、
    夕鈴を気遣う侍女たちには、誰一人、耳に入らなかった。

    大粒の雨音の中、かすかな喧騒に王宮から気づいた黎翔。
    その侍女たちの騒動の中に、薄い桃色の衣の夕鈴を見つけた。
    気づくと、黎翔は走り出していた。

    叩きつけるように、雨が降る。
    大粒の雨の中、夕鈴の元に宮殿から走って行ったのである。

    『夕鈴!』
    「!!陛下!」
    『大丈夫か?』
    『大事なわが妃が濡れてしまう!』
    そう言って黎翔は、自分の外套を広げ
    夕鈴を頭からすっぽりと自分に包み込んだ。

    雨は、ますます地面を、叩きつける
    雨足が強くなった。

    黎翔は、夕鈴を連れ、今来た道を戻りだす。

    『ここから、見える宮殿に走るぞ!!』
    「ハイ!!」




    ・・・続く
    2012.06.11.

    【短編】海ほたる  


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    夕闇迫る高速道路を海へとドライブ。
    空を染めながら沈む夕日と
    オープンカーの風が心地よい。

    黎翔の愛車のスポーツカー
    夕鈴の為に、特注したその車は
    ツーシートの革張りの真っ赤なロメオ。

    もうすぐ日は沈み。夜が来る。
    沈む太陽のきらめきが、
    海を燃えるような真っ赤に染めていた。


    『黎翔さん 見せたいものって何ですか?』


    麻のカーディガンをはおり、真っ白なサマードレス姿の夕鈴が、
    オープンカーの風に乱された髪を押さえながら、
    隣で運転する黎翔に尋ねる。


    『んーーー  もうすぐ着くから、楽しみに待ってて。  夕鈴。』


    ディオールの濃い色のサングラスを外しながら、夕鈴に応えた。


    ほどなくして 二人でラベンダー色に染まる空を映した海へ
    波の音だけが響き渡る波打ち際を二人で歩く


    『ラベンダー色の海って綺麗ですね。』


    にっこりと夕鈴が黎翔に微笑んだ。


    薄墨の色が浜辺に落ち、一番星が輝きだした。
    たそがれゆく世界に、

    『・・・もうそろそろいいかな。』

    黎翔はつぶやく。

    『夕鈴、おいで・・・・』

    手を繋ぎ、海に向かって歩く
    海中に足先が触れたとたん・・・水中が青白く光りだす。
    まるで、それが合図だったかのように
    一斉にほの白い青に染まる海


    IMG_8997.jpg   IMG_8998.jpg


    輝くブルーに包まれて二人は波の音を聞いていた。

    『これが、君に見せたかったもの』

    短い命の輝きが海を青白く染める『海ほたる』
    儚くも綺麗なネオンブルーに 心奪われ しばし見とれた。
    しばらく二人で渚を歩く。歩くたびに鮮烈なブルーの輝きに砕ける波
    繋がれた二人の手は、離さない。

    二人のシルエットが青く輝く。
    いつの間にか重なるシルエット
    二つが一つに   一つが二つに
    啄ばむようなキスを重ねあう

    やがて いつまでも重なる二人。

    海を彩る海ほたるは
    遥かに続く渚を やがて儚く輝くブルーに染め上げていった。


    2012年
    08月21日
    18:01

    紫陽花の夕立Ⅱ 祝!! 恋人の日

    宮殿に走る黎翔に、
    突然夕鈴の抗議の声がかけられた。
    『夕鈴、大丈夫か?』
    『陛下、きちんと入ってください。濡れていますよ!!』
    『大事な妃が、濡れてしまうほうが、困る』
    『後で、風邪を引かれると私が困るのだ。』
    『しっかり被り直せ。』
    すっかり雨に濡れた夕鈴が、さらに濡れない様に
    しっかりと被り直す。
    紫陽花の花も叩きつける雨にうなだれて見える。
    そのまま視界が閉ざされた紫陽花の小道を二人で足早に宮殿へと駆け抜けた・・・。



    『陛下に見つけてもらって助かりましたっ。』
    『・・・ああ。』
    『あのままあそこにいたら、もっと濡れてました。』
    『ありがとうございます。』
    『・・・そうだね。』
    (へいか・・・さっきから、うわのそら?なんで?)

