花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

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    【短編】 『ラディーグ島の休日』 インド洋・セイシェル

    ゴンドワナの海岸線

    太古の風景が広がる島に、二人漂う

    セイシェルの青い空と透明なアクアブルーに輝く海

    きらきらと・・・・どこまでも遠浅な白い砂浜と

    青灰色の花崗岩の巨大な巨石が風景を形作る

    わずかに、色を添えた緑の椰子は、

    縮尺の違う太古の風景では、

    本当に小さく、ささやかで

    濃い緑の木陰を形作る。

    インド洋の魅惑の島でしばし二人、

    太古の時にいざなわれ、悠久の時を旅する

    巨石の影に二人より沿い、南国の強い日差しを避ける

    目に映る景色は、お互いの姿しか見えない。

    すいこまれるように、自然と唇が重なりキスしていた。

    ・・・・・・・時が止まる。

    ・・・・・時の概念が消える。


    太古の昔からの人の営み

    二人の悠久の旅へと

    時間旅行が今、始まる。
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    「覚醒」から遊んでみた

    べたべたの実と甘々の実を投下
    ぴゅあ・ぴゅあ甘ぁ~いの目指します。

    「覚醒」 恋人の日・後夜祭 6

    まどろむ瞳が
    ついに開く

    煙(けぶ)る瞳に
    映る僕
    目覚めの時に
    たちあう今

    どうか 心も
    目覚めておくれ
    抱き寄せ
    瞼に口付ける
    夢にまどろむ
    君の瞳に

    かすかな身体の震えに
    覚醒の時

    目覚めの時
    夢のつづきを
    君はどれだけ
    覚えているのだろうか? .


    瞼に甘く口付けて
    震える瞼の開く時を待つ
    早くその輝く君の瞳に
    僕たげを映して・・・・

    独り占めしたくて、瞼に落とした
    口付けは、とても甘い味がした。
    .

    草原の菩提樹の根元
    ゆらゆらと、まどろむ君に口付ける
    白百合は、風に揺れ
    高貴な薫風が、二人を包む

    寄り添い、まどろむ君に口付けを・・・
    唇にもう何度目かわからない唇を重ねた

    暖かな陽の光が菩提樹の梢の隙間から零れ落ちる
    陽の光に輝く、君の金茶の髪が、金色に見える・・・
    爽やかな風が梢をさわさわと揺らし
    二人の間を吹き抜ける

    空は、どこまでも青く澄んでいた。
    いたずらな風が、僕らの髪をかき乱す。

    甘い君の香りとむせかえる百合の香りで、くらくらと酔う

    どこまでも甘い
    君にくらくらする

    君と寄り添い、抱きしめていたい。
    .際限なく君に口づけたい。

    そんな、僕の気持ちなんて知らずに
    無邪気な君はまどろみ続ける
    そのおだやかな眠りは、僕の心がじりじりと焦げていく

    僕は、悪い狼なんだよ。
    隙きさえあれば、君を食べようとしている悪い狼。
    そんな、安心しきった無防備な顔で僕の腕の中で、眠らないでよ…。

    .
    胸を焦がす君の無垢な寝顔
    無邪気に眠るその眠りを破りたい。
    甘くとろけるキスで、君を目覚めさせよう。

    まるで、物語のワンシーンのように…。



    2012年 07月30日 さくらぱんonly


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    さくらぱん祭8「真夏の粉雪Ⅰ」

    うだるような蒸し暑さの中、
    政務室だけは、別だった。
    真夏に冷たい吹雪が吹きすさぶ。


    先ほどから、
    官吏たちの提出書類は、一つも決済ができない
    酷暑の廻らない頭でまとめあげた書類は、
    不備が多く、溜まっていく書簡に
    狼陛下の機嫌は、最悪だった。

