花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【前書き】君を守れなかった僕の自罪 について……

    2015年 パラレルコミュのHalloween partyでの KさんとDさんの呟きから出た、突発ネタです←
    シリアスで終る真面目なお話ではなく、ハロウィン仕様のお馬鹿ネタなので、ご了承ください(笑)

    どんな展開になるかは、私にもわからないwwww
    これってあり?

    さくらぱん

    自罪とは、キリスト教にて、生まれ生きてきた今まで自分が起こした罪のこと

    原罪とは、対極にある言葉
    原罪とは、キリスト教にて、エデンでアダムとイブが知恵の実を食べた罪のこと


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    【長編】 君を守れなかった僕の自罪 1

    「陛下っ!
    大変だっ!
    お妃ちゃんが刺客に襲われ、怪我をした!」

    何……!?

    突然、寝所に飛び込んで来た浩大の報告に、黎翔は耳を疑った…
    そのまま……
    着のみ着のままで刀を掴み、自室を飛び出した!

    昨夜は、いつも通り
    夕鈴と楽しい夜を、過ごして別れた。

    あれから、さほど時は過ぎていないはず……

    危険を知らせる警笛も、警護の者の報告も黎翔は聞いていない。

    おかしい!
    いったい、いつの間に刺客が来たんだ?
    否、それよりも夕鈴は無事なのか?

    逸る気持ちをおさえても、悪い予感しかしない……

    怪我をしたという報告だが……
    君は無事なのか?
    命に別状は無いのか?

    鉛のように、自分の脚が重い。
    私の部屋から、さほど離れていないはずの
    後宮にある彼女の部屋が、酷く遠く黎翔には感じたのだった!

    ようやく後宮にある夕鈴の自室に来ると、侍女たちが廊下で泣いている。

    夕鈴の部屋の入り口からは、強い消毒薬の匂いが立ち込め、
    緊迫した表情の侍医・医官たちが、せわしなく出入りしていた。

    ……そんなにも怪我は酷いのか?

    君を失うかもしれないと思うと、黎翔は心臓が凍りつく。

    幽鬼のごとく夕鈴の部屋へ近づくと、
    それに気付いた夕鈴付きの侍女が私を止めた。

    「陛下、申し訳ありません!
    私どもが付いていながら……

    只今、お妃さまには、お会いできません!
    陛下、お引き取りくださいませ!」

    「何故だ?
    私は、彼女の夫だぞ!」

    「お妃様の為です!
    なにとぞ、お聞き入れくださいませ!」

    「ならぬ!
    妃の怪我の様子を見るだけだ!
    そこを通せ!」

    「いけません!
    おあきらめください!」

    部屋への入り口に立ち塞がる侍女は、一人……また一人と増えていく。
    どの侍女も夕鈴を敬愛している侍女たち。
    私に立ちふさがるなど、誰もが命が惜しくないらしい。
    みなが皆、涙で袖を濡らし、誰もが私に夕鈴を会わせないようにする。
    侍女たちとの睨みあいは、しばらく続いたが……
    私が折れた。
    主を想う彼女たちの必死さに免じて、今日は引き下がることにした。

    「では、せめて
    怪我をしたのは“何処なのか”教えてくれ……」

    「申し訳ありません。
    それも私どもの口からは、申し上げられません……」

    さめざめと泣き崩れる侍女たちに気圧されて、
    私は仕方なく自室に戻った。

    しかし、やはり彼女の怪我の様子が知りたい。

    夕鈴を治療したであろう侍医を呼び出したが、
    まだ夕鈴の治療中とのことで、来れないとの連絡があっただけだった。

    ……続く
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    【長編】 君を守れなかった僕の自罪 2

    そんな襲撃事件が数日前に起こり、
    僕は、夕鈴になかなか会えない日々が続いた。

    後宮の夕鈴の自室へ、連日見舞いに訪れると、
    “今、陛下には会いたくない” との、つれない返事で帰されるばかり……

    ようやく夕鈴の傷が癒えたとの侍医の知らせに僕は喜んだ。
    それでも君は、同じ返事で僕をつれなく追い返す。

    もう何日、君の顔を見ていないのだろう……

    僕は、君に嫌われてしまったのだろうか?

