花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【一纏め長編】パラレルメルヘン『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー』





    ちょっとびっくりな未来夫婦設定。それでもよろしければ、どぞ。


    ☆【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー Ⅰ 』
     ※注意!!!パラレル・捏造あり。

    昔、月には兎が二羽いたのだといういう。

    瞳は、金色
    金銀(きんぎん)の燐分(りんぷん)のような光を纏(まと)う
    純白の白い毛皮を持つ 優しい満月うさぎ

    仲良しうさぎは、いつも一緒
    平和な輝く金色の月の野原で
    夫婦仲良く二羽暮らしてた。

    或る晩、事件は突然起きた
    一羽が地上に落っこちた。
    いつも一緒だった満月うさぎ

    地上に落ちたその一羽 
    落ちた月のうさぎは涙を溢す

    月の連れ合いに会いたくて
    毎日・・毎日・・月を見上げて
    泣き濡れた

    いつの間にやら、地上の満月うさぎ
    真っ赤な瞳の兎になった。
    毛皮の金銀の纏(まと)う光は消えうせて
    ただの白い毛皮になった。
    もう地上の兎と見分けがつかない。

    地上に落ちた満月うさぎ
    今も輝く望月の夜に、月を見上げ泣き濡れる
    望月兎になってしまった。

    もう戻りたくても戻れない・・・。
    月に輝く金色の野原へ
    大好きな伴侶の君のもとへ
    見上げる綺麗な望月に
    半身の満月うさぎの愛しい姿。

    望月兎の潤む瞳は、いつから真っ赤になったのやら。

    地面に落ちた望月兎の涙は、
    昔と同じ金色だったという。





    月のうさぎも泣き濡れる
    空から、毎夜己の伴侶を捜し地上を覗き見る

    満月うさぎの金色の涙は、
    月光となって地上に降る

    望月兎は、それを知り 更に泣き濡れ
    赤から紅へと瞳の色をまた変えた



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    『兎の目が紅い兎は、もしかして望月兎かもしれないよ。』

    はるか昔、幼い自分に御伽噺(おとぎばなし)を話してくれた。
    おぼろげな夢。

    漆黒の髪、紅い瞳。
    年上の優しい男の子。
    名前も知らないはるか彼方の昔の記憶

    『僕も半身を捜しているから瞳が紅くなったのかな。』

    おどけて、満月のすすき野原で、月を背にして私に笑った。
    甘酸っぱい・・・おぼろげな或る月夜の記憶。

    こんな綺麗な月夜には、あの子のことを思い出す。

    今夜は望月、満月の夜。
    漆黒の夜空に、金銀の光りを纏う綺麗な月が輝いていた。



    2012.09.30.さくらぱん







    ☆【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー Ⅱ 』
     ※注意!!!パラレル・捏造あり。



    夕鈴は、後宮の自室に面した庭にて、綺麗な望月を眺めていた。

    輝く満月は、漆黒の空に丸い金粉のような光を濃く纏(まと)い
    綺麗な姿でぽっかり浮かぶ。

    (月には、満月うさぎが、いるのだっけ・・・・)

    昔、一度だけ会った或る男の子に聞いた御伽噺(おとぎばなし)が蘇る・・・・

    (あの子は、もしかして・・・)

    夢の記憶を手繰り寄せたら、不思議な縁(えにし)にたどり着く・・・

    つらつらとそんなことを考えながら夕鈴は月を眺める

    後宮の庭に植えられた。

    白い萩と紅い萩が仲良く並んで、秋風に優しく揺れていた。



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけられた外套と背中から抱きしめられた夫のぬくもり。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    背中に感じるぬくもりは、大好きな貴方の体温。
    最愛の夫に抱きしめられた腕の中で、月を見上げて夕鈴は幸せを感じる。