    密かに 政務室から狼陛下の唯一の妃に使いがだされた・・・・・

    「・・・・陛下。」

    政務室の最悪の空気の中、愛しい妃の声がする
    ちょうど、午前の小休憩時間
    様子を伺うように夕鈴の顔が見える。

    「お邪魔してもいいですか?」

    控えめでおずおずとした声に、慌てて冷たい狼陛下の気配を消す。
    かわりに、妃専用の笑顔を取り繕った。

    「睡蓮花」ぴゅあぴゅあの実

    こちらは、白陽国SNS地区での投稿作品。
    さくらぱん&Y白友・ピクシブよゆままのコミュ形式コラボ
    相手の文に、続けて繋げて書く方式です。


    放り込み材料【ぴゅあぴゅあの実】

    【睡蓮花】
    「夕鈴、見てごらん」
    「・・・はい。黎翔様。」
    池に面した東屋にて二人で池を眺めやる。
    「早咲きの睡蓮花が咲いたから、君に見せようと思って・・・」
    「・・・綺麗ですね。」
    陽射しを照り返す水面とかわいらしい丸い葉の中に、
    一輪だけ純白の花が咲いていた。
    嬉しそうに、頬を染め微笑む夕鈴に僕は微笑みが隠せない。
    (こちらに来てもらってよかった)
    黎翔は、夕鈴を抱き寄せると二人一緒に
    夏の始まりを告げる瑞々しい白い花を、寄り添いながら眺め
    午後の時をすごした。







    二人に、爽やかな朝の風が吹く。
    池の表面に、波紋が・・・・
    睡蓮の花が、波紋にゆれ、葉が輝いていた。
    夕鈴の金茶の髪が風にはらみ、陛下の頬をくすぐる。

    そのくすぐったさに、陛下は、思わず微笑した。
    瞳に映るのは、四苛の外を夢みるように眺める愛しい妃。
    煌めく睡蓮の輝きを背に、花よりも花のごとく光輝いている。

    『陛下』

    四苛の外を眺めていた夕鈴が、黎翔に振り向いた。
    振り向きざまに
    陽に透けキラキラと輝く君の髪から甘い芳香が漂ってくる。

    『どうした?』

    僕の低い声に反応して、花よりも愛らしい微笑みが返ってきた。

    『こんなに素敵な花を二人きりで見ているのは、贅沢な事ですね。』
    『君だけの為に咲いているんだよ、この蓮の花は・・・だから気にする事はない。』

    その言葉に、愛らしく頬を染める夕鈴は、
    ほんとうにほころび始めたピンク色の睡蓮より可愛らしい。

    その可愛らしさについ乱したくなる

    さり気無く・・・小さな白い手を絡ませ、優しく握りしめた。
    君の潤んだ瞳が僕を捉えて、何かを訴えている。
    離さないでと・・・・・。
    きみの願いの了承の証に繋いだ手の甲に軽い口付けを・・・
    甘い肌の香りに誘われ、更に手頸にも証を刻んだ。

    恥ずかしげに頬を染め、僕の愛を受け入れる
    潤んだ瞳は、僕の赤い証を見つめていて・・・
    その、睡蓮より、艶やかに染まる手首に新たな愛の証を刻む
    紅い華を更に彩りたくて・・・
    僕のものだという所有の証を刻み付ける

    所有の証の紅色よりも、更に深い紅に染まる頬に手を当て、
    僕の眼前に引き寄せる。

    『僕の誠を受け取ってほしい』

    囁きかけると君はその潤む瞳を伏せ軽く頷いた。
    極上で軟らかな君の唇・・・・・
    その桜桃色の頂きに僕の唇を重ね合わせた。

    軽く  ちゅっ と小鳥のようなキスをする
    朝の爽やかな風にさらわれるような軽めのキスは、
    空気に溶けて四苛から消えた。
    朝露に輝く、白とピンクの睡蓮の花々達が、
    風にさらわれたキスの様子にほほえましく笑ったように揺れて咲いていた。

    幻想的な睡蓮の園を眺め、幾時が流れたのだろうか?
    二人きりの四苛に暖かい風が吹き抜ける池面の睡蓮もざわめいて揺れる。

    『陛下、お茶に致しませんか』

    軟らかい表情の君の心遣いが僕の心を和ませる。

    『そうだね、妃の手から注がれる魔法のお茶を頂こうか。』

    クスリと笑う僕に破願して君は踵を返す。
    陛下の手を取り、
    四苛のテーブルのある長いすに導く

    テーブルのうえにはすでに、
    お茶が入れるばかりに茶器が用意してあった。

    夏の暑さを忘れさせてくれそうな、薄いヒスイ色の茶器。
    二人分の花菓子も用意されている紫色したすみれの砂糖漬けだった。
    高台の青の器に花が、五つ。
    春の名残を味わう為に、花の色を引き立たせる器は、とても爽やかで・・・
    明るい四苛に二人の朗らかな笑い声が響きわたる。

    慣れた手つきで、ヒスイの茶器に菊花茶をいれ静かに湯を注ぐと蓋をする。
    その一連の所作を僕はジッと見つめる。
    真剣な横顔・・・・何か口元が動いている

