花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    カテゴリ:【長編】重陽の節句 ーちょうようのせっくー の記事一覧

    【書庫】完『重陽の節句ーちょうようのせっくー』※一部大人味・・・・はじめに

    『重陽の節句ーちょうようのせっくー』※一部大人味
     
    重陽の節句・宴黎翔 


    【宴前日編】 2012.09.09.up
    【短編】『重陽の節句』の前夜 
    【短編】『重陽の節句・当日の朝』
    【短編】『重陽の節句・午前の政務室1』
    【短編】『重陽の節句・午前の政務室2』
    【短編】『重陽の節句・政務室3』
    【短編】『重陽の節句・四阿にて』

    【重陽の宴編】 2012.09.09.up.
    【短編】『重陽の節句ー宴前ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴1ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴2ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴3ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴4ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴5ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴6ー』
    【長編】『重陽の節句ー宴7ー』

    【重陽の宴 その後編※一部大人味】 2012.09.09.up.
    【短編】『重陽の節句ー宴の後ー』
    【長編】『重陽の節句―緋の衣編1―』
    【長編】大人風味『重陽の節句―緋の衣編2―』 ※要注意!!!大人風味!!!
    【長編】大人味『重陽の節句―緋の衣3―』 ※要注意!!!大人味!!!

    【菊花編】 2012.09.10.up
    【短編】大人風味『明けの明星』重陽の節句の次の日の朝  
    【長編】『菊花1』重陽の節句の次の日
    【長編】『菊花2』重陽の節句の次の日
    【長編】『菊花3』重陽の節句の次の日
    【長編】『菊花4』重陽の節句の次の日
    【長編】『菊花5』重陽の節句の次の日
    【長編】『菊花6』重陽の節句の次の日
    完【長編】『菊花7』重陽の節句の次の日

    【花】 2013.12.16.up
    【短編】大人風味『重陽の節句 花 』  二年目の重陽の節句  


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    【短編】『重陽の節句』の前夜

    『夕鈴、ほんとごめん。』
    『明日の《重陽の節句》だけは、女人禁制なんだ。』
    『菊の節句と聞いて楽しみにしていたのだろうけど・・・』
    『ほんとに、ごめん。』

    「陛下そんなに謝らなくても・・・」
    「《菊の節句》と聞いて、勘違いした私が悪いのです。」

    「どうか、陛下お気になさらずに・・・・・・」

    夜、夕鈴の元を訪れた陛下に前々から気になっていた。
    《菊の節句》なるものを、聞いてみた・・・。

    まさか、女人禁制の宴だったとは・・・
    密かに準備され、妃・・・侍女さえも知らない。

    謎の禁制の宴に、ゆうりんは興味は湧いた。

    ・・・・がよほど陛下は触れられたくないのか、
    この話はコレで打ち切られてしまった。

    ・・・・・・《重陽の節句》は、明日に迫っていた。

    【短編】『重陽の節句・当日の朝』

    『今日は、申し訳ありません。』

    『夕鈴様、本日は後宮のみにてお過ごししていただきます。』

    『今日は、重陽の節句・9月9日。』

    『陽の気が、満ちる日とされています。』

    『隠の気をもつ女性が、王宮を乱す訳にはなりません。』

    『王の渡りも今日は、無いと思われます。』

    『後宮以外の仕事は、宦官達が動いております。』

    『私どもも、後宮のみで過ごします。』

    『それ以外は、いつもと変わらなくお過ごしくださいませ。』

    (下町では、普通に この日を過ごしていたのだけどな…)

    別名・観菊の節句の今日は、下町の軒下に丹精こめた菊の鉢が並び
    町並みは、菊花に彩られる。
    あまりにも違う過ごしかたに、夕鈴は戸惑いを隠せない。

    夕鈴の初めての重陽の節句の朝は、朝日に輝く雲一つない青空だった。

    【短編】『重陽の節句・午前の政務室1』

    はぁ~~~

    陰鬱な黎翔のため息が政務室に響く。

    『今日は、やる気が起きない。』

    『夕鈴にも会えないし、…』

    『宴も出たくない…』

    『出たくないなぁ… (サボるか )』

    「陛下、重陽の節句の夜の宴は、重要な宮中行事です。サボれませんからね。」

    李順から、しっかり先手をうたれ、黎翔は、更に陰鬱な気持ちになったのだった…

    (そこまで、嫌がる宴って…いったいどんな宴なのかしらね。ニヤリ…。さくらぱん談。)