    「心配かけてごめんなさい。」

    『夕鈴、冷たい夜風は君とお腹の子に悪い。』

    『庭でのお月見は終わらせて、早く部屋へ戻ろう…』
    『部屋からでも、綺麗に見えるよ』

    「分かりました。  ・・・・でも、もう少しだけいいですか?」
    「ここで眺めていたいのです。」

    『・・・・。』
    『・・・・・分かった。少しだけだよ、夕鈴。』

    「ありがとうございます。」

    耳朶に触れるだけの優しい口付けをしながら、黎翔は、夕鈴に囁いた。

    そのまま、目立ち始めた夕鈴のお腹をいたわるように黎翔は優しく背中を暖め抱きしめる。

    『夕鈴、身体は大丈夫か?』
    『どこか、辛くはないか?』

    「黎翔様、大丈夫ですよ。」
    「病気でないのですから、多少運動したほうが、元気なお子が産まれるようですよ。」
    「毎日、心配しすぎです。」

    『でも、私は心配なんだ。』
    『君の身体も、お腹の子も。』

    「・・・・黎翔様。」

    優しい夫からのいたわりの優しい囁きと
    愛しさに溢れた触れるだけの口付け

    (黎翔様。・・・こんなにも私は、貴方に愛されている。)

    降る月光のような黎翔の愛は、夕鈴の内から身体を暖める
    そのまま、二人の愛の結晶が育つ
    夕鈴のお腹を護るようにだきしめている夫の手に自らの手を重ねる。

    「黎翔様・・・・夕鈴は、幸せです。」
    「こんなにも、貴方に愛されて・・・・」

    『私も、幸せなんだ、夕鈴。』
    『君もお腹の子も愛しているよ。』
    『愛する人が側にいて、家族が増える。』
    『これ以上、幸せなことがあるのだろうか?』

    「黎翔様・・・・・私も、貴方を愛しています。」

    『ありがとう。夕鈴。』

    黎翔は、夕鈴の肩越しに目立ち始めた妻のお腹をさする。

    『早く会いたいな。』
    『どっちかな。女の子がいいな。夕鈴みたいな女の子。』

    「わたしは、どっちでも良いです。」
    「元気なお子が産まれれば・・・・」

    『そうだね。どっちでもかわいいね。』
    『君と私の子なのだから・・・』

    どちらともなく
    肩越しに交わされた口付けは、優しい愛の口付けだった。
    溢れる愛と幸せが二人をつつむ。

    『元気な子を産んでくれ、夕鈴。』
    「・・・はい。黎翔様。」

    交わされる約束と願い。

    金色の月が二人を祝福する。・・・・・月光が降る・・・・・月光が降る


                    ー完ー


    ☆【短編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー おまけ 』

    『夕鈴、もうそろそろいいだろう?』
    『・・・・部屋に戻ろう。』

    「はい。黎翔様。」

    肩を抱かれて、部屋へと歩き出す。
    ふと、名残惜しく見上げた空に
    綺麗な満月の姿・・・・そこに見つけた満月うさぎの黒い影。

    「・・・あら?」

    夕鈴は、立ち止まりまじまじと望月を見上げた。

    『夕鈴、どうしたの?』

    「月が・・・・」

    『ん?・・・・ああ、綺麗な月だね。月がどうしたの?』

    「満月うさぎが、望月に二羽。」

    『夕鈴、満月うさぎのお話知ってるの?』

    「はい。」

    『その後の続きの話は?』

    「いいえ。知りません。続きあるんですか?」

    『あまりに、嘆くうさぎを可愛そうに思った神様が、
    望月兎を救いあげて月に帰してあげたんだって。
    今は幸せに、二羽とも月に住んでいるって話。

    時々、満月うさぎの姿が三羽みえるって話だよ。
    もしかしたら
    満月うさぎも僕たちみたいに、家族ができたのかもしれないね。』

    そういって、満月を背に笑う夫は、いつか見た面影と重なった。



                      ―完―




    【短編】『満月うさぎ・望月兎・おまけ2・ー君の香りー』


    いつもの時間に夕鈴の自室に訪れた黎翔は、
    自室に愛しい妻の姿が、見えないことに気付いた。


    身重の身体が、気になる。
    いったいどこへ、行ったのか?


