花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【書庫】ifパラレル『甘やかな毒』 

    完了『甘やかな毒』2013.04.18.last.up.


    ※白陽国SNS地区・さくらぱん日記 30000hit達成記念作品

    2013.03.28.に、30000hitを達成致しました。ありがとうございます。

    たくさんのゲストの皆様にお越しいただけてありがとうございます。

    精一杯の感謝の気持ちを込めて贈ります。

    お楽しみください。

    2013.04.20.さくらぱん 




     2013.02.19.『甘やかな毒1』

     2013.02.19.『甘やかな毒2』 ※28000hit達成フライング

     2013.03.29.『甘やかな毒3』 ※30000hit達成記念

     2012.03.30.『甘やかな毒4』※30000hit達成記念

    2013.04.14.【甘やかな毒5』

    2013.04.14.【甘やかな毒6』

    2013.04.17.【甘やかな毒7』

    2013.04.18.【甘やかな毒8』

    2013.04.18.完【甘やかな毒9』
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    【長編】本誌設定『甘やかな毒1』※30000hit達成記念作品・フライング

    ※白友・Aさんの設定をお借りしています。



    『甘やかな毒』ープロローグー


    甘やかな毒があるという…

    緩やかに四肢を廻るその毒は
    本来、無害であり薬にもなりうるものである筈なのだが、
    人によっては猛毒になり、やがては死をもたらすという。
    未だ治療法の無い、不治の毒である。

    突然、襲いかかってくる甘やかな毒

    避けるのもよし…
    受けるのもよし…

    切り捨てるもよし…
    立ち向かうのもよし…

    なん人たりとも甘い毒に、侵された者は抗えぬ。
    すなわち、《》という甘やかな毒なり

    その甘やかな毒を受け、《》に抗えぬ一人の男が今ここに・・・

    ・・・・続く


    2013年
    02月19日
    01:35

    【長編】本誌設定『甘やかな毒2』※30000hit達成記念作品フライング

    ※白友Aさんの設定をお借りしています。


    ・・・続き

    いつもどうり平穏な日常を送る筈だった午後の王宮。

    それは、狼陛下唯一の寵妃の突然の悲鳴によって破られた。

    「きゃあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ」

    「誰かぁ!!!誰か来て―!!!!」

    「侍医を早く!!!!」

    「陛下が!陛下がぁーーーー!」

    「侍医を呼んでっっ早くっっ」



    取り乱した絹を裂くようなつんざく妃の悲鳴。
    官吏や武官達は妃の悲鳴に騒然となった。

    日頃からは、およそ似つかわしくない非常事態を告げる声。
    官吏や武官達は耳を疑う。

    今の悲鳴は、なんと言ったか!?

    《陛下》と言わなかったか!?

    誰もが、皆 悲鳴の先へと急ぎ駆けつける。

    駆けつけた官吏、武官達が見たものは、床に倒れた陛下に
    とりすがり泣き崩れる寵妃夕鈴の姿と
    深々と短刀の刺さった床に縫い止められた青光りのする蛇だった。

    …続く

    2013年
    02月19日
    15:55
    続きを読む

    【長編】本誌設定『甘やかな毒3』※30000hit達成記念


    ※A沢さんの設定を少々、お借りしています。

    ・・・続き

    (…どうして…こんな事態に…)

    夕鈴は、未だに信じられず、身を震わせ青ざめる。

    「陛下…!今、人を呼びました。侍医が来ます。しっかりして下さい!!!」

    倒れて、動かない陛下へというより、
    自分自身への叱咤激励のような夕鈴の言葉。

    (・・・・なにか・・・・何かできることは無いの???)

    大粒の涙が、はしばみ色の大きな瞳から零れ落ちる。
    陛下の衣を濡らす。

    依然、陛下の右腕には、仕組まれた蛇の2つの穿つ穴。
    そこから一筋づつ赤い血の道が流れ床に伝う。

    床に描かれた。血の紋様。二筋の細い血の流れ
    夕鈴の青ざめる唇は、掠れた陛下の名を紡ぐ。

    「 陛下ぁ!! !しっかりしてくださいっ  陛下っ!!」

    夕鈴は、必死に頭を巡らして
    昔下町で見たことのある治療法を思い出していた。

    夕鈴は、片袖を裂き手早く陛下の上腕を強く縛る。

    迷っている暇など無かった。

    陛下の腕の蛇の穿った傷跡に、夕鈴は唇を這わすと、
    夢中で吸い上げ血を吐き出す。

    繰り返し吐き出し、蛇の毒を体外から出す方法。

    昔、一度だけ下町で見た、毒蛇に咬まれた人が助かった方法だった。

    (陛下、お願い助かって!!!)