    そんなにも、君の心に傷を負わせてしまったのだろうか?

    夕鈴に帰される度に、僕はそんな自問自答を繰り返した。







    眩しい朝日が爽やかな朝。
    僕は、庭先の朝露のついた花を片手に、いつもどおり夕鈴の見舞いに行った。

    夕べ、決心したんだ。
    今日こそは、夕鈴の無事な顔を見ないで、自室に戻るわけにはいかない。

    ……僕は、これだけ待ったんだ。
    嗚呼……早く君の顔が見たいっ!


    庭続きの部屋、廊下を通らず……
    誰にも会わずに、夕鈴の部屋の前に来れた。

    寝所に続く扉が少し開いていた。

    「ゆーりん、入るよ」
    僕は、彼女の部屋に滑り込むように入った。

    明けはじめたとはいえ、室内は鎧窓が閉まり、薄暗かった。
    寝台で、人の気配がした。

    「え!?
    へーか??
    いったい何処から?」

    「庭からだ……
    今日こそは、君に会いたくて……」

    「お引取りください。
    私は、貴方に今会いたくないのです」

    「どうして?
    私に、会いたくないのだ……
    聞けば、傷は癒えたというではないか?」

    寝台の上、白い敷布を目深に被った夕鈴は、大きく身を震わせた。

    「申し訳ございません。
    ですが、私は今、陛下に会いたくないのです。」

    「どうか、このまま捨て置き、私を忘れてください。
    できれば、私を下町に帰してください。」

    「どうして……?」

    「私は、陛下の花嫁に相応しくありません。
    傷を負って、こんなに醜くなってしまいました」

    「ゆーりん、君は僕の愛する唯一無二だ。
    傷を負っても、君は可愛い僕の花嫁だ。
    ……好きだよ!」

    「それとも、ゆーりんは僕を嫌いになった?」

    「……いいえ。
    好きです」

    「だったら……」

    「陛下。
    ……ごめんなさい」

    「ゆーりん……」

    ……続く
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    【長編】 君を守れなかった僕の自罪 3

    寝台の上、白い敷布を被った夕鈴は、頑なに私を拒む。

    「申し訳ございません。
    どうか、私を捨て置きください……」

    顔は見えずとも、君は泣いてる様だった。
    敷布から覗く、伏せた顔を覆う、やけに白い、やせ細った両腕が痛々しい。
    はらはらと、寝台へと零れ落ちる涙は
    朝陽に煌き、透明な白露のように寝所に煌いた。

    「いやだ……夕鈴。
    何故そんなことばかり言う?」

    「君を捨て置くなど……僕には出来ない。
    君が居ない未来など考えられない」

    「どんな姿でも、僕は君を愛している」

    その言葉を聞いた夕鈴は、更に泣き崩れた。
    静かな室内に、君のすすり泣く姿が痛々しい。
    僕は、深く心の傷を負った夕鈴を抱き締め、慰めたくなった。

    「久しぶりに、ゆーりんの顔が見たい。
    顔を見せてくれないか?」

    一歩ずつ君に近付く僕に
    君の鋭くも悲しみに満ちた拒絶の声が響いた。

    「陛下!
    イヤっ!」

    あと少しで、夕鈴の肩に触れられるというところで……
    君は、するりと僕の手から逃げて
    敷布を被ったまま……
    軽やかに庭へと駆け出して行った。

    僕は夕鈴に拒絶されたことがショックで
    なかなか現実から立ち戻れない。

    もう誰も居なくなった寝台に手を伸ばしたまま
    固まっていた。

    現実に引き戻されたのは、夕鈴が階を下りてゆく
    小さな足音を聞いた時だった。

    僕とすれ違い様、彼女は何と言ってた!?

    “さよなら……”

    新たな涙と共に、確かにそう言ってなかったか?






