花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    カテゴリ:【短編】現代パラ 黎翔&夕鈴 の記事一覧

    【短編】「平日デート」恋人の日限定コミュ

    黎翔のビルがある
    オフィス街に近い穴場のデートスポット
    ひざしを浴びてきらきら輝く池がある
    その池に熱々の恋人たちがいた。

    「黎翔さん、ほんとにコレでよかったんですか?」
    とまどった顔の夕鈴が黎翔に問いかける。
    池の水が、反射してまぶしい。

    「一度夕鈴と乗ってみたかったんだ・・・コレ!」
    がこがこと白い白鳥ボートが進む
    白鳥のペダルを漕ぐたびに、かわいい夕鈴の膝が上下する・・・
    本当に楽しそうな小犬がはしゃぐ。
    「・・・それに・・・・」

    「これなら、君といつでもKISSできる」
    小犬から狼にすばやく切り替わり唇を奪われてしまった。
    ここでは、誰にも邪魔されない。
    二人だけのひととき・・・・

    「はぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

    堂々と進む白鳥ボートを偵察する人物。
    こんなこととは、おもいましたが・・・頭の痛い。
    午後の会議をすっぽかして消えた社長を探す。
    だいたいの検討はついてはいた。
    ・・・しかしこれは。
    黎翔のオフィスから双眼鏡で黎翔を探していた李順。
    そんな二人の様子に、盛大なため息しか出てこない。

    あんな姿はとても社員にみせられない・・・
    連れ戻したくても、池の中。

    盛大に頭痛のする頭を両手でかかえる李順だった。

    2012年
    06月12日
    09:35
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    【短編】海ほたる  


    Alfa_Romeo_2015_4C_463633.jpg



    夕闇迫る高速道路を海へとドライブ。
    空を染めながら沈む夕日と
    オープンカーの風が心地よい。

    黎翔の愛車のスポーツカー
    夕鈴の為に、特注したその車は
    ツーシートの革張りの真っ赤なロメオ。

    もうすぐ日は沈み。夜が来る。
    沈む太陽のきらめきが、
    海を燃えるような真っ赤に染めていた。


    『黎翔さん 見せたいものって何ですか?』


    麻のカーディガンをはおり、真っ白なサマードレス姿の夕鈴が、
    オープンカーの風に乱された髪を押さえながら、
    隣で運転する黎翔に尋ねる。


    『んーーー  もうすぐ着くから、楽しみに待ってて。  夕鈴。』


    ディオールの濃い色のサングラスを外しながら、夕鈴に応えた。


    ほどなくして 二人でラベンダー色に染まる空を映した海へ
    波の音だけが響き渡る波打ち際を二人で歩く


    『ラベンダー色の海って綺麗ですね。』


    にっこりと夕鈴が黎翔に微笑んだ。


    薄墨の色が浜辺に落ち、一番星が輝きだした。
    たそがれゆく世界に、

    『・・・もうそろそろいいかな。』

    黎翔はつぶやく。

    『夕鈴、おいで・・・・』

    手を繋ぎ、海に向かって歩く
    海中に足先が触れたとたん・・・水中が青白く光りだす。
    まるで、それが合図だったかのように
    一斉にほの白い青に染まる海


    IMG_8997.jpg   IMG_8998.jpg


    輝くブルーに包まれて二人は波の音を聞いていた。

    『これが、君に見せたかったもの』

    短い命の輝きが海を青白く染める『海ほたる』
    儚くも綺麗なネオンブルーに 心奪われ しばし見とれた。
    しばらく二人で渚を歩く。歩くたびに鮮烈なブルーの輝きに砕ける波
    繋がれた二人の手は、離さない。

    二人のシルエットが青く輝く。
    いつの間にか重なるシルエット
    二つが一つに   一つが二つに
    啄ばむようなキスを重ねあう

    やがて いつまでも重なる二人。

    海を彩る海ほたるは
    遥かに続く渚を やがて儚く輝くブルーに染め上げていった。


    2012年
    08月21日
    18:01

    【短編】夕鈴・恋人『虹』





    雨あがりの空
    輝く虹が
    空にかかる

    七色のその色は、
    いまだ濃い
    灰色の雲を背に
    色鮮やかに
    空を彩る

    いつか聞いた昔話
    虹の根元には
    宝物が
    眠っていうお話。

    幼き日、虹を追いかけて
    宝物を探しに行ったっけ…

    懐かしい記憶にくすりと笑った。

    その笑みに隣に居る貴方(ひと)が
    不思議そうに問いかける

    今は、大人になってしまって、
    虹の伝説なんて
    信じなくなってしまったけれど…

    懐かしい記憶は、甘酸っぱい思い出

    隣にいる貴方とは、分かち合えなかったけれど。

    あの頃を思い出して

    虹を追いかけてみたい

    今度は、貴方と
    遥かな虹を追いかけて
    二人の思い出を
    たくさん作りたいの



    2012年
    09月07日
    07:01 続きを読む

    【短編】現代パラレル『黎明ーれいめいー』※新婚の朝・大人風味

    某所の濃厚さに・・・・無性に、ぴゅあが書きたくなります。


    黎明・・・・夜明け・新しい時代の始まりの意
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    【短編】 if 現代パラレル『妻の日に』※もしも、ホントに夫婦だったら・・・






    ☆今日は何の日かしらって、調べたら【妻の日】なのですって・・・・
    と、いうわけで偽者でない、本物設定です。それでもよければ、どうぞ。







    夜、さりげなくダイニングテーブルに置かれたプレゼント。

    真新しい・白とピンクの薄紙と赤のリボンでラッピングされた
    深紅のポインセチア

    その曇りの無い鮮やかな赤に目を奪われ
    ポインセチアを眺める。

    恋人時代からことあるごとに、深紅の薔薇の花束を夫から受け取ってきた夕鈴。

    (珍しいわ。鉢植えだなんて・・・・。)

    綺麗な鉢植えのプレゼントを眺めていた夕鈴は、鉢植えに添えられた
    メッセージカードにすぐに、気付いた。

    鉢植えに、小鳥が2羽で、啄ばむようなキスをするピックが挿してあった。そこに、添えてあったメッセージカード

    カードを開いて驚いた。

    《夕鈴へ この一年、僕の妻で、いてくれてありがとう。これからも、僕の妻でいてください。愛と感謝をこめて 黎翔より》

    もうすぐ、はじめて二人で迎えるクリスマス。
    突然のプレゼントに、驚きよりも嬉しさだけがこみ上げてくる。

    何度も何度も読み返す、夕鈴。
    見慣れた文字が、滲んでゆく。

    『・・・・夕鈴。』

    突然、後ろから夫に抱きすくめられて動けない。

    そのまま、サラリと零れ落ちた金茶の髪から覗く
    首筋にキスされた。

    『夕鈴、愛してる。』

    力強く抱きしめられたまま、囁かれる愛の言葉。
    廻された夫の腕に、夕鈴はそっと手を添えた。

    「黎翔さん、私も愛してます。」

    「これからも、ずっと貴方の妻でいさせてください。」

    振り向いた、はしばみ色の大きな瞳は、真っ直ぐに
    夫の紅い瞳を見つめる。
    その瞳は、愛に溢れ、言葉よりも多くのものを語っていた。

    微笑みあう二人。

    お互いの愛情を確かめ合い、抱(いだ)きあう。
    そのまま、どちらとも無く 唇は触れ合っていく・・・・

    テーブルのポインセチアは、鮮やかに赤く・・・・






    ・・・・・・深紅のポインセチアの花言葉。『祝福する』

    君の知らない、僕だけの秘密。


    2012年
    12月03日
    06:19
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    【短編】現代パラレル『恋のステップ』※べたの実ぺたぺた・・・

