花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    カテゴリ:【短編】 if 設定 黎翔&夕鈴 の記事一覧

    【短編】西の国シリーズ「老師の甘い罠2」

    ……続き

    「夕鈴、ただいま!」
     
    「お帰りなさいませ、陛下!」

    私は、陛下の上着を受け取りながら、
    満面の笑みで出迎えた。

    「今日は、ずっと陛下を待っていたんですよ!」

    「嬉しい言葉だな、夕鈴。」

    「今日は、何の日か知っていますか?」

    「……?
    君の誕生日じゃないし、私のでもないよね?
    分からないな……」

    「ポッキーの日なんですって!」

    「陛下!
    私とポッキーゲームをやりませんか?」

    「夕鈴、ポッキーゲームって
    …………意味、分かってる?」

    「はい!
    教えていただきましたから!」

    「大丈夫?
    夕鈴、わざと負けるの嫌いでしょ!?
    ルール分かる?」

    「大丈夫です!
    私が、勝ちますから!」

    「……それとも私とポッキーゲームをするのは、
     嫌ですか?」

    大きな瞳を潤ませて、僕を見つめる夕鈴。
    こんな時の君は、
    僕を惑わす悪女なんじゃないかと、僕は思う。

    「君がそんなに言うのなら……
     一回だけ。」

    「ありがとうございます!
     では、勝負!」

    キツく目を瞑り、真っ赤な顔をしてポッキーをくわえる夕鈴。
    プルプル震えるポッキーの反対側を僕はくわえた。

    (コレが、宴会の余興と知ったら夕鈴、怒るんだろうな……)

    少しずつ近づく君との距離に、僕は悩む。

    ――――ワザと負ければ君は怒るだろうし。
    君と唇が触れても、泣かれるかもしれない……

    僕の中の悪魔と天使の天秤が激しく揺らめく。

    顔を真っ赤にしながら、必死に真剣になって
    ポッキーゲームをしている夕鈴が、可愛い……

    ……とても可愛い。

    悪魔が囁く。
    このままkissしちゃえ!!

    天使が諭す。
    kissはマズいよ。
    ワザと負けようよ!

    君と僕との真剣勝負。

    僕の苦悩は、ますます深まっていく。
    11月11日は、ポッキーの日。

    悩める青年が元気になれる(はず…)の日。





    ポッキーは、どんどん短くなっていく。
    真剣勝負のゲームの行方は、神のみぞ知る。

    おしまい



    2014.11.11.改定
    2013.11.11.初稿
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    【短編】西の国シリーズ「老師の甘い罠1」

    本日、ポッキーの日。


    白友とんとんさんのお誕生日に遅ればせながら、メッセ書下ろしで贈ったものです。
    こちらにUPの際、少し手直ししました。
    とんとんさん、お誕生日おめでとうございます。
    喜んで頂いて嬉しいです。       2013.11.11.さくらぱん
















    「掃除娘! 
     いいものが、手に入ったぞ!」

    私が、後宮・立ち入り禁止地区の掃除していた時、
    満面の笑顔で、老師が話しかけてきた。

    片手にお菓子らしきものを、
    持っているのに、珍しく食べている様子がない。
    それどころか、私にお菓子を差し出してきた。

    「張老師、どうしたんですか?
    お腹でも壊しましたか?」

    びっくりした私は、
    老師から、お菓子を受け取るとそう言った……

    「ばかもん!
    コレは西の国に伝わる

    “悩める青年が元気になる”

    お菓子なんじゃ!」

    「この日に合わせ、
    陛下の為に、苦労して手に入れた品じゃぞ!」

    「えっ?
    このお菓子がですか?
    普通のお菓子に見えますが……」

    私は手の中のお菓子を、しげしげと見つめた……

    「そのお菓子はポッキーと言って、
    今日11月11日に、特別に食べるもんなんじゃ…」

    「悩める青年…コホン。
    陛下の悩みを少しでも軽くするのが、妃の務め。

    例え、臨時花嫁であっても、
    陛下をお慰めする仕事には変わらないはずじゃ!」

    「このお菓子には、食べ方があってな。
    普通に食べては、悩める青年の苦悩は軽くならん!」

    「陛下を癒やして差し上げたいという
    強い意志が必要じゃ……どうじゃやるか?」

    「へぇ~~
    陛下を癒やせるお菓子なんですね。
    だったら、陛下の為にやります!
    強い意志なら任せてください!

    ……でも、どうすればいいんですか?」

    「やる気になったか!
    苦労してコレを手に入れた甲斐がある! 」

    「やり方は、簡単じゃ!!!
    掃除娘、耳をかせ!」

    私は、張老師から
    ポッキーの食べ方を伝授してもらった。

    悩める青年が、元気になれる
    「ポッキーゲーム」
    なるべく人の多いところで、やると効くらしい。

    内容が内容だけに、恥ずかしいけれど、
    私は、陛下が癒やされるのならと覚悟を決めた。

    もう時間は夕方。
    政務室での務めは終わった。

    「ポッキー」の効力は、今日限定らしい。

    私は「ポッキー」を抱えて、自室へと帰って行った。

    「Good luck 健闘を祈る!」
    そう言って見送ってくれた、
    老師のニヤリとした笑顔を、私は知らなかった。





    …続く 


     


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    【短編】煙管 ーキセルー

    SNSで、お友達のideaさんが、煙管の記事を書いてました。
    煙管の記事を書いた ideaさんに捧げます。

    私は、喫煙者じゃないのですが・・・

    薄荷煙管おもしろそう。
    薄荷煙管は、紫煙が出ないけど・・・


    陛下に煙管、咥えさせたい。
    紫煙くゆらせる陛下の捏造です。




    それでもよければ、どうぞ。




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    【短編】IF「良い夫婦に、なろうよ」

    本日、良い夫婦の日
    ちょい、こじつけ強引です。













    夕鈴と僕と
    二人しか居ない、静かな室内。

    王様だから………とか、

    お妃様だから………とか、

    そんな堅苦しいものは脱ぎ捨てて
    多少行儀の悪さなんて、ここならば許される。
    今はお互いしか、居ないから…

    日溜まりの床に座り
    裾が汚れるのも構わずに……
    お互いの背に寄りかかって、春の日差しを楽しんだ。

    ……決まりきった生活・がんじがらめの宮中も、
    君がいれば、自由になれる。
    深呼吸できる。

    君は、いつも僕の予想をはるかに越えて
    壁も垣根も壊してくれた。

    気持ちも身体も、楽になれる。
    君だけが、僕に自由をくれる。

     



    背中をくっつけて座ってさ、
    夕鈴の鼓動を肌で感じながら……

    暖かな日差しは、
    本当はぜんぶ彼女から、もたらされるものなのじゃないのか…
    なんて馬鹿な事を考えてみたりして……

    さっきから、僕は手元の本なんか読んでないし、
    君のぬくもりばかり気にしてる。
    ただ単に、君とのこの時間が好きだから……。


    黙ってるのに心が通じあってる感じ。
    君は、違う事してるのに一体感、
    一緒な感じ。

    ほわほわ…と、日差しが降ってくる。
    光の輪が次々と、
    七色の光のプリズムを作り、降り注ぐ…

    何もしてないのに、幸せってやつ。
    ……幸せって、こういうのを言うのかな?