    夢中で、毒を吐き出した。陛下が助かることを信じて・・・・


    …続く

    2013年
    03月29日
    21:29




    30000hitを踏んでくれたミミガーさんに捧げます。

    【長編】本誌設定『甘やかな毒4』※30000hit達成記念






    ※A沢さんの設定を少々、お借りしています。



    ・・・続き

    李順が、駆けつけた時には、必死で黎翔を助けようと応急処置をほどこしている夕鈴の姿だった。

    床に散らばった壊れた文箱。

    短刀で縫いとめられた蛇。

    倒れた陛下。

    血まみれで泣きながら治療を施す妃。


    ・・・・・・これは・・・・・

    それらが意味するもの・・・・・さほど遠くない記憶が蘇る。

    あの時は、汎大臣だったが…。

    今回は、------陛下なのか?

    李順は、冷静に判断して夕鈴の治療を止めさせた。

    この床の血の量では、すでに毒は体外から排出されたであろうことは予測できた。

    まずは、陛下の意識を確認しないと。

    『陛下、大丈夫ですか?』

    『この程度で、倒れるほど、あなた軟(やわ)じゃないでしょう?』

    乱暴に、頬をぺちぺちと叩く李順に夕鈴は、ぎょっとした。

    …続く

    李順さん・・・・あなたってひとは




    2013年
    03月30日
    08:44

    【長編】本誌設定『甘やかな毒5』【長編】本誌設定『甘やかな毒1』※30000hit達成記念

    ※A沢さんの設定を少々、お借りしています。


    パチン!!

    やたらと響く平手打ちのその音に
    李順さんの理解できない行動で
    呆然としていた夕鈴は、我に返った。

    慌てて間に入り、陛下を背に庇う。

    「止めて下さい!李順さん!!」
    「陛下は、怪我をしているんですよ!」

    李順さんと陛下の間に入り、涙目で訴える夕鈴。
    その時、背中に庇う陛下が呻いた。

    『…ン…うぅ…』

    眉間に皺が寄せられて、瞼が開く。
    紅い双眸が、僅かに見開かれた。

    『ああ…陛下が、気付いたようです。』

    『もう、大丈夫ですね。』

    『夕鈴殿、陛下のことは、こちらに任せて、貴女は着替えて来てくれませんか?』

    『もうすぐ、侍医が来ます。陛下は大丈夫ですから。夕鈴殿は湯殿行ってください。』

    『そんなに、血で汚れては、陛下のお傍には近寄れません。
    申し訳ないですが、清めて来てください。』

    『ああ…そこのあなた。
    お妃様を湯殿へとお連れして身支度をさせて来てくれませんか。』

    妃付きの侍女を、李順は呼び寄せて、用事を頼む。
    その間にも、夕鈴は陛下が心配で気が気じゃなかった。

    チラリと、李順さんの肩越しに陛下の様子を見ると
    青ざめつつも、陛下の紅い双眸と視線がかちあう。
    その視線を感じた夕鈴は、少しでも傍に居たい衝動に駆られた。

    「李順さん、今湯殿だなんて・・・・悠長に身を清めてなど居られません。」
    「すぐに、着替えたら陛下の許に戻ります。」

    『いいえ、きちんと洗い清めて来てください。
    こちらは、心配いりません。』

    『夕鈴殿のおかげで、毒はほとんど吸い出されたと思います。』

    『貴方は、陛下の唯一の妃。
    ご自分を御覧なさい。』

    『陛下の血で汚れております。
    血なまぐさい香りは、取れません。
    きちんと、洗い清めて来てください。』

    『着替えられたら、こちらにて陛下の看病をしていただきます。』

    そう言われれば、李順さんに従うしかない。
    夕鈴は、陛下に胸がつぶれそうな思いで陛下を心配をしつつ
    後ろ髪を引かれながら・・・・・侍女と共に湯殿へと向かうのだった。

    ・・・・続く

    2013年
    04月13日
    22:36

    【長編】本誌設定『甘やかな毒6』※30000hit達成記念

    ※A沢さんの設定を少々、お借りしています。


    緩やかに絡みつく細い鎖。

    ガンガンと頭が痛い!!!