    僕は、我に帰ると彼女を追って、自分も後宮の庭へと駆け出した。
    いつの間にか、景色が一変するほどの深い朝霧がたちこめて
    夕鈴の姿を隠す。

    武人として培った黎翔の耳が、君の足音を捉えた。
    夕鈴は、後宮で一番大きい池に向っているらしい。
    僕は、考えるよりも先に走り出していた。

    疑問が浮かぶ。
    何故、そんなにも君は僕を拒むのか?
    彼女に問いたださねば、気がすまない。
    出遅れたが…所詮、女の足。
    きっとすぐに彼女に追いつける。

    ところが、愛らしい僕の兎は、思いのほか逃げ足が速く
    僕はまったく追いつけないまま、その池についてしまった。


    ……続く





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    【長編】 君を守れなかった僕の自罪 4


    夕鈴は、大きな池の中央に建てられた
    四阿に向かう橋を渡っていた。

    たゆとう濃い霧が、
    君の姿をかき消してゆく……

    「待ってくれ!
    夕鈴」

    僕の叫びに振り向きもせず
    君は……霧の中に走り去っていく。

    どうしようもない寂しさと
    失望感に苛まれ……

    僕はその後ろ姿を追った。

    ふらふら……と覚束ない足取りで、
    君の居る四阿に着くと……

    池を背に、夕鈴が僕を待っていた。

    「…………陛下。
    私のことは、お忘れくださいとお願いしたのに
    どうしてついて来るの?」

    「忘れることなんて出来ないよ。
    僕は君の夫なんだ。
    愛しているから、心配するのは当然だろう?」

    「それより君は
    いったいどうしようというんだ!」

    「そんなに走って、せっかく治りかけた傷が、
    開いてしまうではないか!」

    「大人しく僕と自室に戻ろう!?」

    差し伸べた手を夕鈴に差し出すと、
    彼女は、その手をとらず……
    頭を振りかぶって、僕を拒絶した。

    「この傷は……治らない。
    ……ううん。
    もう治らなくても、いいんです」

    敷布からチラリと見えた薄紅色した唇。
    夕鈴は唇を噛み締め、苦しげに呻いた。

    「もう…
    あなたは、醜い私を愛してはくださらない!
    誰の花嫁にもなれない!
    ――私は、ひとりぼっち」


    「夕鈴。
    君は、僕の可愛いお嫁さんだよ!
    醜くなんかない綺麗だよ!」

    「そんなことを仰るのは、陛下だけですわ…」

    口元を袖で隠し、夕鈴が僕を見た。
    ハシバミ色の大きな瞳には、大粒の涙が光り
    悲しみに翳る。

    クっクっク……

    突然、小さく笑いだした夕鈴は、気が触れたかに思えた。

    「……ゆーりん?」

    「陛下は、私を愛してますか?
    こんな醜い私でも、変わらず愛してくださいますか?」

    突然、頭に被っていた敷布を取り去った夕鈴。
    ふぁさりと床に落ちた布は、瞬く間に風に攫われ池に落ちた。
    ゆっくりと底の見えない池の底に沈んでいく。

    「……私、キレイですか?」

    低く呟く夕鈴は、口元を隠した両袖を広げ、顔を露にしていく。

    久しぶりに、君の顔が見れると期待した僕は馬鹿だった。


    「うわぁ!
    ゆーりんっ!」


    敷布を取り去った彼女の姿に
    僕は驚き、戦慄した。
    その場で腰が抜けて、ドスンと尻餅をついた。

    その顔は……

    その姿が……


    まるで別人だった。

    可愛らしい君の顔に醜く走る一文字の刀傷。
    僕が、何度も口付けた愛らしい唇は、耳まで裂け…
    白い骨までもが、生乾きの瘡蓋で
    凄惨な傷を更に凄惨に見せる。

    とても生きているのが、不思議な傷だった……

    僕は、言葉も出ず…
    床に尻餅をついたまま……
    動けなかった。

    目を逸らそうとにも逸らせない。
    怖いもの見たさのように、夕鈴の顔を凝視していた。

    黎翔には、今見ているモノが、信じられなかった。
    愛しい人の変わり果てたこの姿が……

    「……あなたにだけは、知られタクナカッタ……」

    両袖で、顔を隠した夕鈴。
    夕鈴の悲しみだけが、濃厚に朝の濃霧に溶けてゆく……

    僕の罪深き白い闇が、僕の手足に絡みつくようだ。
    指先さえも、絡みついて、動けない。

    「陛下。
    今生の別れです。
    愛しておりました……」

    「……さようなら」

    夕鈴は、すぐ近くの手すりをあっという間に乗り越えて、
    池へと身を投げてしまった。

    僕は、何故か身体が動かず……
    その一部始終を黙って見ているだけだった。

    あんなに愛していたのに……
    僕の唯一無二の愛する人。

    ゆーりんっ!

