花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    完【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅹ』

    ラストです。


    ようやくコラボを終わることができました。
    ジリジリ・ジレジレかわいそうな黎翔の一夜が終わります。

    ・・・・・さて、老師の作戦は、どうなりましたでしょうか?
                                  よゆまま&さくらぱん


    続きです。

    東の空が、白みはじめ曙色に染まるまで、黎翔は…自分の激しく乱れる胸の鼓動を聴いていた。
    そして浩大の誘惑の言霊が耳奥で繰り返し聞えてくるのを、ジッと鋼の様な理性で耐えていた。

    鎧窓(よろいまど)から、差し込む光
    爽やかな目覚めの淡い光

    …もう朝だ__________というより、やっと朝だ。

    結局、夕鈴は一晩中 離してくれず。
    黎翔は一晩中 眠ることができなかった。

    寝台の帳の中に、朝陽が差し込む。
    新しい朝を喜ぶ、可愛らしい小鳥達のさえずり。
    清々しい朝の訪れの筈なのに・・・黎翔の心の中はどんよりとしていた。


    こんな拷問の様な夜を過ごすことに為ろうとは、あの時・・・・夕鈴が黎翔の自室にやって来た時には思いもしなかった。

    まんじりとした途方もなく長い刻(とき)・・・たった一晩なのに永遠の様に感じられた一夜。

    『この私に、この様な試練をくれた浩大に老師・・・・・覚悟は出来ているのだろうな。』

    黎翔は、昨夜、浩大が潜んでいた  もう誰もいるはずもない天井に向かって独りごちた。

    細く差し込む眩しい光の中で、腕の中に眠る夕鈴の金茶の髪が耀いている。

    穏やかな寝息に、薔薇色の頬、無邪気な寝顔。
    とてもよく眠っている。

    何とか、気付かれずに寝台を抜け出せないものか?

    夕鈴が起きた時の未来予想図が容易に想像できる黎翔。

    きっと驚き、自分の失態を恥じて泣き出すに違いない。

    黎翔は、もう幾度目になるかも分からない行動をおこす。
    身じろぎして、なんとか夕鈴から離れようと努力する。

    だけど黎翔は、あと少しが出来ず離れられない。

    夕鈴から離れるには脚に触って外さなければ

    だが・・・・・・・・脚に触れられない。

    でも外すためには触らなければ・・・・

    だけど、触ってはいけない気がする。

    触らなければ・・・・

    黎翔の葛藤は、朝陽が差し込んだ今も、現在進行形で続いていた。
    夕鈴が大事なことに変わりない。
    黎翔が、ようやく決意を固めて、夕鈴の脚に触れようとした時


    「う~~ん」

    決意を鈍らせる。
    彼女の声。
    黎翔は、慌てて手を引っ込めた。

    徐々に照らされていく陽の光。
    夕鈴の髪に、額に、瞳に光りを当てる。

    窓辺から差し込む朝陽が、徐々に移動して夕鈴に目覚めを少しずつ促していた。

    促される目覚めと共に・・・・・ホンの少しだけ、夕鈴の身体が動いた。

    ―――今だ!!!

    黎翔がタイミングを測り、自分の身体を夕鈴から離そうと試みた。

    今度は、するりと容易に抜け出せた黎翔。

    ほっと安堵の想いと共に息をつく・・・・

    ようやく夕鈴から離れることが出来た。

    しかし・・・もう、朝だ。
    政務室に向かわなければならない時間。

    途方もない精神的疲労感に苛まされながらも、鉛のような身体を起こす。そのまま夕鈴を起こさないように抜け出した。

    黎翔が抜けたことにより、乱れた布団。

    夕鈴を起こさない様に、そっと布団を掛けなおす。

    何も知らないでスヤスヤと眠る夕鈴に、黎翔は胸中で愚痴を零した。

    (やれやれ・・・・結局、君のせいで一睡もできなかった…もうこんな事は勘弁だな。無邪気で無垢な悪女の寝顔を拝むのは、無慈悲と云うもの。今回は、君の為に見逃してあげるけれど、次は覚悟していてね、夕鈴。)

    (日中上手く李順をまいて・・・・四苛で昼寝することにしよう・・・・・でもその前に、老師を呼び出さねばな・・・・そして浩大もな。)

    踵を返して、寝台から立ち去ろうとした黎翔に

    「・・・・へいか。」

    夕鈴の舌ったらずな甘い声。

    振り向いた黎翔の目に映ったのは、まだ眠たそうなはしばみ色の瞳。

    眠い目をこする夕鈴の姿だった。

    「おはようございます。」

    『夕鈴、おはよう。起きたの???』

    「はい。陛下はもうおしごとですか?」

    『まだ、眠たそうだね。まだ朝も早いからもう少し、ここで寝ているといい。』
    『あとで、君付きの侍女に君の着替えを持たせるよ。』

    『それまで、ゆっくりするといい。じゃあ、タ鈴行くよ。』

    「では、お言葉に甘えて、もう少しここでゆっくりします。」
    「陛下、行ってらっしゃいませ。」

    昨夜の出来事を知らず・・・ 柔らかな微笑で陛下を見送る夕鈴。

    黎翔は、夕鈴に優しく囁くと大股で自室を後にしたのだった。

    優しく囁くと大股で自室を後にしたのだった。

    しかし自室を後にした黎翔は、そのまま政務室へと足を向けること無く______後宮管理人・張元の部屋へ向かっていた。

    そう!モチロン、昨夜のことを問いただす為に…。

    張元の部屋もすぐそばだと云うのに、全く人の気配が無い。

    ―――???まだ、朝も早いと云うのにどういうことだ?早く行って確かめねば!!