    【短編】『重陽の節句・午前の政務室2』

    『無駄だとおもわないか?李順。』

    書簡を一つずつ決済の印を押しながら…

    黎翔は、李順に問いかけた。

    『そもそも、明け方前から待機する、朝日を浴びる為の儀式からというのが無駄だとおもう。削ってもいい。』

    グリグリと花押を書く筆を硯の中で、遊び始めた。

    『おまけに、重陽の宴は、深夜まで…疲れるとは思わないか?』

    「お言葉ですが…陛下、賛同しかねます。」

    「早朝の儀式は、明け方太陽の一番強い陽の気を王が浴びる儀式です。」

    「陛下の御代が、続くように願う儀式です。」

    「…そのために、昨夜は、いつもより政務時間を早く切り上げたはず…」

    「まさか、早く切り上げたから、夕鈴殿のところで、長居してませんよね!?陛下。」

    『・・・・・・。』

    陛下の沈黙が、答えだった。

    【短編】『重陽の節句・政務室3』

    「陛下、方淵が重陽の宴の進展状況の報告に来ています。」

    「報告させますので、嫌がらず聞いてくださいね。」

    あまりに、やる気のない陛下の態度に、青筋をたてながら、李順が、釘をさす。

    「陛下、ご報告にあがりました。」

    『ご苦労、方淵。』

    「滞りなく準備は進んでおります。」

    「のちほど、今年一番の菊花を陛下の部屋にお届けいたします。」

    「今年の花は、昨年より、香り良く、大輪でございます。」

    「陛下の御髪にきっと、映えるでしょう。」

    『方淵、その菊花、妃に届けよ。』

    『私には、二番目でよい。』

    「は?…しかしながら…」

    『申しつけたぞ…』

    『…しばし待て』

    サラサラと筆をしたため、方淵に渡す。

    『菊花と共に、妃にこれを届けるように』

    「分かりました。」

    多少の変更はあるものの…宴の準備は、着々と進んでいく。

    【短編】『重陽の節句・四阿にて』

    野菊の咲く四阿にて、午前のお茶を過ごす夕鈴のもとに、
    その菊花は届けられた。

    一本仕立ての大輪花。
    陛下からの文と共に、豪華な菊は香り高い高貴な香りを放っていた。

    夕鈴が、陛下からの文に目を通すと、頬が綺麗な朱に染まった。
    そのまま・・・隣の女官長に文を渡す。

    『読んで・・・・』

    「いいのですか?夕鈴様宛でございましょう?」

    『・・・いいの。あなたにも、関係あるから・・・どうぞ。』

    「はい。・・・では、失礼して。」




    《夕鈴、一人で寂しい思いをしていないか?》

    《私は、君に会えなくて寂しい》

    《少しでもの慰めに菊花を贈る》

    《今年一番の菊花だそうだ》

    《私も明日、君と愛でよう》

    《明日、私が君の髪に飾ろう》

    《明日、楽しみにしている》

    《私の愛する夕鈴へ  黎翔》


    「まぁぁ・・・愛されておりますね。夕鈴様。」

    「承りました。明日の手配そのようにいたします。」

    黄金に咲き誇り、高貴な香薫を放つ菊花を愛でながら・・・
    女官長は、明日の衣装を考えるのだった。

    【短編】『重陽の節句ー宴前ー』

    重陽の節句・宴黎翔 


    「陛下、お仕度整いましてございます。」

    黎翔付きの宦官の言葉に 黎翔は、ゆっくりと瞳を開けた。
    上瞼に縁取られた朱赤の色が、瞳の色に映えた。

    もうすぐ、《重陽の宴》が始まる・・・

    しばらく、着付けの為に宦官たちに任せていた身体をゆっくりと動かす。
    強張った身体は、素直に夕鈴を求めていた。

    花首を手折られた菊の鉢が目にとまる。
    菊花は黎翔の高く一つに結われた髪に、挿してあった

    大輪の細い花弁が幾つも連なった黄色い菊花は、
    黎翔の漆黒の髪に香薫を振り撒きながら咲き綻ぶ。
    高貴なる菊の香りが、黎翔の身体に移る

    濃紺染めの麻の衣と墨染めの麻の衣を二重仕立てにした
    黎翔の二重の衣に
    金彩の綾錦。
    四神の刺繍が繊細に施してある腰帯を身につけ、儀式用の陰陽の太刀を腰に二本穿く。
    大降りの金の細工は、陽の大太刀
    少し小ぶりの銀の細工は、陰の太刀
    その姿に、ゆったりとした朱赤の錦の外套を肩に羽織らせ、
    黎翔の宴の準備は、整った。