    ふと思う。

    お妃さまでない
    …僕だけの君に戻る時間。

    王様が、お休みな時間。
    君が僕を、一人締めに出来る時間。

    こんな時間を、君ともっと過ごせたらいいのに……
    僕が王でなければ、君とこんな時間をたっぷりすごせたのかな?

    いいや・・・

    僕が王様だったから、君と出会えたんだ……


    君と出会わない僕なんて考えられない。
    君を知らない僕に、もどれない。

    頭を振って、悪い考えを追い払う。

    君と出会わなかった頃の
    あの日の僕に伝えたい。

    誰かを愛せることは素晴らしいってさ。
    信じられるってことは、果てしなく強くなれる!



    「……夕鈴。」

    背中の君に、意味もなく声をかけてみる。

    「なんですか?
    黎翔さま……」

    小さな靴下を編む手を休めて、
    君が背中で返事してくれた。
     出会った頃と変わらない優しい声。

    一つだけ、変わったもの。
    二人の時だけは、名前を呼んでくれる。

    「夕鈴。」

    もう一度、愛おしい名を呼んでみる。
    もう一度、僕の名を呼んで欲しくて……


    バカだなぁ……黎翔。
    こんなにも近くに、幸せは待ってたのに。

    幸せな二人の時間。
    もうすぐ、それが三人になる。
    黎翔は、ポツリと呟いた。

    「良い夫婦に、なろうよ」

    振り向かなくても分かる。
    背中で感じた、君の声。

    「はい!
    良い家族になりましょう!」

    日溜まりの暖かさと眩しさが、強くなった気がした。

    【短編】IF「初桜ーはつざくら―」

     



    うつむき 恥らう
    乙女のような花の色

    初恋の君に、よく似た……
    ふんわりとした
    優しい桜色

    春は、出会いと
    別れの繰り返し

    蘇るのは
    君との思い出

    もしも君との出会いが
    違うものだったとしたら
    僕は、君と別れなかったのかもしれない。

    ――時を戻せたらいいのに

    綺麗な空に広がる
    満開の桜の花を仰ぎ見る

    DSC_0369_20140331211449345.jpg
    (撮影☆エストリルのクリスマスローズ・saki様)


    そよ風に揺れる優しい花に
    君の面影を探して……

    会いたくて…
    でも 会えなくて……
    それでも、まだ会いたくて……

    「君を忘れてないよ。
    まだ……君が好きなんだ」と
    大きな声で、君に伝えたい。

    もしも伝えられたら
    君は、この花のように
    頬を染めて
    恥らうのだろうか?

    切なくて、苦しくて
    胸の奥が、キュッと狭くなった。

    初々しい薄紅色の花が咲いた。
    こんなにも
    狂おしくも愛おしい
    まだ君が好きなのに、もう会えない。

    今年も、記憶が蘇る
    出会いと別れの季節。

    あなたを想い 初桜―はつざくらー


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    【短編】IF 「誘惑」

    引き寄せられて
    抱き締められた

    アナタの香りに包まれて

    ときめく想いと
    背徳の甘さに蝕まれる

    くすぶる
    危険な香り

    満たされぬ想いは
    渇望するまま…
    あなたを求める

    しなやかに白い腕を絡ませて…
    甘いkissをねだる。

    結ばれない恋と知りつつ…
    あなたが、欲しいと思うのは…
    きっと、愛しすぎたから。

    kissだけで満足できない。
    あなたの心まで、欲しいと願ってしまったから…

    だから、お願い。
    あなたを誘惑させて…

    私を欲しいと言ってよ。

    「お願い…kissして」

    img0983.jpg

    【短編】大人風味「御代の春ーみよのはるー」 ※慎さんのイラスト付き

    慎さんの素敵絵からの妄想。
    書くって約束してましたが、当初と違って色多し。何故?



    宮中行事
    祝賀の宴
    夫婦設定
    やりたい放題の陛下。
    翻弄されちゃってる夕鈴。
    口付け止まり。
    御代の春ーみよのはるー 1月の季語 


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    【散文】僕の幸せ

    煌めく
    冴えた星空
     凍てつく夜に…

    月明かりを頼りに
    帳の中 君を捜す

    心まで凍りつきそうな
    凍える真冬の空気

    一人では、
    とても耐えられなくて
    温かな君の
    ぬくもりが欲しくなる

    君を捜す指先が、
    温かなぬくもりをとらえた
    すぐさま君を探り当て
    僕は引き寄せる。

    君のぬくもりを
    僕は分けて貰う

    「…ン…へいか…?」

    寝ぼけた君が、
    僕の腕の中で身じろいだ

    「…起こしちゃた?
    ごめんね、夕鈴。
    まだ、夜だから寝てていいよ。」

    「……ん。」

    僕の囁きに、小さな返事。

    君は、ヘニャッ…と
    子供のように無邪気に笑って
    僕の胸に、すり寄ってくる。

    可愛い……

    他愛ない会話。

    きっと君は朝になったら、
    この会話を忘れているのだろう。


    僕は、君の柔らかな身体を
    そっと引き寄せた。
    君の髪から、甘い花の香り


    幸せが、こんなに身近に感じられるなんて、
    少し前の僕には考えられなかった。

    …スゥ…スゥ…

    君の穏やかな寝息と、
    トクン…トクン…とした
    規則正しい心臓の音。

    幸せな君のぬくもりが、
    僕を優しく包みこむ。

    まるで暖かな日溜まりにいるかのよう。
    心まで温まる 優しくなれる
    君という存在の不思議。

    じんわりと君の温かさが、
    僕に沁みてくる。
    凍えた心と手足に、
    温かな血潮が巡る。

    僕は、すぐさま眠くなってきた。
    ゆっくりと瞼と手足が重くなる。

    幸せを抱き締めて、
    僕は眠りに落ちる。

    帳の外は凍てつく夜。

    凍える夜は、
    君を抱きしめて寒さを忘れる。

    今夜も、この胸に君を……

    永久(とこしえ)の
    春のようなぬくもりに包まれて

    眠れぬ夜も、君と一緒なら僕は幸せ。
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    【短編】IF・夫婦設定「蒲公英の綿毛が舞う陽だまり」 ※11/22は、いい夫婦の日

    久しぶりに晴れた或る日
    暖かな陽射しに、誘われて
    久しぶりに部屋の外に出た。

    夏の名残を少し残して
    私の心を慰める後宮の庭

    時期外れの蒲公英が
    白い綿毛と共に、風に吹かれて咲いていた。

    歩きつかれて
    四阿のそば

    暖かな陽射し溢れる四阿に行くと
    既に先客が眠っていた。

    四阿の長椅子に、夫の姿。
    何処からか飛んできた
    蒲公英の綿毛が
    黒い前髪に落ちていた。

    眠りを妨げないように
    そっと……
    綿毛を外してあげようと手を伸ばした。

    不意にその手首をとられ
    陛下の瞳が開いた。

    「今日は、こんなところまで出歩いて大丈夫なの?」

    「身体の調子は、どうなんだ?」

    引き寄せられて、陛下の腕の中に囚われた。


    「今日は、調子が良くて……陛下にお会いしたくて捜していたのです。」

     私は、最近……調子が悪くて、気分が優れなかった。
     体調の悪い私を気遣い、政務の遅い陛下は寝所を昔と同じ別室にした。
     なかなか会えなくなった夫に、寂しさを感じて 私は、陛下を捜していた。
     一つの誇らしい知らせと共に。