    ※皆様、ワンツー♪ワンツー♪ワンツー♪ワンツー♪ワンツー♪です。
    じりじりして、さくらぱん待ちました。
    『11111111』の日記のCさん、Rさん、さくらぱん待ちましたよ☆
    2012年12月12日12時12分『12.12.12.12.12.』とりました。


    滑るように、ダンスフロアを華麗に舞う・・・・
    そんなことは、夢ではないはず・・・・

    ワンツー♪ワンツー♪・・・・ワンツー♪・・・・

    『そうそう・・・・夕鈴、上手だね。』
    「えっ。本当ですか?黎翔さん!!!」

    むぎゅっーーーーー
    誉められたとたんに、黎翔さんの足を踏んでしまった☆

    「きゃーーー☆ごめんなさい。ごめんなさい。黎翔さん。」
    『大丈夫だよ。夕鈴は軽いから、踏まれても痛くない。』

    そんなわけないと思う、ローヒールにしてもらったとはいえ
    履きなれないピン・ヒール。

    何度、彼の足を踏んだことだろう。
    恥ずかしいけど、それなりに体重だってあるし・・・
    踏むたびに、優しく笑って黎翔さんは、許してくれるけれど。

    「ごめんなさい。黎翔さん。」

    涙目で恥ずかしくて顔が赤くなる。
    見上げた先は、至近距離での黎翔の瞳。
    あまりに近い距離にますます夕鈴の顔が赤くなる。

    (うっ・・・・かわいすぎるよ。夕鈴。)

    夕鈴の懇願されるような庇護欲をそそられる顔に
    黎翔は、彼女にどきりとする。

    ホールドしてある姿勢を崩して、彼女を引き寄せ、頬にKISSをした。

    『こっちこそ、我が儘言ってごめんね。どうしても、クリスマスのチャリティーには、君と行きたいから、無理させてホントにごめん。』

    年末というだけでも忙しいのに、社長である彼は、
    この時期は幾つものパーティで忙しい。
    去年まで、パーティーで特定のパートナーをつくってこなかった彼。
    今年は、恋人が出来たので、彼女と出るためにダンスの特訓をしていた。

    忙しいはずの時間を調整してまで、彼女にダンスを教えている。
    クリスマス・チャリティーのパーティは、あと少し・・・・
    それまでは、たっぷりと君にダンスを教えよう。

    狼の尻尾が見え隠れ・・・君は、ダンスに夢中で気付かない。
    さあ・・・もう一度、ダンスの練習をはじめようか・・・・

    『夕鈴。気を取り直して、もう一度練習しようか?』

    「はい、黎翔さん。」

    明るく元気な君の笑顔につられて、僕も微笑む。

    ワンツー♪ワンツー♪・・・・ワンツー♪・・・・

    僕は、幸せを手に入れてステップを刻む

    自然、足取りが軽く弾むのは、仕方が無い。

    恋のステップなのだから・・・。





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    【詩文】 if 現代パラレル大人風味『切ない夜』※もしも、二度と逢えないと分かっているのに2012.12.04.




    ※もしも、二度と逢えないと分かっているのに



    空寒く
    世界は、一面の銀世界

    冬の訪れも
    ここでは、別世界。

    暖かい暖炉の側
    薪が爆ぜ、暖かい。

    窓辺に置いた
    シクラメン

    燃え上がる焔のような
    鮮やかな踊る花弁

    窓辺の花は、赤々と
    咲誇り 美しく・・・
    シクラメンにあの人を重ねる






    濡れそぼり
    凍えた身体を
    素肌に毛布で包み

    ぬくもりを分け合って
    二人 抱きしめて
    一夜限りの時を過ごした。

    切ない恋心ゆえの
    小さくて 大きな決断。

    震える貴方の唇に
    重ねた私のぬくもり・・・

    切ない気持ちを受け取ってと願いを込めた
    最初で最後の貴方への口付け。

    消せない想いは苦しくて
    更に募り、切なくなった。

    空に冴えた月が輝く
    銀世界は、月光に満ちる
    あの日と同じ月・同じ夜の輝き

    耐え難いほど募り行く想い
    貴方への熱だけが冷めない。
    消えない。  ・・・・燃え盛る焔のよう。

    頬を伝う 静かな涙
    はしばみ色した瞳から行く筋も・・・
    もう二度と逢えないと分かっているのに
    逢いたいと願う 自分の心

    赤いシクラメンが焔で咲誇る
    『切ない愛を受け取って』

    貴方へと駆ける 私の想い
    指先で触れた 私の唇に

    あの時触れた貴方との熱が
    今も残る・・・切なく熱い。
    唇の記憶の焔。



    2012年
    12月04日
    16:55 続きを読む

    【短編】現代パラレル『除夜の鐘』

    ※こちらは、現代パラレルです。
    彼表現ですので、お好きなキャラをあてはめてお楽しみください。
    彼×夕鈴です。
    雰囲気だけです。ごめんなさい。
    ・・・・もう一つ寝るとお正月♪

    その前に、もう一本UPしたい・・・・したいです。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








    長い石段を一歩づつ登る

    大晦日の篝火に照らされた石段を…

    賑やかな賑わいを見せる
    神社の夜店は、遥か下
    裸電球の暖かな光に満ちている

    彼と二人…
    近くの神社までお参りに来た

    今年最後のデートのお誘い

    張りきっていたのは、私だけ…!?
    せっかく着慣れない晴れ着を着てみたというのに…
    言葉少ななのは何故だろう…

    なんだか、彼がよそよそしい。
    出かける前は、とても楽しみにしていたのに
    この沈黙がとても悲しい。

    あと数時間で、今年も終わる。
    昇りきった境内は、人で溢れていた。

    『あぶないっ夕鈴。』
    「あっ・・・」
    人にぶつかりそうになって、よろめく私を引き寄せて
    彼に助けられた。

    一瞬だけの腕の中
    それは、とても幸せで・・・
    見ていてくれていたことが嬉しくて・・・

    先ほどまでの悲しさなんか消えてしまった。
    助けられてから、すぐにまた離れてしまったのだけど・・・

    しぼんでいた恋する気持ちは
    むくむくと膨らんでいく

    『・・・・ほら』
    ぶっきらぼうに、そっぽを向いて差し出された大きな手が
    手を繋ごうと語っていた。
    差し出された彼の手に 私は、そっと手を重ねた。