    開け放たれた、庭へと続く窓辺の扉が少しだけ開いていた。
    隙間から、差し込む 明るい月の光。

    そこから、夜の芳香が部屋中に香る

    夜に艶めく純白の百合・月下香の
    濃厚で複雑なエキゾチックな甘い香り

    ジャスミンのように濃厚で完熟した葡萄のような強い芳香

    月下香の芳香は、夜になると強さを増す
    夜に愛されし、神秘の香り・・・

    いつしか、香りを辿るように、夕鈴の姿を探していた。
    庭へと続く扉を黎翔は、解き放つ・・・

    開放したとたんに、更に濃く艶めく濃厚な夜の香り
    私の心をかき乱す甘い夜の芳香

    たなびく魅惑の香りの軌跡を辿る
    たぶん夕鈴が歩いたであろう道を

    何故か月下香の咲く場所に、夕鈴は居ると確信していた。
    黎翔の足は、迷いなく進む。

    鼻(ね)で辿る  不思議な引力に引き寄せられる

    月下香の咲き乱れる 白亜の四苛の近くで
    月に照らされた愛しい妻の姿を黎翔は、見つけた。

    金色の砂が降るような月の光を浴びて輝く
    愛しい妻は、まるで女神のように佇む

    月を見上げる、夢見る瞳は潤み。
    背に垂らされた金茶の髪がうねりながら流れ落ちる。
    月光の光りを弾き、自ら光りを放つかのよう。

    神聖な母性の目覚めが、神秘的で優しい雰囲気をかもし出していた。
    甘くときめかす濃厚な月下香の芳香の中で、佇む。
    夜に艶めく月下美人のような楚々とした神秘的なその姿。

    穢れ無き純白の美しさと神秘性、そして透明感のある甘い艶めき

    彼女はまだ僕に気付かない。
    何を思ってそんなに熱心に月を見つめているのか?


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけた外套ごと、君を抱きしめた。
    とたんに、感じる抱きしめた妻のぬくもり。
    熱を感じて
    黎翔の内側から、愛しいという想いが溢れる。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    君の首筋から君の本来の香り、夜来香(イエライシャ)の香
    やわらかで透明感のある上品な甘さ
    心を静める不思議な香に僕の心が安らぐ。

    ・・・・・愛しさが溢れ出す。
    ・・・・・君が愛しくてたまらない。
    抱き寄せて、口付ける。
    君の香りが大好きで、頬に口付け、耳朶に甘い言葉を囁く

    君の夜来香(イエライシャ)の香りと濃厚な月下香の強い芳香に
    クラクラと
    軽い酩酊感。
    美しき我が妻・・・・月下美人に酔いしれる

    三つの花の共通点。
    どれも月に愛された夜に艶めく愛の花 

    芳醇な香気を放つ君に酔いしれる
    夢のような幸せに酔う。

    きっと僕は君が夜に隠れても、今日のように見つけ出せる
    君の艶めく香りは、夜の帳には、隠し切れないのだから・・・。

    2012.10.01さくらぱん


                      ―完―

              

    ー『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー』完ー


    ※長文お読みいただきまして、ありがとうございます。
                                  2012.10.02. さくらぱん
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    【短編】 if メルヘンパラレル 『満月うさぎ・望月兎・おまけ2・ー君の香りー』

    いつもの時間に夕鈴の自室に訪れた黎翔は、
    自室に愛しい妻の姿が、見えないことに気付いた。

    身重の身体が、気になる。
    いったいどこへ、行ったのか?