    「こちらに来ていると、李順さんから聞きましたので……」

    「まさか、寝ているとは思いもしませんでした。
     ……起こしてしまいましたか?」

    「いや、そろそろ起きようかなと思っていた頃だよ、夕鈴。
     愛らしい気配に、起こしてくれるものと思っていた。」

    「まあ……」

    呆れた口が塞がらない。
    大きな目を更に大きくして私は、陛下を見つめた。

    「夕鈴、久しぶりに見る元気な君の顔を良く見せて……」

    陛下は、長椅子に座りなおして私を膝の上に乗せた。

    「本当に顔色が良いな。
    今日は、調子がよさそうだ……
    それで、……私を捜していたというのは?」

    引き寄せられて、蕩けるようなまなざしを向けられる。
    狼陛下の瞳が、こんなにも甘いことを私以外は誰も知らない。

    頬を撫でる陛下の手に私の手を重ねた。

    「陛下に、ご報告があって……」

    ぽぽっ……と頬が赤らんだ。

    陛下は、喜んでくれるかしら?
    期待と不安が高まる。

    私は、陛下の耳に唇を寄せた。

    「…………あのね。
    赤ちゃんができたみたいなの。」

    誰も居ないのに、内緒話のように小さな秘密を打ち明けた。

    「え!?…………ホントに?」

    私より、真っ赤な顔で陛下が呟いた。
    驚きで、赤い瞳が見開かれた。
     
    肯定のつもりで、コクンと一つ頷いた。



    ――――――数瞬の沈黙。



    「夕鈴!ありがとう!!!」

    私は、満面の耀く笑みと共に、陛下からギューギューに抱きしめられた。
    初めて見る感情のままの心からの嬉しそうな笑顔に、私もとても嬉しくなる。

    最近までの体調の悪さを
    もしかしたらと思い
    侍医に相談をしてみた。

    結果は、やはり“妊娠”していた。
    陛下と私の初めての御子。

    私は、一番に父親である陛下に報告したくて捜していた。

    予想どおりの……
    いや、それ以上の夫の喜びように、私はホッと安堵する。


    「…………夕鈴!ありがとう!」

    啄ばむような口付けと耀くような誇らしい笑顔。

    「男の子かな?女の子かな?…………動く?」

    「陛下、気が早いです。
     …………まだ動きませんよ!!」

    私のお腹を撫で摩る陛下に、苦笑する。

    暖かな陽射しを受けて、四阿に私たちの幸せな影が伸びる
    青空に蒲公英の白い綿毛が飛んでいく。
    どこまでも続く青い空へ…………

    産まれてくるのは、夏の頃
    命の輝きがもっとも美しい季節。
    その季節を待ち遠しく思いながら
    陛下の腕の中で時を待つ。

    私は、陛下の溢れる愛に満ち、幸せを嚙みしめる。
    まだ見ぬ未来の我が子に思いを馳せて…………


    おしまい。


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    【詩文】『甘い雨』

    遠くからでも分かる
    ふくよかによく香る
    花の香に
    振り向けば

    この秋一番の
    金木犀の花

    秋風に綻ぶ小さな花は
    甘い豊かな香りをふりまき
    私を魅了する。

    まるで君のような花。

    控えめで可愛らしく
    私を強く惹きつける

    甘く香る愛しい花。

    金木犀の甘い香りに包まれて
    花盛りの庭で
    君に口付けしよう。

    鼻(ね)に香る
    甘い君の呼気ごと
    唇を優しく奪い
    口付けを交わせば…

    抜けるような青空と
    私たちに降る
    祝福の甘い雨

    降り積もる
    オレンジ色の花びら
    むせかえる甘いかおり…

    金木犀の花影で
    甘い香りにほろ酔いながら
    君に甘く蕩けて口付ける

    私達に降り積もる 花の雨

    いつまでも…いつまでも。
    降り止むことがなく
    降りそそぐ

    金木犀の甘い雨が降る。


    2013.10.07.
    さくらぱん



    玄関から少し離れた先にある金木犀の花が、今花盛りです。
    ふとした瞬間に甘く香って、惹きつけます。
    特に朝は、濃く香る気がします。

    あの甘い香りを胸いっぱい吸い込むと秋の訪れを感じます。

    香りのもとを辿ると初めて幹に沿ってびっしりと咲く控えめな小さなオレンジ色の小花に気づく。

    よく見ると、ぽってりした可愛い花びら

    この時期に、花よりも香りに先に気づくのは、金木犀ぐらいではないでしょうか

    そして、香りのもとを捜したくなる
    振り向きたくなるそんな花は
    他には無いと思います。

    【詩文】本日ハニィの日『蜂蜜時間』黎翔&夕鈴

    8/21は、はにぃの日

    突貫工事の一発書きです。

    それでもよければどぞ。



    ◆◆◆





    ……蜂蜜色の時が過ぎる

    甘く蕩ける蜂蜜時間。

    真昼の熱が冷めた夕刻

    何処からか涼風が僕らに吹き抜ける

    心地よい風に

    君の色素の薄い金茶の髪が

    夕陽に煌めき

    濃い蜂蜜色に耀く

    僕の肌を擽る君の髪

    甘い花の蜜の香りがした。

    僕の膝の上で優しく微笑む君を

    静かに引き寄せて

    薔薇色に染まる唇に優しく口付ける

    さらさらと零れ落ちる君の髪

    蜂蜜色の秘密の帳

    小さな帳に隠された二人の口付け

    夕刻の四阿に長い影を落とす

    甘く蕩ける蜂蜜時間

    二人だけの内緒の口付け

    【詩文】if恋人設定『朝露草』

    夜が明けたばかりの大地に
    銀色に光る朝露が煌めく

    ぎらつく太陽はまだ山の稜線
    熱の無い穏やかな光だけをおくる

    蝉の声も聞こえない
    ヒンヤリとした朝の空気

    貴方の腕に腕を絡ませ
    朝露が彩る小道を歩く

    青い夏空色の露草
    太陽を模したような向日葵
    朝の一瞬に懸命に咲く
    瑞々しい濃紺色の朝顔

    裳裾が濡れるのも構わずに
    朝の新鮮な空気と共に
    それらの一つ一つを
    白玉と共に、愛でる

    自然、口元が綻び
    貴方が笑った。

    貴方のぬくもりが
    冴えた朝の空気に心地よい。

    『今日は、何処まで歩こうか?』
    隣の貴方が優しく問うて、微笑む。

    『……貴方の望むままに。』
    私はついて行くだけだから
    貴方のぬくもりを抱きしめて、貴方にそっと微笑んだ。





    一筋の光線が差し込み
    一瞬で世界を変えた