    王宮に時を告げる銅鑼がなる
    《重陽の宴》が始まる時刻だった。

    『・・・参る』

    黎翔の言葉に、先触れ役の宦官が走る。

    ゆったりと衣を引きながら、黎翔は《重陽の宴》へと歩を進めた。

    【長編】『重陽の節句ー宴1ー』

    闇夜に咲く月下美人に集う羽虫のごとく

    宴の一夜の花に魅了される官吏達・・・

    黎翔は、冷めた目で宴を見つめる

    篝火に照らされた《重陽の宴》

    雅楽の音と

    一夜の幻の花が舞い踊る・・・・

    宴の酒《菊花酒》を注ぐのも、見目の良い宦官と月下美人達

    宴の肴は陽に、ちなんだ熱ものばかり・・・

    すべて陽の気を持つものを集めた宴。

    妖艶で、倒錯的な《重陽の宴》に魅了されるものも多く

    本物の花より一夜の月下美人のほうが、良いと魅力にはまり

    抜け出せない官吏も多い。

    その魅力にはまり、そちらの方面に走るものも多く

    気に入った月下美人や宦官の髪を彩る菊花を抜き取り、自分の菊花を挿す。

    無事、交換が事なせば、宴より消え行く・・・ひとり・・ふたり・・・

    半月に咲く月下美人に酔いしれる為、闇夜にまぎれる。

    黎翔は、半月を杯に映して、その様子を眺めていた。
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    【長編】『重陽の節句ー宴2ー』

    (・・・まったく、つまらない宴だ)

    黎翔は、華やかな宴の中、一人思う。

    隣に夕鈴が居ない宴など・・・

    ましてや重陽の宴など・・・

    時間の無駄だった。

    周囲に冷気を放ち、不機嫌さを隠さない黎翔。

    周りに近づく給仕の宦官さえも、近寄らせない。

    不機嫌のまま手酌で酒を注ぎ、浴びるように飲む

    (ここに、夕鈴がいたら・・・)

    そう思う度に、不機嫌さは、増す

    思い出すのは、《春の宴》

    彼女の機転で宴は成功したようなものだ。

    (あの時は、官吏の姿をしていたっけ・・・)

    王宮の鐘楼に半月が綺麗にかかる

    見上げる月がとても綺麗だった。

    【長編】『重陽の節句ー宴3ー』

    鐘楼(しょうろう)にかかる月を見上げ・・・気付いてしまった。

    ・・・・・っ

    『李順。この場は任せる。私は少し席を外す』

    『皆は、このまま宴を楽しむが良い・・・』

    『後は、頼んだぞ。李順。方淵。』

    「席を外すとは、いったいどこへ・・・・陛下」

    焦り問う李順に答えもせず・・・

    黎翔は、酒に酔った様子も見せず、

    足取りも確かに宴の席を外す。

    緋色の衣を翻(ひるがえ)して、足早に闇夜に消えるのだった。・・・・

    【長編】『重陽の節句ー宴4ー』

    ほぉっ~

    陛下かっこいい・・・・。




    鐘楼(しょうろう)の三階から、宴を覗き見している影二つ・・・・

    闇夜に紛れ、熱く陛下を見つめるその人物。

    浩大とともに、宴を覗き見していたのは、夕鈴。

    浩大に唆(そそのか)され、またまた官吏の姿に身をやつしていた。

    闇に光り輝く金茶の髪は、一つに纏(まと)められ

    三つ編みされて、背にたらされている。

    控えめに挿(さ)された野菊の花が、可憐(かれん)だった。

    どう見ても、少女の雰囲気の少年の姿。

    見る人が見れば分かる倒錯的(とうさくてき)なその姿。

    ほぼ、ばればれの姿を夕鈴は危惧(きぐ)して、

    鐘楼(しょうろう)の片隅でこっそり宴を覗いていたのだった。

    【長編】『重陽の節句ー宴5ー』

    (あら・・・陛下どこへ行ったのかしら?)

    宴の玉座に黎翔が居ないことに気づいた夕鈴は、

    黎翔の姿を探した・・・がどこにも居ない

    その時だった。

    『ここで何をしている!』

    背後から良く知っている低い声!!!