    浮上していく意識の中で、僕を呼ぶ声!!!

    温かで、優しい僕の愛する人

    涙声で、悲しそうに叫ぶ夕鈴・・・・

    「陛下!!!へいかっっっしっかりしてください。陛下っっ!!!!」

    至近距離でのその声は、必死に僕に呼びかける。

    ・・・・・夕鈴。ゆうりん。僕は、大丈夫だよ。夕鈴。

    僕の頬を伝う柔らかな雨が染み渡る。

    何故だろう、僕を呼ぶ君が泣いている気がする。

    ・・・・・泣かないで夕鈴、僕は大丈夫だから・・・・

    そう君に伝えたくて、だけど身体は重くて君に伝えられない。

    じりじりとした意識のなかで、突然両の頬が痛くなった!!!

    僕を呼ぶ悲しげな君の代わりに、呼びかける声。

    ーーーー李順だった。

    『貴方、そんなに柔じゃ無いでしょう!!!』
    (夕鈴殿を、こんなに心配させていいんですか?)

    何故だか、聞こえるもう一つの李順の声。

    呼びかけと共に、又 頬が痛い。

    容赦ない痛みに、急速に浮上する意識。

    ああ・・・そうだ。君を泣かせてはいけない。

    そう思った時、身体を縛めていた、細い鎖は断ち切れて

    黎翔は、自由を手に入れた。

    君を安心させねば・・・・

    何故か、黎翔の右腕がほんのりと熱を帯びていた。

    そこから、二筋の血筋が流れる。

    その血潮以上の熱塊が、黎翔の腕に篭る。

    黎翔の血脈に、緩やかに溶ける熱。

    その熱が何なのか意識に沈む黎翔は、知らなかった。

    その熱塊の場所は、先ほどまで夕鈴が口付けていた場所。

    黎翔を必死で助けようとした、夕鈴の純粋な気持ち。

    甘やかな口付けの熱痕だった。
    ・・・・続く

    2013年
    04月14日
    09:03

    【長編】本誌設定『甘やかな毒7』※30000hit達成記念

    ※A沢さんの設定を少々、お借りしています。

    ・・・・・パシャン!!

    もう何度目か分からない。

    夕鈴は、零れる涙を湯で洗い流し、夕鈴はひたすら陛下のことを考えていた。

    (陛下・・・ご無事で・・・・・)