    濡れたぬばたまの前髪のむこうに
    視線を揺らす狼がいて・・・めずらしくうろたえている?
    濡れていることもあり、陛下が色っぽくて・・・ぼぉっと陛下の顔を見詰める。

    なかなか、視線を合わさなかった陛下が私の視線に気づいた。
    困った瞳の狼と私。絡み合う視線。
    一瞬だけど、目覚めるのに十分だった。

    はじかれたように、一歩下がる。
    いまだに、羽織ったままの陛下の外套に気付き返そうとして脱ぎだした私を陛下は止める。

    『このまま部屋まで・・・。』
    『部屋で脱いでほしい。』
    『えっ??なんでですか?』
    肩に乗せられた大きな手で、またしっかり覆われる。
    狼の瞳が深くなり、揺れていた視線がしっかり私に重なる。

    真顔で、言われて余計ふしぎになった。
    そのときに、陛下の衣装に気づいた。
    いまだに雫を落とす陛下の濃紺の一重の夏ごろも
    雨に濡れ、まとわりついた麻の夏衣・・・濡れたために肌に張り付き、陛下の肌がところどころ濡れ見える。

    ―――――――――――――――――――――――――っ!!

    そのことに、気づき、ボフンと音を立てて顔が赤くなる。

    ――――自分が怖くて見れない。

    わたしも、夏の一重の衣装だったはず・・・外套の中の衣装の重さはぐっしょりと重い。
    どのような姿を陛下の前にさらしていたのだろう。

    恥ずかしすぎて、今度はこちらが目を合わせられない。

    『このまま部屋まで・・・。』
    こくこくと湯気のたった頭でうなずく。
    きっと首まで真っ赤だわ。
    『やくそくだよ。』
    全身真っ赤な夕鈴には、ただうなずくことしかできなかった。



    いつの間にか雨が止み、まぶしい太陽とともに真っ青な青空が見えた。
    雨に濡れた雫光る紫陽花の葉の上をゆっくりとかたつむりが進んでいった。



    ー完ー
    2012.06.11.



    虹彩 -こうさいー へ

    【対詩文】「侵食」と「救済」

    【詩文】『侵食』

    紅く血塗られた剣を思わせる
    か細い三日月が 鈍く輝く夜

    赤黒いどろりとした過去の私が、僕を侵す
    ゆるゆると血塗られた指先で、僕の首を締め上げる

    息さえままならない僕を
            ー過去の私が冷たく見つめるー

    この上ない愉悦の表情で、容赦なく締め上げる 過去の自分
    いつか嗅いだ血の匂いに、 吐き気を覚える

    光と闇の精神世界。

    私の危うい天秤は
    赤黒い闇が 僕をどろりと侵食し、簡単に闇へと傾いた。

                                 2012.08.20. さくらぱん作

    続きを読む

    【短編】御前試合  -試合1分前ー



    眩しい光の中
    ざわめく試合会場に入る

    興奮した観客の応援の歓声が
    戦う場所を高揚させた。

    足元から、ぞくぞくと震えが走る
    なんだか負ける気がしない
    高鳴る胸は押さえきれず 鼓動は早くなる

    高く頭上に剣を捧げる
    会場の興奮が更に高まった。

    大歓声と興奮の渦が会場を包む

    会場の上座にいるであろう尊い人に
    仰ぎ見て、心で誓う

    見ていてください 陛下・お妃様。
    この試合貴方に捧げます。



    2012年
    08月21日
    09:30
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    【短編】御前試合 ー試合5分前ー