    「美味しいお茶になりますように。」

    どうやら魔法のお茶であるから、おまじないをしているようだ。
    君の微笑ましい気遣いに込み上げてくる愛しさが止められない。
    立ちあがると思わず君を後ろから抱きしめ、

    『愛してるよ』

    耳元に囁いた。君は真っ赤になって振り返り、

    『まだお茶を入れているんですよ』

    少し頬を膨らまし恥ずかしさを隠している。

    『ごめんね・・・大人しく待ってるよ。』

    椅子に坐りなおし、微かに香ってくる爽やかな香りに意識を集中した。

    静かな時が流れて行く。
    君は茶器に手を添えそっと蓋をあける。
    中央で花開いた黄色い花から優しい香りが醸し出される。
    頬笑みと共に僕へと差し出された茶器を受け取ると
    直ぐに飲んでみると君の優しい真心の味がした。

    君の真心を込めたお茶は、いつも僕の心を和ませる
    君と出会ってから、何度こうしてお茶を楽しんだことだろう。
    君を知る前には、もう、もどれない。

    ・・・・戻りたくない

    池の淵に、白い鳥が2羽飛来してきて降りたった。
    何かの象徴なのか?
    この先の僕たちの未来を予知しているのか?
    降りたった鳥は仲睦ましげに、離れる事無く池の淵で羽を休めている。

    『陛下、仲の良い鳥たちですね。』

    君は目を細めて愛おしそうに鳥たちの姿を見ている。
    そんな優しい表情の君は僕にとっては眩しい。
    鳥たちを僕らになぞらえて僕は君に誓おう。
    僕は君をいついかなる時も護り、

    そして愛を貫くと・・・・・。
    君の笑顔が途切れないように・・・・・。

    『そうだね。』
    『まるで、僕達みたいだね。』
    『僕達も、まけずに仲良くしようか!?』

    そう言って、腰を引き寄せ、夕鈴を、きゅと抱き寄せた。
    僕の瞳に写るのは、いとしの君のはにかむ顔

    ぼくは、もう君しか愛せない
    手放すことなんて考えられない

    君の瞳に僕が映る
    潤んだ涙に縁取られた君のまぶたにキスをした。

    涙の味はしょっぱくて・・・でも暖かかった。
    恥ずかしげに俯いた君の伏せた瞳が、僕の庇護欲を駆り立てる。
    君しか要らない・・・・
    そう感じ始めたのはいつからなのだろうか?

    驚かせないように、そっと ぎゅっと 抱きしめた。

    いつからだろうか・・・
    最初からか?
    それとも・・・・・

    どちらにせよ。
    この腕の中のぬくもりは手放せない。
    手放すことなんて、出来やしない。

    腕の中のぬくもりを感じながら、彼女の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

    「黎翔さま・・・」
    無言で抱きしめている陛下が、
    私の背中で泣いている気がする。
    抱きしめている腕に
    そっと手を添える
    触れたら
    ますます強く抱きしめられ
    息が出来なくなった。

    普段呼ばれない名前で呼ばれて
    どきっとする。
    僕の腕に添えられた
    少し震える華奢な手が
    強い力で僕を掴む

    四苛に風が吹いている
    二人のあいだに風が吹く
    心を乱す風が吹く

    彼女を振り向かせ、
    僕の胸に抱きなおす
    僕の不安が伝わったのか
    君は、僕の胸に身体を預けている

    キラキラと、まぶしい水面と
    咲き乱れる睡蓮の四苛で、
    僕は、君に誓う
    一生僕のそばから、離さないと・・・
    決意をこめて、蕩けるような甘い口付けを君に贈った。

    いつしか頭の芯が痺れてきて、
    何も考えられなくなる。
    このままこの腕に溺れて、
    彼の鼓動と一つになりたい
    たゆとう意識の中で、
    彼の囁く
    言の葉だけしか聞こえない・・・・