    ジリジリとしたもどかしい時間の中で、夕鈴の考えは、悪いほうにばかり傾く。

    ジワリと滲む涙を止められない。

    身を清め、新しい衣装を着ている時にさえ、涙ぐむ妃を慰める侍女達。

    柔らかな薄桃色の衣を選び。美しく咲き綻ぶ大輪の花簪を挿す。

    美しく装う狼陛下の唯一の妃。いつもの風景。いつもの妃の姿。

    優しい笑顔で、侍女達は口々に言う

    陛下は、大丈夫ですよ。お妃様。

    そう慰める侍女達の言葉も、今は慰めにならない。

    ようやく、身支度が整い足早に陛下の部屋へと向かう夕鈴。

    風が吹く。・・・・・雲が流れる。

    庭に植えた花桃の花枝が、風に大きく揺れていた。













    お妃様、お待ちしていました。
    陛下が、夕鈴様を先ほどからお待ちです。
    こちらへどうぞ・・・・

    陛下付きの侍女の案内で、居室に入る。

    あれほど心配していた陛下が、自分を待っていてくれた。


    身支度に、時間が掛かりすぎたと申し訳ない気持ちになる。

    ようやく着いた陛下の部屋に、夕鈴はいぶかしむ。

    たくさんの人々が、忙しなくいるものと思っていた陛下の部屋は、

    しんと静まりかえっていた。

    静寂に包まれた陛下の部屋には、誰一人居ない。

    侍医さえも居なかった。

    たくさんの人々が、陛下の部屋に詰め掛けていると思っていた夕鈴は、ビックリして言葉を失う。

    いつもどうりの陛下の部屋。

    何事もなかったかのような何時もの風景。

    薄暗い部屋に、開け放した窓辺から、眩しい光が部屋に差し込む。

    逆光のような眩しい光の中で・・・・

    夕鈴が、あれほどその身を心配していた陛下が窓辺に佇んでいた。


    ・・・・続く

    2013年
    04月14日
    14:50

    【長編】本誌設定『甘やかな毒8』※30000hit達成記念

    ・・・続きです。

    『夕鈴、待っていた。』

    窓辺に佇む陛下が、夕鈴に気付いた。
    柔らかな紅い双眸で、夕鈴を出迎えた。
    いつもの風景。いつもの陛下。

    心配していた陛下に駆け寄る夕鈴。
    そのはしばみ色の瞳は、心配しつつも喜びに溢れる
    涙で陛下の顔が見えない。

    心配していた陛下が、ここにこうしているのが夕鈴には、信じられなかった。
    疑問と共に、毒を受けた陛下を気遣う。

    「・・・・陛下、もう大丈夫なのですか??」
    「・・・・侍医は!?」

    『侍医は、下げさせた。』

    『大事無い。心配かけたな夕鈴。』

    ますますもって、陛下の言葉が分からない。
    状況が理解できず、重ねて夕鈴は質問した。

    「侍医を下げたって・・・・陛下、毒は?」

    陛下の咬まれた方の袖を掴み、腕を確認すると
    そこには白い包帯が巻かれていた。

    確かに、陛下は傷を負っているのに大丈夫とは
    いったいどういうことなのだろうか??
    まじまじと、陛下の包帯を凝視する夕鈴。

    その様子を、黎翔は、ニコニコとして見つめていた。
    次の瞬間、夕鈴は黎翔の言葉に耳を疑う。


    『夕鈴、あの蛇は毒性が無いんだよ。』

    『だから、咬まれても平気なんだ。』

    ・・・・・・・・・!!!!!!!



    大きなはしばみ色が驚きで、更に大きくなった。
    あんぐりとおおきく口が開く。
    夕鈴は、一瞬で理解できた。

    『あの蛇は、毒性の強い蛇を擬態した無毒の蛇なんだ。』

    『背中の模様が似ているから見分けが難しいのだけど。』

    『頭の形が違うんだ。すぐに、見分けがついたよ。』

    陛下の説明する声が、頭の中に入らない。
    遠くで話しかけられているようだった。

    ガンガンと耳鳴りがする。
    夕鈴の頭の中は、真っ白だった。


    ・・・・続く

    なかなか終わってくれないです。ジリジリします。
    文才が欲しい。

    2013年
    04月18日
    13:29

    完【長編】本誌設定『甘やかな毒9』※30000hit達成記念

    ・・・続きです。

    陛下が明かした衝撃の事実に呆然とする夕鈴。

    「・・・・・・・・・っっっ。」

    『・・・・・・・・・・夕鈴っ!!!!』

    ずるずると、陛下の衣を掴みながら・・・・・床にへたり込む。
    その身体を陛下が支えた。

    「あの蛇が・・・・む・・・どく。・・・・・・無毒。」

    『夕鈴、大丈夫!?』

    呆然自失の夕鈴は、はしばみ色の瞳で、陛下の顔を見つめたまま
    信じられないという顔をしていた。

    「では、どうして陛下は倒れたのですか・・・」

    ぽつりと呟く夕鈴に、黎翔は決まり悪そうに答えた。

    『君が蛇に咬まれそうになって、とっさに庇った時に
    足元が滑り頭を打った。  脳震盪を起こしていたんだね。』

    「では、蛇の毒ではないんですね。」

    『先ほどから、そうだと言っているんだが・・・・』

    黎翔は、苦笑してそう答えた。
    その言葉がきっかけだったように、緊張の糸がぶつりと切れた夕鈴は、
    子供のように泣きじゃくり始めた。

    泣きながら、黎翔に訴える。

    「・・・陛下が私を庇って、死んでしまうのかと思いました。」
    「本当に、心配したんです。」

    溢れる涙を止められず、夕鈴はぽろぽろと大粒の涙を零す。
    しゃくりあげる声が声にならない。
    顔を真っ赤にしてそう答えた。

    『李順や武官・侍女達、皆から聞いた。
    ・・・・夕鈴が必死で僕のことを助けようとしていたことを。』

    『夕鈴・・・ありがとう。』

    「てっきり、私は蛇の毒で陛下が倒れられたのかと・・・・」
    「だから、助けようと・・・・」

    「必死だったんです。」

    『うん。・・・・分かっている。夕鈴、ありがとう。』

    泣きじゃくる夕鈴を柔らかく抱きしめて、嬉しさを隠しきれない黎翔。
    ニコニコと笑顔が零れた。

    きっと、この王宮で、王を心配する人々の中、
    たった一人 夕鈴だけが、黎翔という個人を心配してくれていた。

    その事が黎翔は、とても嬉しかった。

    侍医が来て、この傷を初めて見たときの黎翔の驚き。
    腕を縛っていた彼女の衣。
    傷口に残った彼女の口紅の色。
    床に残った血だまり。
    李順の証言。