    先ほどまで、宴に出席していたはずの陛下だった。

    「やべぇ・・・・お妃ちゃん、ごめん。」

    「あっ・・・ずるい。浩大っ」

    ひらりと、鐘楼の窓から、するりと逃げ出した浩大。

    夕鈴は、一人鐘楼に取り残されてしまった。

    部屋の薄暗い入り口から、カツカツ・・・と陛下の足音が近づく。

    半月の月明かりに照らされた部屋に

    足元から、浮かび上がる陛下の姿。

    その顔は、まっすぐに夕鈴を捕らえていた。

    「また宴を覗きにきたのか・・・・まったく君は。」

    不機嫌さを隠さない冷たい声に、夕鈴は、びくりと体が震える。

    そのまま黎翔は、夕鈴の傍に歩み寄り

    夕鈴の頤(おとがい)を捉(とら)え顔を上向かせた。

    漆黒の闇夜に、月明かりに照らされる黎翔。

    紅く縁取られた赤眼が揺れる

    口元は、酷薄に弧を描いていた。

    夕鈴は、突然の黎翔の登場と行動にまだ理解ができない。

    至近距離の陛下の顔を見とれるのだった・・・。

    【長編】『重陽の節句ー宴6ー』

    『よりにもよって、重陽の宴にこんな姿で覗きにくるとは・・・』

    『どうやら、君はお仕置きが必要らしい。』

    『そんなに、重陽の宴に、出席したければ、連れて行ってやろう。』

    『その姿のまま、宴に出るがよい。』

    月に照らされた陛下の言葉は、夢物語のよう…

    現実味を帯びぬまま言葉は、夕鈴をすり抜けていく。

    黎翔は、夕鈴の髪から、野菊を抜き去り、代わりに黎翔の菊花を挿す。

    黎翔は、夕鈴の野菊を髪に挿した。

    …もちろん、夕鈴は意味など知らない。

    そのまま、夕鈴の肩に黎翔の外套を羽織らせると、夕鈴を抱き上げて鐘楼から連れ出した。

    【長編】『重陽の節句ー宴7ー』

    宴に戻った陛下に、皆の視線が集中する。

    玉座に佇む陛下の腕に、陛下の緋色の外套に包まれた少年の姿。

    俯く顔を陛下の胸にうずめて、表情は見えない。

    心なしか、背中が震えているのは、気のせいでは、ないらしい。

    しかし、注目すべきは、そこではなかった。

    少年の髪には、大輪の菊花。

    それは、先ほどまで、陛下の髪に挿されていたもの…

    そして、陛下には野菊が…

    ざわめきたつ《重陽の宴》

    更に陛下の言葉が、その場をざわめかせた。

    『私はこの者と宴を抜ける。』

    『あとは、任せたぞ…』

    戻ったと思ったら、

    すぐさま踵(きびす)を返して陛下は、宴から王宮の闇へと消えた・・・。

    宴に残された者の動揺は大きく、
    次の日には、陛下があちらの道に足を踏み出したと、後宮に噂が流れ、激震が走ったという。

    【短編】『重陽の節句ー宴の後ー』

    陛下の腕に抱き上げられて、運ばれながら…夕鈴は、陛下の声を聞いていた。

    『…宴へ出たから。』

    『…満足しただろう。』

    『…夕鈴。』

    『…君のお仕置きは、宴じゃない…。』

    『…君は今から、罰を受けねばな。』

    言葉とは、裏腹な暖かい体温を感じながら、夕鈴は、震える身体を止められずにいた。

    夕鈴は陛下の胸に顔をうずめたまま、どこかへと運ばれるのだった。

    夕鈴の身体の震えは、髪を彩る菊花の花弁をふるわす。

    高貴な菊花の香りは、陛下の衣からも薫っていた。

    【長編】『重陽の節句―緋の衣編1―』

    『きゃぁ…!!』

    連れ込まれたのは、陛下の寝所。

    陛下の緋の外套ごと、夕鈴が、投げだされたのは、陛下の寝台。

    陛下の外套に包まれたままなので、なすすべもなく、身体が寝台に沈む。

    すでに、部屋の入り口において、人払いが成され、二人きり

    陛下のいつもと違う朱に縁どられた赤い瞳が、夕鈴を射抜く。

    『夕鈴…君は軽率すぎる。』

    夕鈴の髪から、大輪の菊花が抜き取られ、夕鈴の顔面に翳(かざ)された。

    『菊花に込められる意味を知らず…』

    『よりによって、男装までして、重陽の宴を覗くとは…。』

    陛下の言葉は、言葉少なく、苦しげに続く。

    「…陛下。」

    夕鈴は、むろん、男色の日でもあることを知らない。

    『私が、見つけなければ、どうなっていたか…』

    吐き捨てるように呟いた陛下の言葉に、
    夕鈴は、胸が痛い。

    「…ゴメンナサイ。陛下。」

    もうすぐ、重陽の節句は、日付が変わり、終わろうとしていた。

    【長編】大人風味『重陽の節句―緋の衣編2―』 ※要注意!!!大人風味!!!

    色・艶のある作品です。
    お好みで無い方は、開封せずとも『重陽の節句』を楽しめます。
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    【長編】激大人味『重陽の節句―緋の衣3―』 ※要注意!!!激大人味!!!