    足早に向かって入った部屋の中は、すでにもぬけの殻だった。
    どこにも・・・・居間にも、寝室にも・・・・今の時刻ならば、寝ているはずの張元の姿がない。

    すれ違う侍女を呼び止めて、張元の行き先を問うと…
    どうやら腰痛の悪化とかで、夜が明けきらぬ内に馬車を急がせ、温泉のある離宮へ向かったという。

    ―――これで、ハッキリしたな。昨晩の黒幕は、老師だと云う事が。
    しかし、ヤツの逃げの素早さは全く年を感じさせない。
    仕方ない・・・では、浩大を吊るしあげることで、老師の分は我慢しておくか。

    黎翔は、浩大の張っていそうな場所を廻ってみて浩大の気配を探る。
    しかし、何処も浩大の軽~~いおちゃらけた気配を感じる事は出来なかった。

    そこで、ワザワザ王宮内のアチコチで諜報活動している他の隠密を呼び出し、浩大の行方を聞いてみた。

    すると・・・・・・張元が暗い中 王都から遠く離れた離宮に赴くと云うことで、山賊などから密かに護衛するために付き従ったとのことだった。


    _____________結局、黒幕・実行犯の両方から一手先んじられ、逃げられてしまったのだった。

    黎翔は、苦々しい思いで、その報告を聞いていた。
    その行き場の無い怒りは、政務室で爆発する。
    完全なやつ当たりの爆弾低気圧が政務室を襲う。
    罪のない官吏が数週間、極寒のブリザードにさらされた。
    官吏達の大多数が、半死状態にまで陥ったのだった。


    ほとぼりが冷めた頃、離宮から戻った張元がどうなったかは、誰も知らない_________________そして付き従っていた浩大も。

    あの日の夜、寝室の中では何が起こって、黎翔がどんな夜を過ごしたのかは、黎翔しか知らない。








    四苛で、愛を囁く狼陛下と睦言に頬を染めて恥らう妃。
    今日も、白陽国の狼陛下とその唯一無二の妃は、寄り添い甘い時を過ごす。

    愛する妃の傍で寛ぐ黎翔が、一人まざまざと思うのはあの夜の事。

    あの日の出来事を少しだけ惜しかったと黎翔が思っていたことを、目の前の夕鈴は知らなかった。





    かくして、後宮管理人・張元の作戦は、失敗に終わったが、黎翔の心の琴線を震わせ、何らかのものは生まれたのかもしれない。


    風は吹きとどまることを知らない。…水の流れは止められない。
    硬い種から芽が芽吹き、大輪の花を咲かせるように・・・・。
    変わりゆく時の流れ。



    確実に育ちゆく人の想いと満つる恋心。

    他人の思惑にも左右されない時の砂時計。

    この想いは、誰にも・・・・天上の神でさえも止められない。



    信頼からゆっくりと育ちゆく愛もある

    禁断の恋に身を焦がす激情的な愛もある

    いずれにしても、この二人がどこへ向かい、どの様な形で納まるのかは誰も知らない。

    当の本人たちでさえも。

    あの晩の出来事は
    黎翔の胸の中に頑丈に封印され
    そっとしまわれた。

    夕鈴との思い出の1ページとして…。

    ―老師のどきどきわくわく大作戦☆・完―



    2013年
    04月20日
    10:27


    読み手の皆様、長編コラボを最後までお読み頂き、ありがとうございます。最後まで、お付き合い頂き、感謝いたします。    よゆまま&さくらぱん 続きを読む
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    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅸ』


    ・・・続きです。

    黎翔の足に、夕鈴の白く細い艶かしい足が絡みつく。
    更に熱い吐息が胸にかかり、柔らかな身体がぐいぐい押し付けられる。

    かつて無いほどの密着に焦り出す黎翔
    もがけば、もがくほどにどんどん状況はまずくなるばかりで・・・・

    黎翔の足に生足を絡めた夕鈴の縛りから、逃げたくとも逃れられない☆

    冷や汗が一筋背中を滑り、口の中がカラカラに乾く。
    こんな状況はかつて経験した事もなく焦りまくる・・・黎翔。


    不意に夕鈴のやわらかな手が動いて、黎翔の大事な…に触れそうに・・・・。
    それに気付いた黎翔は、かぁぁぁぁっと顔が赤くなる。

    先程までの平静さは何処へやら
    必死で、理性を取り戻すべく頭を使う。

    頭の中では、泣き出す夕鈴や怒り出す夕鈴・・・そして『陛下なんて嫌いです』と大声で叫ばれ嫌われる自分が、モヤモヤと湧いてきてグルグルと駆け巡っている。

    それにも関わらず、むくむくと元気になってしまう自分が呪わしい。

    更に想像できる状況は、無言で問い詰めてくる李順の渋い顔。
    夕鈴が、怒って後宮からいなくなる姿。
    そのどれもが、この黎翔の困難を打破するものなどではなく、最悪の事態ばかり。

    (・・・・・・これは、一体なんの試練だ???)

    ギリギリまで追い詰められて、この状況を作り出した_________そう、夕鈴の部屋の鍵を頑丈にかけた人物を呪っていた。

    凶暴な嵐が吹き荒れ狂う心中。

    其処にぽっかりと漠然と浮ぶある人物の顔。

    その時、コトリ…寝室の天井 に馴染みの気配がした。

    浩大の気配。

    漠然とした予想が確信に代わる。

    後宮管理人・張元のしてやったりのしたり顔。

    (明日、キッチリと事の顛末を問いつめ、聞き出さねば…)

    かつて無いほどの殺気に満ちた瞳で、天井を睨みつけた。

    「何を窺ってる??」

    不機嫌そうな声音で尋ねると、枕元に忍ばせておいた短剣を天井に向かって放り投げた。

    「あっぶね~~~。」

    天井の板が外れひょっこり顔を出したのは、言わずもがな浩大だった。

    「へーか、何だか妖しい雰囲気だったりする?お妃ちゃん、大胆~~~~もしかしてお愉しみ最中??オレ、お邪魔みたいだね~~」

    からかう様な云いように、カチンとくる。

    ―――全く、この試練も解らないくせに・・・云いたい放題いうな!!明日の夕陽は拝めない事を知れ!!!

    黎翔は、大声を出せない状況を呪っていたのだった。

    『へーか・・・・・このままお妃ちゃんをモノにすればいいのにさぁ~~~。』

    かる~~い調子で重要なことをサラリという浩大。
    これも、老師の作戦の一つ。
    自分では決められない事は他人が後押しすれば、決断出来るという訳のわからない論法。

    『きっと、お妃ちゃんも嫌がったりしないよ~~~』

    更に悪魔の囁きの様に続ける浩大。

    ―――眠った夕鈴をモノにしても良い事なんてあるか!!