    「夕鈴・・・ずっと傍にいて。僕だけを愛して。」

    と・・・・・
    その時 バサッ と二羽の鳥が
    飛び立つ羽音が静まり返った辺りに響く・・・・。

    仲睦ましく飛びゆくさまは、二人の未来を彷彿とさせ
    二人の胸の奥の不安を払拭し、幸福感が満たされていく。

    「このまま二人でずっと・・・・・・・・」

    きらきらと輝く水面と
    まぶしく咲き乱れる睡蓮の花々まるで・・・
    この先の二人の未来を暗示しているよう
    あの二羽の水鳥とともに・・・

    しあわせな幸せな未来が始まる
    二人一緒なら何も怖くない
    もぅ、不安なんて感じない。

    二人、愛で満たされていく。



    『睡蓮花』 - FIN -
    皆さま、おつきあいありがとうございました。

                        さくらぱん&よゆまま より

    【短編】『水滴』蜜蜂プロローグ2

    後宮の一番奥、林の奥の小川の四苛に
    明るい歌声が、響く

    夏の高い青空に、響き渡る
    愛しいわが妃の歌声

    最初、鼻歌程度だった歌声は、
    今は、心地よい音楽として僕の耳を楽しませる

    唯一の愛を歌い上げる
    君の歌は、僕の心を弾ませる

    どうか唯一の愛が、僕のことでありますように・・・・





    小川に二人、浸した裸足の足が澄んだ水底に揺らめき並ぶ。
    僕より小さい可愛い足に、僕はほほえみが隠せない
    冷たさに気を良くした君が、水面を弾く

    足先の水滴が、きらきらと輝き、君に弾け煌いていた。


    -完-

    「真夏の粉雪Ⅱ」

    「夕鈴、丁度、休憩の時間だから、大丈夫だよ。」
    「どうしたの?」
    「ここは、暑いから、今日の政務室は来なくて良いって言ったよね。」
    「暑いと、伺っていましたので・・・」
    「頑張っている陛下と陛下のために頑張っている官吏のみなさんに
    差し入れをお持ちしました。」

    「お願いいたします。」

    「「失礼します。」」

    妃の声にあらわれたのは、後宮の華やかな侍女たち
    それぞれに、たくさんの小さめの透明なガラスの器の乗った盆を手に
    官吏の元へ歩み寄る。

    「夕鈴様、どうぞ。」

    女官長から、一つだけ青硝子の高台の器が乗った盆を夕鈴は、手渡される。

    青い硝子には、うす削りした粉雪のような氷と刻んだ桃のような果物。
    とろうりと全体に、白蜜がかけてあった。
    青い器ときらきら輝く氷は、見た目にも、とても涼しそう。

    「陛下には、こちらを・・・・」
    「政務室に行けない私に、せめて陛下に差し入れでもと考えまして・・」
    「カキ氷と言うそうです。」
    「こちらは、わたしが、削りました。」
    「溶けないうちに、お召し上がりください。」

    「そうか・・愛しい妃の手作りか。」
    「では、いただくとしよう。」
    「妃よ、お願いがある。私に、食べさせてくれ。」
    「ここで・・・」

    トントンと、陛下は、自分の膝を叩いた。

    【短編】『木陰』蜜蜂プロローグ1

    木々が作るモザイクの影が、小道に涼しい木陰をつくる

    後宮の一番奥

    林を抜けて小川のほとりの四阿まで。


    白樺の爽やかな木々の香りと

    足元のうす紫色したギボウシの花の香りに包まれて

    二人で、そぞろ歩く。



    キラキラとした木漏れ日の中

    時々、木漏れ日を浴びる

    金茶の君の髪が、陽に透けて、

    キラキラと金に輝く

    君から、目が離せない。



    ひらひらと軽やかに弾む

    君の一重の衣も、なんだか楽しそう

    そんな君の様子に目を細める。




    『・・・黎翔様』

    大好きな君の笑顔とともに、名前を呼ばれて




    ぎゅっと

    僕は、嬉しくて思わず君を抱きしめた。




    -完-


    続きを読む

    「真夏の粉雪Ⅲ・-完-」





    顔を耳まで、染めながらおずおずと、僕の膝に腰掛ける。

    侍女と官吏の視線を気にしているのだろう。

    恥ずかしいのか

    その細い首までもが真っ赤になり僕のお嫁さんは本当に可愛らしい。

    不安定な体勢を支えるべく、君の細い腰を両手で支えた。

    羞恥で、じんわり潤んだ瞳で、僕に挑むようにきつく睨まれた。




    「夕鈴、氷が溶けてしまう・・・」

    なかなか動かない夕鈴に、陛下が、促す

    「・・・・・はい。」


    氷の乗った白蝶貝のスプーンが小刻みに震える。

    溶ける寸前の氷を乗せたまま・・・・

    そのまま、おおきく「あーーん」と開いた僕の口に、冷たいスプーンとカキ氷を入れた。

    口のなかで、冷たさとともに、爽やかな甘さが、口のなかで、溶けて消える。

      