    単純な心のメロディーは、弾んだリズムを刻みだす。

    『君は、危なさ過ぎるから、このまま手を繋いでいこう』
    耳まで赤いのは、きっと私の気のせいではないよね。

    ―繋いだ手が熱いのは、私だけのものではないはず。

    人の頭しか見えないような境内に、赤々とした篝火がパチッと爆ぜる
    映し出された暗色の風景の一部となって、二人で鳥居をくぐった。

    除夜の鐘が鳴り響く・・・・師走の空に

    離れないようにと繋いだ手の温もり・・・・
    離さないでと願う私の思い・・・

    やっと、順番が来て、賽銭を投げ入れた。
    ガラガラと大きな鈴を鳴らして、願いを込めて手を合わす

    それは、とても単純だけど・・・本気の長い願い事だった。
    《来年もその先も、ずっと・・・ずっと・・・》
    願い事の間、除夜の鐘が何度も鳴り響く

    人ごみを避けて、二人で引いたおみくじは
    二人とも、『大吉』だった。

    境内に冬桜が咲いていた。
    春とは違い、白くて儚げな冬桜。

    だけど、雪のうっすら積もる季節に
    たくましく咲い居ているのが、とても目を惹く。

    へこたれない強さを感じさせる冬の花。

    あやかって、この木におみくじを結ぶことに決めた。
    すでに、花よりも華やかに、幾つものおみくじが結んであった。

    どの枝に結ぼうかと、彼と微笑みあって枝を選んだ。
    そんなささやかなことさえも幸せで。

    結局、誰よりも高い枝がお願い事が利きそうな気がして、
    手の届く一番高い枝にした。

    彼に手伝ってもらって、桜の木に結んだ。

    帰り道、いつの間にかただ繋いでいた手か
    しっかりと握られていた。

    もうすぐ家に帰り着いてしまう・・・・
    寂しくなって彼の袖を引いた

    このままそれぞれの家へと帰るのが、寂しくて・・・
    離れてしまうのが苦しくて・・・

    コツンと頭垂れて彼に寄り添い
    甘えてみる。

    気付いて、彼が肩を引き寄せる
    寄り添いながら、彼と歩く・・・

    立ち止まる街角
    はらはらと、粉雪が舞っていた。

    街灯に照らされた雪は
    とても綺麗で・・・

    雪に魅入られていたら、
    彼に引き寄せられた。

    『・・・・言いそびれてたけど、今日の夕鈴とても綺麗だ。』

    真剣な眼差しで、頬を染めながら
    彼がそんな事を言う。

    嬉しくなって、私まで真っ赤になって彼を見詰めた。
    私の努力は、無駄ではなかったらしい。

    照れた笑顔の彼に見とれた。

    引き寄せられた腕の中
    夕鈴に再び囁かれた愛の言葉。

    『来年も、愛してる・・・・』

    重ねた唇。
    甘い口付け。

    除夜の鐘が鳴り響く・・・・師走の空に



    除夜の鐘が響く・・・・



    除夜の鐘が響く・・・・


    ・・・・・・・・・・・・・願いの鐘が鳴り響く。


    粉雪舞う、師走の夜空に。


    《来年も、君と一緒に・・・・》

    【短編】現代パラレルor if ・大人風味『初日の出』※ラブラブです。






    今年になって最初の冬の海
    昇る旭に

    僕らは陽に向き合う

    誰も居ない海岸線
    砂浜に続く足跡は僕らだけ
    寄り添い歩く 二人の足跡

    少しずつ顔を覗かせる太陽の光は
    海面を輝かせ
    空に眩く昇ろうと照らす

    「わぁ・・・」
    『綺麗だね。』

    新しい年の幕開けにふさわしい美しい日の出に
    君は、素直な感動の声を零す

    はしばみ色した瞳は、旭に輝き
    白磁の肌は、光りを浴びて更に輝く
    嬉しそうな君の顔
    素直な感情を、表情豊かに表せる君がとても愛おしい。

    幾つ 年月を重ねても、何度 初日の出を見ようとも
    きっと、君を想う僕の気持ちは変わらない。

    潮風に靡く、色素の薄い金茶の髪が
    陽射しを浴びてキラキラと輝く・・・

    (ああ・・・綺麗だ。)

    君への変わらぬ想いも、君との幸せな未来も全て願う
    欲張りな僕は、君に対しては、貪欲だ。

    何においても、君を優先するだろう。
    この命さえも・・・

    旭の輝く波打ち際で、君を抱きしめて
    愛を誓う。
    囁かれた愛の言葉は、君に届いて抱きしめ返された。

    《ずっと・・・ずっと・・・この先もずっと、愛してる。》

    重ねた唇は、愛を確かめて・・・幾度と無く・・・

    明けたばかりの空の下

    海岸線の砂浜に二人の長い影が
    いつまでも・・・いつまでも・・・一つに重なっていた。


    2013年
    01月01日
    07:31

    【短編】現代パラレル黎&夕『粉雪』

    ※現代パラレル
    黎翔&夕鈴
    待ち合わせです。
    外出先からなので、一発書き、粗いです。
    それでもよければ、どぞ。





    曇り硝子の窓の外
    暗い灰色の空から、白い粉雪が降る

    …春まだ遠い
    冬の季節

    新年が明けて…
    あと半月で最初のカレンダーをめくる。

    曇ったガラスを袖で拭いて、外を眺めた
    大好きな人の姿を外に捜す。


    喫茶店の暖かな暖炉の焔
    珈琲の香りが、私の気持ちを宥める

    アンティークなお店の時計を確認する。
    待ち合わせから、すでに1時間が過ぎた…


    だけと、黎翔さんは まだ、来ない。
    《遅れる。ゴメン》のメールが来てから、もう1時間。

    頼んだ珈琲もすっかり冷めた。

    もしかしたら、来てくれるかもと、ずっと待っていたのだけれど、

    …今日はもう逢えないのかしら!?
    がっかりとした気持ちと、やっぱりとした気持ちが心を萎ませる。

    重い気持ちで席を立つ
    手早く身仕度をして、店を出ようと、出口へと足を向けた。

    テーブルから数歩離れた時、店の来客を知らせるベルが、カラン・・・カラン・・・・と鳴った。

    明るいその音に、俯いた顔を上げた。

    息を弾ませて、店に入ってきた黎翔さん。

    髪に粉雪を乗せながら、嬉しそうな笑顔が輝く
    だけど、すぐに表情が曇る。
    いつもは、凛々しいその柳眉が、下がり
    まるで叱られるのを覚悟している小犬のよう・・・・

    『ゴメンね、夕鈴。』
    『すごく待たせちゃった。』
    雪を払う素振りもなく、まっすぐに私のもとに来てくれた彼。

    ようやく会えて、私の心に花が咲く。
    笑みが自然とこぼれ落ちた。
    『黎翔さん、お疲れさま!』の言葉と 共に優しく微笑み出迎えた。

    指先に触れた肌が冷たい。
    鼻先が、赤い。
    走ってきたのか、急いで来てくれたことが嬉しかった。

    二人ようやく出逢えた店の外は、白に更に白を塗り替えた白銀の世界。
    美しい粉雪舞う街に寄り添いながら店を出る。

    店から続く、二人の足跡を静かに降り積もる粉雪が跡形もなく消していく。

    行き先しれず…
    粉雪の降る街に恋人達は消えていった。

    【長編】『現代パラレル 黎翔&夕鈴』 

    こちらは、現代パラレル【長編】 黎翔&夕鈴を収めた書庫室です。
    珀 黎翔と汀 夕鈴の物語。はじめにをお読みください。関係性は様々です。
    閲覧には、ご注意ください。
    続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。

    【中編】『現代パラレル 黎翔&夕鈴』

    こちらは、現代パラレル 【中編 】黎翔&夕鈴を収めた書庫室です。
    珀 黎翔と汀 夕鈴の物語。はじめにをお読みください。関係性は様々です。
    閲覧には、ご注意ください。
    続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。

    【短編】『現代パラレル 黎翔&夕鈴』

    こちらは、現代パラレル【短編】 黎翔&夕鈴を収めた書庫室です。
    珀 黎翔と汀 夕鈴の物語。はじめにをお読みください。関係性は様々です。
    閲覧には、ご注意ください。
    続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。

    【詩文】『現代パラレル 黎翔&夕鈴』

    こちらは、現代パラレル 【詩文】黎翔&夕鈴を収めた書庫室です。
    珀 黎翔と汀 夕鈴の物語。はじめにをお読みください。関係性は様々です。
    閲覧には、ご注意ください。
    続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。

    【短編】現代パラレル2『君とお散歩』※散歩にゴーの日

    昨日、出したり引っ込めたりしているうちに、日付が変わってしまいました。
    それでもよければ・・・・どぞ。





    現代パラレル
    黎翔さんと夕鈴。




    綿あめのような桜並木を二人、手を繋いで、散歩する
    ここのところ毎日となった池での散歩。

    風も無いのに花びらが舞い散り…
    池のカルガモが、親子で花びら模様の水面を泳ぐ。
    麗らかな午後のひととき。

    食後のほんの一時間だけの黎翔さんとのデート。
    忙しい黎翔さんが提案した、ささやかな二人の恋人時間。

    いつも、池を半周した辺りから、雲行きが怪しくなる。
    ほら、だんだんと黎翔さんの足取りが重くなる。

    「黎翔さん、また歩くの遅くなってますよ。李順さんに怒られます。」

    『だって、もうすぐ池を一周しちゃうよ、夕鈴。』
    『君と居られる時間が無くなっちゃうよ!!』

    拗ねた小犬は、唇を尖らせて、駄々っ子のような事を言う。
    夕鈴は、大仰なため息をついて、小犬を説得し、オフィスに返すのを毎回苦労していた。

    「黎翔さん、今日は何曜日ですか!?」

    『月曜日だったと記憶してる。』

    「そうです、月曜日です。」
    「そして、私は春休み中。」
    「黎翔さんが、私のお弁当が食べたいと言うので毎日お弁当を作って届けてるんです!!

