花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    第二章【美女と野獣 4 ーLa Belle et la Bêteー】パラレルメルヘン



    ☆こちらは、ディズニー・ベースで書き進めています。
    いろいろと、ディズニー&狼陛下と食い違う部分が多いと思います。
    原作がお好きな方は、読むのは控えてください。
    それでも、いいよ・・という方のみ続きをどうぞ、お楽しみくださいませ。




    第二章『魔女の薔薇-まじょのばらー』
    続きです

    この薔薇がようやく咲きほころび美しい薔薇になった頃のことです。





    あるところに、素晴らしく栄えた白陽国という国がありました。

    美しい緑と水に包まれた祝福された土地で、

    人々は幸せに暮らし、

    白陽国の城は、そこに住まう国王・珀黎翔の威光を示す

    白亜のとても素晴らしい城でした。

    まばゆい光の城は、息をのむばかりに美しく、

    どれをとっても非の打ち所の無いものでした。





    ところが、白陽国の若い王だけは、違っていました。

    幼い頃から、望むもの全てを与えられて恵まれて育ちながら・・・

    その心は、冷たく荒れ狂う獣の魂を持つ王でした。

    人を信じることができず、心は閉ざされ疑心暗鬼に瞳は曇り

    自分勝手で、わがままな黎翔王。


    だけど、だれひとりとして、黎翔王を諌める者はおりませんでした。

    皆、王の逆鱗に触れることを怖れて・・・・

    この王に正しい道を示すことが出来なかったのです。

    いつしか、黎翔王は、狼陛下と呼ばれ・・・

    人々から怖れられるようになりました。


    そう・・・あの凍えるような冬の夜が来るまでは・・・・


    続く



    2012年
    11月24日
    21:50

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    第二章【美女と野獣 5 ーLa Belle et la Bêteー】パラレルメルヘン



    ☆こちらは、ディズニー・ベースで書き進めています。
    いろいろと、ディズニー&狼陛下と食い違う部分が多いと思います。
    原作がお好きな方は、読むのは控えてください。
    それでも、いいよ・・という方のみ続きをどうぞ、お楽しみくださいませ。


    第二章『魔女の薔薇-まじょのばらー』




    続きです

    白陽国のはずれの深い森の奥に、一年中春のような暖かい美しい薔薇の庭がある小さな家がありました。

    そこには、ひっそりと一人の魔女が住んでおりました。

    魔女の耳に人々の噂が入り、魔女は心を痛めます。

    一年中、常春の自分の庭を魔女は歩きます。

    彼女の銀糸の髪は震え、黄昏時のアメジストの瞳は翳りました。

    『冷酷非情な狼陛下…噂どうりの人物なのか?確かめなくては…』



    魔女は、庭の薔薇を見渡すと、一本の咲き始めたばかりの美しい深紅の薔薇に目を止めました。

    『お前…王の為に、狼陛下の薔薇になって、王の行く末を見守っておくれ…』

    深紅の薔薇は、肯…の意味をこめて、ほんのりと光りました。
    『…ありがとう…』

    魔女は、薔薇を手折ると庭の外。
    極寒の白陽国の冬の大地に輝く、冴えた星空を見上げました。

    『白陽国・珀黎翔陛下…噂どうりの人物なのか。』

    『…この私が、この目で確かめましょう。』

    そう呟くと薔薇と共に、魔女の姿は消え失せました。




    続く




    2012年
    11月24日
    21:51

    第二章【美女と野獣 6 ーLa Belle et la Bêteー】パラレルメルヘン




    ☆こちらは、ディズニー・ベースで書き進めています。
    いろいろと、ディズニー&狼陛下と食い違う部分が多いと思います。
    原作がお好きな方は、読むのは控えてください。
    それでも、いいよ・・という方のみ続きをどうぞ、お楽しみくださいませ。