    黎翔は心の中で、そんな誘惑を撥ね退ける。

    『ふうん~~~オレは今だと思うけどね~~』

    決定打とも云える言葉を投げかけて、浩大の気配は天井から綺麗サッパリと消えて行ったのだった。

    ・・・・続く


    2013年
    04月19日
    10:04
    続きを読む

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅷ』


    続きです。

    【幕間】

    「じいちゃん、さっき、お妃ちゃんの悲鳴が聞こえたよ~」

    『わしにも、聞こえた。』

    『うまくいったのかのう? 』

    ご機嫌で、酒を酌み交わす二人。
    この二人の策略により、黎翔がかつてない困難な状況に陥っているとも知らず、
    順調な計画に酔いしれて、祝杯をかわしていた。

    「今まで、じれったいほど、ガマンだったからね~。」

    「陛下、お妃ちゃんに、がっついてるんじゃね? 」

    「さっきの悲鳴といい・・・陛下、お妃ちゃんに無理させてないよね。」

    「明日の朝は、二人共寝室から出ないんじゃねの~? 」

    視線がぶつかり喜びあう二人



    『それにしても、此処まで作戦が上手くいくとは思わんかったがなぁ~』

    「じいちゃんのあの鍵の掛け方の念の入れようには、さすがのオレっちも引いたからね~~あそこまでしなくても!!と思ったよ~~」

    『いや、あれくらいせんとあの二人はダメなんじゃよ。』

    お酒も入り、悦に入る張元。
    今夜は祭りだ~~と踊りだす浩大。




    「じいちゃん、静かすぎね?・・・・」

    しばらくたち、浩大が様子を見に行った。
    睦まじく二人寄り添い同じ寝台に寝ていると言う報告に
    張元は、色めきだつ。


    『ほんに、うまくいったのう。』

    「じいちゃん、明日は逃げたほうがいんじゃね?」

    『そのへんは、ぬかりない。』

    『明日は、持病の腰痛が再発する日じゃ・・・』←(笑)

    これで、陛下の御子が抱けると涙ぐむ張元。
    明日はご馳走だ~~と喜ぶ浩大。

    そんな浮かれた二人は知る由もない・・・・・黎翔の寝室で繰り広げられている困った事態など_______。

    明日の運命は誰が知る?的な状況が迫っている事を、後宮管理室で御満悦な二人には到底思いつく事はなかったのであった。


    ・・・・続く

    2013年
    04月17日
    14:27

    コラボが、何処に向かっているのか分からない。
    私にもよゆままにも分からない。暴走中。

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅶ』



    続きです。

    ところが、黎翔はなかなか眠ることが出来ない。
    仕方がないので、夕鈴の寝顔を見つめることにする。

    無防備に熟睡している夕鈴。
    普段なら、この距離では恥ずかしがり、俯いて顔を越せてはくれない距離だった。しかし、今は、隣で熟睡している。
    至近距離で、改めて見る夕鈴の寝顔は、起きている時よりもあどけく感じた。

    無邪気に眠る愛しくて愛しい人。

    額にかかった金茶の髪を払ってやる。
    秀でた可愛らしいおでこを、黎翔は愛おしく撫でた。

    寝顔を見続けること数刻。
    ようやく布団も温まり、黎翔がうとうとと・・・微睡みに落ちそうになった頃、再び黎翔の目を覚ます事件が起きた。




    春とは、名ばかり…
    夜はひんやりとした冷たい空気が、支配していた。

    寝台の帳の中は、二人分の熱で温かいとはいえ、
    少し布団の外に出ると、流石に寒い。

    いつの間にか、夕鈴の腕が布団から、出ているのに黎翔は気付いた。
    腕の中の夕鈴が、ブルリと大きく身震いする。

    出してしまった腕が、寒くて震えているのだろうか?

    (風邪をひいちゃうよ…夕鈴。)

    黎翔は、夕鈴を心配して
    …布団の中に、夕鈴の腕を戻した筈だった…




    布団からはみ出した夕鈴の腕は、冷え切っていた。
    黎翔は、夕鈴の腕の冷たいぬくもりに
    わずかに眉間に皺を寄せて、腕を布団の中へと戻した。

    温かな黎翔の大きな掌。
    布団に戻した黎翔は、夕鈴の腕から手を離す。

    少しずつ離れていく・・・温かな温もり。
    熟睡中の夕鈴が、突然ピクンと動いた。

    そのまま、温かさを求めて黎翔の腕を掴む。
    あろうことか…その胸に引き寄せてしっかりと抱えてしまった。

    黎翔の腕に、柔らかな夕鈴の胸が当たる。
    無意識の行動とはいえ、いくらなんでもこのままはマズイ。

    起きているときなら、絶対にしない行動に嬉しさよりも焦りだす黎翔。
    とにかく彼女を起こさないように、黎翔は、そおっと腕を外そうとした。

    ところが、離れ行く温もりを嫌がった夕鈴。
    今度は、その白い腕を黎翔の背に廻して、黎翔を抱き枕よろしく
    自ら黎翔にスリ寄り、黎翔を拘束してしまった。


    無意識ゆえの行動とはわかっているのに…

    この夕鈴からの拘束に、すっかり黎翔は目が冴えてしまった。
    愛しい人が、自分の寝台で一緒に眠るだけでも奇跡なのに…

    夕鈴は、スリスリと黎翔の胸に無邪気にスリ寄ってくる。
    ぴったりと寄り添う、愛しい君。

    折角の好機。
    それも夕鈴からの・・・・驚きが喜びに変った黎翔は
    そのまま夕鈴の為、されるがままとなった。

    彼女の背に黎翔も腕を廻して、愛しげに、眠る夕鈴を優しく抱きしめた。
    抱きしめる腕に、力が漲(みなぎ)る

    金茶の柔らかな髪から薫る甘い香りと胸に掛かる甘い吐息。
    黎翔は、頭の芯がしびれてくる感覚に囚われた。

    ―――夕鈴・・・・・・僕だけの愛しい人。
    ―――誰にも渡せない・・・・そして誰にも触れさせはしない。

    独占欲が黎翔の心を徐々に覆い尽くそうとしていた。

    眠る君をこのまま、僕の妻に・・・・

    「う~~~~ん」

    『夕鈴?起きたの?』

    邪な僕の考えを看破するかの様にタイミング良く響く夕鈴の声。
    そしてまた寝息が胸に掛かる

    『起きたんじゃないんだね。』

    黎翔は呟くと、掴まれた腕とは反対の手で優しく金茶の髪を撫で付ける。

    それが気持ちいいのか夕鈴は更に黎翔に擦り寄り、事もあろうか・・・・足まで絡めてきたのだった。



    ・・・・続く


    ああ・・・悪乗りしちゃった。石を投げないで~((((((>_<)。。。。。。

    2013年
    04月17日
    14:22 続きを読む

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅵ』

    続きです。

    寝室に流れる二人の吐息。
    聞こえるのは夜の空に響く梟(フクロウ)の寂しげな鳴き声だけ。

    ―――いい加減離さないと・・・夕鈴が泣きだしてしまうな。
    ―――此処は『離して下さい』と云うべきなのよ。ほら、言葉を出して・・・・お願いするのよ。

    でも動けない僕と言葉に出来ない私。

    きっと自分が先に動けば、解決するのだ___________そんな事は二人とも解りきっていた。

    でも・・・・・ただ夜の静寂が二人を止める。

    ―――もう、だめ!!!こうなったら気を失ったふりでもするしかない??
    それで離れてもらうとか??