    私は、おねだり小犬の瞳に、いつも弱い。

    つい、あのうるうるとした瞳でお願いされると

    困ってしまうものの従ってしまう。

    「美味しい」

    ただでさえ心臓に悪い、綺麗な顔の貴方に

    至近距離の、嬉しそうな大好きな笑顔で微笑まれ

    耳元で囁かれ、心臓が早鐘を打つ。

    ただでさえ、暑い政務室の体感温度が、更に急激に上昇した気がする。

    手元の器の氷の冷たさだけが、唯一 の救いだった。



                   「真夏の粉雪」

                     -完-

    黒龍 【草原の真珠花4】 完

    菩提樹の太い梢の先の雲間からまぶしい太陽が見えてきた。

    陽の光が地上に届き、徐々に濃霧が晴れてくる。

    霧が晴れるにつれ景色は、一変する。

    乳白色の世界に徐々に色がつく・・・・。

    彩色の世界に変わる。

    霧に閉ざされていた景色のあまりの変貌ぶりに思わず、

    夕鈴は、立ち上がり目を見開いた。


    夕鈴の目の前で、刻々と草原は、古い魔法が解けたかのように景色を変えた。
    そのまま言葉もなく、立ち尽くす。

    魔法にかかったかように立ち尽くす愛しい人を、黎翔は後ろから抱きしめる。

    腕の中に閉じ込めて、夕鈴の耳朶に優しく囁いた。

    『やっと、霧が晴れたね。』
    『夕鈴、どう?』
    『す・・・凄いです。綺麗~。』

    鮮やかに彩られた七彩の景色

    地上の夢が草原を彩る

    草原には見渡す限りに、色とりどりの百合の花が咲き乱れ

    その草原の中、黒龍が百合と遊び、戯れている・・・・

    朝露に彩られた満開の花々が、陽の光に真珠の光沢を放つ

    高貴で、芳醇な香りのその中に、夕鈴と黎翔はいた。

    信じられないほどの奇跡の風景に、夕鈴の瞳から、ほろりと輝く一粒の涙。

    そのまま・・・ぽろりぽろりと、泣き出してしまう。

    感動で、感極まって泣いてしまった夕鈴を、強く強く抱きしめて黎翔は、囁く。

    『夕鈴、君を愛してる』

    そのまま、愛する妃に優しいキスで慰めた。

    高貴な輝きに彩られた朝露の草原を、黒龍は、ゆったりと流れるように走っている。

    夢のような奇跡の中、一枚の絵のように二人いつまでもいつまでも離れることなく佇んでいるのだった。


    -草原の真珠花・完-


    『覚醒』へ

    黒龍 【草原の真珠花3】

    鼻面を寄せ、2人の間に割り込む。

    『黒龍・・・』

    そのまま首を揺らし、背中の鞍を外せとばかりに身体を揺らした。

    『・・・・ったく。』

    二人の甘い時間を、邪魔された黎翔。
    黒龍の様子に気づき、怒るでもなく、装備していた馬具をすべて外してやる

    ほどなく、すべての馬具を外された黒龍。
    うずうずと、身軽になったことを楽しむように足を踏み鳴らしはじめた。

    『行って来い!!もう、邪魔するなよ。』

    黒龍の身体を叩き合図を送ると、待ちかねたように濃霧の中へ走り出していった。

    『陛下、大丈夫なのですか?』
    『黒龍は、戻ってきますか?』

    『ここは、黒龍の庭なんだ。』
    『時々、ここで、自由に遊ばせている』
    『十分満足したら、帰ってくるから、大丈夫だよ。』

    あまりに、自由な行動に不安気になった夕鈴に
    黎翔は、安心するように伝えた。

    そのまま、馬具から、野外用敷布を取り出し菩提樹の下に敷いた。
    そして、夕鈴の手を取り、敷布へ導く。

    『お疲れ様、夕鈴。霧が晴れるまで、ここで休もう。』
    『はい。陛下。』
    二人並んで、菩提樹の下に腰掛ける。
    さきほどより、ミルク色に流れる霧が、薄くなった。

    どうやら、霧が、晴れてきたようだ。

    こころなしか、明るい光に陽が昇りきったことがわかる

    輝くミルク色に霞む広い草原の景色に、黒龍の姿が見える

    伸び伸びと自由に草原を駆け抜けていた。


    『ふふっ・・・ほんとに楽しそう。』


    自然、夕鈴の顔が、ほころんでいく

    楽しそうに草原に遊ぶ黒龍の姿は、とても夕鈴の心に強く残った。



    ・・・続く 続きを読む

    黒龍 【草原の真珠花2】

    目の前に霧に包まれた縦長の白い光・・・

    谷の出口だった・・・濃霧は、ここから谷に入り込んでいるのだろうか?