    第二章『魔女の薔薇-まじょのばらー』




    続きです


    月が凍るような冷たい光りに輝くとても寒い夜のことです。

    物乞いの一人の老女が城の門を叩きました。

    寒さに身を震え、今にも倒れてしまいそうな姿を見て、家来はさっそく老女を

    黎翔王のもとへと通しました。

    老女は、黎翔王に向かってうやうやしくお辞儀すると、

    籠から深紅の薔薇の花を一輪、取り出しました。

    老女は、黎翔王に懇願します。

    「おやさしいかた、どうか寒さをしのぐ一夜の宿をお貸しください。

    あいにくお金は、持ち合わせておりませんが、せめてもの感謝のしるしに、

    この見事に咲いた一輪の薔薇を差し上げましょう!!!」

    家来達は、この老女に同情し、あわれに思いましたが、

    黎翔王はその薄汚れたみすぼらしい姿に冷ややかな侮蔑の視線を向けると、

    冷たくこう言い放ったのです。

    『けがわらしい老女よ、すぐにこの城を立ち去るがよい。

    それから言っておくが、この城の鏡を見てはならんぞ。

    お前のおぞましいその姿に鏡が割れては困るからな!!!』

    老女の黄昏の瞳が黎翔王を見つめます。

    「王よ、外見にまどわされてはなりませぬ。

    どのようなものにも、美しさは、備わっているものですよ。」

    『そうか。』

    老女の言葉に、黎翔王は答えました。

    『ならば、ほかの城へ行って、その美しさとやらを探すがいい。』

    そして、家来達にこう命じたのです。

    『誰か、この目障りな老婆を城の外へ連れて行け!!!』

    しかし、家来達が老婆の身体にふれるより早く、

    老婆の全身が強い光りを放ち始めました。



    続く




    2012年
    11月25日
    20:34

    第二章【美女と野獣 7 ーLa Belle et la Bêteー】パラレルメルヘン




    ☆こちらは、ディズニー・ベースで書き進めています。
    いろいろと、ディズニー&狼陛下と食い違う部分が多いと思います。
    原作がお好きな方は、読むのは控えてください。
    それでも、いいよ・・という方のみ続きをどうぞ、お楽しみくださいませ。


    第二章『魔女の薔薇-まじょのばらー』


    続きです


    まばゆい光りを放つ老婆に、皆がおそれおののきました。

    みんなの見ている中で、老女は、美しい魔女へと姿を変えました。

    銀色の月光を紡いだような光り輝く髪。

    黄昏の空の色のアメジストの瞳。

    あの白陽国の外れの森に住む魔女でした。

    黎翔王は、恐ろしさに打ち震えました。

    魔女のアメジストの瞳には、ぞっとするような怒りの焔が

    冷たく宿っていたからです。

    『どうか、お許しください。』

    黎翔王は、魔女にひざまづいて、許しを請いました。

    『そのようなかたとは知らずに・・・・』

    けれど、魔女は黎翔王の言葉を最後まで聞こうとしませんでした。

    ひざまづいた黎翔王を今度は、魔女が冷ややかに見つめます。

    その瞳には、失望と・・・・凍りつくような怒りの焔がありました。

    「先ほどの言葉で、おまえの心にはひとかけらの愛がないことがよくわかった。

    愛を知らぬ者は人間とはいえぬ。」

    「・・・・ならば、その心にふさわしい野獣となるがいい黎翔王よ!!!」

    『お許しを!!魔女殿、そればかりはどうか・・・』

    黎翔王は、必死に叫びました。

    怒りに満ちた魔女が両手を

    高々と上げると、銀色の髪が逆立ち眩い光りが、城の大広間に満ちました。

    光りと共に黎翔王の姿がしだいに変わり始めました。

    通り名の狼陛下にふさわしく、顔や手・・・全身に黒々とした漆黒の毛に

    覆われていきます。

    指先には、鋭く尖った鉤爪。

    歯が鋭く長い牙へと。

    王冠の変わりにその頭上には、鋭く捻じ曲がった山羊の角が生えました。

    自らの身が、変わる痛みに、黎翔王は、苦痛と失望の悲鳴で絶叫しました。

    その恐ろしい黎翔王の悲鳴は、冷たい夜の城に響きました。




    続く







    2012年
    11月25日
    21:27

    第二章【美女と野獣 8 ーLa Belle et la Bêteー】パラレルメルヘン




    ☆こちらは、ディズニー・ベースで書き進めています。
    いろいろと、ディズニー&狼陛下と食い違う部分が多いと思います。
    原作がお好きな方は、読むのは控えてください。
    それでも、いいよ・・という方のみ続きをどうぞ、お楽しみくださいませ。