    もう少しで、優勝者が決まる
    ようやくここまで勝ち進んできた

    押さえ切れない
    試合前の緊張感と高揚感

    どうしようもない それらを落ち着かせるために
    試合用の剣の柄(つか)に なめした皮を巻きつける

    試合用の剣は、刃を潰していて、
    いつもの愛用の剣とは異なり軽い。

    少しでも、手に馴染むようにと
    きつくきつく何度も巻きつける

    心が研ぎ澄まされてゆく
    未だ慣れないこの剣が、我が手にしっかりと馴染む

    御前試合

    陛下とお妃様の目の前で
    みっともない試合は、できない。

    プライドと誇りにかけて
    精一杯私は頑張ろう。

    陛下とお妃様のために・・・

    今 名前を呼ばれた
    もうすぐ試合が始まる。


    2012年
    08月21日
    09:03 続きを読む

    【詩文】遠雷 夕鈴編






    遥かかなたに稲光が光る

    宵闇(よいやみ)の空を彩る黄金(こがね)の光

    かすかに雷の音がする

    貴方の居ない部屋は

    なんだか、部屋が広すぎて

    募る気持ちに私は翻弄される

    とても…不安で。

    …悲しくて。

    …寂しい。

    窓辺に座り遠雷を眺める

    冷たい風が、うねりを伴い、私をなぶる

    ああ…貴方に今、逢いたい。


    2012年
    08月19日
    11:16

    【詩文】遠雷 黎翔編





    低い稲妻の音が、遠くから近づいて来る。

    嵐の予感

    君は、今頃 何をしているのだろか?

    幸せな夢の中へ 旅立っているのだろうか?

    それとも、同じ遠雷を眺め、泣き濡れているのだろうか?

    逢えない日々に、君への思いは募るばかり

    遥かかなたの君を思う。

    しがらみを捨てて

    今すぐ君に 逢いに行きたい。



    2012年
    08月19日
    11:27

    【書庫】if 設定 黎翔&夕鈴以外 


    IF500-1.jpg 




    if 設定 黎翔&夕鈴以外 


     

    2013.03.01. 【短編】IF設定『母子草ーははこぐさー』※誕生花シリーズ 夕鈴&陛下との御子  母回想


    完【姉上】幼少氏時 黎翔&瑠霞姫 
    2012.12.06.【短編】『…姉上1』※本誌ネタバレ含む  
    2012.12.06.【短編】『…姉上2※本誌ネタバレ含む  おまけつき

    【後宮お菓子クラブ】
    2013.10.16.【短編】『後宮お菓子俱楽部・嵐の惨状』 ※キャラ崩壊・要注意!!!
    2013.12.08.【短編】『後宮お菓子俱楽部・年末の大惨事』 ※キャラ崩壊・要注意!!!


    2014.01.18.改訂【短編】IF・西の国シリーズ「るんばっぱ♪」※無茶ぶり設定  ※絵師ダリ子さんの挿絵付き

    2013.08.21.【詩文】『琥珀の思い出』 ※故人(母)を思う夕鈴の気持ち捏造

    2013.06.05.【短編】時の記念日フライング『月見酒』※浩大と猫

    2012.06.29.【詩文】『今日は記念日』  ※一ヶ月記念

    2013.03.01.【短編】IF設定『母子草ーははこぐさー』※誕生花シリーズ 母となった夕鈴

    2012.11.04.【詩文】『白夜ーびゃくやー』 ※故人(母)を思う夕鈴の気持ち捏造

    2012.08.21.【短編】御前試合  -試合1分前ー 御前試合の名も無き戦士

    2012.08.21.【短編】御前試合 ー試合5分前ー  御前試合の名も無き戦士


    蜜蜂の仕事 11 -完- ※赤面注意報発令中

    夕鈴という可憐な花が
    黎翔という蜜蜂によって
    愛でられ
    咲き誇る


    先ほどの歌声と違い
    甘く甲高い嬌声と
    しめかな音が
    四阿に響く

    さらさらという小川の音さえ
    二人には聞こえない。
    聞こえるのは
    お互いの奏でる甘美な音だけ……

    愛されれば愛されるほどに
    花は濃密な甘い香りを放つ

    花は甘く蕩けて……
    蜜蜂を夢中にさせた。

    四阿を彩る芙蓉の花が
    風に散され
    澄んだ小川をくるくると下流へと流れて行った…… 。
    夏の太陽は、まだまだ高く
    雲ひとつ無い青空に輝いていた。


    夏の昼下がりの木陰の四阿にて

    大輪の花は、咲き初(そ)めて……
    蜜蜂の仕事は、今、始まったばかり。 

     