    夜の営みを表す、色艶が強い作品です。
    狼陛下のイメージを大切にしたい方は、避けてください。
    お好みで無い方は、開封せずとも『重陽の節句』は、楽しめます。
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    【短編】『明けの明星』重陽の節句の次の日の朝

    夜の営みを匂わせる表現を使っています。

    狼陛下のイメージを壊したくない方は避けてください。 続きを読む

    【長編】『菊花1』重陽の節句の次の日

    夕鈴が目覚めたのは、だいぶ太陽が昇ってからだった。

    霧のかかる頭で、のろのろと寝台から起き上がる

    「わたし・・・どうしてここに・・・・?」

    スッキリしない頭でいくら考えても、
    昨夜の自分のことをすぐには思い出せなかった。

    ・・・・・・昨夜は

    《重陽の宴》を覗いていて・・・・

    陛下にばれて・・・

    そして・・・

    ぼんっ☆

    陛下と過ごした夜を思い出して、夕鈴は悶絶した。

    ますます、自室までどうやって来たのか覚えていない。

    雨よけの鎧戸から、明るい昼間の光が隙間から、こぼれ射していた。

    外は今日も、暑い日差しが照りつけていた。

    【長編】『菊花2』重陽の節句の次の日

    ・・・・・おはようございます。夕鈴様。
    ・・・・目覚めでございますか?

    控えめに、問う侍女の声。
    まだ、夕鈴は、動揺していて顔が赤いものの・・・・答えなくては。

    「はい。起きておりますよ。」

    ・・・・入室しても、よろしいでしょうか?

    「どうぞ、お入りなさい。」

    ・・・・・失礼致します。

    そのまま、数人の侍女たちが夕鈴の寝室に入る。

    ・・・・・一人は窓の鎧戸を開けに。
    開け放した窓から、眩しい光が部屋に差し込む。
    どうやら、だいぶ寝過ごしたらしい。

    ・・・・・もう一人は、夕鈴の寝台の薄紗(うすしゃ)を纏め、夕鈴の姿を現す

    ・・・・・もう一人は、手水を持ち、夕鈴の為に手巾を濡らし、手渡すのだった。

    ・・・・・そして、夕鈴に優雅に拝礼し、目覚めの報告をする女官長。

    おはようございます。夕鈴様。
    陛下よりご伝言がございます。

    《昨夜は、陛下のお渡りが無く、寂しい思いをされて
    良く眠れなかったのだろうと気遣われ
    今朝は、夕鈴様をゆっくり眠らせてあげるように》・・・・と

    《目覚めてお仕度が整いましたら、使いを出すように》・・・・
    とのことです。

    陛下が、夕鈴様をお待ちです。
    夕鈴様 急いで、お支度いたしましょう。

    「分かりました。急いで仕度を致しましょう。」

    【長編】『菊花3』重陽の節句の次の日

    女官長が陛下の菊花に併(あわ)せる為に、
    用意した夕鈴の今日の衣装に驚いた。

    他意はないと思いたい・・・だが、しかし・・・・・

    逡巡し、しばし迷う。
    思い切って、女官長に問い尋ねる。

    「・・・・女官長。これは、少し派手ではないかしら?」

    いいえ、夕鈴様は、まだお若いのですから、
    華やかすぎることはないのですよ。
    むしろ華やかであるべきです。
    夕鈴様は、陛下の唯一のお妃さまなのですから。

    昨夜は、陛下も寂しく過ごされたことでしょう。
    美しく装ってお出迎えしなくては・・・
    さあ、今日は特別に美しく華やかに装いましょう。夕鈴様。

    「・・・わかりました。」

    女官長の言葉に、着付けの侍女たちも頷きだす。
    常に無い侍女たちの気迫に押されて、肯定の返事がやっと出来たのだった。

    髪もいつもと違い、一つに纏め上げられ、両脇のひと房づつを残して高く結い上げられた。

    大きく曲げられた髪は、胡蝶が羽を広げたかのようで・・・・髪留めに紅玉と琥珀をあしらった大降りの金細工の透かし彫りの櫛を曲げの中央に挿した。

    夕鈴は、改めて自分の衣を見てため息を吐く。

    他意はないと思いたい・・・だが、しかし・・・・・でも・・・

    迷ううちに、化粧まで、施され、すっかり夕鈴の仕度は整った。

    夕鈴様。陛下が、先ほどから次の間でお待ちです。
    ・・・・お出ましくださいませ。

    『えぇっ・・・・もうですか?(いくらなんでも早すぎる。心の準備が!!!)』

    夕鈴様のお仕度が始まりました時に、陛下にご報告いたしました。
    それからすぐにこちらへお渡りに・・・
    やはり、陛下も夕鈴様に早くお会いしたかったのでしょう。

