花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    カテゴリ:【中編】 sweet,sweet,sweet の記事一覧

    【中編】sweet,sweet,sweet……1

    少し古めかしいゴシックスタイルなインテリア。
    豪華なクリスタルのシャンデリアの光が、室内に眩しく煌めく。
    黒革張りの一人掛けのソファーで寛ぐ。
    真っ赤なドレスの女。

    目元だけ隠したマスカレードから覗く
    印象的な大きな瞳は、夢見るような光を湛えたハシバミ色。

    ドレスと同じ赤に塗られた唇は、謎めいた微笑みを浮かべる。

    サラサラ……と、流れ落ちる金茶の髪を背に払いのけ
    ソファーに気怠げに座りピアノに耳を傾ける。

    BGMは、黒服の男が奏でるグランドピアノ。
    白い鍵盤に、男の長い指が踊るように、ロマンティックでメロディアスな曲を奏でる。

    突然、鳴り止むピアノの音。
    驚く女に男が、かしずく…

    彼女の足先を、恭しく掲げて……
    濡れ光る瞳は、血のような紅玉。
    支配者の瞳で、女を見つめる。

    ヒールごと、男は彼女の足先に食らいつく。

    「君の足先までもが愛おしい……」

    呟いた男の言葉に女の顔が、真っ赤に染まった。

    もう一度、女に愛おしそうに近づく男……

    ソファーにおおい被さるように、
    女に、kissする寸前で、映像が途切れた。

    場面が切り替わり、ピアノにパラパラと散らばったチョコレート。
    商品名が流れ幕を閉じた。

    *****

    「社長!
    新製品のCMの出来は、如何でしょうか?」

    「いい感じだよね。何より夕鈴、可愛いし、色っぽい♪」

    「では、O.K.を頂けたということで、来月のバレンタインに合わせた発売日に全国放送いたします。」

    「……いいよ!」




    僕が、軽々しくcmのO.K.を出したのが、ひと月前のこと。
    まさか、あのCMが僕と夕鈴とを巻き込む大騒動を引き起こすとは。
    僕は知る由もなかった。


    …続く。
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    【中編】sweet,sweet,sweet……2

    「社長、
    少しお話が……」

    突然ノックもせずに、勢いよく入って来た信頼する部下を、
    黎翔はチラ見しただけで、またキーボードを叩いて仕事に戻った。

    「なんだ李順?
    なにか問題でも、あったのか?」

    「はい。
    わが社の使途不明金が見つかりました。」

    堅い表情を浮かべて、李順が差し出した
    書類の束を受け取ると、黎翔は、ザッと目を通した。

    「例のチョコレートのCM」

    「夕鈴さんの使用した特注品。
    チョコレート型ハイヒール代として、1ダース13万円の請求書が送られてきました。」

    書類に添付された請求書を指差して、淡々と内容を告げる。

    「確か撮影で使ったのは、たった二足だけでしたよね。
    1ダースのチョコレートは、現場では見ていません!」

    「製菓会社に問い合わせをしましたら、
    社長に確かに届けましたと言われました。」

    「コレは、いったいどういうことでしょうか!?
    社長、ご説明ください。」

    銀縁の眼鏡をキラリと冷たく輝かせ、有能な秘書は、黎翔に詰め寄った。

    しかし、多額の使途不明金があるというのに、黎翔は動じもせず…
    ポツリと答えた。

    「ああ……アレね。
    自宅で、リハーサルに使った。」

    「……は?」

    その言葉に、耳を疑う。
    女物のハイヒール。しかも、素材はチョコレートだ。
    それを食べたなら、まだ話は分かるが……アレをどう使ったというのか?

    この上なく幸せそうな笑いを浮かべながら……
    固まってしまった李順に、黎翔は畳み掛けるように言葉を継いだ。

    もう、嫌な予感しかない。

    「だからCMの撮影前に、はじめての撮影で緊張している夕鈴を解す為、
    自宅でリハーサルで使ったんだ。」

    クラリ……
    片足、一万円以上する特注品のチョコレートを……惜しげもなく使った…だ…と…

    一瞬、李順の意識が遠のき
    強いめまいを覚えたのは、仕方ないことだと思う。

    踏みとどまって、体勢を立て直したのは、李順の強い精神力のおかげだろう。

    「ーーーーー社長っっ!!」

    その日、いつもは静かなはずの社長室に、李順の怒声とお説教が響いたのは、言うまでも無い。


    ***



    使途不明のチョコレート型のハイヒール
    どのようにリハーサルで使われたのかは、夕鈴と黎翔しか知らない。

    ……続く