                      -完-
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    完【長編】黒龍 守る為に……13

    『彼等には、強い信念がある』

    黎翔は、夕鈴から、手元のレモネードを受け取ると、脇机に置いた。
    夕鈴を引き寄せて、耳元で囁き、再び優しく抱きしめる。

    優しい抱擁と黎翔の言葉は、夕鈴の胸を打つ。

    『大事な人を守りたいという強い信念』
    『過去の歴史では、負けた国がどんなに悲惨な道を辿ったのか教えてくれる』
    『彼らには、家族が居る』
    『大事な仲間が居る』
    『恋人や子供もいるだろう……。』
    『彼らには、愛する人がいるんだ』
    『守りたい人のために……ここまで頑張っているんだよ。夕鈴。』

    夕鈴を抱きしめる力が強くなる。
    黎翔の真摯で静かな言葉が続く……

    『私は、王として彼らの期待に応えなければならない』
    『この国を、焦土と化して戦場(いくさば)になど、したくはない』

    『私も彼らと同じ気持ちなんだ』
    『……愛する民を守りたい』
    『……大事な国を守りたい』
    『これは、国王としての義務だから……。』

    黎翔は、自分に諭すように、ゆっくりと語りかける。

    黎翔が、夕鈴に啄ばむようなキスをした。

    『私も夕鈴。』
    『愛する君を守るよ。』
    『この国と共に……』

    「――――――――黎翔様。」

    …………ぽろぽろと夕鈴の瞳から涙が零れる。
    透明な雫がいくつもいくつも零れ落ちた。

    熱気溢れる鍛錬所から、熱い熱い風が二人を包む。

    交わす瞳には、お互いの姿しか見えない。
    いつの間にか重なる唇
    二人の約束のキスは、真摯で熱いものだった。


                         -完ー




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    2012.08.14.さくらぱん



    【詩文】「秋のお知らせ」 夕鈴編





    秋の気配がする

    昼間の残暑が
    嘘のような涼しい夏の晩

    早くも気の早い秋虫達が、涼しげな楽団を作る

    かわいい小さな声で
    ちりり…
    コロコロ…
    …コロコロリ。

    重ねて合わす求愛の歌

    耳をそばだて聞こえる歌に、秋が優しく微笑んでいる。

    もうすぐ、暑い夏が終わる

    今まで、貴方と少しだけ距離を置いて、涼んでいた夏が終わる

    今度は、いつまでも貴方の熱を感じていられる秋が来る。

    秋を知らせる虫達が、そう私に教えてくれた。


    2012年
    08月16日
    22:01

    【詩文】「秋のお知らせ」黎翔編




    秋の気配がする
    月の光が 窓辺から差し込む

    寝台の白い帳を揺らす 風が身体に優しい
    名残の熱が冷やされていく・・・
    涼しい風に 身も心も癒され和む

    隣に眠る 愛しい君に
    飽きずに触れあえる 秋が来る

    君を抱きしめ
    君の熱を感じていよう

    身じろぐ 君の身体を抱き寄せる

    夢に囚われ 夢落ちる瞬間に、
    風が そう教えてくれた。


    2012年
    08月16日
    22:20

    【長編】黒龍 守る為に……12

    …………こくっ
    夕鈴は、一口飲む。

    蜂蜜で甘さをつけたレモンらしい冷たい酸味が咽喉を潤す。
    染み渡る冷たさに、身体も心もほっとする。

    「冷たくて、美味しい♪」

    思わず、にっこりと笑みが零れた。







    落ち着いたところで、先ほど答えをもらえなかった質問を、
    改めて黎翔にしてみる。

    「黎翔さま」
    「どうして、こんな暑い日に軍事訓練などなされるのですか?」

    『夕鈴は、お妃教育をしているから、この国のこと知っているよね?』
    『わが国は、豊かな水源と温暖な気候で広大な穀倉地帯がある。』

    「はい。干ばつ等がない限り、豊かな恵みが天から約束されていますね。」

    『その土地を狙い、たびたび諸外国から侵略されてきた歴史がある。』

    「………………。」

    『戦は、時を選ばない』
    『過去の歴史では、盛夏のときもあったし、厳冬の時もあった。
     真夏のこんな暑い日に練習をするのは、過去の歴史を忘れない為と―――――― 兵士たちの持久力の為。