    出口に進むたびに、ミルク色の濃霧が纏わりつく

    淡く柔らかい光の出口を進むと、やっと視界がひらけて、谷を抜けた。

    真っ白で、明るい乳白色の濃霧に、景色は遮断され、何も見えない。

    たゆとい、ながれゆく乳白色の濃霧のその先が見たくて、

    目を凝らすも白の世界ばかり・・・

    『陛下、着いたのですか?』
    『着いたけど、霧が深いね』
    『疲れたろう、夕鈴。』
    『この先に、菩提樹の大木があるから、そこで休もう。』

    確かに、少し疲れたかも・・・・こくんと頷き、黎翔の胸に全身をあずけた

    目印もないのに迷いない黒龍の歩みの進むその先に、おぼろげな影

    近づくたびに、色を変え、はっきりしてきた影は

    まぎれもなく菩提樹の大木だった。

    太い幹は、苔むして、老木の貫禄をみせ、青々とした緑の葉は、太い枝に彩りをそえて、

    伸び伸びと茂っている。

    木の根元まで来た黎翔は、黒龍の足を止めさせた。

    黒龍は、よほど馴染みの場所なのだろう。

    その黒い耳をくるくると動かし、瞳を輝かせていた。

    宥めるように、首筋を叩き、たしなめる黎翔

    すぐさま、黎翔は黒龍の背から降り

    夕鈴を降ろすべく、両手を差しのべた

    『陛下、大丈夫です。一人で降りられます。』
    『だめだよ。夕鈴。危ないよ。』
    『僕にまかせて・・・』

    夕鈴の細い腰に手を添えて、やさしく降ろす

    バランスが取れない夕鈴は、ほとんど黎翔の胸に飛び込む形になり恥ずかしい。

    そのまま、抱き合ってお互いを感じていたら・・・黒龍が2人の時間の邪魔をした。


    ・・・続く

    黒龍 【草原の真珠花1】

    カツ・・・カツ・・・・カツ・・・・

    黒龍のひづめの音だけが、断崖絶壁の谷底にこだまし、響き渡る。

    黒龍は、息を乱さす、先を急ぐ。
    王宮から、濃霧の王領地を抜け、さらにその先の目的地へと。

    黒龍の背に揺られ、手綱を握る陛下の腕の中には、愛しい妃の姿が…

    『疲れないか!?』
    『平気です。陛下。』

    岩と砂ばかりの大地は、谷底の風景を荒涼とした景色に見せる。
    その中を
    朝霧の濃い水蒸気のミルク色に包まれながら、三人は、先を急ぐ。

    視界が悪いものの、黒龍の足取りは軽い。

    若い頃から、王宮を抜け出して通い慣れた
    黒龍にも馴染み深い道だったから。

    黒龍と黎翔には、その先にあるものがわかっている。

    この先の景色を君に見せたくて・・・・

    それだけのために、王宮を抜け出し、濃霧の中、一直線に走らせた。

    霧の為、衣服がしっとりと水分を含み重い。
    夕鈴の髪もいつもと違い、肩に貼りついていた。

    『寒くはないか?』
    『大丈夫です。』
    『それより、ずいぶんと遠くまで来ました。・・・目的地は、まだなのですか?』

    胸の中の夕鈴は、少し震えつつそう答えた。

    その柔らかな頬も、指先も、濃霧で湿り冷たくなっていた。

    暖めるように、黎翔は全身で夕鈴をつつみこむ

    『もうすぐ、谷をぬける。ぬけた先が、目的地だ。』
    『霧が、晴れる前に先に進もう!!!』
    『はい。』


    お互いの熱が伝わる。
    夕鈴の震えは、もう止まっていて、元気な声が谷底に響いた。


    ・・・続く 続きを読む

    【書庫】黒龍 『草原の真珠花・・・はじめに』

    こちらは、2012年7月に完了した。黒龍 【草原の真珠花】です。

    黒龍の素敵な切り絵を作ってくれた SNS白友・もあいさんへの贈答品です。
     
    黒龍 
     
    (2013.07.07.もあいさんから転載許可済み)