    足元の朝露を眩しく耀かせる

    瑞々しい銀色の宝玉

    光り輝く朝の景色の中

    私達は、啄ばむような
    優しい口付けを交わす

    新しい目覚めの大地の上で

























    【短編】IF設定『恋模様』

    夜空に描く
    星で作る夏の星座

    愛する君に見せたくて
    夜更けに君を連れ去った

    夜を駆け抜け
    君と目指す
    街外れの城壁は

    降る星々が
    宝玉のように綺麗で… 

    宝玉の星々を映す
    君のはしばみ色がとても素敵で

    星の光に浮かぶ
    美しいその横顔に、
    僕はなぜか焦燥感が募る

    僕と出逢ってからの君は
    どんどん綺麗になっていく。

    いつの間にか好きになっていたんだ。

    愛しすぎて独り占めしたくなる。
    君にだけ独占欲が強くなる。

    君の一番に僕はなりたい。

    僕の大好きな君の笑顔が
    他の誰かに向けられることは許せない。 
     
    君が誰かに恋焦がれるなんて
    耐えられない。
     
    君に愛され愛したいんだ。
    君だけが僕の愛しい人 
     
    僕の愛は、君だけに捧げる。
    他の誰かでなく、君だけにしか愛を与えたくない。

    星空を見上げながら…
    君との距離を詰める。

    そっと触れた君の手を、僕はきゅっと握り締めた。
    星空を見上げながら、君に囁くメッセージ。

    『夕鈴、愛してる。』
    『僕の妻になってくれ……。』

    繋いだ手を君が握り返した。

    「……陛下。」

    「私は、何も持っていないのですが、
    それでも私を妻にと望まれるのですか?」

    『僕は、最初から君だけが望みだ。』
    『妻になってくれ、夕鈴。』
    『君が欲しい。』

    「……嬉しい、陛下。」
    「私もずっとお慕いしておりました。」

    「この身ひとつ……あなたへの愛しか私は持っていませんが……」 
    「私も臨時花嫁でなく、あなたの本物の花嫁になりたいです……。」
    「ーーーー陛下、あなたの妻にしてください。」


    僕の胸に寄り添い
    ぎゅっと抱き締める君を
    更に僕は抱き締めた。
     
    背中に廻された
    君の手のぬくもりが
    衣越しに伝わる。

    君が羞恥で
    顔を赤らめていたこと。
    微かに身体が震えていたこと。
     
    きっと僕の気のせいじゃないよね。

    君が僕の愛に応えてくれたこと。
    愛しすぎて仕方ないよ、夕鈴。

    君への愛が…夜空に溢れる。

    どちらともなく、重ねた唇。
    今夜の星はもう二人の瞳には写らない。
     
    お互いの瞳に熱く耀く
    情熱の愛の星を見い出したのだから。

    星々が輝く夜。
    城壁の上の恋人達は口付けを交わす。

    もう偽りの心は捨て去り
    むき出しの愛で触れ合う二人。

    君の愛を確かめたから
    もう僕は遠慮などしない。

    触れ合う愛は、嘘偽りない
    僕が欲しかったもの。

    君だけしか僕に与えられない
    待ち望んだ本物の愛。
    唯一信じられる愛しい君。

    重ねた口付けも
    交わす愛も
    嘘偽りの無い僕の待ち望んだ本物。

    優しい夜風が吹いてゆく
    二人の愛は甘い夜に震えて宙に溶けた。
     
    空には夏の夜空が耀く。
    二人を祝福するような美しい満天の星空。

    恋の成就に、二人の胸も熱く震える。
    甘い甘い口付けを交わす。
    何度も愛を確かめ、愛を誓う。

    今夜の星模様は、恋模様に変わる。
    二人の恋が一つの愛に変わった。

    誓いの夜。

    永遠の愛を誓う二人の頭上に
    天から祝福するような星冠みたいな夏の星座が
    ひときわ美しく光り耀いていた。


    2013年07月24日

    【短編】『夢の先…』 ※書き下ろし・SNS未公開作品



    咲き競う草原の花。
    5弁の白い花びら・・・ 黄色の花心。
    這うように…茎を伸ばす逞しい草花。

    長い冬を耐えてようやく咲いた花に実る
    甘く赤い宝石。

    苺。

    甘い香りに包まれた、草原に寝転び

    青空を見上げる。

    白い雲がぽっかりと、流れていく・・・・・




    「…とぅたま…みっけ」

    可愛らしい拙い呼ぶ声。

    幼子が、私を見つけて駆け出して来る。

    「とぅたま…かぁたまと私、コレ見つけたの。大好きなとぅたまにあげる♪」

    大事に抱えた手のひらに、赤く熟れた宝石のような苺が煌めく…

    『ありがとう!!  ○○○○…嬉しいよ。』

    金茶の髪、夕陽色した瞳の幼子がにっこりと笑う。

    笑うと、とても可愛い。

    見知った笑顔に、よく似ている。

    それだけで、愛おしさがこみ上げた。

    小さな手のひらから、苺を受け取り口にほうばると、甘すっぱい幸せな味。





    「…れ…し…」

    「…黎翔さま…」

    …遠くて、彼女が僕を呼んでいる。

    「あっ! かぁたま!」

    そう言うと、幼子は声のする方へと走って行った。




    白い花びらが舞う大地の先に、彼女が微笑む。

    暖かな陽射しが彼女らを包む。
    時間が止まったかのような至福のひととき。
     
    眼福の風景。

    はしばみ色した大きな瞳。
    風に靡く・・・・蜂蜜色した金茶の美しい髪。
    優しい微笑みの私のいとしい愛する…





    ……パチン☆

    ・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



    そこで、夢から覚めてしまった。

    代わりに、私を優しく揺り起こす白い腕(かいな)。


    「…へーか!」
    「陛下!…陛下!」
    「こんなところで、うたたねしていたら風邪をひきます。」
    「起きて下さい!」


    はしばみ色の大きな瞳が、私のすぐそばに…

    『…夕鈴』
    『おはよ…』
    『あれ!?あの子は?』

    「あの子とは、誰のことですか!?」

    『君と同じ髪の色した夕陽色の瞳の幼子だよ…』

    「誰も居ませんでしたが…夢でも見たのでは…」

    不思議そうに見つめる君に、僕は、とても残念な気持ち。

    …あれは夢だったのかな。

    夢の中で、君は僕の…

    ふと、気が付くと手の中に違和感。

    拳を開けると、甘い香りと苺のヘタ。

    夢の名残に目を見張る

    あれは、未来の僕達?