     こんな日だからこそ、万が一の時の練習になるんだ。』

    『……それにね。』

    陽炎揺らめく練習風景を眺めて、目を細める。

    『兵士たちが、ここまで一生懸命なのは、ただ国を愛しているだけではないんだよ。』






    ……13  完 へ続く 



    2012.08.16.さくらぱん

    【長編】黒龍 守る為に……11

    視線を感じる…………気がする。
    ……早く離してほしい。

    「……陛下、お飲み物をお持ちしました。」
    「夕鈴様のおかわりもお持ちしました。」

    夕鈴付きの侍女が彼女を気遣い、機転をきかせてくれた。

    『……ああ、そこに置いてくれ』

    今度は、あっさりと腕を解かれた。

    バクバクと高鳴る鼓動を
    両手で押さえて、
    少しだけ、黎翔から離れてみる。

    効果は、ないであろうが、
    涙目で黎翔を睨みつけた。

    悔しいことに
    私の動揺など気にせず涼しい顔で、
    …………今度は、ゆっくりとレモネードを飲み始めた。

    『ほら……君の分だ。飲むといい。』

    夕鈴が、受け取り、飲み始めるのを黎翔は待つ。

    夕鈴は、優しい瞳で見つめられ、
    ここが、どこであるのかを忘れそうになる。

    外からの喧騒と兵士たちは、たちのぼる陽炎にゆらめいて見える

    日陰だというのに、額に滲む汗がこの場の暑さを物語っていた。



    ……12へ続く 


    2012.08.16.さくらぱん

    【長編】黒龍 守る為に……10

    真っ赤になった夕鈴の隣に座る

    『飲みかけだったか…………すまない。』

    いたずらな笑みを浮かべつつ、
    片手で濡れた髪を拭きつつ
    優雅に、夕鈴の手を
    黎翔は手に取り、
    指先にお詫びのキスをした。

    唖然として、ぱくぱくと口がふさがらない
    夕鈴の真っ赤な顔が、更に赤くなる。
    指先までもが朱に染まり……涙目の瞳で僕を見つめる……

    『夕鈴……可愛い。』

    「―――――っ!」

    引き寄せて、僕の腕の中に閉じ込めた。

    研鑚所という場所……不謹慎さに
    黎翔の腕から逃れようと身をよじる。
    抵抗を許さないかののように、更に強く抱きしめられた

    その時、良い香りが夕鈴の鼻をくすぐる
    先ほどと違い、石鹸の香りが陛下から香っていた。




    ……11へ続く 

    2012.08.16.さくらぱん

    【詩文】「寂しがりな小犬」

    寂しがりの小犬は

    私の背中で

    暖をとる

    寂しさを

    少しでも分かち合えたなら

    それで、私はしあわせなのに・・・


    2012年
    08月15日
    15:07

    バー白陽に寄せました。

    【長編】現代パラレル「星花火 夕鈴編 Ⅰ」

    突然、鳴った貴方からの電話

    誘われた今夜の星花火
    後、数時間後に、花火は始まる

    急いで貴方の為に身支度をして、待ち合わせの駅へ
    慣れない下駄が、もどかしい。
    カラコロ・・・・・カラコロ・・・・・・と音が、私を追い立てる。

    やっと待ち合わせの場所に着く
    すでに貴方は、私の到着を待っていた。
    普段着でない、貴方の着流した浴衣姿に私は、ドキドキと胸が高鳴る。

    私は、着崩れたりはしてないだろうか!?
    急いでセットした髪は、変になってないだろうか!?
    きゅうに気になり落ち着かない。

    慌てだしたが、貴方に見つかり、腕の中へ囚われた。

    『嬉しいな』
    『浴衣を着て来てくれたんだね』
    『夕鈴、綺麗だよ』
    「黎翔さんこそ、素敵です。」

    やっと、返事できた言葉は、ありきたりな言葉で、
    貴方の魅力を伝えきれていない。




    隣町までの電車は、すでに満員電車。

    押されて、潰されないようにと壁際の隅で貴方の腕に守られる。
    気遣いが嬉しくて、キスまで少しの距離が恥ずかしくて、言葉も出ない。

    だだ、小さく「ありがとう・・・」だけ、貴方に言えた。



    ・・・・・続く。


    2012.08.15.さくらぱん

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