    そのどれもが、黎翔を助けようとした彼女の行動の痕。
    黎翔を心から救おうとした夕鈴の真心が嬉しかった。

    泣きじゃくる彼女が、愛おしい。
    抱きしめながら、こみ上げてくる嬉しさを隠し切れない黎翔。
    この腕の中のぬくもりが愛おしかった。

    そのうちに、少し落ち着いてきたのか、泣きじゃくっていた夕鈴が
    今度は、青ざめ始めた。

    「どうしよう・・・・知らずに、妃の衣を汚して、袖を破いてしまいました。」
    「・・・・また、借金が追加されちゃう・・・・。」

    今度は、別な涙を零し始める夕鈴。

    『大丈夫だよ。今回は、僕を助ける為だったのだもの。』
    『僕から、李順に話しておくよ。』

    借金の追加を本気で心配している夕鈴は、本当に顔色が悪かった。

    「そもそも・・・衣を破る原因を作ったのは、陛下です。」

    夕鈴は、今度は怒り出す!!!
    怒ったことで、少し元気が出たのかはしばみ色の瞳に力がこもる。

    「あのまま・・・私が蛇に咬まれていたらこんな事態にならなかったんです。」
    「陛下は、この国の王なのですから、バイトを庇う必要はないはずです!!!」

    『それは違うよ、 夕鈴。』
    『あれが、適切な判断だ。』
    『私は大抵の毒に、免疫があるし、君は毒に慣れていない。』
    『だから、アレがベストな選択だった。』

    「だからって・・・・だからって・・・・バイトを庇う理由になりません!!!」

    真っ赤な顔で怒る君が、愛しくて可愛い。
    怒っても、泣いても 君は、可愛い。

    怒る夕鈴の言葉を
    心から心配してくれた君の言葉が、ーーーーーーー嬉しかった。

    甘んじて怒られよう、君に。
    抱きしめながら、黎翔は夕鈴の言葉を喜びとして聞いていた。






    どれくらいそうしていたのだろうか。

    「・・・・もう、心配させないで下さい。」

    黙り込んだ夕鈴が、ポツリとそう呟いた。
    その言葉に、黎翔は夕鈴を見つめた。
    本気で心配しているはしばみ色の瞳が綺麗だった。

    『ごめんね。心配かけて・・・・』
    『助けてくれて、ありがとう、夕鈴。』

    「陛下が、無事で良かった。」

    ようやく笑顔を取り戻した夕鈴が、心からの笑顔で黎翔に応えた。

    大輪の花が開くような笑顔を向けられた黎翔。
    とても夕鈴が眩しく感じた。

    黎翔の心がドキンと大きく跳ねあがる。
    甘い微熱が止まらない。
     
    指先まで、身体が温かい。

    (君が好きだ。)

    黎翔の心に、恋の熱が燈る。



    床にへたり込んだままでは、二人とも身体に悪い。

    『夕鈴、とりあえず長椅子にすわろうか・・・・』
    黎翔が先に立ち上がり、夕鈴に手を差し伸べる。

    ところが・・・・夕鈴は、その手を取らない。
    眉をへの字にして、黎翔に涙目で訴える。

    「陛下・・・・今頃、腰が抜けました・・・・・立ち上がれません。」

    情けない声でそう告げた。
    破顔する黎翔。

    「陛下、笑わないで下さい!!!!」

    腰の抜けた夕鈴を抱えあげて、長椅子に向かう黎翔。
    明るい笑い声が響く。

    いつもの日常が戻り、事件は終わりを告げた。





    ーーーーーーーーーーーーーーーーだけど。





    君がくれた真心。

    僕を巡るこの微熱はきっと消えない。

    僕の心臓に消えない熱を残した夕鈴。

    僕を包む温かな愛。

    心を溶かす 

    【甘やかな恋】 として…


    ―【甘やかな毒】完―

    2013年
    04月18日
    13:54