    手の中の残滓に目をみはる。

    《幸せな家族》の夢だった…

    僕が望む未来の家族。


    夕鈴が、僕の手のひらに気づく。

    「苺のへた?」

    不思議そうに覗きこむ夕鈴。

    『そうだね、苺のヘタだね。』

    夢の未来に後押しされた。
    夢は、夢のままでいられない。

    苺のへたに隠された僕だけの秘密。

    僕は、夢に現われた未来の妻にそっと微笑む。

    …きっと、あの子に会える…

    そう近い未来に。


    ―完―




    本日の誕生花は、苺
    花言葉は、『幸せな家族』『無邪気』

    【短編】『アナタに贈る鈴蘭の花』

    5/1記念日盛り込み無理やり設定。
    ほのぼの・・・・ご夫婦。





    或る晴れた暖かな5月1日。

    今日は、5(こ)と1(い)恋・・・・が成就する日。
    大切なあの人にすずらんを贈りあう大切な日。

    夕鈴の愛馬、紅龍と共に、陛下で内緒で王領地の森に来た夕鈴。
    森の中には、春の花すずらんの白い花が咲き乱れていた。

    すずらんという名にふさわしい純白の可愛らしい花

    小さな白い釣り鐘状の花でとても愛らしい。
    可憐な花枝を一つ一つ手折り、手の中ですずらんのブーケにしていく。

    すずらんの花言葉は『幸せの再来』

    5月1日に摘んだすずらんを愛する人やお世話になっている人へ花を贈ると、贈られた人は幸運が訪れると言われていた。

    大好きな陛下の為に、すずらんを森へ摘みに来た夕鈴。

    香りよい、見目のよいものを選び取るうちに、ブーケというより花束になってしまった。

    「これくらいで、いいかしら?」

    摘んだすずらんの花束は、春の香りに溢れていた。
    夕鈴は、顔を近づけて、花束の香りを確かめる。
    とても甘くてすがすがしい良い香り。

    急いで、王宮に戻り、陛下の自室に飾った。
    文机にそっと活けられたすずらんの花。

    以前陛下に頂いた青いインク壷。
    瑠璃硝子の深い色は、白い可憐な花によく映えた。

    陛下の幸せを願い、あちらこちらに活け始める夕鈴。
    早朝の内緒の遠乗りの成果に、彼女は満足するのだった。

    残りは、自室に飾る。
    今夜も、お訪うであろう陛下の為に・・・・

    後宮は、すずらんの香りに包まれる。
    この日一日だけの幸せの香り。

    すずらんの花に合わせて、侍女達が、夕べの妃の衣装にすずらんの香りを焚き染めてくれた。
    湯上りの香油も、すずらんの香油。

    柔らかな純白の衣装に明るい黄緑色の帯を締めた。
    髪には、すずらんの花を模した金の鈴飾り
    夕鈴が歩むたびに、ころころと可愛い愛らしい音色をたてた。

    まるで、すずらんの精のような夕鈴の仕上がりに、侍女達は、満足する。

    夕闇が濃くなり、陛下の先触れが陛下のお訪いを知らせた。
    と同時に、人払いの命がなされた。

    『夕鈴、今帰った。』
    「おかえりなさいませ、陛下。」
    拱手して、出迎える夕鈴に、にこやかに笑い掛ける黎翔。
    その手の中に、塗りの小箱。

    『今夜の君は、一段と綺麗だ。』
    『私からのスズランを受け取って欲しい。』
    塗りの小箱を夕鈴に渡して、彼女を引き寄せた。

    そのまま、長椅子に二人仲良く座る。
    傍もとの卓に塗りの小箱を置き、黎翔が夕鈴に囁く。

    『開けてみて・・・・・』
    「何でしょうか・・・・」

    期待に満ちたはしばみ色の瞳と愛しげに見つめる紅い瞳がかち合う
    夕鈴の耳朶に、黎翔の低く囁く甘い声。
    夫婦になったとしても馴染めないその声に、夕鈴は、羞恥で頬を真っ赤に染める・・・

    その妻の様子にますます笑みを深くする黎翔。

    夕鈴の指先が、塗りの小箱を閉じていた紅い組紐を紐解いた。
    するりと、簡単に解けた結び目。

    夕鈴は、塗りの小箱の蓋を静かに持ち上げた。
    ドキドキと胸が高鳴る。
    黎翔からの贈り物。
    中身はいったいなんだろう?
    夕鈴に、受け取って欲しいと言われたスズランとは?




    開けた塗りの小箱には、美しい扇が一つ。
    カゲロウの薄羽根のような絹地に、繊細なスズランの刺繍が刺してある
    とても見事な細工もの。
    扇の柄には、明るいすずらんの葉のような翡翠石が使われていた。
    見事な扇に、言葉を失う夕鈴。

    妻の驚いた様子に満足した黎翔は、肩を引き寄せて夕鈴に囁く。

    『君は、私にとって幸福の象徴。』
    『君に逢える喜びこそが、私の幸福。』
    『幸せの再来なんだよ、夕鈴。』

    『初めて恋した人が、君でよかった。』
    『いつまでも、変わらぬ愛の証として、これを君に・・・』

    『夕鈴・・・私のすずらん。』
    「・・・・陛下。」

    白く可憐な鈴蘭の甘い香りの中
    静かに交わす啄ばむような口付けに
    ころころと夕鈴の金の鈴飾りが可愛い音色を立てる。

    華奢な夕鈴の白い腕(かいな)が黎翔の背をかき抱く。

    「愛しております。」

    甘い口付けに身も心も溶けだす、夕鈴。
    しっかりと廻された彼女の腕が黎翔を抱きしめた。

    「陛下、夕鈴は幸せです。」
    『私もだ・・・』

    そんな彼女を愛しげに見つめる黎翔。
    彼の腕の中には、はじめて恋し、苦難の末成就した愛する妻の温もり。
    その温もりを確かめ、壊れ物のように優しく妻を抱きしめる黎翔。

    そんな二人を、黎翔が夕鈴に贈った枯れぬすずらんの花がそっと見つめているのだった。






    2013年
    05月01日
    12:40  初投稿

    2013年
    05月02日
    07:57  大幅加筆修正

    【短編】【杏の恋詩】

    【初めての恋人設定】

    ※4/13お誕生日だった瀬津音さんへの贈答品です。
    昨日のお誕生日の誕生花
    『杏』・・・・花言葉は、『はにかみ』
    ちと、むりやりですけれど・・・無理やりです。断言。
    それでも、よければ、どぞ。



    春の雪解け水と共に、里に流れる清冽な川の水。
    その水は、咲き始めた杏の樹々を潤し、花を咲かせた。

    荘園を彩る
    淡く輝く可愛らしい5弁の花びら。
    春の香りを届ける淡い香り

    桜より白く
    梅より紅いその花は、夕鈴の手に簡単に収まった。

    目を細めて、咲き綻ぶ杏の梢を眺める夕鈴。
    微笑む先には、満開のはんなりとした可愛らしい杏花。

    「私は、杏が好きなんです。」

    隣に、居る黎翔に独り言のように言う。
    耳を傾けて、夕鈴の言葉を待つ黎翔。

    「花は、綺麗だし、実は食べられるし、薬にもお菓子にもなる。」
    「とっても役にたつ花ですよね。」

    隣に居る黎翔に、ニッコリと微笑んだ。
    杏の花よりも、眩しいその笑顔。
    紡ぐ言葉も、愛らしいその姿に、黎翔は微笑ましく思う。
    夕鈴の言葉に、彼女をフワリと抱きしめて、共に杏の花を見る。

    抱きしめられて、頬染める夕鈴。
    トキドキと、胸の鼓動が高鳴る。

    ようやく積年の想いを告げ、両思いとなった二人。
    今までどうりの関係と変わらないはずなのに
    両思いと知ってからの今は
    全ての行動に、意味を感じる。