    目次は、続きに封入しています。
    PCカテゴリ連続読みをなされる方は、続きを開封しないほうが読みやすいです。


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    【短編】 黒龍「流星雨」

    朔の夜
    先触れもなく
    庭から
    突然訪れた陛下

    「ゆうりん」

    「どうなさったのですか? 陛下?」
    「このような場所から来られるとは・・・。」

    「誘いに来たんだ。」
    「黒龍で、出かけよう。・・・・仕度をしておいで。」
    「見せたいものが、あるんだ。」

    見ると陛下はすでに、黒の外套を来ていて
    騎馬服にしっかり身を包んでいた。
    足元は、騎馬用ブーツを履いている。
    すぐに黒龍で、出かけられる仕度だった。

    「夏とはいえ、夜は冷える。しっかり着ておいで。」

    「分かりました。」
    「少々お待ちください。陛下。」

    うながされ
    急遽、身支度を整えた夕鈴は
    後宮の自室の庭から
    陛下に連れ出された。


    そのまま、黒龍のいる裏門まで、歩く
    月のない夜の為、足元が暗い。
    黎翔は、夕鈴の手を引き気遣いながら
    二人で王宮の外にいる黒龍へと足をむけるのだった。

    「夕鈴、気をつけて」
    「はい」
    陛下に抱えあげられ、夕鈴は黒龍の背に
    すぐさま、黎翔も黒龍の背へと飛び移る

    二人すぐさま
    黒龍の背にゆられ
    王宮から離れた王領地の丘へと
    馬首を向ける

    漆黒の闇の中
    黒龍は、二人を乗せ
    一陣の風となって
    疾走する

    森の静寂を破る黒龍のひづめの音

    木々の木立が
    切り絵のような濃い影を作る
    瞬く間に移り行く
    夜のモノクロのパノラマの中
    森を抜け、あっという間に王領地の丘へと着いた。

    月のない夜に満天の星々が、輝く

    「間に合ったか。」

    「?・・・・星が綺麗ですね。」
    「見せたかったものとは、これですか?」
    何が間に合ったのか聞けず。質問してみる

    「いや。・・・・・もう少し待って。」



    突然、満天の輝く星空から、星が落ちる
    ひとつ・・・またひとつ。
    瞬く間に
    次々と流れる星は、満天の流星雨に変わる
    「・・・きれい。」

    「夕鈴に見せたくて・・・」
    優しくささやく彼に寄り添う。
    「ありがとうございます。黎翔様。」

    流星雨の夜空
    時が止まったかような感覚になる

    「夕鈴」
    「はい。黎翔様。」
    「一生愛しているよ。」
    囁きとともに
    やさしい口付けがふる
    もう視界は貴方しか見えない

    恋人たちの夜は永遠に続く
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    花の四阿 3  石棺の想い  -せきかんのおもい-

    緑濃い四阿の奥
    木立に隠れた天然の隠れ家に
    くずおれて、夕鈴は泣いていた
    自室にて人払いはしていても
    つね日頃から、妃の様子を伺うのが侍女達の仕事
    本当の意味での一人になれる場所など
    ここを見つけるまで、知らなかった。

    陛下に恋焦がれる想いは、
    報われぬ重責となり胸を締め付ける
    息さえもできない・・・
    そんな気持ちに蓋をすべく
    ここにきた・・・梅雨空に重い雲が垂れ込める
    木々に覆われた四阿に霧雨の雫が、伝う。
    かき集めた透明な雫は、ゆっくりと落ち、夕鈴の袖を濡らす。





    報われぬ恋にピリオドを、
    さまざまな思いが溢れて
    心はじくじくと胸をさいなむ。
    いっそ大声で泣き叫びたい。
    この声を誰かに聞かしてやりたい
    そんな思いに囚われる。
    妃としての立場から、そんなことなどできやしないのに。


    「---こんなにも、陛下。あなたが好き---」
    泣き濡れて頬を伝うのは、冷たい涙・・・
    静かに声を忍殺(おしころ)し泣き濡れる・・・・・
    今だけは、自分の恋心のために弔いの涙を

    明日も、偽りの演技ができるように・・・
    焦がれる気持ちにピリオドをつけるために。

    緑濃い四阿の奥
    泣き崩れた夕鈴の側に、
    白く輝くギボオシの花が
    霧雨に重く
    うつむいて咲いていた。




                      -完-


    2012.07.09.