    開け放たれた、庭へと続く窓辺の扉が少しだけ開いていた。
    隙間から、差し込む 明るい月の光。

    そこから、夜の芳香が部屋中に香る

    夜に艶めく純白の百合・月下香の
    濃厚で複雑なエキゾチックな甘い香り

    ジャスミンのように濃厚で完熟した葡萄のような強い芳香

    月下香の芳香は、夜になると強さを増す
    夜に愛されし、神秘の香り・・・

    いつしか、香りを辿るように、夕鈴の姿を探していた。
    庭へと続く扉を黎翔は、解き放つ・・・

    開放したとたんに、更に濃く艶めく濃厚な夜の香り
    私の心をかき乱す甘い夜の芳香

    たなびく魅惑の香りの軌跡を辿る
    たぶん夕鈴が歩いたであろう道を

    何故か月下香の咲く場所に、夕鈴は居ると確信していた。
    黎翔の足は、迷いなく進む。

    鼻(ね)で辿る  不思議な引力に引き寄せられる

    月下香の咲き乱れる 白亜の四苛の近くで
    月に照らされた愛しい妻の姿を黎翔は、見つけた。

    金色の砂が降るような月の光を浴びて輝く
    愛しい妻は、まるで女神のように佇む

    月を見上げる、夢見る瞳は潤み。
    背に垂らされた金茶の髪がうねりながら流れ落ちる。
    月光の光りを弾き、自ら光りを放つかのよう。

    神聖な母性の目覚めが、神秘的で優しい雰囲気をかもし出していた。
    甘くときめかす濃厚な月下香の芳香の中で、佇む。
    夜に艶めく月下美人のような楚々とした神秘的なその姿。

    穢れ無き純白の美しさと神秘性、そして透明感のある甘い艶めき

    彼女はまだ僕に気付かない。
    何を思ってそんなに熱心に月を見つめているのか?


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけた外套ごと、君を抱きしめた。
    とたんに、感じる抱きしめた妻のぬくもり。
    熱を感じて
    黎翔の内側から、愛しいという想いが溢れる。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    君の首筋から君の本来の香り、夜来香(イエライシャ)の香
    やわらかで透明感のある上品な甘さ
    心を静める不思議な香に僕の心が安らぐ。

    ・・・・・愛しさが溢れ出す。
    ・・・・・君が愛しくてたまらない。
    抱き寄せて、口付ける。
    君の香りが大好きで、頬に口付け、耳朶に甘い言葉を囁く