    片思い以上の恋のときめき。

    今まで、知らなかった胸の高鳴り・・・切なくも幸せな心の動き。
    これが、お互いの想いが通じ合ったということなのか・・・・

    美しく咲く杏の花を見ながら、黎翔は腕の中の愛しい人に囁く。

    『杏の花は、まるで夕鈴みたいだ。』
    『美しいし愛らしい、君との口付けは、いつまでも口にしていたい・・・・・。』

    『僕の恋人は、料理も上手いし、掃除も上手だ。』
    『僕が病気になっても、君がいればすぐに治る。』
    『夕鈴は、僕の杏林だね。』

    そう囁くと、腕の中の夕鈴を強く抱きしめて、甘く頬に口付けた。
    ジワリと浸み込む黎翔の口付けの甘さ。
    ますます、頬を赤くして恥らう夕鈴。
    そんな可愛らしい恋人の様子に、黎翔の笑みは深くなるばかり・・・・

    恥らいつつも、夕鈴は黎翔の言葉に疑問を投げかける。

    「杏林ってなんですか?」

    『名医のことだよ。昔の故事に例えているんだ。』
    『或る医者が、全ての人に分け隔てなく医療を施し、治していた。』
    『お金を貰わなかったその医者は、直った患者に代わりに杏を願う。』
    『軽病人は、一本、重病人は、五本、医者の家の周囲に杏の木を植えさせた。』
    『いつの間にか、医者の家の周囲は、見事な杏の林になったそうだ。』
    『医者は、その杏で薬を作り、滋養として貧しいひとに杏仁をふるまった。』
    『いつの間にか、名医のことをその医者になぞらえて、杏林と呼ぶようになったんだよ。』

    『君が、僕の杏林だ。』
    『どんな場所でも僕の隣に咲く美しい花。』
    『僕を癒してくれる最高の薬。最高の名医。』
    『僕の恋人、夕鈴。』

    賞賛の言葉に、恥らう夕鈴。
    はにかむ笑顔も可愛らしい。

    その唇を捕らえて、黎翔はゆっくりと唇を寄せた。
    甘酸っぱい口付けの味。

    甘い口付けを交わす二人の目の前に、青空に映える薄紅色した満開の杏の花枝。

    そよ風にふわりと揺れるその梢は、豊かな香りの風を贈っていた。
    誘われるように、春鳥が唄う。
    二人の恋詩を歌いだす。

    甘い祝福の恋の歌を・・・・


    2013年
    04月13日
    11:49

    【短編】『震える夜』

    夜空に煌めく 星明り
    降るような 冴え渡る光は
    闇に溶けることなく 地上に届く

    煌めく夜空に輝く 星達の囁きに混じり
    高く澄んだ 龍笛(りゅうてき)の音色 
    漆黒の星空に 震え溶け込む 清らの音(ね)  

    龍笛(りゅうてき)に 星影は震え 
    音色は たゆとう

    後宮の冬の庭
    冷えた空気に
    墨染めの衣が はためく・・・・

    伏せた双眸・・・・夜の帳で
    表情は見えない

    気持ちまで引き締まる
    ―――――漆黒の星空

    龍笛は・・・澄んだ音色で切なく
    空気を震わせる

    乱れ震える心に 直接響く
    澄んだ染み入る音色

    その音色に導かれ
    彼のもとへ 歩み寄る乙女

    そのはしばみ色の瞳は 物思う気に
    孤独に拒絶する
    彼の背に触れ・・寄り添う。

    背中から抱きしめる 彼女の癒し・・・・

    『・・・お願い。一人で悩まないで・・・』
    『私にも、その苦しみを背負わせて・・・』

    背中で、小さく囁かれた 彼女の言葉に
    龍笛は止まり・・・瞳が見開かれた

    美しい柘榴石のような宝玉の双眸
    いまだ拭えぬ 彼の物憂げな瞳 

    背中に滲む 孤独と拒絶に
    彼女の瞳に涙が滲む・・・

    背中から回された小さな手のひらに
    重なる大きな手

    ふ・・・・
    ようやく和らいだ気配に

    彼女は微笑み 指先に力を込める

    視線はあわないけれど・・・
    寄り添う心 確かな絆

    共にぬくもりを確かめ合い
    見上げる空は 美しい光が煌めく










    砂金の鎖を 繋ぎ合わせ
    星のかけら煌めく 首飾りを贈りたい

    何より確かな僕の真摯な愛を君に・・・

    金剛石より、強く煌めく光
    輝かしい星の光は踊る

    君の指先が漆黒の空を指差す
    その先は、ひときわ強い 光を放つ星

    冬の星座を辿る指先は、
    星つなぎの神話を物語る

    変わらぬ愛を
    美しい星空に誓う。
    僕らの続く 明日のために…



    2013.01.08.さくらぱん 続きを読む

    【短編】ifパラレル・大人風味『ー苺ー』※1/5は、苺の日

    ※こちらは、本誌よりちょっと関係性が進んだパラレルです。
    1/5は、苺の日とのことで、『現代パラレル』とも、思ったのですが・・・
    こちらで・・・・
    風味なので、ぬるい関係です。それでもよければ、どぞ。



    美しい白磁の器に盛り付けられた、真っ赤な果物の宝石を
    陛下が持ってきてくれた。

    特別に、暖めた硝子の部屋で作らせたという献上品

    春にしか食べられないそれは、艶々と一粒一粒が宝石のように輝いていて、食べるのがもったいないぐらい。

    『そんなこと、言わずに・・・食べてごらん。』

    そう言って、陛下の手ずから、夕鈴の口に運ばれた《苺》は、
    先取りされた春の味。
    甘酸っぱい味と香りが口いっぱいに広がった。

    まだ遠い春を恋しく思う味だった。
    「・・・・無くなっちゃった。」
    あっという間に、口の中から消えてしまい、夕鈴は名残惜しく思う・・・・

    『夕鈴、もう一つ、どう!?』
    そう言って、また苺をもう一つ陛下が口に入れた。

    (・・・・高貴な妃が、こんなに頬張るなんて、はしたないことなのに、陛下が口に入れるのだもの。仕方ないよね。)
    チラリとかすめた、お妃教育と李順さんの顔。
    見つかったら、小言しかでないであろう人の怖い顔が浮かんだが、
    次々と、押し込まれる苺の美味しさに霞んでしまった。

    そうこうしてるうちに、献上品の苺は、夕鈴が全部食べつくしてしまった。
    眉をへの字にして、申し訳なさそうに夕鈴が呟く・・・・
    「すいません。・・・・・陛下の分の苺まで、私が食べてしまいましたね。」
    「ごめんなさい。陛下も食べたかったでしょうに・・・・」
    『僕は、いいよ。もともと夕鈴に食べさせる為に持ってきたのだし・・・』
    『・・・・それに、僕はこっちがいい。』

    「えっ!?」
    そう言って、夕鈴を引き寄せて、頤(おとがい)を捕らえた。
    そのまま、素早く唇を重ねる。

    「・・・・・・ん・ん゛っ・・・ぁ・・・」

    甘く蕩ける口付けは、なかなか終わらない。
    腰砕けの夕鈴は、陛下の衣にかろうじて、震える指先で自分を支えた。

    「・・・・・っ」
    『確かに、甘いな。』
    『美味しかったよ。夕鈴。』
    頭上で陛下の甘く熱を帯びた危険な声がする。
    陛下は、満足げに苺(彼女)の味見の感想を囁く。
    その声は、真っ赤な苺のような顔をした夕鈴の耳には届かなかった。