    「分かりました。・・・・今、参ります。」

    【長編】『菊花4』重陽の節句の次の日

    女官長に手を引かれ、夕鈴は次の間に移動した。

    たおやかな仕草で、黎翔に静々と夕鈴は歩み寄る。

    陽の光に輝く、柔らかな金茶の髪は、
    いつもと違い、一つに複雑に編みこまれ、纏め上げられ、
    両脇のひと房づつを残して高く結い上げられた。
    後れ毛が、金色に光り、白いうなじを彩る。

    大きく一つに纏め上げられ曲げられた髪は、
    胡蝶が羽を広げたかのように広げられ・・・・
    髪留めに紅玉と琥珀をあしらった
    大降りの金細工の透かし彫りの櫛を曲げの中央に挿している。

    髪に仕込まれた金細工の透かし彫りの歩庸が、
    歩を進めるたびに、
    シャラン・・シャラン・・・と涼やかな音色を立てる。

    流れるよう軽やかに移動する夕鈴。
    いつもの控えめな化粧とまるで違い
    上品な艶のあるその顔(かんばせ)は、宮廷に咲いた大輪の牡丹花のよう。

    柔らかく微笑みを浮かべる唇は、上品にゆるやかに弧を描き
    緋色が鮮やかな口紅の艶やかなその色は、
    まるで瑞々しい果実を思わせる。

    伏せ気味に閉じられた
    はしばみ色の瞳は、睫(まつげ)に煙(けぶ)り
    夢見るような光を湛えている。
    はんなりと薄紅色に頬を染めて・・・・黎翔を見つめる。

    黎翔は、夕鈴の美しさに嬉しさを隠しきれない。
    夕鈴は、女官長にあづけていた
    たおやかな指先を黎翔に向ける

    「・・・・おはようございます、陛下。・・・・大変、お待たせいたしました。」

    『おはよう夕鈴。』
    『今日の君は、とても綺麗だ。』

    黎翔は愛しい妃の指先を手に取り、そこに口付けながら
    賛辞の言葉を囁く。

    黎翔の言葉により、更に頬を染め上げ、二重の衣の長い袖で顔を隠した。
    袖から、覗くはしばみ色の瞳が潤む

    夕鈴の琥珀の大玉に小さな紅玉を連ねた緋色の耳飾りが、大きく揺れる
    かなり動揺しているらしい。

    それは、黎翔も同じだった。
    彼女の艶な姿に心が跳ね上がる。ドキドキが収まらない。

    光に光沢を放つ透明感のある白磁の肌に映える緋の衣。

    光沢のある黄色の繭で織られた単衣の衣に、緋色のカゲロウの薄衣を合わせ二重にしている。
    下に着ている絹の単衣の菊花柄の金の刺繍が緋色のカゲロウの薄衣から透かし見える。
    浮かび上がる菊花柄。たくさんの様々な菊花が夕鈴を彩る。