    その策を実行してみようと、夕鈴は静かに目を閉じた________________。
    そしてしばしそのまま黎翔の様子をみることにした。

    『夕鈴??夕鈴・・・・・どうかしたの?大丈夫?』

    上から聞えてくる心配そうな声。
    この甘く心地いい声が耳奥に届き瞳をパッとを開けたくなるが、其処は我慢とそのまま息を殺して様子を窺った。

    不意に額に走る冷たい感覚・・・・・これは陛下の手。
    そして冷たさが今度は頬に____________。

    身じろぎ出来ずに固まる身体。

    ―――何時までも目を開けない私を案じているの?何だか悪いことしてるみたい。

    目を開けようかしら・・・・。

    迷っている私に振ってくる自分の名を囁く甘い声。

    『夕鈴。』

    耳奥で何度も何度も木霊してくる。
    その木霊の波に身を委ねて_____________そして、其のまま意識までも委ねてしまったのだった。

    『やれやれ・・・如何したのかと思ったら、眠ってしまったようだな。まぁ、あのまま組みしたままどうしたものかと思っていたので、これはこれで都合がいいか。』

    誰にも____そう、眠っている夕鈴にすら聞えない独り言。
    狼に豹変する前に・・・寸での所で夕鈴の可愛い行動が黎翔を救っていた。

    黎翔は気付いていた・・・夕鈴のワザとらしい演技は。

    でもあのまま_________激情のまま、夕鈴に振る舞っていたのなら、きっと自分のモノに出来ただろう。
    でも、きっと其れでは、彼女を深く傷つけたに違いないから、そうならずに済んだのは夕鈴のお蔭だった。

    いつの間にか寝入ってしまった夕鈴を、黎翔は窺う。

    隣りで聞える規則正しい寝息。
    穏やかな寝息が、聞こえる。
    安らかな寝顔。

    穏やかな寝息に、助かったという安堵と、こんな状況でも安心して寝入ってしまった君を恨めしく思う。

    僕は異性として、見られていないのではないのか…

    切なく苦しい黎翔の恋心。

    修復出来なくなるところだったことが、嘘のよう…

    こみ上げてくる苦笑。
    黎翔はフッと笑みがこぼれてきた。

    (まったくもって、君らしい…)

    複雑な思いで、黎翔は夕鈴を見つめる…

    結局、最初から君には勝てない。
    乱れた夜着を整えて…夕鈴に布団をかけた。

    そして、今度こそ夕鈴の隣で寝るために布団に滑り込んだ。
    すやすやと眠る君の隣で休む為に…

    ・・・続く

    2013年
    04月16日
    12:18 続きを読む

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅴ』



    続きです。

    黎翔は、灯りの消えた寝台の帳を降ろす。
    幾重にも重なる白い紗(うすぎぬ)