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    【写真館】2012『気分だけでも、涼しくなりたい 』宮城県仙台市定禅寺通り

    さくらぱんの地元宮城県の仙台市内・中心街の美しいケヤキ並木『定禅寺通り』です。

    初秋の紅葉頃、まだ時期が早く金色の並木道ではありませんでした。
    撮影時はあいにくの雨模様。
    ちょっと、残念でした。


    IMG_9576.jpg   IMG_9581.jpg  IMG_9582.jpg  IMG_9583.jpg  IMG_9584.jpg


    それでも、あしもとには、金色の木の葉が・・・
    IMG_9588.jpg  IMG_9587.jpg

    この色の金色のケヤキ並木が、さくらぱん好きです。
    この道を、突き当りから曲がると、さくらぱんの通院している大学病院へ行きます。
    たまに、のんびりと眺めながらのちいさなお散歩。
    遠回りもいいものです。

    【中編】黒龍『紅龍ーこうりゅうー』では、冒頭でこのケヤキ並木をイメージして、作品を作りました。

    ☆【詩文】『赤い糸』 ※6000HIT御礼



    時が刻む日常のなかで
    あらためて思う
    二人出逢えた時を

    二人の運命が
    重なる偶然

    たくさんの季節に
    彩られた
    二人の思い出

    偶然が
    手繰り寄せられ
    赤い糸に変わる時

    かけがえの無い君に
    出逢えた奇跡に
    感謝しよう!!!!


    2012年
    07月05日
    10:46 続きを読む

    ☆虹彩 -こうさいー

    紫陽花の花を愛でつつ
    陛下と共に歩く
    朝露を含んだ庭は
    昨夜の雨の匂いがまだ残っていた。

    朝日に紫陽花の雫が
    虹彩を放つ
    ひんやりとした空気は
    心を綺麗にきよませる

    私は、ぬかるんだ斜面に
    足を取られ転びそうになる
    その都度

    「 大丈夫? 夕鈴? 」
    「ありがとうございます。陛下。」

    たくましい陛下の腕に、何度助けられたことだろう。
    助けられるたびに、私は意識してしまう。
    陛下が好きなことをどうしても意識してしまうの・・・・。


    昨夜の雨が僕に残した喜び
    足を滑らす君を堂々と抱きしめている。
    抱きしめるたびに頬染める君を
    本物の花嫁に・・・と思う、自分を止められない。
    腕の中の夕鈴に、あふれる気持ちが止められないんだ・・・。

    黒龍 ~黎翔の非常に複雑な思い~  種のタネ

    黒龍 ~黎翔の非常に複雑な思い~  種のタネ

    裏設定です。

    1. 黎翔はよほど黒龍に懐かれなかったと考えています。
    噛まれ、落馬し、蹴られ、たまには、池に落とされた!?
    散々な苦い思い出があるのに、あっさり夕鈴に懐くのですから。
    ぷくくく・・・黎翔かわいそう。

    2. 夕鈴は、街中の庶民なので、荷馬車・荷車の商業馬は、見ていますが、
    軍馬と接するのは、初めてと考えました。
    もちろん、軍馬用馬房や運動場は、はじめての設定です。

    3. 黎翔が黒龍に使う馬倉は、3つあると思います。
    遠乗り・狩用と式典用と戦場用です。
    どれを使うにしろ、乗る部分は、乗りやすいように滑らかに黒漆に押さえられています。
    普段使いは、たずなも黒皮ですね。
    式典だけは、馬倉の外側に豪華な装飾があるのでしょう。
    式典用たずなは、黎翔の衣装に合わせて豪華と思います。
    今回は、遠乗り・狩用です。
    夕鈴を乗せるのに、血塗られた戦場用を使わないと思います。
    夕鈴命ですから。

    4 .橋シリーズの種のタネ
    橋シリーズでは、衣装の色に悩みました。
    街中の式典にふさわしいのは、何色だろうと。
    黄色(中国皇帝色)・紫(ヨーロッパ皇帝色)・深紅
    普段、見慣れない民衆に王と分かる衣装って難しくて。
    結局、結婚式ネタ使いました。

    黒龍には、式典用豪華な馬倉がつけられてますから、
    黒龍&黎翔&夕鈴の組み合わせは、つくづくド派手ですね。
    ほんとに、絢爛豪華な組み合わせを、さくらぱん、最前列で見たいですっっ。



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    ☆【詩文】『雨霞』




    音もなく降る霧雨に一人濡れそぼる
    やわらかな雨が心地よい

    ぬぱたまの前髪から一滴
    雨雫がゆっくりと落ちる

    遠くの景色ほど、白く霞んで
    空に溶け何も見えない

    天空の厚く重い垂れ込めた雲を眺める
    雲の果て、青い空を探す

    晴れ渡る青空に思いを馳せ
    曇天に心を重ねる

    一人柔らかい優しい雨に佇む
    明日は、晴れるだろうか?


    2012年
    07月01日
    08:25

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