    幾重もの緋色のカゲロウの薄衣を重ね合わせた藻裾は、
    床まで長い衣を引き。
    金錦の腰帯には、百花と朱雀の銀糸の細やかな刺繍が施されている。

    金と琥珀の大玉に紅玉を連ねたはい玉を、腰につけていた。
    こちらも、コロコロとかわいらしい音で夕鈴に音を添える

    長い藻裾が優雅に床から弧を描く・・・。

    夕鈴は、黎翔の愛を受け、自身が太陽のように光り輝いていた。

    【長編】『菊花5』重陽の節句の次の日

    『ああ・・・・・最後の君の仕上げをせねばな。』

    『女官長、昨日 私が届けさせた菊花はどこだ。』

    ・・・・陛下。菊花の鉢は、こちらに、ございます。

    女官長の手から、花鋏を受け取り鉢花に向かう。

    大輪の菊花は、一本仕立て

    黄色の細い花弁が幾つも重なり合う豪華な大輪花

    黄金色に輝く見事な花を花簪に・・・

    「陛下、こんなに綺麗に咲いているのに切るなんてもったいないです。」

    『私の愛する妃を彩る花だ。花も本望だろう・・・』

    そう陛下は笑って惜しげもなく菊花を切ってしまった。

    余計な枝葉を取り去り、花簪にする。

    黎翔は夕鈴の髪に菊花を当てながら

    挿す場所に迷いつつ・・・夕鈴の顔を盗み見る。

    あちこちに菊花を当てるたび、夕鈴に触れる黎翔。

    黎翔が触れるたびに、頬の赤味が増していく。

    本当に可愛らしい私の妃は…

    『ああ…ここがいいな。』

    あちこち検討して、黎翔は左側の頂点にゆっくりと菊花を挿していった

    【長編】『菊花6』重陽の節句の次の日

    夕鈴に花簪を付けた黎翔は、女官長ともども侍女たちを下げさせ、早々に人払いをした。

    人気の無くなった夕鈴の自室。

    ・・・・・二人の間に沈黙が流れる。

    先に、沈黙を破ったのは、黎翔だった。

    『夕鈴・・・昨日は、寂しい思いをさせてしまったな。』

    黎翔は、夕鈴の手の甲に口付けながら囁く・・・

    『おかげで、無茶をさせてしまった。』

    『すなない。』

    「いえ、私が悪いのです。」

    「私が、好奇心に負けて、後宮から抜け出したので・・・あんなことに。」

    「陛下、ごめんなさい。」

    黎翔は、夕鈴を抱きしめる

    昨日と同じぬくもりを黎翔は抱きしめた。

    (・・・・君が無事でよかった。)

    確かな夕鈴のぬくもりは、黎翔を安心させる。

    (《重陽の宴》は、毎年やってくる。きちんと、説明しなければ・・・)

    (夕鈴は、来年も無茶をするに違いない・・・・)

    抱きしめる腕の力を強めて黎翔は、夕鈴の耳元で囁いた。

    『…夕鈴』

    『本当にすまなかった』

    『私の落ち度だ』

    『すまない。』

    『私が(《重陽の宴》について、予備知識を君に入れていれば・・・』

    『きみは、あんな無茶をしなかったはずだ。』

    『君が無事で本当に良かった・・・。』

    「黎翔様。」

    『もう、終わってしまった話だか、夕鈴、君に聞いて欲しい。』

    黎翔から囁かれる真実の《重陽の宴》

    夕鈴は、黎翔の言葉に目を見開き、身を強張らせる。

    夕鈴は、知ってしまった。

    《重陽の宴》が男だけの倒錯の宴だということを・・・・

    《菊花》を交換する意味を・・・

    昨日も、今日も黎翔がこんなに心配している意味を・・・

    そして、自分が、どんなにおろかで馬鹿な行動をして
    自身の身を危険に晒していたのかということを・・・・

    「・・あ・・・・・なんて馬鹿なことを・・・」

    初めて知った事実。そして来年も来る《重陽の宴》

    黎翔から聞いた衝撃的な事実に、自分は保護されたのだと知った。

    夕鈴は、ぽろぽろと涙が零れる。

    透明な涙は、黎翔の衣を濡らしていった。

    完【長編】『菊花7』重陽の節句の次の日

    『夕鈴、もう無茶しないでくれ。』

    『約束してくれ夕鈴。』

    「・・・・は・・い。」

    零れ落ちる涙が流れるままに・・・
    約束の口付けを交わす二人。

    黎翔は、夕鈴を胸に抱きしめる。
    夕鈴は、黎翔を抱きしめる。

    お互いを感じあうだけの静かな時間。


    菊花の花弁が細かく震え高貴なる黄金の香りが二人を包む。

    ・・・・時が止まったかのようだった。

    夕鈴の緋の衣は、昨夜の陛下の緋の衣を思い出す。
    優しく守られていた真実と昨夜の記憶が甦る・・・・

    夕鈴の髪から黄金の大輪の菊花が高貴な香りを放つ・・・
    昨夜、と同じ菊花の香りは激しく愛された記憶と繋がる

    後宮という場所で、黎翔に守られているという事実
    こんなにも自分は、黎翔に愛されている

    愛されている嬉しさと愛する喜びとを夕鈴は味わう・・・・。
    と、同時に盲目の愛のおろかさと苦さに涙が滲む。

    重陽の節句が終わり触れ合う喜びを知った。

    どちらも欠けてはならない《陰と陽》
    黎翔と夕鈴の二人の
    強い愛の結びつきを知った《重陽の節句》だった

    強い日差しが二人に濃い影を部屋に作る。
    影絵のようなシルエットは、いつまでも二人を一つに見せていたのだった。


                     ー重陽の節句・完ー

    大人風味「重陽の節句ー花ー」

    2013年の重陽の節句を書き忘れたな……
    ということで、
    書きかけを続けてみました。
    2012年を読まないと、分からないネタですね。
    意味不明になっちゃう。
    ちょっと大人風味です。
     
    本物夫婦
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    ↓それでもよければ、どぞ。







    長寿を願う菊花の宴
    菊花の酒を酌み交わし
    陛下の御世の繁栄と長寿を願う

    陛下は、儀式めいた重陽の節句が大嫌いだった。
    なぜなら、愛しい妃に触れられないからだ。

    陰の気を持つ女性に触れられない一日。
    目にすることも叶わない。
    これほどの苦痛があるだろうか?

