花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    カテゴリ:【大人風味】躾のなっていない小犬 の記事一覧

    【短編】本誌ネタバレ・続『躾のなっていない小犬』






    玉座の王の膝に、可愛らしい狼陛下の唯一無二の妃が居た。
    真っ赤な顔をして、お膝抱っこされていた…

    隣国からの王族の歓迎の宴のことである。

    いつものことなのか、白陽国の関係者は、王と妃のこの行動に平然と対応していた。

    噂以上の熱愛ぶり…
    隣国の使者達は、二人の仲睦まじい様子から、目が離せない。
    どうやら、自分達の話まで聞いてはくれなさそうだった。

    隣国の使者の中には、うら若い王女が居た。
    隣国の責任者らしき男が、チラリと、王女を見るとびっくりした眼差しで、玉座の二人を見ていた。

    (…さて、この雰囲気の中、どうやって、わが国の王女との婚姻を切り出そうか…)

    男は、眉間に皺を寄せて、誰にも分からぬように嘆息した。
    男の思惑は進まず・・・・時間だけが過ぎ行く。

    宴も佳境に入り、熱気に満ちた歓迎の踊りが舞われる。
    酒も肴も進み、華やかな宴に皆が酔いしれた。

    玉座の王も酔いがまわった様子。
    妃を抱き、狼陛下はご機嫌だった。
    ますます、仲睦まじくなる。


    臣下や客など、眼中に無い様子で、妃に睦言を囁いている

    『…夕鈴、先ほどから君の可愛らしい顔が見えない。』

    少し、拗ねた艶やかな狼陛下の声。
    至近距離の妃の耳元で、囁かれたそれは、今まで、真っ赤になって俯いていた妃を、更に赤くさせるにじゅうぶんだった。
    お酒を一滴も飲まない妃が、陛下に酔うように赤くなる。
    俯いたまま、陛下にしか分からない小声でなにかを呟いた。

    その様も、陛下にとっては愛らしいのだろう。
    愛おしさを隠さない紅の瞳が、腕の中の妃を見つめる。

    『…まあ、よい。』

    そう言うと、優雅に長い指先が、ツイと妃の頤(おとがい)を捉えた。
    すると、国王はゆっくりと妃に顔を近づけていった。
    そのまま薔薇色の蕾の唇を奪う。

    …長い長い口付け。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーカツン。

    あまりの口付けの長さに、妃の握り締めていた扇が床に落ちる。

    微(かす)かに涼やかな音をたてる金の髪飾り
    逃げようとする妃を更に深く口付けて戒める国王。

    あっけにとられる使者達と隣国の王女。
    誰も、この二人を止められるものは、居ない。

    狼陛下の寵愛ぶりを見せ付けるかのような濃厚な口付け。
    …ほどなく、ゆっくりと離れていく二人の唇。

    口付けされて、陛下の胸にしなだれる妃。
    妖艶に笑い、脱力して意識が朦朧としている妃を王が連れ去った。

    隣国の使者達のもてなしを臣下に任せて…

    これにより男の計画は、その後も機会を得られぬまま・・・・縁談の計画は失敗となった。

    ……
    ………

    『夕鈴、大丈夫!?』

    「大丈夫じゃありません。」

    真っ赤になった夕鈴は、力の抜けた身体を陛下に預けたまま・・・・
    抱きかかえられながら、渡り廊下を自室へと移動していた。

    「…陛下は、やり過ぎなんです。」

    「あんな公衆の面前で、恥ずかしい・・・・」

    「口付けなんて、いらなかったのでは、ないですか!?」



    『手っ取り早く、終わらせたかったんだよ。』

    『効果バツグンだったでしょう!!』

    『縁談の話も出なかったし♪』




    「…陛下。毎回、それで、口付けするの止めてくれませんか?」

    「私の嫁の貰い手が無くなります。」

    『大丈夫。ちゃんと責任もつからね。』



    ニコニコ笑顔の小犬陛下に、真っ赤な兎は、本気で怒っても陛下には効いていなかった。

    深いため息しかでない夕鈴。
    真っ赤な顔で怒り出す兎を、可愛らしいと思う狼の包囲網は、狭まるばかり・・・。

    追い詰められている兎が、そのことにいつ気付くのだろうか!?



    2013年
    03月27日
    20:09
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