    ふぁさりと音もなく、寝台にいる二人を隠す。

    黎翔は、頭の中の狼的妄想を追いやり、気持ちを隠そうとする。
    この帳のように、柔らかな紗で隠し、彼女にこの邪な想いを気取られないといいのに。

    簡単に、帳(とばり)を下ろすように、この気持ちを隠せたらいい…

    ―君に嫌われるのが一番怖い…―

    彼女が、欲しいと、黎翔の中の狼が吠える。

    簡単に隠せないこの気持ちに、苦笑する。
    君が絡むと割り切れない。
    君が信頼する僕でいることができない。

    それでも、なんとか
    白い紗(うすぎぬ)を降ろすように、綺麗に気持ちを押し隠した。

    君には、優しい僕でいたいから。

    黎翔は、寝台の端に腰を降ろす。

    ギシッ…

    寝台が、黎翔の重みで、音を立てる。
    思っていた以上の大きな音がした。
    二人分の重さで、寝台が傾く。

    ―そのまま黎翔は、
    何も考えないようにして、寝台に居る夕鈴の隣に滑り込んだ。

    その一挙一動を夕鈴のはしばみ色の大きな瞳が見つめていた。

    「・・・・。」

    息を潜めて、寝台に小さくなる夕鈴。
    あまりにも端なために夕鈴の身体が寝台から落ちそうだった。

    『夕鈴、危ないよ。』

    黎翔は夕鈴の身体を自分へと引き寄せた。

    「はわわわわっ・・・・」

    慌てる夕鈴。
    いつもの変な声に、クスリと黎翔は笑った。
    夜目でも分かるくらい真っ赤な顔で夕鈴は、黎翔を睨む。

    「どうして、引き寄せるんですか?」

    『だって、夕鈴。  落ちそうだったよ。危ないよ。』

    引き寄せた、胸の中の夕鈴の温かさと柔らかさ。
    鼻をくすぐるいい匂いのする艶やかな髪。

    ーーーーむくむくと邪な考えが頭を擡げる。

    負けそうになる僕の理性。
    早まったかなと理性の私が問う。
    役得なのだと狼の僕が誘う。

    はあっ~~~

    自分の心のもやもやが
    おもわず出てしまったため息に、夕鈴が反応してしまった。

    「やっぱり、ご迷惑ですよね。私、長椅子で寝ます!!!」

    飛び起きて、僕の腕の中から逃げ出した夕鈴。

    『違うよ、夕鈴。』
    『今のは、君のせいのため息なんかじゃない!!!』

    「きゃあああっっっ!!!!」

    気付いたら、夕鈴の手首を掴み、寝台に押し倒していた。
    彼女のビックリした悲鳴が、静寂の寝室に大きく木霊した。

    僕の組み敷く下で、荒く息をつく夕鈴。、
    もはや乱れた衣をかろうじて胸の膨らみで引っ掛けているに過ぎない。

    露になった白い両肩。

    どうして、こうなったんだろうか・・・・・・。

    黎翔の頭の中は、もはや真っ白だった。
    修復できない関係になりそうな僕を、狼な僕が嘲笑っていた。


    さくらぱんonly



    ・・・続く

    2013年
    04月14日
    21:35 続きを読む

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅳ』


    続きです。


    抱えあげた夕鈴に、黎翔は意味深な笑みを投げかけると
    寝室へと運んでいく。

    行き先を察した夕鈴は、顔を赤らめてまるで酸欠の金魚のように
    口をぱくぱくあけて恥ずかしそうにしていた。

    僕の腕の中の夕鈴。

    抱き上げた華奢な身体。
    大き目の僕の夜着から覗く白い脚。
    着崩れはじめたぶかぶかな夜着の襟元から覗く
    普段は隠されていて見ることなどない、女性らしい柔らかな胸の膨らみ。
    湯上りしたばかりの温かな身体。
    ーーーーー柔らかでとても良い匂いのする僕の妃。

    ああ・・・・どうして、君が本物でないのだろうか?

    いっそ、このまま、寝台に押し倒して本物にしてしまおうか?
    黎翔は、そんな衝動に駆られる。

    さきほど、そんな妄想は打ち払ったと言うのに・・・。

    もし、そんなことをしたら、きっと夕鈴は泣いて怒るだろう。
    きっと、僕は君に嫌われてしまう。
    君に嫌われるのは、絶対に嫌だ。

    そんなことは、出来ない。


    君は、僕の行動も気持ちも全て演技だと思うに違いない・・・・
    君を愛しているのに、君は気付いてくれない。

    君への口付けさえも、演技だと受け取っている君には、
    どうやっても僕の気持ちを伝えることが出来ない。

    ーーー君を愛しているのに。

    切なく狂おしい黎翔の恋心
    こんな気持ちになるのは、君だけなのに。

    こんなにも無防備な愛する人をこの腕の中に抱えているのに
    手に入れることが出来ないもどかしさゆえの矛盾。

    そんな心の葛藤をおくびにも出さず・・・黎翔は、夕鈴を抱える。

    僕の理性が保てるうちに
    ーーー一分・一秒でも早く、君に寝てもらうのが、一番の解決方法だな。

    夕鈴を自分の寝台に寝かせるため、足早に歩を進めた。
    寝室の長椅子を素通りして、寝台に向かう陛下に慌てて、夕鈴は黎翔に抵抗する。

    抱えあげられた夕鈴には、できる抵抗などほんのささやかなものでしかないのに必死で手足をばたつかせた。

    「陛下、降ろして下さい!!!」

    「私は、長椅子で寝たいんです!!!」

    『暴れないで、夕鈴!!! 危なっ・・・・!!!』

    結果・・・・・更に乱れた夜着。
    目に眩しい白い太腿か乱れた裾から覗く。
    半分滑り落ちた夜着から露になった滑らかな曲線・白い肩。

    何の思惑のない、清純で奔放な夕鈴の色香。
    黎翔は、腕の中の夕鈴の姿に目を見張る。

    あられもない姿を見られていることに気付いた、夕鈴が慌てて衣を引き寄せた。
    いますぐ、できることなら消え入りたい様子で真っ赤になって恥らった。

    首筋や、衣を掻きあわせる指先までもが、朱に染まる。
    俯いた顔から覗く頬や耳までもが赤かった。

    表情を見なくても分かる。
    きっと、君のおおきなはしばみ色の瞳は潤み
    大粒の涙で彩られていることを。

    それでも、夕鈴は小さな声で
    「御願い。降ろしてください。」
    かすかな最後の抵抗の言葉を口にしていた。

    『強情だな。夕鈴は。』
    『それじゃ、身体が痛んでしまうよ。』
    『それに、時期が時期だから風邪をひいてしまう。』

    寝台の傍で立ち止まり、困り顔を作る黎翔。
    大仰にため息をつき思案顔を作る。


    ぐらつく理性。
    君が煽るから、イケナイ。

    ーーーー嗚呼・・こんな君の姿を見てしまったら、僕は狼になってしまうよ。

    (少しぐらいの恩恵はイイんじゃない?)
    僕の中の悪い狼が囁く。

    『ここは、僕の部屋だから、君はお客さん。』
    『僕の言うことを聞いて欲しいな。』
    『一緒に寝ようか、夕鈴。』

    「・・・・えっ」

    『君も僕も意見を譲らないなら、しょうがないよね。』
    『僕の寝台は広いし、君と一緒に寝たとしても十分に余裕がある。』

    「・・・・陛下っ!!!」

    そう言って、夕鈴をふわりと寝台におろした。

    寝台に広がる 耀く金茶の髪。
    僕の夜着に柔らかな白い身体を包み真っ赤な顔の君は、
    はしばみ色の瞳に大粒の涙を浮かべて僕を恥ずかしそうに見ていた。

    言葉もでず・・・・ぽかんと開いた桜色の唇から覗く紅い舌。

    濡れ光る瞳も唇も、間違いを犯しそうになる。
    黎翔には、夕鈴の全てが、誘っているようにしか見えない。

    君は、そんなつもりもなくて、僕を心から信頼しているというのに。

    (今夜は、眠れそうに無いな・・・・・・)