    『うん、ありがとう。』

    「お散歩は、黎翔さんが、お昼休み時間なら自由時間だよね。近くの池を一周散歩するだけと云う約束でしたよね。」

    『だって、夕鈴。すぐ帰っちゃうんだもの。』

    「お仕事の邪魔をしないように、用事が済んだら帰るのが、当然です。」

    「どうしても、これ以上、無理な事を仰るなら、今後オフィスにお弁当は届けません!」
    「当然、お散歩も無しです。」

    『ええーーーーっ!!!』

    ビシッと恋人に指をさされ、断言された黎翔さんは、お弁当と散歩を死守するために、夕鈴を説得して考えを改めさせて
    口数少なく従順になりましたとさ 。


    夕鈴、強し !!
    ドンマイ黎翔さん!!






    『ああ・・・・・一周しちゃったね。』
    『散歩が、終わっちゃった。』

    ものすごく残念そうに、黎翔さんが、ポツリと言う・・・・。
    見えないまぼろしの耳と尻尾がうな垂れ寂しそうだった。

    「午後から、お仕事頑張ってくださいね。」

    うなだれた小犬の様子に、夕鈴はクスリ笑った。

    『・・・・・(会社に)戻りたくないなぁ。』しゅん。。。。

    「だめですよ。そんなこと言っちゃ・・・李順さんが待っていますよ。」















    『・・・・・・・夕鈴。』

    じぃーーーーーーーと、二つの淋しげな瞳が、夕鈴を見つめる。

    『夕鈴、いつものおまじない。今日は、夕鈴からしてくれると元気になるんだけど・・・・』
    『午後も仕事、頑張れそうなんだけど。』
    『今日は、夕鈴からKISSしてくれない?
    「だっ・・・だめだめだめだめ!!!;黎翔さん!!!」』



    耳まで真っ赤になった夕鈴が、慌てて周囲を見回して、黎翔から遠く離れた。
    ピンクの唇は、黎翔から両手で隠した。

    『・・・・・夕鈴、遠い。』
    『そんなに、僕とKISSするの嫌なの?』
    『・・・・・キズつくなぁ。』

    「・・・・・そんなこと・・・ない」
    (分かっている。黎翔さんのすべて演技だってのこと、分かっているのに。・・・・この目に弱いのよね・・・・・。)
    赤面したまま夕鈴は、黎翔さんのもとにおずおずと戻ることとなる。

    『じゃあ、夕鈴。おまじない
    『今日は、夕鈴からKISSして

    真っ赤な顔したはしばみ色の愛され兎。
    してやったりの恋人おおかみ。

    ・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・

    小犬の顔した、おおかみさん。
    貴方の手のひらに、可愛い兎が一匹。

    好きで、好きで、大好きで・・・・
    美味しそうだけど、食べられない。

    食べちゃいたいのに、食べちゃダメ。

    ーーーーーーに掛かるのだぁれ?



    2013年
    03月26日
    16:05 続きを読む

    【短編】『空中散歩』※現代パラレル






    ※「空の日」企画

    雲一つ無い真っ青の空に抱かれて

    わずか90分の空中散歩。

    地上の街並みは、精巧なジオラマのように眼下に広がり

    高層ビルは、マッチ箱より小さい。

    遥か地平線が、彎曲(わんきょく)し、改めて地球が丸かったことを知る。

    飛行船の高度からの眺めは、
    いつもの地上からの眺めとは、あまりも違う

    飛行機や、ヘリコプターとも違う、音の無い…静かで優雅な空中散歩。


    あまりにも静かで、安定感があるので、自分が何処にいて、何に乗っているのか
    ともすれば忘れてしまいそう…

    そんな事を、テーブル越しで、ワイングラスを傾ける黎翔さんに話したら、

    『夕鈴は、可愛らしいことを言う…』

    クスリと楽しそうに笑われてしまった。


    2012年
    09月20日
    08:16 続きを読む

    【短編】現代パラレル・大人風味『カモミール』※ぴゅあ・ほのぼの

    「花の四苛」で、リンクしていただいています。高月慧ネンさんの、SNS日記・100hitの逆リクで、「現代パラレル・甘々で・・・」とのことで、慧ネンさんのお誕生花の『カモミール』で贈らせていただきました。
    花言葉は、『あなたを癒す』『逆境に耐える』『苦難に耐えて』『清楚』
    なんだか、狼陛下にぴったりのお花ですね。