    夕鈴!

    世界が暗転し……
    僕の世界から光が失われた

    ゆーりん。

    君を失ってしまった。
    僕はあんなにも、愛していたのに……

    君は僕の花嫁にならなければ……
    あんな傷を顔に負わずに
    幸せな一生を送るはずだった。

    僕の手を取ったばかりに……

    ゆーりん!

    ゆーりん!

    愛してたんだよ!

    君を追い詰める気は無かった。

    ゆーりん!

    僕の愛しい人。

    失った光が哀れで、悲しく切なくて……
    失っても尚、愛しくて……

    僕は止まらない涙でーを流す。
    頬を濡らし慟哭しながら、意識を手放していった。

    ……続く

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    完【長編】君を守れなかった僕の自罪 5


    ……か


    ……
    …………

    へーか
    ………………

    「陛下っ!
    黎翔さま!
    大丈夫ですか!?」

    優しく揺り起こす愛しい人の声に、
    僕は、ゆるゆると目を開けた。

    そこには僕の顔を覗きこむ
    愛しい妻の瞳。

    心配そうなハシバミ色の瞳が、
    不安で揺れていた。

    「……夕鈴!
    生きていたか?
    傷は?」

    失ったはずの光が
    失っていなかったことに安堵しつつ……
    僕は、君に尋ねた。

    「傷?
    傷って、何のことですか!?」

    小首を傾げ、小鳥のように尋ね返す君の言葉に
    僕は違和感を覚える。

    「……冷たい。」

    君の小さな手が、僕の手をとり温めてくれた。

    じんわりとあったかい。

    君の温もりが僕を包む。
    僕を温めながら優しく見つめる
    ハシバミ色の瞳が、少し翳った。

    「黎翔さま。
    うなされておりましたが、怖い夢でも見ましたか?」

    優しく微笑む君の笑顔に
    冷たく凍りついた血潮が、再び巡りだす。

    「夢?
    あれが?」

    見渡すと、ここは黎翔の寝所だった。

    部屋の中は、真っ暗で
    朝ではないらしい。

    あの池の四阿ではないし……
    目の前の夕鈴は顔に凄惨な醜い傷などなく、
    黎翔の知る美しく愛らしい妻だった。

    「…ゆうりん。

    ゆうりんっ。

    夕鈴!」

    僕は、目の前の君を掻き抱き、
    何度も何度も名前を呼んだ!

    柔らかく温かな唇に、何度も口付けた。

    「黎翔さま!?
    いったいどうしたの?」

    腕の中の君は驚き
    少し暴れたが
    すぐにただならない僕の様子に、大人しくなった。

    「ゆーりん!
    愛してる……」

    強引な口付けを重ね
    彼女の顔が、羞恥で朱を帯びてきた。

    ああ・・・…この愛らしさ。
    私のゆーりんだ。

    「れいしょうさま?」

    「何でもないよ!
    ゆーりん!
    君は生きてる!」

    「どうしたんです?
    いったい??


    ………。
    変な黎翔さま」

    夕鈴は優しく笑って、
    僕のすべてを受け入れてくれた。

    君の温もりが、僕に教えてくれる。
    君は僕の失えない大事な人。

    夕鈴を抱きながら、
    僕の心は、夢の中の彼女を失った喪失感に満ちていた。
    夢の中に彼女が哀れで悲しくて。
    愛しくて切なくて。


    何度、君に口付けても、哀しみが拭えない。

    あれは、もう一人の君。

    いつか起こりえる未来。

    あってはならない未来。

    もう二度と、君を失いたくない。
    失わせない!

    流れる涙を止められず……
    僕は夕鈴を抱きしめたまま……
    君の温もり・存在感を確かめた。

    「君を守るよ!
    もう二度と失わせない!」

    新たな決意で僕は君を抱きしめたまま
    眠りに落ちた。

    僕の罪で、君をもう失わせない!
    この手で君を守る!

    もう二度と……

    必ず……


    ……君を守れなかった僕の自罪・完 。
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