    夕鈴には、届かない。
    熱く火照る身体を持て余し、陛下の口付けの余韻に甘く浸っていたのだから。

    ペロリと舐めあげた陛下の唇に、しっかりと夕鈴のピンクの口紅と甘い香りが移っていた。

    それを探しに来た優秀な側近が、見つけるまで・・・・・数刻。

    陛下の紅い瞳が煌めく。
    再び、塞がれた夕鈴の唇。

    黎翔は、先取りの春を味わう。

    甘酸っぱい苺の口付け・・・・

    大事な妃を腕に抱き、何度も・・・何度も・・・・苺の味を確かめるのだった。

    甘くて酸っぱい苺時間。
    それは、側近に見つかるまで続くのだった・・・



    最初からこれが狙い!?
    計画的犯行とみた☆

    【短編】現代パラレルor if ・大人風味『初日の出』※ラブラブです。

    今年になって最初の冬の海
    昇る旭に

    僕らは陽に向き合う

    誰も居ない海岸線
    砂浜に続く足跡は僕らだけ
    寄り添い歩く 二人の足跡

    少しずつ顔を覗かせる太陽の光は
    海面を輝かせ
    空に眩く昇ろうと照らす

    「わぁ・・・」
    『綺麗だね。』

    新しい年の幕開けにふさわしい美しい日の出に
    君は、素直な感動の声を零す

    はしばみ色した瞳は、旭に輝き
    白磁の肌は、光りを浴びて更に輝く
    嬉しそうな君の顔
    素直な感情を、表情豊かに表せる君がとても愛おしい。

    幾つ 年月を重ねても、何度 初日の出を見ようとも
    きっと、君を想う僕の気持ちは変わらない。

    潮風に靡く、色素の薄い金茶の髪が
    陽射しを浴びてキラキラと輝く・・・

    (ああ・・・綺麗だ。)

    君への変わらぬ想いも、君との幸せな未来も全て願う
    欲張りな僕は、君に対しては、貪欲だ。

    何においても、君を優先するだろう。
    この命さえも・・・

    旭の輝く波打ち際で、君を抱きしめて
    愛を誓う。
    囁かれた愛の言葉は、君に届いて抱きしめ返された。

    《ずっと・・・ずっと・・・この先もずっと、愛してる。》

    重ねた唇は、愛を確かめて・・・幾度と無く・・・

    明けたばかりの空の下

    海岸線の砂浜に二人の長い影が
    いつまでも・・・いつまでも・・・一つに重なっていた。

    【詩文】 if パラレル『忘却の甘さⅡ』※もしも、夕鈴が後宮を辞したら・・・



    君が 僕から去った
    あの日から ずっと。

    諦めた 手のひらを、
    何度も 何度も眺めた

    あの日、握り締めた僕の拳(こぶし)

    いったい僕がどんな想いで
    君を諦めたかなんて
    知ったら、きっと君は、後悔するよ。

    曖昧な関係にピリオドを・・・
    「さよなら」と言った君の潔さが

    僕には、羨ましいよ。
    僕には、眩しいよ。

    切り捨てられない重責が
    僕を苦しめる。

    何も考えずに
    君の手を取りたかったのに


    初めから君を
    追いかける資格なんて
    僕には無いのに

    君に甘えてたんだ
    君に甘えたかった

    優しく寄り添い
    微笑んでくれた。

    ーーーー君が忘れられない。

    今すぐ君を探し出して
    あの日をやり直したいんだ。

    手放すことが、最善の方法なんて
    なんでそんなことを思ったのだろう。

    君を守りきる方法なんて
    考えればいくらでもあったのに。

    振り向いた君の瞳に
    浮かんだ綺麗な涙が忘れられない。

    くりかえし・・・くりかえし・・・夢を見る
    君を追いかける夢

    くりかえし・・・くりかえし・・・夢を見た
    君を抱きしめる夢

    君に心から口付ける その時に
    いつも夢から覚める

    ・・・あの日から  ずっと。

    いるはずの無い日常に
    君の面影を探す毎日

    こんなにも、愛してるなんて
    今頃、気付くなんて

    手放した君の手が
    僕にとって宝物だったなんて・・・

    ーーーーもう遅すぎるのか?
    ーーーー僕たちの関係は?

    あの日から、やり直したい。
    今からでも、まだ間に合うだろうか?

    夢になんてするものか。
    僕の隣には君しかいない。

    君を探し出して
    もう僕は、君を離さない。     

    ずっと・・・永久(とわ)に


    2012年
    11月26日
    18:51 続きを読む

    【短編】 if パラレル『忘却の甘さ』※もしも、夕鈴が後宮を辞したら・・・

    切なすぎる甘い口付け
    忘却の彼方の遠い思い出
    忘れていた貴方の甘さに酔いしれて…

    逃げ切れるはずがないのに
    探し出されて
    貴方から奪われた唇

    震える口付けに
    忘却の彼方の初恋の甘さを思い出した。

    あの日、逃げるように
    後宮を去った私

    追いかけて欲しかったのに、
    貴方は追いかけてはくれなかった。

    チラリと振り向いた貴方の右腕は、私へと向けられたのに…
    ゆっくりと握られた拳に…
    その紅い瞳に、あきらめと運命(さだめ)を見て取れた

    出会ってしまった運命を呪い
    出会わなければよかったと後悔をした。

    国が大事なのはわかっていた
    私以外の誰かが隣に立つのを見たくなかった。

    それなのに・・・

    だから
    逃げたのに・・・

    今更、逃げた私に何の用があるの?
    抱き寄せられて貴方の腕の中で
    『帰ってきて欲しい』だなんて言わないで・・・

    貴方の瞳に囚われて
    貴方の思うがままの傀儡の妃はもう居ない。

    私から、貴方の許を去ったのだから・・・
    昔の私を 今に求めないで・・・

    『君がいないと僕はダメなんだ』
    そんな台詞で、私を翻弄しないでよ。

    貴方は、ずるいヒト。
    私のことなんてホントは、どうだっていいのに
    だって一度も本気の『愛している』を聞いていないもの。

    鍵つきの胸の奥にしまっておいた
    初恋がじくじく痛む
    忘れたはずの恋心は
    貴方との口付けで思い出してしまった。

    甘くて切なくて苦い恋心  この苦しみは貴方が再びもたらしたもの。

    ー完ー

    【短編】 if パラレル『大人になりたい』※もしも、黎翔が年下だったら・・・・

    ☆某シャンプーの宣伝で、閃いた。
    もしも、黎翔が年下だったら。
    if 設定。それでもよろしければどうぞ・・・・



    (やばい・・・はやく大人にならなくちゃ・・・・。)

    チラリと先ほど垣間見た君の姿が、僕の脳裏から離れない。
    どうしようもない焦燥感だけを煽らせる。

    巡る年月(としつき)を重ねても、縮まらない君と僕とのこの距離。

    ーーどうして僕は、君より後に生まれてしまったのだろうか。

    ーーどうして、僕は、君より先に生まれなかったのだろう。

    自分では、どうしようもない。
    年下という年齢差。
    いつまでも君から弟扱いの僕は、もどかしくて胸が痛い。

    『行かないで・・・夕鈴・・・』

    そう言って、後ろから抱きしめた愛する人は、
    いつの間にか僕の腕の中に、すっぽりと収まりっていて・・・・

    後ろから、柔らかな彼女の身体をぎゅっと抱きしめた。
    彼女の華奢な身体が小さく震える。

    こんなにも、背も肩もいつの間にか彼女を追い越していた。
    もう、君をしっかり守ることが出来るというのに
    君の中では、僕はいつまでも弟扱い。
    君の異性候補から外れるんだね。