    現代パラレル×黎翔&夕鈴です。
    それでも良ければ、



                     ・・・・どぞ。








    続きを読む

    『誓いの口付け』

    本日、プロポーズの日



    初めのころと変わらない

    愛しさだけか込み上げる

    君との口付け

    見詰め合う瞳には、お互いしか見えない

    『ずっと・・・・僕の傍にいて』

    『結婚しよう。』

    滲む視界で貴方が滲む

    「私でいいの?」

    『君がいい・・・』

    『僕と結婚してください。夕鈴。』

    「はい、黎翔さん。」

    ぽろりと零れた大粒の涙。

    抱きあう二人。

    繋いだこの手を離さない。

    甘い口付け。

    誓いの言葉。

    この日、あった出来事を

    僕らは、ずっとずっと・・・・忘れなだろう。

    重ねあう唇。

    抱きしめた腕の中のぬくもりの中

    僕らの耳に、幸せのウェディング・ベルが響いた。



    2013年
    06月02日
    20:26

    【短編】現代パラレル『僕の恋人』おまけ

    仲直りの甘いKISSの合間に、囁く睦言。

    黎翔は、手に入れたばかりの未来の妻、抱きしめる腕の中の夕鈴のぬくもりに酔いしれる

    『君からの別れたいとの発言に僕は絶望したよ。』

    「……ごめんなさい。」

    『誤解がとけて良かった。』
    『…でもね。』

    『僕は、嬉しかったんだ』

    『君がヤキモチ妬いてくれたこと…』

    啄むような黎翔の口付けの甘い雨にうたれながら、夕鈴は幸せを感じていた。

    『君がヤキモチ妬いてくれて、僕はこれ以上なく幸せだったんだよ。』

    『君が僕を愛してるって知る事ができた。』

    『僕だけの片想いじゃないって知ったから…』

    『夕鈴…もっと、ヤキモチ妬いてよ。』

    『愛してる…』

    「…もぅ…黎翔さんのばか…」

    「あんまり、ヤキモチ妬かせないで下さい。」


    甘い口付けは二人の心まで、溶かしていく…

    夕鈴が、掻き抱く黎翔の背。
    その夕鈴の指先には、煌めき輝く透明なダイヤモンドの光が輝いているのだった。

    【短編】現代パラレル『僕の恋人』

    人の行き交う大通りの道
    僕は、久しぶりに彼女を見つけて喜んだ。

    背にゆれる金茶の長い髪
    華奢な身体
    未だ学生の君の制服には、見覚えがあった。

    何時から会って居なかったろう。
    二週間ぐらいかな?
    あの後姿は、間違いなく僕の恋人。

    後ろから肩を叩き、
    『久しぶりっ!!元気だった?』
    と声を掛けた。

    僕に、びっくりした夕鈴。
    大きなはしばみ色の瞳が更に大きくなる。

    「・・・あ、黎翔さん。」

    君は、喜ぶどころか、僕の手を振り払い走り出す

    僕の傍から、突然逃げ出した夕鈴。
    逃げ出した訳も分からずに、僕は追いかけた

    先を走る僕の恋人は、本気で逃げる気は無いようで
    追いかけてくれることを信じているようたった。

    少しずつ縮まる距離。

    容易く、追いついた僕。
    ようやく掴まえた彼女の肩は、少し震えていた。

    『どうして逃げるの?』

    振り向かせた君は、少し涙を滲ませ
    僕を見つめる。

    君を傷つける事など心当たりが無くて、困惑する僕。

    一瞬だけの沈黙。
    だけど、永遠に思える時間。

    「・・・・・黎翔さん、私に隠してることないですか?」
    「私たち、別れましょう・・・・・」

    ほろりと落ちた大粒の透明な涙。
    とても綺麗な彼女の涙。
    それが彼女の頬をゆっくりと伝い流れ落ちていく様を目で追った。

    衝撃的な彼女の言葉に、僕は雷に打たれたように動けない。

    『・・・・・なんで、そんな事イうの?』
    『僕の事、嫌いになった??』
    『それとも、僕以外に好きな人でも出来たの?』

    乾いた咽喉でかろうじて紡ぐ、感情も無く抑揚の無い言葉。
    自分の口から紡ぎだされた、擦れた言葉を他人の言葉のように聞く。

    ーーーーー彼女に他に好きな人が出来たら、ソイツを殴ってでも彼女を取り返す。

    血が沸騰するような行き場の無い怒り。
    剣呑な光を帯びて、彼女と向き合った。
    君の言葉が、信じられなくて怒りが収まらない。
    心の中を、凶暴な嵐が荒れ狂う。

    「黎翔さんが好きです。他に好きな人なんて居ません。」
    「・・・・だけど、別れてください。」

    ぼろぼろと泣き出す彼女を引き寄せて抱きしめた。
    困惑する僕。

    『分からないよ、夕鈴。』
    『君と別れるつもりなんて無い。』
    『別れたい理由を教えて!!!』

    「ううっ・・・・」

    『 夕鈴。』

    泣き出した彼女が落ち着くまで、強く抱きしめる。
    好きなのに分かれるなんてこと、絶対に理解できない。

    ―――――――僕は、別れるつもりはなかった。

    僕は、大勢の人が好奇心の視線で見つめている賑わう大通りで、
    泣きじゃくる彼女をつよく強く抱きしめた


    儚く消えそうな彼女を抱きしめて
    この腕のぬくもりが、消えないようにと願いを込めながら・・・・・・。

    ようやく落ち着いてきた夕鈴。
    泣きじゃくる嗚咽が小さくなった。
    こんな人通りの或る場所じゃ・・・理由が聞けない。
    どこか、君と落ち着ける場所で話がしたい。
    僕は、少しもつれ気味の思考を振り払い、夕鈴の手を握り締めた。

    『夕鈴おいで・・・・。』

    君の手を引いて、行き交う人々の流れに混ざる。
    さほどの抵抗も見せず、君は素直に僕について来てくれた。
    僕は、タクシーを止めて、彼女を押し込める。
    向かう先は、僕のマンションだった。

    『どうして別れるなんていうの?』

    ソファーに座る彼女に、ミルクたっぷりと角砂糖2つの珈琲を手渡しながら
    僕は、優しく聞いた。
    沈黙する夕鈴。

    はぁ~

    僕は、少しだけため息をついた。
    ぴくりと反応する彼女に、落ち着くように珈琲を勧めた。
    こくんとマグカップを抱えながら飲む彼女。
    子供みたいな彼女の考えているときの癖。
    小さな癖も、見逃さないほど僕の傍に居て、君と過ごした時間は長い。
    かたんと、テーブルに飲み干した空のマグカップを君は置いた。
    隣に座る僕に向き合い、真っ直ぐな視線で見つめる。

    場が凍りつく。
    どうやら理由を話す気になったのか、緊張感が走る。
    一つも君の言葉を聞き逃さないと、僕は君の言葉に神経を注いだ。

    「・・・・・・あの・・・・・見たんです。」

    「黎翔さんが、嬉しそうに・・・・・・宝石店から・・・・・女の人と出て行くところを。」

    ぽつりぽつりと話す夕鈴。
    とても辛そうに表情が歪んだ。
    再び、あふれ出す大粒の涙。

    「見間違いだと思ったんです。」

    「だけど、見間違いじゃなくて・・・・」

    「しばらく会わなかった理由もそれなのかなって・・・」

    「・・・・・わたし・・・・そんなの耐えられない。」

    「だから・・・だから・・・」

    「黎翔さん、別れてください!!!!」

    『ーーーーーーっ!!!』

    『夕鈴、誤解だ!!!』

    『僕は、別れるつもりは無い。』

    そう言って抱きしめる。

    『君が、僕の恋人だ。』

    『他に恋人なんて居ない。』

    『君しか居ないんだ。』

    『夕鈴、僕は君と別れないよ。』

    抱きしめた君を手放したくなくて、更にきつく抱きしめた。
    柔らかな耳朶に、囁く、謝罪の言葉。

    『ゴメン夕鈴。勘違いさせたね。』

    『愛しているのは、君だけだ。』

    『別れるなんて言わないで・・・・』

    『愛してる・・・・』

    僕の気弱な小犬の言葉。
    君が、コレに弱いことはわかっている。
    大人しく僕の言い分を聞いてよ。
    抱きしめていた夕鈴の身体から強張りがとれていくのを僕は感じていた。

    『買い物をしてたんだ』
    『君への贈り物を・・・』
    『秘書の子に頼んで、参考意見を聞いたんだ。』
    『そこを見たんだね。』
    『誤解させてゴメン。』





    『少し待ってて・・・』

    そう言って、リビングのソファーに君を残したまま
    僕は、あるものを取りに奥の寝室へと向かった。

    しばらくして、戻ってきた僕の手には、小さな小さな箱。
    再び、夕鈴の隣に座りなおして、彼女の手に小箱を渡した。

    「コレ・・・・なんですか?」

    『いいから、開けてみて』

    綺麗にラッピングされた赤いリボンを解いてゆく・・・
    箱の中には、ブルー・ブラックのベルベットの小箱。

    「これって・・・・」

    困惑し戸惑う彼女。

    『いいから、開けてみて?』

    安心させるように優しく微笑み、僕は先を促した。
    彼女の手の中で、どんどん開封されるその箱を
    僕は、ドキドキと高鳴る胸の鼓動を聞きながら見守った。

    「・・・・・・ぁ、綺麗!!!」

    ブルー・ブラックのベルベットの小箱から出てきたのは、とても綺麗に光る1キャラットほどのダイヤモンドのプラチナリング。
    煌めくリングを、僕は小箱から抜き取った。
    そして、夕鈴の手から小箱を外すとテーブルにそれを置いた。

    『夕鈴、僕と結婚してください。』

    『君が、卒業するまで待つつもりだったけど』

    『もう、待てないんだ。』

    「黎翔さんっっ」

    『君は、どんどん綺麗で可愛くなっていく。』

    「・・・・・・っ!」

    『他の男に君を取られたくない。』

    『一分一秒でも、ずっと君の傍にいたい・・・』

    「・・・・・・っ!!」

    『夕鈴、僕の奥さんになって?』

    そう言って、するりと嵌めた指先に光るダイヤモンドの約束の指輪。
    重たげに光り輝く指輪を信じられないものを見るかのように見つめる夕鈴。
    ぽかんとした顔がとても可愛い。
    真剣な僕の告白も、君の反応は僕の想像通りで面白い。
    容易く想像できる、僕達の未来予想図。
    だから君は、見ていて飽きない。