    夕鈴を寝台に押し込めて、黎翔は寝台の明かりを吹き消した。


    ・・・・続く

    2013年
    04月12日
    20:58
    続きを読む

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅲ』




    続きです。




    清々しく芳醇な青茶の香り。
    淹れたばかりの茶碗を抱えて、夕鈴が戻ってきた。

    柔らかないつもの微笑み。
    優しいはしばみ色の瞳。

    なんて、可愛いのだろう夕鈴は。

    侍女からの報告に動揺していたのがようやく落ち着いたのか
    いつもの優しく柔らかな声。

    「陛下、お待たせしました。」
    「お茶を淹れました。どうぞ。」

    差し出された白い手が抱える朱泥の茶碗。
    向けられた笑顔に、偽りでない心からの笑みで返す黎翔。

    『夕鈴、ありがとう。ねぇ、一緒に飲もうか?』

    差し出される白い腕を引き寄せたいと思う心を抑えて
    黎翔は、お茶を夕鈴から受取った。

    掌に温かな湯気。
    安心させるように優しく微笑んで、夕鈴の返事を待つ。

    「・・・・はい。」

    耳元をぽっと赤く染めて、返事をする夕鈴がとてもカワイイ。
    変に意識しては話が進まない。

    こんなに無防備に信用している君を
    今夜手に入れたいとイケナイ妄想に染まる自分を
    絶対に悟られたくない。

    気持ちを落ち着けて、妄想を打ち払うため、お茶を一口飲んだ。

    甘くシットリとした舌触りが口腔内に広がる。
    青茶の優しい甘さと清々しい豊かな香り。

    夕鈴の優しさが表わされているような___________________。

    『美味しいね。』
    「・・・・・有難うございます。」

    隣りに座って杯を持ったまま、見詰めてくるはしばみ色の瞳が途端にパァーと輝く。

    ―――可愛い・・・このまま抱きかかえて寝台に連れて行きたくなる。
    夕鈴の意思とは反していても・・・・。

    自分の感情が徐々に高まっていくのを理性が抑えておけるのか、心配になってくる黎翔。

    『夕鈴・・・・・今夜はここで過ごすしかないが・・・・君が寝台を使うといい。』

    このまま夕鈴のえも云えぬ女人としての色に染まらぬうちに、離れた方がいいと判断した黎翔が夕鈴に提案する。

    その黎翔の提案に、即座に夕鈴は、異を唱えた。

    「ダメです!!ここは陛下の部屋です。寝台は、陛下がお使いください!!」

    「長椅子は、押しかけた私が使います。」

    飲みかけの湯飲みを握り締めて、夕鈴が勢いよく反論する。

    『夕鈴。それは、ダメだよ。君は、女の子なんだから・・・・。』
    『寝台を使ってよ。』
    『僕は、長椅子で寝るのは慣れているから大丈夫だよ。』

    「ダメです!!!私が長椅子で寝ますから!!陛下には明日も政務が待っているのですよ、今日の疲れはぐっすり寝て取らないとダメなんです。だから寝台は陛下が使ってください。」

    ガタン!!

    力説して急に立ちあがった夕鈴が卓の端っこに足をぶつけて、そのまま倒れこんだ。
    そのままだと床に激突!!となる所だったが_____其処はすかさず黎翔が抱きとめて立ち上がる。

    急に視線が高くなったことに気がついた夕鈴は、今自分がそのような状況に為っているのかを把握するまで少し間があった。

    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・降ろして下さい!!!」

    そう_________________夕鈴は抱きかかえられて、今は黎翔の腕の中。
    所謂・・・巷で言う・・・お姫さま抱っこ状態だった。

    いや、正確に云うと・・・・お妃様抱っこだった。

    「強情な妃には、これ位しないとな。」

    紅い瞳がキラリと光っていた。

    ・・・・続く

    2013年
    04月12日
    19:50 続きを読む

    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅱ』


    続きです。


    「・・・・・陛下。」
    振り向いた夕鈴が、いぶかしむ。

    『そのままの姿で、部屋に行くの?』
    『もしも、状況が変わらなかったらどうするの?』
    『また夕鈴、身体が冷えて、こんどこそ風邪をひいてしまうよ。』
    『ちょっと、待って誰かに見てきてもらうから』

    そう言って、慌てて引き止めた。

    『誰かーーーーー夕鈴の部屋を見てきてくれないか?』
    『それと、彼女の着替えを持ってきてくれ。』

    侍女に頼み、夕鈴を再び部屋の長椅子へと座らせた。
    身体に合わない夜着に、恥ずかしそうに頬を染める夕鈴。

    夜着が肩から滑り落ちそうなので、襟を掻き合わせていた。
    華奢で白くて細い腕が描き抱く胸元。
    湯上りの一纏めにした髪から後れ毛がほつれ落ちる。
    無防備すぎるその姿。

    夕鈴に気付かれないように、黎翔は、こくりと咽喉を鳴らした。
    いくらなんでも、このままはまずい。
    無防備すぎる夕鈴の姿に、僕の中の原始の血が騒ぐ。
    やばい。ヤバすぎるよ、夕鈴。

    気まずい時間だけが流れる。
    時間だけが、ただ静かに過ぎていく・・・・
    ひたすら二人は、様子を見に行った侍女の報告を待つのみだった。







    【幕間】

    今は、使われなくなった後宮の立ち入り禁止区域の一角に
    後宮管理人・張元の部屋はあった。

    朧月夜の前の晩。

    煌々(こうこう)と灯りが揺らめく張元の部屋に二つの影。

    『じれったい・・・・・じれったいのう・・・・・あの二人。』
    『どうにか、ならないもんかのう。』

    「じっちゃん、あんまり世話焼くと陛下に殺されるよ・・・・あっ、このつまみ、旨い。」

    『それは、北の浜から取り寄せた一夜干しの烏賊じゃよ。』
    『うむ。この酒に合っておるわい。』

    『しかしなー、浩大、掃除娘を陛下が気に入っているのはバレバレなんじゃよ。』
    『あの娘でないと、陛下の御子は期待できん。』
    『早く、くっつかないものか。』
    『ワシは、早く陛下の御子を抱きたいんじゃ!!!』

    『なんとかならないもんかのう・・・・』
    『ああ・・・じれったい。・・・・じれったい。』





    『おおっ閃いた。こんな作戦は、どうじゃ浩大。』

    「じっちゃん、懲りないね。」
    「んじゃさ。こんなのは、どお?」

    酒を酌み交わす、二人の目が耀いた。
    そして、次の日の夜。作戦は予定通り実行された。

    それがどの様な効果と結果をもたらすのか・・・それはまだ誰も判らない。
    二人の気持ちとその後は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






    【本編】

    ―――早く侍女さん、戻らないかしら・・・このあられもない姿でいるのは恥ずかし過ぎる。
    陛下もどう思っているのかも判らないし・・・さっきからそっぽ向いているし・・・あれって結構呆れてる?

    『ねぇ、夕鈴・・・・・。』
    「(わわわっ!!)は、はい!!」

    急に声を掛けられたもんだから、声が裏返る。

    ―――これじゃあ、なんか期待しているみたいじゃない!!