    君の夜来香(イエライシャ)の香りと濃厚な月下香の強い芳香に
    クラクラと
    軽い酩酊感。
    美しき我が妻・・・・月下美人に酔いしれる

    三つの花の共通点。
    どれも月に愛された夜に艶めく愛の花 

    芳醇な香気を放つ君に酔いしれる
    夢のような幸せに酔う。

    きっと僕は君が夜に隠れても、今日のように見つけ出せる
    君の艶めく香りは、夜の帳には、隠し切れないのだから・・・。

    2012.10.01さくらぱん

                ―完―


    ー『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー』完ー

    ※長文お読みいただきまして、ありがとうございます。
                                  2012.10.02. さくらぱん


    【短編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー おまけ 』

    『夕鈴、もうそろそろいいだろう?』
    『・・・・部屋に戻ろう。』

    「はい。黎翔様。」

    肩を抱かれて、部屋へと歩き出す。
    ふと、名残惜しく見上げた空に
    綺麗な満月の姿・・・・そこに見つけた満月うさぎの黒い影。

    「・・・あら?」

    夕鈴は、立ち止まりまじまじと望月を見上げた。

    『夕鈴、どうしたの?』

    「月が・・・・」

    『ん?・・・・ああ、綺麗な月だね。月がどうしたの?』

    「満月うさぎが、望月に二羽。」

    『夕鈴、満月うさぎのお話知ってるの?』

    「はい。」

    『その後の続きの話は?』

    「いいえ。知りません。続きあるんですか?」

    『あまりに、嘆くうさぎを可愛そうに思った神様が、
    望月兎を救いあげて月に帰してあげたんだって。
    今は幸せに、二羽とも月に住んでいるって話。

    時々、満月うさぎの姿が三羽みえるって話だよ。
    もしかしたら
    満月うさぎも僕たちみたいに、家族ができたのかもしれないね。』

    そういって、満月を背に笑う夫は、いつか見た面影と重なった。



                      ―完―

    【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー 2 』

    夕鈴は、後宮の自室に面した庭にて、綺麗な望月を眺めていた。

    輝く満月は、漆黒の空に丸い金粉のような光を濃く纏(まと)い
    綺麗な姿でぽっかり浮かぶ。

    (月には、満月うさぎが、いるのだっけ・・・・)

    昔、一度だけ会った或る男の子に聞いた御伽噺(おとぎばなし)が蘇る・・・・

    (あの子は、もしかして・・・)

    夢の記憶を手繰り寄せたら、不思議な縁(えにし)にたどり着く・・・

    つらつらとそんなことを考えながら夕鈴は月を眺める

    後宮の庭に植えられた。

    白い萩と紅い萩が仲良く並んで、秋風に優しく揺れていた。



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    『・・・夕鈴・・・』

    ふぁさりと肩にかけられた外套と背中から抱きしめられた夫のぬくもり。

    『自室に居なかったから、心配した。』

    背中に感じるぬくもりは、大好きな貴方の体温。
    最愛の夫に抱きしめられた腕の中で、月を見上げて夕鈴は幸せを感じる。

    「心配かけてごめんなさい。」

    『夕鈴、冷たい夜風は君とお腹の子に悪い。』

    『庭でのお月見は終わらせて、早く部屋へ戻ろう…』
    『部屋からでも、綺麗に見えるよ』

    「分かりました。  ・・・・でも、もう少しだけいいですか?」
    「ここで眺めていたいのです。」

    『・・・・。』
    『・・・・・分かった。少しだけだよ、夕鈴。』

    「ありがとうございます。」

    耳朶に触れるだけの優しい口付けをしながら、黎翔は、夕鈴に囁いた。

    そのまま、目立ち始めた夕鈴のお腹をいたわるように黎翔は優しく背中を暖め抱きしめる。

    『夕鈴、身体は大丈夫か?』
    『どこか、辛くはないか?』

    「黎翔様、大丈夫ですよ。」
    「病気でないのですから、多少運動したほうが、元気なお子が産まれるようですよ。」
    「毎日、心配しすぎです。」

    『でも、私は心配なんだ。』
    『君の身体も、お腹の子も。』

    「・・・・黎翔様。」

    優しい夫からのいたわりの優しい囁きと
    愛しさに溢れた触れるだけの口付け

    (黎翔様。・・・こんなにも私は、貴方に愛されている。)

    降る月光のような黎翔の愛は、夕鈴の内から身体を暖める
    そのまま、二人の愛の結晶が育つ
    夕鈴のお腹を護るようにだきしめている夫の手に自らの手を重ねる。

    「黎翔様・・・・夕鈴は、幸せです。」
    「こんなにも、貴方に愛されて・・・・」

    『私も、幸せなんだ、夕鈴。』
    『君もお腹の子も愛しているよ。』
    『愛する人が側にいて、家族が増える。』
    『これ以上、幸せなことがあるのだろうか?』