    第二章『魔女の薔薇-まじょのばらー』



    続きです


    「この城にも、呪いをかけてやろう。」

    「黎翔王よ。おまえはもう、人間の住むところへは、行けぬ。」

    「ここで、誰一人、友も無く、さびしく暮らすがいい。」

    そのとたん、家来たちも一人残らず姿が変わっていきました。

    それぞれが次々と魔女によって姿が変わっていきます。

    執事は、置時計に、給仕長は、燭台に、料理番はティーポットに、

    他の家来たちも家具や陶器や銀食器にと

    城の備品に次々とそういったものに姿を変えられました。

    そして、とうとう一人も人間の姿をした家来は、

    誰一人としていなくなってしまったのです。

    すると、魔女は先ほどの薔薇を差し出しました。

    「この薔薇は魔法の薔薇。」

    「お前の21歳の誕生日までは咲き続けるが、それを過ぎれば枯れてしまう。」

    「この薔薇が散る前に呪いを解くことだな。」

    「もし、それが叶わぬときは、黎翔王よ。お前は、死ぬまで永遠に野獣の姿のままだろう。覚悟するがいい。」




    『しかし・・・呪いを解くにはどうすれば・・・』

    変わり果てた姿の黎翔王は驚いて、魔女に尋ねましたが、口から出てきたのは、獣が吼えるような恐ろしいうなり声でした。

    声までもが変わり、黎翔王は、驚愕に目を見開きました。

    美しい魔女は、黎翔王に近づいて言いました。

    「・・・・呪いを解く道は、ただひとつだけ。」

    「誰かを愛し、その者の愛を勝ち得ることだけ。」

    テーブルの上へ置いた魔法の薔薇に、ガラスの覆いをかぶせると、

    魔女は、籠の中から銀の手鏡を取り出しました。

    「さて、おまえのために、もうひとつ置き土産を残してやろう。」

    「この鏡には、お前の望んだ場所が映し出される。」

    「気が済むまで、眺めるがいい。」

    「二度と、戻ることの出来ない人間界の様子をな!」

    次の瞬間、激しい雷鳴と稲妻とともに魔女の姿は、消えていました。

    魔女の薔薇と銀の手鏡を残して・・・・


    野獣は、すぐさま部屋を飛び出し、尖塔の階段を駆け上がりました。

    上へ上へと、毛に覆われた脚を駆り、まだ不慣れな身体をあちこちぶつけ

    躓(つまづ)き転びながら、どうにか、尖塔のてっぺんまでたどり着くと、

    稲妻と共に消えた魔女を呼び止めようと探しましたが、

    どこにもいませんでした。

    それどころか、塔の窓から、外を眺めた野獣は、愕然とします。

    目に映る景色の変わりように、野獣は言葉を失いました。

    城の周囲に、人影は無く、家も道も、緑の畑も姿を消し、

    日の光に明るく輝いていたはずの村は、厚くたれこめた灰色の霧に

    すっかり飲み込まれていたのです。


    「誰かの愛を勝ち得ること」魔女の言葉が、野獣の耳に蘇ります。

    『だが、この世のどこに、こんな醜い獣を愛してくれる人がいるというのだ。』

    深い絶望感が、野獣となってしまった黎翔王の胸を穿(うが)ちます。

    後ろ足で立ち上がり、彼方へ向かって叫ぶ野獣。

    それは、檻に閉じ込められた獣の叫び。

    何もかもを失ってしまった、若い王の悲痛な心の叫びでした。


            ー第二章『魔女の薔薇-まじょのばらー』・完ー




    続きます。




    2012年
    11月26日
    12:00