    そこで陛下には気付かれない様に浅く息を吐き、気持ちを落ち着かせる。

    先ほどから、夕鈴が落ち着かない。
    さまよう視線。
    首筋まで、色を濃くした薄紅色の肌。

    このまま沈黙するのも不自然なので…
    思いきって声をかけてみた。

    『「夕鈴…(陛下…)」』

    重複する声。
    タイミングが悪い。
    お互いにまた、黙り込んでしまった。

    『喉が、渇かない?お茶を飲もうか!?』

    弾かれたように、夕鈴が顔を見た。

    「そうですね。今、淹れますね。」

    『いや、今日は淹れてもらおうよ。』

    「いえ、大丈夫です。淹れられます…あっ 『危ないっ!!夕鈴。』」

    慌てて立ち上がり
    お茶を淹れに行った夕鈴は、身体に合わない長い裾を踏んでしまった。
    傾ぐ夕鈴を支えるべく手を伸ばした。

    ポスンと抱き止めた黎翔。
    軽やかな夕鈴の身体は簡単に黎翔の胸に抱き止められた。

    抱きとめられた瞬間__________鼻腔を擽る陛下の薫香。
    湯上り後の夕鈴の 温かで柔らかなその身体から たちのぼる甘い香り。

    「あの、あ、有難うございます。」
    『大丈夫?』
    「だ、だ、大丈夫です。」

    ―――早く離れないと。
    ―――このまま離したくないな。

    二人の想いが交錯する。

    「陛下、お妃様 失礼いたします。お寛ぎの所申し訳御座いませんが、よろしいでしょうか」

    その何とも云えない雰囲気を引き裂いたのは、夕鈴の部屋の様子を見に行かせた侍女の遠慮がちな声だった。

    声が聞こえてきた途端、弾かれた様に黎翔の抱きとめた手を振りほどき離れる夕鈴。
    そして少し乱れた袂をキチンと直し、何も無かったかのように黎翔の隣りに立っていた。

    『よい、入れ。それで如何であったか?』

    黎翔のほうも何事もなかったかのように、瞬時に狼陛下のオーラを纏って戸口の向こうの侍女に対応する。
    おずおずと入って来た侍女は拱手したまま、凛とした声で自分が見て来た事を報告する。

    「お妃様のお部屋ですが、やはりどなたもいらっしゃりませんでした。更に鍵まで頑丈に掛けられおりまして、その・・・お妃様の御衣装もお持ちする事が叶いませんでした。」
    『そうか・・・・合い解った。下がって良い。』
    「はい、畏まりましてございます。」

    報告の終った侍女はホッとした様子で、そのまま後ろにしずしずと下がって行った。

    「・・・・・・・・・・・」
    『夕鈴・・・戻れないね。』
    「・・・・・・・・・・・・・」

    ―――戻れないって、如何言う事!!!しかも私の衣裳は???
    このまま、一晩過ごせって云うの~~~~~~~。一体誰の仕業よ~~~。

    大声で叫びたい衝動に駆られながら、その言葉を咽喉の入口で押し止める。

    ふぅ・・・どちらとも無くため息が零れた
    こうなったら、仕方ない。
    ――――状況が変わらない報告。さてどうするか?

    ちらりと・・・夕鈴を見ると緊張した硬い面持ちをしていた。
    夕鈴の緊張が、移ったように黎翔もまた緊張していった。

    仕方ないと腹をくくってはみるものの、この先どう陛下に対すればいいのかが解らない。
    取り敢えず、気を落ち着かせる為にも、そして緊張をほぐす為にもお茶でも飲むに限る。

    そう思い立った夕鈴は、即座に先程中断したお茶の用意を始める。
    自分の胸の高鳴りを覆い隠すかのように_____________。


    ・・・・・続く

    2013年04月05日 09:44
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    【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅰ』


    春らしい梅の香りが風に含む朧月夜の晩。

    真夜中の黎翔の部屋に、かすかな入室を願い出る声。
    こんな夜更けに誰だろう・・・・?

    『誰!?』

    黎翔は、扉の向うの人物に誰何(すいか)する。

    「…あの…私です、陛下。 夕鈴です。」

    先ほど、別れたばかりの愛しい彼女の声に訝しむ黎翔。

    『どうしたの 』

    何気ないフリをして、扉の外の気配を探る。
    もしかしたら彼女の声色を真似た刺客かも知れない。
    黎翔は 気配を殺して、扉の前に立つ。
    扉の外の気配を窺がう。

    ーーーーーーーー外の気配は
    殺気も何もなく、少し うろたえる人物の気配。
    その気配には、馴染みあるもの。

    刺客が、夕鈴の声色を真似たことでないことを知り、心から安堵する。
    懐に忍ばせた刀から、手を離して今までの警戒心丸出しの険しい顔を払拭した。

    不思議そうな柔らかな声を取り繕う。

    『夕鈴・・・だよね。如何したの?こんな夜更けに。』

    「・・・・・・・・・」

    僕の問いかけに直ぐに答えが返ってくるかと思いきや、無言である。

    『如何した!!』

    戸口の外で何かあったのかと慌てて戸口を開けてみると
    ________________其処には、夜着のままで素足のままの状態の愛しい妃が佇んでいた。




    湯あがり後らしく髪は纏めて無く、サラリと金茶の髪が回廊に流れ来る風に揺れている。

    無防備なその姿。

    そこで黎翔は一つ気がついた_______________彼女の護衛役の隠密の姿・・・そして気配が無い事を。
    黎翔は其の事もいぶかしんで、辺りをキョロキョロ見渡してみて窺ってはみるもののやはり無い。

    『夕鈴・・・・・君、一人で来たの?』

    「は・・・・・・い。」

    『何か有ったの?』

    「は・・・・・い。その、あの・・・実はですね。」

    それ以上は何故か言いづらいらしく言葉を濁す。
    夕鈴の常とは違う、歯切れの悪さ。
    上目遣いではしばみ色の瞳が黎翔を見つめる。

    …ジワリ。

    大粒の涙が、今にも 零れるばかりに瞳にあふれた。

    『ど…どうしたの?夕鈴。』

    「陛下っ!」

    倒れ込むように、僕の胸に飛び込んで来た夕鈴に、黎翔は戸惑う。

    いったいどうしたのだろうか!?