    「黎翔様・・・・・私も、貴方を愛しています。」

    『ありがとう。夕鈴。』

    黎翔は、夕鈴の肩越しに目立ち始めた妻のお腹をさする。

    『早く会いたいな。』
    『どっちかな。女の子がいいな。夕鈴みたいな女の子。』

    「わたしは、どっちでも良いです。」
    「元気なお子が産まれれば・・・・」

    『そうだね。どっちでもかわいいね。』
    『君と私の子なのだから・・・』

    どちらともなく
    肩越しに交わされた口付けは、優しい愛の口付けだった。
    溢れる愛と幸せが二人をつつむ。

    『元気な子を産んでくれ、夕鈴。』
    「・・・はい。黎翔様。」

    交わされる約束と願い。

    金色の月が二人を祝福する。・・・・・月光が降る・・・・・月光が降る


                    ー満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎ・完ー

    ☆【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー 1 』

    昔、月には兎が二羽いたのだといういう。

    瞳は、金色
    金銀(きんぎん)の燐分(りんぷん)のような光を纏(まと)う
    純白の白い毛皮を持つ 優しい満月うさぎ

    仲良しうさぎは、いつも一緒
    平和な輝く金色の月の野原で
    夫婦仲良く二羽暮らしてた。

    或る晩、事件は突然起きた
    一羽が地上に落っこちた。
    いつも一緒だった満月うさぎ

    地上に落ちたその一羽 
    落ちた月のうさぎは涙を溢す

    月の連れ合いに会いたくて
    毎日・・毎日・・月を見上げて
    泣き濡れた

    いつの間にやら、地上の満月うさぎ
    真っ赤な瞳の兎になった。
    毛皮の金銀の纏(まと)う光は消えうせて
    ただの白い毛皮になった。
    もう地上の兎と見分けがつかない。

    地上に落ちた満月うさぎ
    今も輝く望月の夜に、月を見上げ泣き濡れる
    望月兎になってしまった。

    もう戻りたくても戻れない・・・。
    月に輝く金色の野原へ
    大好きな伴侶の君のもとへ
    見上げる綺麗な望月に
    半身の満月うさぎの愛しい姿。

    望月兎の潤む瞳は、いつから真っ赤になったのやら。

    地面に落ちた望月兎の涙は、
    昔と同じ金色だったという。





    月のうさぎも泣き濡れる
    空から、毎夜己の伴侶を捜し地上を覗き見る

    満月うさぎの金色の涙は、
    月光となって地上に降る

    望月兎は、それを知り 更に泣き濡れ
    赤から紅へと瞳の色をまた変えた

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    『兎の目が紅い兎は、もしかして望月兎かもしれないよ。』

    はるか昔、幼い自分に御伽噺(おとぎばなし)を話してくれた。
    おぼろげな夢。

    漆黒の髪、紅い瞳。
    年上の優しい男の子。
    名前も知らないはるか彼方の昔の記憶

    『僕も半身を捜しているから瞳が紅くなったのかな。』

    おどけて、満月のすすき野原で、月を背にして私に笑った。
    甘酸っぱい・・・おぼろげな或る月夜の記憶。

    こんな綺麗な月夜には、あの子のことを思い出す。

    今夜は望月、満月の夜。
    漆黒の夜空に、金銀の光りを纏う綺麗な月が輝いていた。


    2012.09.30.さくらぱん


    『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー 』・・・はじめに

    if メルヘンパラレル 『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー 』
    ※もしも、夕鈴が妊娠したら・・・

    《某白友さんへの贈答品》

    ※大切な白友・深見さんに、捧げたいと思います。
    サイトのほうでの【おめでた】という、とても幸せなお知らせに、さくらぱんも嬉しくなりました。
    これから、しばらくお会いできなくて寂しいですが、リアルでの大切なお仕事を頑張ってほしいです。
    ・・・・というわけで、パラレル。捏造です。

    ちょっとびっくりな未来夫婦設定。それでもよろしければ、どぞ。

                                  2012.10.02. さくらぱん



    2012.10.02. ☆【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー Ⅰ 』
    2012.10.02.【長編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー Ⅱ 』
    2012.10.02. 【短編】『満月うさぎ・望月兎ーまんげつうさぎ・もちづきうさぎー おまけ 』
    2012.10.02. 【短編】 if メルヘンパラレル 『満月うさぎ・望月兎・おまけ2・ー君の香りー』