    『夕鈴、僕の奥さんは、君しか居ないよ。』

    そう言って僕は、彼女の指先に嵌めた誓いのリングにKISSをした。

    『夕鈴?YESと言って?』

    真剣で、切ない僕の願い。
    僕の未来を君が握る。
    真摯な瞳で、君の答えを待った。

    「・・・・・・・はい。貴方のお嫁さんになりたいです。」

    恥ずかしそうに答えた彼女に、僕は飛びついた。

    『夕鈴、ありがとう!!!』

    『僕、嬉しいよ!!!』

    ぎゅーぎゅーに抱きしめて、僕の嬉しさを伝える。

    「・・・黎翔さんっ、苦しっっ!!!」

    夕鈴が、苦しさを訴えても、止められない。
    嬉しくて嬉しくて、君に半分も伝えきれていない気がして、もっとぎゅっと抱きしめた。

    『ゆーうーーりーーん』

    「きゃああぁぁーー!!!  黎翔さん、苦しい!!離してーーーー!」

    『ヤダ!!!離さない。』

    もう、君の口から別れるという言葉はいつの間にか消えていた。







    『僕の奥さん・・・・ふふ、いい響きだね。』

    いつの間にかソファーに押し倒されて、黎翔さんを見上げる。

    『夕鈴、練習してみようか?』

    「・・・・・なにを練習するんですか?」

    『僕のこと、アナタって呼んでみて、僕の未来の奥さん』

    耳元で囁かれた黎翔の御願い。

    「////////。」

    「・・・・言えません。」

    『えーーー言ってよ。夕鈴。』

    『言わなきゃ離さないよ。』

    『「ア・ナ・タ、愛してる」って言ってよ!!!夕鈴。』

    「・・・・・//////っ!!!」

    「       てる。」

    『聞こえないよ。夕鈴。』

    「ア・ナ・タ、愛してる」

    『うん、僕も愛してるよ。僕の奥さん』

    「・・・ん・もぉ・・・・馬鹿!!!」

    恥ずかしそうに真っ赤になって、身悶える僕の可愛いい未来の奥さんに、優しくKISSをした。
    僕は、未来の奥さんの唇を味わいながら、何処まで予行練習しようかな・・・・などと不埒なことを考える。








    君の可愛らしい「・・・ん・もぉ・・・・馬鹿!!!」の甘い言葉は、今日は何回聞けるだろうか?


    ー完ー

    【詩・短編】現代パラレル『嘘つきな唇』

    こんな筈じゃなかったのになぁ…
    どうしてこうなっちゃたのかな?


    晴れた青空。
    手のひらから、透かした太陽が眩しくて涙が滲む。

    こんなに君が好きなのに……
    『…好き』と言えずスレ違いばかり。
    口に出す言葉は、心と裏腹

     ――嘘つきな唇


    『大っ嫌い!』と口に出して
    ホントは大好きなのに…

    もどかしさばかり募り
    伝わらない恋心 。

    天の邪鬼な私の嘘つきな唇は
    あなたに嫌われる言葉ばかり


    心から君を愛してる
    ホントだよ。

    ……信じてよ。


    繋いだ手から伝わるあなたの優しさで
    心がきゅんと狭くなる。

    どうしてケンカしちゃうのかな。
    やっぱり、私が悪いのかな…?


    青空がとても綺麗で、おもわず涙が零れた。



    ……素直になりたい。 
    『大好き』って、 君に伝えたいの
     

    だけど……それが出来ない。
    ――もどかしい唇






    ……ああ。

    今すぐ唇を塞いでよ。

    私のホントの気持ち
    あなたに伝えたいの…

     『kissして…』

    瞳を閉じて
    あなたを待つの。

    嘘がつけない心で触れて
    今、伝えたい

    ……あなたが好きです。

    【詩文】現代パラレル『Summer Snow』※珊瑚の産卵

    真夜中の海に浮かぶ
    君と僕

    漆黒の海に
    満月の淡い光りが海面に耀く


    僕達は夏の雪を見たくて
    此処に来た。

    Summer Snow

    神秘的な真夏の雪

    船の縁から満月を見上げ
    一夜の神秘の時間をしばし待つ

    船の揺れと共に
    ゆりかごのように揺れる身体。


    ほどなく最初の雪が一つの珊瑚から現われた
    生命の誕生の瞬間  珊瑚の産卵

    神秘的な真夏の雪

    Summer Snow

    一つが二つ、二つが三つ……
    あっという間に海に雪が降る

    アクアラングをくわえて、真夜中の海へ


    手元の光りが見渡す海は、神秘的な珊瑚の産卵
    まるで降り積もる雪のよう……

    漆黒の海に光り輝く ほんのりピンクの真夏の雪

    魂が惹かれる  美しい海中ショー

    この光景がこの海域全てに同時に起こっているなんて
    想像もできないスケールにただ見惚れるしか出来ない。

    なんてちっぽけなのだろう 僕は
    海はなんて広いのだろう……全てを内包して包み込む海


    壮大な誕生に立ち会えた僕らは
    神秘的な海を漂う

    真夏の雪

    Summer Snow

    神秘的な海の不思議に触れた瞬間

    また一つ僕らは海を好きになる






    続きを読む

    【詩文】『遠距離恋愛』

    どんなに離れて 暮らしていようとも
    例え 異国の空にいようとも

    離れても なお募る恋心


    静かに暮れなずむ夕焼けに
    在りしの君の笑顔重ねて


    会いたくて逢えなくて
    募る 切ない恋心

    君のアドレスを指先が覚えてる
    メールだけじゃこの想い伝わらない。

    直接私の心に触れてよ
    逢いたい  今すぐにでも……


    燃えるような沈む夕陽は
    終わりを告げるものじゃないこと
    君は教えてくれたね。

    明日の為のリセット
    癒されるために隠れた
    太陽の優しさだからって


    私の心が騒いでる
    君が居なきゃ何も始まらない。
    私の太陽はあなたなのです。


    ……君に今触れたい
    今すぐ逢いに来てください。

    あなたが大好きなのです。

    【SSS】現代パラレル『恋は間接キッスから〃▽゚』




    ……うわぁお
    どうしよう……

    チラチラと盗み見る先輩の口元。

    あれって、天然?
    それとも確信?

    キャンパスいち正統派の美形と評判の高い
    憧れの先輩と向かい合わせで食事をするだけで緊張するのに……

    食事がまったく喉を通らない!

    黎翔先輩っ!
    気付いて下さいっっ!

    先輩が使っている箸は、さっき私が使ってた箸ですよ!
    先輩、気付いてないんですか!?

    他人の使いかけって、嫌じゃないんですか!?
    私が使ってたんですってば…

    私の心の声も虚しく美味しそうに食事をしている黎翔先輩。
    私の焦りは、1人よがりで…

    あぁ…あんなに奥まで口にいれてるし。
    恥ずかし過ぎて見てらんない…

    真っ赤になった頬がますます火照る…
    黎翔先輩を盗み見る夕鈴の瞳も潤んできた。

    『夕鈴、どうした?』
    『顔が赤いけど…』

    『やっぱり、食べたくなった?』
    『君の残りもの僕が食べちゃって、だいぶ少なくなったけど…』
    『まだあるよ!』
    『食べる?』

    「いえ…先ほども言いましたけど、お腹いっぱいです。」
    「黎翔先輩、全部食べて下さい。」

    『そお?夕鈴遠慮してない?』

    「遠慮してないです。どおぞ…」

    的外れな会話。
    嬉しそうに、食べてくれる黎翔先輩。
    まっすぐに微笑んでくれる紅い瞳が純粋で眩しくて…

    あぁ…も…ぅ
    まったく気付いてない!

    乙女心に気付いて下さい!