    切ないよ・・・・夕鈴。

    こんなに、君の事を愛しているのに・・・・・

    近くて遠い僕の恋。

    だけど、このまま君が誰かの彼女になるのを
    ただ見ているなんて、僕には我慢出来ない。

    『僕以外の誰かのものにならないで・・・』

    僕の腕の中で、強張る君の身体。
    抱きしめる腕に力を込める。
    そのまま、夕鈴の耳朶に囁いた。

    『君が、好きだ。』
    『ずっとずっと昔から、夕鈴しか見えない。』

    「黎翔・・・何を・・・」

    『僕は、君しか愛せない。夕鈴しか要らない。』

    若い狼の迸(ほとばし)る熱い情熱は、彼女の琴線を揺さぶる。






    『急いで、大人になるから。』
    『夕鈴が認めてくれるような大人になるから・・・・』
    『だから、夕鈴。僕を待っててよ。』
    『僕のことを異性として見てよ。』

    耳元で囁かれた、黎翔の声は、切なく苦しげで
    夕鈴の胸を締め付ける。

    「・・・・黎翔。」

    戸惑い振り向いた夕鈴に、苦しげな真剣な瞳の黎翔の顔。

    至近距離で向かい合う彼は、いつもの年下らしさは無くて・・・・

    見知らぬ一人の
    緋色の瞳の彼女に思慕を寄せる男。

    絡みあう、二つの視線。
    真っ直ぐな黎翔の強い想いに、夕鈴は絆(ほだ)されてしまいそう・・・





    鈍(にぶ)い夕鈴は、気付かない。

    黎翔の突然の愛の告白は、
    先ほどまで一緒に居た 夕鈴の幼なじみが、
    彼女の肩を引き寄せて、じゃれあい耳元で何かを囁いていた。
    その姿を見られていたということに。

    黎翔がどんな想いで、それを見ていたのかを・・・・・。


    …はたして、黎翔の恋の行くえは!?



    ー完ー


    2012年
    12月03日
    06:31

    【詩文】 if パラレル『秋便り』※もしも、一年後の約束

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    真っ赤に輝く
    照り葉の色に

    燃えゆく秋の彩り
    吹く風は優しく

    貴方の便りを
    運んできた

    元気で居ると
    噂で知った



    逢瀬を重ねた・・・春の頃

    熱く口付けた・・・夏の夕べ

    そして・・・しばしの別れ

    そして、今は秋。

    黄昏(たそがれ)る陽に
    赤く紅い色紅葉(いろもみじ)

    貴方の瞳の色を思い出す
    鮮やかな紅

    『必ず迎えに行く』

    貴方の言葉が蘇る








    『…もうすぐ、逢える』

    約束の夏より早い
    草・芽吹き 花・咲く 春の季節に

    震える予感に 心が熱くなる

    春まで
    ・・・あともう少し

    約束の日を
    指折り数えて

    私は、貴方を待とう。


    2012年
    11月29日
    16:31

    【短編】恋人・黎&夕『誓い』※甘やか



    頭上を埋め尽くした
    冴えた幾万の星々の輝き

    黒曜石の宇宙に
    一つとて、同じ煌めきの無い
    美しい星々を貴方と二人で眺める

    背中から伝わる貴方のぬくもりに
    幸せに包まれながら 見上げた空は
    吸い込まれそうに美しくて・・・・切なくて・・・・

    『寒くないか夕鈴。』

    背中越し 耳元で囁かれる
    私を気遣う 貴方の言葉に
    私の胸が熱くなる 

    「大丈夫です。陛下が温めてくるから。」

    『そうか』
    『私も温かい。君を抱き締めているからな。』

    肌寒い夜風に 震えることなく、二人で見上げる
    幸せいっぱいの天体観測。

    過ぎゆく時さえ、幸せを感じる。
    絡めあう指先から、ぬくもりだけでない
    愛し合う気持ちまで溢れてくる。

    どちらともなく二人 微笑みあい
    啄まれ 交わされる口付け…
    柔らかなまなざしが交わされる

    『夕鈴、君を愛してる。』
    『今まで幾星霜の年月を君と過ごしてきたことか、これからも君を離さないと誓おう。』
    『この命尽きるまで、私の元から離れるな。』

    「陛下…」
    「私も、陛下だけををお慕いしております。」
    「貴方のお側を離れないと、私も誓います。」
    「どうか、私の命尽きるまで、お側に置いてくださいませ・・・。」

    降る星のごとく交わされた約束の口付けは甘く
    契られ交わされるその心は変わることなく 
    二人の胸に甘やかな記憶として刻まれる・・・・

    その誓いのままに・・・・命尽きるその時まで・・・




    2012年
    11月14日
    16:35

    【短編】『雨情の四珂 ~幸福の言霊~ 』 プロポーズの日

    とくん・・・とくん
    触れ合う二人の熱が融和する。

    とくん・・・とくん・・・
    肌寒い空気に、貴方の熱が心地良くて・・・

    貴方に身をゆだねながら
    やわらかな時間だけが、流れ落ちる。

    四珂の外は、しとしと とした雨。
    雨にけぶる景色は
    時間が止まったかのように見える
    音もなく濡れ落ちる雨の
    池の波紋を見ながら、
    二人は、お互いの体温だけを感じていた。

    『ゆうりん』
    『・・・はい、陛下』

    四珂の池が正面に見える長いすに
    二人、寝そべるようにして
    お互いがお互いを抱き合い
    寄り添いながら
    ひそやかに囁きあう

    『夕鈴、今は二人っきりだよ。』
    『人払いは、とっくにしている。』
    『誰も居ない。名前で呼んでくれ。』
    『・・・はい、黎翔さま。』
    お互いの体温を感じながら、囁きあう。


    黎翔の胸に添えた夕鈴の手のぬくもりが伝わる
    『私の顔をみてくれないか?』
    いつになく、硬いふるえる声色で夕鈴に懇願する
    『・・・はい、黎翔さま。』

    夕鈴が顔を上げた時
    そこにいたのは、子犬とも狼とも違う上気した顔の黎翔だった。
    黎翔の紅い瞳には、いつにない緊張が見て取れて

    『黎翔さま?』
    瞳に引き込まれた夕鈴にも緊張の色が混じる。

    『待たせたな、夕鈴。』
    『生涯を君に尽くそう。』
    『本物の妃になってくれないか?』

    『・・・!!!』
    『はい。黎翔様』

    待ち望んだ言葉に、
    頬どころか耳まで薔薇色に染まり
    黎翔の胸に顔をうずめた夕鈴の瞳には
    一粒の涙が光っていた。

    【書庫】短編『 if 設定 黎翔&夕鈴』 

    -短編500IF薔薇


    こちらは、if シリーズ・短編を収めた書庫室です。
    こちらは、珀 黎翔陛下と汀 夕鈴妃の物語。本誌より関係性を進めているものが主です。
    閲覧には、ご注意ください。
    続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。



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