    先ほどまで元気にしていた様子と違い、夕鈴はひどく動揺している様子だった。



    「帰りたいのに帰れないんです!!」

    瞳に今にも零れそうな真珠の涙を湛えて、訴えてくる。

    『か、帰れないって!!え~~~夕鈴、家に帰るの?』

    黎翔の胸に顔を埋め、震える肩をぐいっと掴むと夕鈴に言葉の真意を尋ねてみる。
    いきなりの『実家に帰して宣言』とも取れる言葉に僕まで動揺してきたからだ。

    「家って??実家じゃ無いです!!」

    その言葉に安堵する。

    「帰れないのは部屋にです。」

    涙目の夕鈴は、黎翔に訴える。

    『どうしてそんなことに??』

    「其れがわたしにも判らないんです!!湯あみ後に星空散歩と称して、部屋の近くの庭園に出ていて部屋に戻ると、何故か開かなくて・・・・・しかも侍女さん達を戸口で呼んでも誰も出て来られないし、誰もいないみたいなんです!!それでどうしょうかと・・・・・・考えて考えたんですが、何も浮ばなくて・・・・・此処まできてしまったんです。ゴメンなさい!!御迷惑ですよね。」

    潤んだ大きなはしばみ色の瞳。
    訴えかけるような上目遣いのその眼差し

    湯上り後の、香油の香りが立ち昇り、黎翔の鼻をくすぐる。

    何の意図も、思惑も無く、無防備に 甘い香りを放ちながら、
    柔らかな身体を黎翔に身を摺り寄せてくる夕鈴。

    潤んだ瞳でせつせつと説明する姿に、黎翔といえどもクラクラしてくる。

    ーーーーーこれが、愛の告白だったらいいのに。

    思わず勘違いしそうになる。
    黎翔は、そんな邪な考えを頭から追い出した。



    湯上り後にすぐに散歩に出たのか、生乾きの髪がいつもより冷たい。
    肩に手をおくと、ひんやりしたぬくもり。

    どれくらい外にいたのだろう・・・
    夕鈴のことだから 僕に遠慮して ずっと庭で迷っていたに違いない。

    春先のまだ肌寒い夜風。
    その風にすっかり、身体が冷えてしまったのだろう。

    (このままでは、風邪をひいてしまう・・・・)

    『夕鈴・・・・身体が冷え切っているよ。』
    『このまま・・・立ち話も身体に悪い。』
    『とりあえず、こちらにおいで・・・』

    「すいません、陛下。」

    そう言って黎翔は、自分の上掛けを夕鈴の肩に羽織らせて、部屋の中に招き入れた。

    微かに薫るふくよかな梅の香りと冷たい夜風と共に部屋に入る夕鈴。
    冷え切った身体の為が、少し青ざめているように見えた。

    暖かな室内に招き入れると、あからさまにほっとした表情。
    いったい今までどれだけ心細かったのだろう。

    本当に王宮に無い、彼女の素直な感情の発露が愛おしい。
    黎翔は長椅子に彼女を座らせ隣で暖めた。

    『ーーーー冷え切っているね。』

    引き寄せた指先が、氷のように冷たい。

    吐息で温めていると夕鈴は、ようやくいつもの調子で顔を赤らめ恥らった。

    それでも、身体までは、なかなか温まらない。
    彼女が、すっかり冷え切っているのが黎翔は気になった。

    黎翔は、自分付きの侍女を呼びよせ、急遽湯殿を用意させた。
    湯殿の仕度が整い。
    侍女に伴われ、黎翔の湯殿に行く夕鈴。

    『ゆっくり、温まっておいで・・・・』

    「・・・・・はい。」

    不安げな夕鈴をにこやかに送り出す黎翔。






    (・・・・それにしても、妃が部屋を閉め出されるなど・・・・)

    前代未聞。
    素足で、涙目で訴えてきた夕鈴。
    華奢で柔らかな身体が、冷えきって小刻みに震えていた。

    黎翔は、その身体の震えを思い出す。
    眉間に深い皺が刻まれた。

    (ーーーー原因を明日、老師に聞かねばならないな。)

    夕鈴の姿が消えた扉を見つめて、黎翔はそう思った。

    (―――それにしても、今晩これから如何するべきか??) 

    (このまま此処で一晩を明かすべきか) 

    (・・・それとももう一度夕鈴の部屋まで行って確認するべきか・・・。) 

    この決断は、夕鈴が湯殿に赴いている今決めねばならない事項であろう。

    「あの・・・陛下、湯殿有難うございました。」

    身体から揺らめく湯気を立ち昇らせがら、夕鈴が部屋に戻って来た。

    その姿に、黎翔はドキリと心臓が跳ねた。

    先ほどの自分の夜着は着ておらず、黎翔の夜着を夕鈴が着ていた。
    男物を着ているためか、サイズが合わない。
    黎翔の衣から、湯上り後の薄桃色に染まる肌が無防備に覗く。
    妙な色っぽさが、今の夕鈴にはあった。

    見ては、いけないと思うのに、黎翔の視線は夕鈴から離れられない。

    黎翔は、ドキドキと早鐘を打つ内心の動揺を隠して、努めて平静を装い夕鈴に尋ねた。

    『夕鈴・・・ちゃんと温まったかい?』

    「はい、お蔭様で身体の震えも止まったみたいです。」

    『それは良かった。』

    夕鈴の様子に、安堵して気がつくとホォと息を吐いていた。
    それをみた夕鈴が、ハッとした表情を見せた。

    『如何したの?』

    「いえ・・・・このままじゃ、ダメですよ!!!私、部屋に戻ります。もしかしたら侍女さん達も戻って来ているかも知れませんし、部屋も開いているかも知れませんから。」

    そのまま、素足のまま戻ろうとする夕鈴の腕を黎翔は咄嗟(とっさ)に掴んだ。


    ・・・・・・続く


    2013年
    04月04日
    06:30 続きを読む

    【書庫】Yコラボ6『老師のどきどきわくわく大作戦☆』

    第六弾『老師のどきどきわくわく大作戦☆』  2012.04.20.last.up.

    粗筋

    なかなかくっつかない二人に、腹黒老師が考えたドッキリ大作戦とは!?



    2013.04.04. 【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅰ』
    2013.04.05.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅱ』
    2013.04.12.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅲ』
    2013.04.12.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅳ』
    2013.04.14.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅴ』
    2013.04.14.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅵ』
    2013.04.17.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅶ』
    2013.04.17.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅷ』
    2013.04.17.【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅸ』
    2013.04.20.完【Yコラボ6】if設定 『老師のどきどきわくわく大作戦☆Ⅹ』