    どおしよう…
    ますます顔が紅くなる。

    きっと林檎のように紅いんだわ…
    憧れの黎翔先輩と間接kiss…


    ダメです!
    先輩!
    天然すぎます。
    ますます先輩が大好きです!

    貴方に恋する乙女は、正視できなくて…
    間接kissから落ちた恋は、どうすればいいんですか?


    先輩!
    私に教えて下さい!


    「貴方に恋に落ちました。」

    ーFIN-



    2013年
    10月01日
    22:33 続きを読む

    【詩文】現代パラレル「微熱の口付け」

    静かに降る
    粉雪が
    聖夜を彩る
    白い夜

    あなたの肩越しに
    はるか彼方に続く
    金色のイルミネーションを見る

    訪れる人々は
    天を見上げ
    片隅みの恋人達に
    見向きもしない。

    ポストカードのような
    止まった時間

    眩しい光に
    目を細める

    夜空に光輝く
    輝く地上の星を背に
    あなたの瞳が見つめる

    「君が寒そうだから…」

    そんな言い訳が自然な夜

    抱き寄せられて
    キュッと…
    抱き締められた。

    聖夜の恋人達は
    寒さ知らず

    粉雪に繰り返す
    微熱の口付けは

    粉雪さえも
    溶かす

    冷めない恋の口付けだから…

    【現代パラ】夫婦設定「繋いだ手」

    夕暮れのスーパーの帰り道。
    もうすぐ家々の明かりが、灯る。

    少し、寂しくなる時間帯。

    「ちょっと、買いすぎたかしら…
    でも、特売だったし……」

    よろりと重い荷物を抱えながら・・・隣を歩く夕鈴に、
    黎翔が、言葉をかけた。

    「ほら、全部持つよ。」

    「いいよ…買いすぎた、私が悪いんだもの。重いわ。」

    「僕は、男だから平気だよ。」

    そう言って、二つとも荷物を持ってしまった。

    しばらくして

    「けっこう重いな……」

    呟く、黎翔の言葉に夕鈴はくすくす笑った。

    「ほらね。
    重いでしょう!?
    半分持つわね。」

    「大丈夫だよ、夕鈴。
    家まで持てるよ。」

    「そんなこと言わないで、
    家までは、まだまだ先があるわ…一つ持つ。
    半分こ。」

    「じゃあ、こっちを持って……」

    なかば、無理やり奪い取ろうとする夕鈴に、黎翔は根負けした。
    比較的、軽いほうを夕鈴に持ってもらった。

    「でも、バランス悪くなったね。」

    黎翔は、荷物の持っていない手のひらを見てから、夕鈴を見た。

    「……ほら。」

    夕鈴に差し出された大きな黎翔さんの手。
    不思議そうに、夕鈴はその手を見つめた。

    「あいてるほうの手を出して!」

    素直に、荷物の持っていない手を差し出すと、
    黎翔さんは、夕鈴の手をぎゅっと握り締めて歩き出した。

    「ほら、もうこれで悪くない。」

    黎翔さんの手のひらから伝わる優しさ。
    恥ずかしくって……頬が熱い。

    車道側をかならず歩いてくれるそのさりげない優しさ。
    夕鈴は、くすぐったくて…
    嬉しくて…

    繋いだその手を、ギュッと握りかえした。



    外灯が、ポツポツと灯りだす。
    近くて遠い家路。
    手を繋いだ二人の影は、何処までも濃く長い影をアスファルトに映した。

    【短編】:現パラ「愛しさの鐘の音」 ※七夕企画

    “チリリン……”

    静かな夕刻に、涼やかな金属の触れ合う音がする。

    夕鈴の頭上。
    軒下の風鈴が、風にそよいで、涼やかな音を奏でた。

    縁側に座り、黎翔さんを待つ時間。

    今日は、今年最初の夏祭り。

    幸いにも、梅雨の切れ間で天気もいいみたい。

    夕鈴は、夕闇に咲いた紫陽花の花を見つめた。

    「まだ、かな……」

    花でも眺めれば気持ちが、落ち着くかと思えば、
    ドキドキと高鳴る胸の動悸を押さえられない。

    焦がれる時間までもが、愛おしい……

    気がつけば、カレンダーはもう、7月。
    今日は、7月7日、七夕の日。
    あいにくの曇り空で、星が見えない。

    焦がれながら、愛する人を待つ……
    織り姫も、私と同じ気持ちなのだろうか?

    見えない星空に、雲の上の織り姫と彦星に想いを馳せた。

    “チリリン……”

    また、風鈴が鳴った。

    「夕鈴!」

    愛しい黎翔さんの呼ぶ声
    ドキンと、跳ねた、愛しさの鐘の音。

    溢れ出す、私の笑顔。
    続きを読む

    【短編】現パラ「憂鬱な日曜日」

    さっきから、静けさの増した部屋の片隅に座り…
    夕鈴は、膝を抱えて
    傍らのスマホに、呟いた。

    「来なくなったな……」

    先ほどまで、鳴り止まなかった着信音は、静けさを取り戻し
    窓の外のどしゃ降りの雨の音だけを、夕鈴の耳は拾っていた。

    「私…
    黎翔さんに、怒ってるんだから……」

    鳴り止んでしまったスマホの不在アラームを見ながら…
    スマホに表示された黎翔さんの名前を、夕鈴は見詰めた。

    きっかけは、些細な喧嘩…
    楽しみにしていた日曜日は、憂鬱な日曜日になってしまった。

    「……怒ってるんだよ…」

    チラチラと見る…静かになったスマホ。
    規則正しいブルーの不在点滅。

    「本気で、怒らせちゃたかな……」

    静かすぎる部屋に響く。
    どしゃ降りの雨は……

    夕鈴の心の内を、現しているようだった。

    ……哀しいな
    こんなハズじゃなかったのに……

    膝を抱えて直して、うずくまる。
    ずっと、この日を楽しみにしていたのに。
    黎翔さんに会えるのを楽しみにしていたのに。

    暗く垂れ込めた心の暗雲は、晴れることなく
    悲しみの雨を降らせるだけ……

    いつの間にか、頬を伝う涙を止められず
    ぼろぼろと涙を零していた。

    “泣きたいときは、泣いたほうがいい。
    そのほうが、こころが晴れるから……”

    思い出すのは、優しい黎翔さんのことばばかり……

    こんなはずじゃなかったのに。
    喧嘩なんてしたくないよ。

    本当は、怒ってなんか無い。
    もうとっくに、許しているの。

    やっぱり……
    あなたに謝ろう。

    このままじゃ……
    嫌だもの。

    立ち上がり慌てて……玄関先に、向うと。














    “ピンポーン”

    不意に鳴った、玄関チャイムの音。
    こんな雨に誰だろう?


    扉を開けると……
    そこには、ずぶぬれの黎翔さんが……

    「夕鈴ごめん。
    こんな時間に、どうしても会って謝りたくて……」

    「君を傷つけた。
    ほんとにゴメン……」

    「ううん。
    わたしこそ、ゴメンナサイ。」

    「来てくれて、うれしい。
    私も謝りたかったから……」

    「それと、何度も電話してくれたのに
    出なくてゴメンナサイ。」

    いつの間にか、降り止んだ雨。
    黎翔さんの前髪から、大粒の雫が光る。

    彼の向こうに、大きな虹の架け橋。
    もう二人は、憂鬱な日曜日ではなかった。

    晴れ晴れとした笑顔で、お互いを見つめた。
    それが、答えだった。


    おしまい




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    【短編】ちょこれいとな君に♪

    「はぁ~~
    失敗したわ……」

    少し憂鬱なお天気。
    夕鈴は、街角のショーウィンドーに映る自分の姿に、ため息まじりに、そう呟いた。

    悲しげその視線を、自分の腕に落とす。
    いつもは白い、その肌が、今は健康的な焼けた小麦粉色……

    真夏なら、何にでも似合うその肌の色は……
    真冬のこの時期に、手持ちの私服が似合わない。

    「ちょっと調子に、のりすぎちゃったかな……」

    顔をしかめて呟く夕鈴の脳裏には、
    二日前の楽しかった……恋人との日々。

    南半球での真夏のバカンス

    真っ青な空に白い雲。
    真夏の青い海。
    白い砂浜で、心ゆくまで二人で楽しんだ。

    ――恋人である黎翔さんと……

    日焼け対策は、しっかりとしたはずなのに
    なんでこんなに焼けちゃったんだろう?