    重陽の宴が終わり、日付が変わった夜更けに
    陛下は、夕鈴の部屋に来た。

    「妃よ、今戻った。」

    「お疲れ様でした、陛下。
     宴は、いかがでしたか?」

    「君が居ない宴は、苦痛でしかないな。」

    心底、嫌そうに、陛下は顔を歪ませた。
    できるなら、廃止したいくらいだ。
    吐き捨てるように呟くと夕鈴が嗜めた。

    「いけません、陛下。
    みな、陛下の御世の繁栄と長寿を願っているのですよ!?」

    「分かっている。分かっていても苦痛なのだ。
    許せ、夕鈴。」

    「それより……おいで。」

    陛下は、長椅子に座り、夕鈴を呼び寄せた。
    いつの頃からか、陛下の膝が夕鈴の指定席となっていた。

    「日中、どうしていたの?」

    「物忌みと同じですから、大人しく自室で過ごしておりましたよ?」

    昨年の重陽の宴で、失敗して懲りた夕鈴。
    宴の実態を好奇心で垣間見た夕鈴は、黎翔の逆鱗に触れた。
    今年は、同じ失敗はしない。自室で大人しくすごした。

    「今年は、大人しく過ごしていたのか……」

    「私(わたくし)もそんなに愚かでは、ございませんわ!
     同じ失敗は、二度といたしません!」

    唇を尖らせて、陛下の言葉に拗ねて見せる。
    強気な言葉で、いくら牙をむいても所詮兎はうさぎ。
    狼の私には、叶わない。

    昨年の失態を恥じて頬を染める夕鈴に…
    陛下は、妖艶に微笑んだ。
    引き寄せた夕鈴の耳朶に囁く……

    「昨年同様、官吏の姿で、宴を楽しんでもよかったのだぞ…」

    「すぐに君を宴から寝所に連れ出して、宴をぬけだしたものを…」

    「男装姿のそなたを、抱くのもたまには良い。
     昨年は、倒錯めいて善かったのだろう?…夕鈴。」

    夕鈴の耳朶に熱い吐息…妖艶な陛下の言葉に、夕鈴は腰くだけそうになる。

    真っ赤な顔で、かろうじて陛下の腕から逃げ出した。
    囁かれた耳が熱くて、片手で塞いだ。

    パクパク…と、金魚のように声が出ない!
    バクバクと跳ねる心臓を手で抑えて…
    夕鈴は、ようやく陛下に抗議した!

    「か…からかわないで下さい!」

    「陛下が、注意したのではありませんか!」

    「女人が出るべき、宴では無いと!」

    大きな瞳を更に大きく見開いて抗議する夕鈴。
    真っ赤に染まる耳朶を押さえて、涙目で訴える。

    陛下は、くつくつ……と笑いが止まらない。
    どんなに彼女が怒ろうとも、こう可愛らしくては、私には効かない。
    抵抗する獲物を狩るのも、狼の本能。

    立ち上がり夕鈴に近づく陛下の意図を夕鈴は知らない。
    まだ、くすくすと笑う陛下に、からかわれていることだけは、分かっていた。

    「笑わないで下さい!
     人が真剣に話しているのに!」

    まだ怒る彼女の手首を引き寄せて……その言葉を奪った。

    んっ……んんっ!!

    長い口付けは、終らないかに見えた。

    「そう怒るな……
     ツマラナイ宴を、出てやったのだぞ…。」

    きゃあ!

    陛下は夕鈴を抱き上げた。
    そのまま・・・…夕鈴を抱えたまま、歩き出した。




    「長寿の花は、もう十分に堪能した。」

    「……夕鈴。」

    「日付が、変わった。」

    「今度は、私の(王の)花を、堪能させてくれ……」

    「え!?

     あっ!


     きゃあ!

     陛下っ、下ろして下さいっ!」

    さぁーーーっと、夕鈴の顔色が変わった。

    夕鈴が、陛下の意図に気付いた時には、時 既に遅く…

    陛下のその足は、寝所へと向いていた。

    今夜の陛下の狩りの成果は、愛しい愛する兎妃。
    逃げる間もなく、捕らわれた愛する人を、狼陛下は逃がす筈もなく…
    空が白みはじめるまで、狼陛下は王の花を、愛で喰らった。

    2度めの重陽の節句を迎えた、狼陛下と兎妃の話。