    はぁ~~

    もうすぐバレンタインだというのに…
    もう、どうしよう~~~~

    焼けちゃったものは
    今更、嘆いても仕方ない。

    だけど、乙女心としては、
    ため息の一つが出てしまうのは、致し方ないことだろう。

    複雑な乙女心を抱えたまま……

    夕鈴は雪がチラつく道を、恋人への手作りチョコレートの材料を買いに走って行った。

    *****

    大きな社窓から、オレンジ色の西日が差し込む。

    高層80階の眺めは、遮るものが無くて……
    真っ直ぐに廊下に、西日が差し込んでいた。

    重厚な社長室の扉の前で、夕鈴は深呼吸をしていた。

    ……この扉の前では、いつもこう。
    瞳を閉じて夕鈴は緊張を解す。

    この扉の向こうに居るのは、珀会長!
    私の恋人では、無いの。
    失礼の無いよう公私を分けないと……

    気持ちが、ようやく落ち着いた頃、控えめに数回ノックした。
    何気なさを装い、中に居るであろう人物に入室を問う。

    すぐに扉の向こうから、聞き慣れた珀会長の声が聞こえてきて、入室を許可された。

    カチャ…

    重厚な作りのわりに、軽い音を立てて、軋みもせず扉が開いた。
    そのまま夕鈴の姿は、社長室へと消えた。

    あとには、音もなく再び閉まった社長室の扉。
    その扉をオレンジ色に照らしていた太陽は、遥かな山なみに、その姿を隠すところだった。


    *****

    正面の大きなデスクで、次々と仕事をこなす、珀会長。
    タイミングを見計らって夕鈴は、声をかけた。

    「お呼びでしょうか!?
    会長……」

    「ああ……
    今夜の私のスケジュールなんだが…」

    書類から、目を離さないまま…
    会長は、自分の今夜のスケジュールを聞いた。

    夕鈴は、スーツから小さな手帳を取り出すと
    ざっと今夜の予定を確認した。

    「今夜は○○ホテルで、21時からチャリティー・パーティーに
    ご出席の予定です……」

    「キャンセルしてくれ。
    何か理由は、適当でいい……」

    「どうなされたのですか?
    あんなに楽しみにしていましたのに?」

    「すでに会長のパートナーとして
    芸能プロダクションから女優を用意しています!」

    「私は、了承していない。
    君と以外は、私はパーティーには行かない。」

    「今夜の予定の女優には、
    契約金額の二倍を払ってキャンセルしてくれ」

    「でも……
    今夜のパーティーに出席しなかったら、会長の面子が。」

    「面子など、どうでもいい……
    君がパーティーに行くなら、もう一度考え直してやってもいいが……」

    「どうして、そんな意地悪を言うのですか?」

    「私のパートナーは君だけだ!」

    「会長も知っているでしょう?
    今の私には、ドレスが似合いません……」

    「そんなことはない…」

    立ち上がり大きな机を周りこんで、夕鈴を優しく抱きしめた。

    時計の針が、18時を指す。
    会長室を飾る柱時計が、大きく6回時を知らせた。

    会長室の壁一面の窓ガラスの向こう側の空が、淡いラベンダー色に染まっていた。

    1日の終わりの優しい魔法時間。

    就業時刻を過ぎたことを知らせる時計の音が鳴り終わっても……
    会長は、夕鈴を抱きしめて離さなかった。

    「夕鈴、君はどんな時も綺麗で可愛いよ!」

    チョコレート色に焼けた首筋に唇を這わしながら、黎翔は夕鈴に囁く

    「君がドレスを着れないしいうのなら
    私が、君に魔法をかけてあげる」

    もう就業時刻は過ぎて恋人達の時間だった。

    夜は続く。

    シンデレラは誰?


    -完-

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    現パラ【短編】YESと言って…… 1

    それは何気ない1日の終わり……

    もう二年もお付き合いしている
    彼からの一本のメール。









    “夕鈴。
    今すぐ会いたい。
    ……いいかな?”

    いつもは電話で用件を済ませるのに……
    黎翔さんからの珍しいメール。

    絵文字も何も無い……
    彼からの短いメールは珍しく弱気な内容で、私は嫌な胸騒ぎがした。

    すぐに、メール返信ではなく
    黎翔さんに電話したけれど、彼は出てくれなくて……。

    私は仕方なく指定された公園に急いで向かった。
    夕闇迫る公園は、濃いラベンダー色に染まり、
    冬間近の枯れた木々の梢から、綺麗な空が見えた。

    ポツリ…ポツリと、公園の街灯が灯り始める。



    夕闇に煙る景色に見とれることも無く、私は黎翔さんを探した……














    ――――いた!




    かなり暗くなりはじめた公園の木々の影のベンチに、
    点いたばかりの街灯に照らされて影を濃くし、うなだれた彼。
    掘りの深い顔だちが、夕闇でさらに深まる。

    ベンチに座り…
    膝の間で組まれた両手は、固く握りしめられていた。

    いつも明るい彼と違い、今日の彼は深い苦悩の表情を浮かべていた。

    ……何があったのかしら?

    私が一目で分かるほど、その表情は暗く……近づいても彼に声を掛けにくかった。









    先に気がついたのは、黎翔さんだった。


    「……夕鈴」

    私の存在に気がついた黎翔さんは、顔を上げて、ホッとした表情で険しかった顔を緩めた。

    ベンチから立ち上がると、顔を私の肩にうずめて
    ギュッと抱きしめてきた。

    「きゃ…
    どうしたの?
    黎翔さん?」

    「……ゴメン、夕鈴。
    呼び出して……」

    「ううん。
    大丈夫!
    それより、どうしちゃたの?」

    「…………」

    今度は、何も応えてくれない彼に私の不安は募るばかりで…
    すっかり夜の闇が世界を覆い尽くすまで、私は黎翔さんに抱きすくめられていた。

    私はただ、彼の背を抱き…
    寒くないように、少しでも温めることしか出来ない。

    常と違う彼の様子に、
    私は彼が説明してくれるまで、じっと待った。










    「     った……」

    「…え?
    なに?」

    「て……に、なった」

    「黎翔さん
    よく聞こえないわ!
    もう一回言ってくれる」

    「夕鈴。
    転勤になった!」

    Σ!
    「えっ……ドコ?」

    「N・Y……」

    「嘘!
    黎翔さんっ!」

    私の胸騒ぎは、当たってしまった!

    数年で、ステータスを駆け上っていった黎翔さんらしいと言えば、らしいけれど。
    まさか……まさか転勤先がN・Yだなんて!

    「…僕は君と離れて暮らすのは、耐えられない。
    嫌だ!」

    「夕鈴、お願いだ。
    NYについて来てくれないか?」

    「えっ!
    黎翔さん、それは……」

    「夕鈴。
    君が好きだ!
    僕のお嫁さんとして、一緒にアメリカに行こう!」

    「夕鈴
    yesと言って……」



    黎翔さんの擦れた声が、耳朶に響く……
    彼は、本気だった。

    黎翔さんの突然のプロポーズに
    今度は、私が動けず……



    チラチラと、いつの間にか雪がちらつく公園に、二人佇んでいた。










    ……続く