花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    完【書庫】『粉粧楼~ふんしょうろう~』

    こちらは、本誌設定・中編を収めた書庫室です。
    こちらは、珀 黎翔陛下と汀 夕鈴妃の物語。続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。




    完『粉粧楼   ~ふんしょうろう~』 2012.06.29
    粉粧楼 Ⅰ  ~ふんしょうろう~
    粉粧楼 Ⅱ ~ふんしょうろう~

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    粉粧楼 Ⅰ  ~ふんしょうろう~

    政務室のいつもの光景
    そのはずだった・・・
    ただ一つをのぞいて

    陛下の気分が悪そうだ
    いつもより青ざめた顔色は気のせいではなくて
    先ほどから書き損じも多い

    今にも倒れそうな陛下と
    仕事になりませんとこぼす李順

    真っ青な陛下の顔を
    扇越しに伺う
    こんなことは、初めてだった

    どうしても眉間に縦しわが、寄ってしまう。
    夕鈴は、陛下が心配で気が気じゃない。

    怪訝な様子の私に、すぐに反応を示す陛下が、気づかない。
    よほど、具合が悪いのだろう
    余計に心配になった。

    いつもより寝不足なのは知っていた。
    先月から忙しいとこぼしていたことも知っている。

    演技上手な陛下のこと
    こんなになるまで、誰も気づいてあげられなかったとは・・・

    夕鈴は唇を嚙みしめる

    様子に耐え切れなくなった時
    小休憩の時を知らせる鐘が鳴る

    夕鈴は、慌てて李順から、陛下の午後からの休みをもぎ取った。



    ・・・続く

    粉粧楼 Ⅱ ~ふんしょうろう~

    お昼は、陛下と粉粧楼の咲く四苛で食事を摂った。
    満開の粉粧楼の花は、ころころとまあるく、幾重にも可愛らしく花弁を重ね重さでうつむいている。重なる花弁は、ほぼ白く、中心だけがほんのりとピンクに色づいていた。

    見ているだけで、心慰められる花を愛でつつ、静かに時は過ぎる。

    やがて、夕鈴から、お茶が出された。
    いつもと違うお茶の色と香りに、陛下が夕鈴の顔を見る

    「今日は、陛下がお疲れのようですから、ハーブ茶にしてみました。」
    「カモミールといって、とても良く効くそうですよ。」
    「ありがとう! 夕鈴!」

    こくりと一口飲んでみる
    ハーブの独特の味がする。なんか効きそう。

    「気配りしてくれる、お嫁さんもらって私は幸せだな。」

    そういって、夕鈴に嬉しそうに笑い、陛下は一気に残りを飲み干した。


    侍女たちの食事の片付けが終わるとともに、夕鈴は人払いをお願いした。


    粉粧楼は、午後の日差しを浴びて輝いている
    涼やかな木陰の長椅子に二人並んだ。

    突然、夕鈴から陛下の手が握られる
    めずらしい君の行動に、僕の心臓は跳ねた

    「陛下、お仕事しすぎです。」
    「少し、お休みください。」

    そのまま、腕を引かれ君の膝の上へ
    どきどきする心臓の音とともに、夕鈴の体温を感じる。
    膝枕だ。

    「こちらで、少しお休みください。」
    「私が、起こしてさしあげます。」

    黎翔は、眠るつもりはなかったのだが・・・・
    やがて、安らかな寝息が聞こえてきた。


    (よほど、疲れていたのね。)

    私の膝でやすらかな寝顔の陛下の姿に安堵する。

    様子を伺い、大丈夫と知ると、女官長を呼び寄せて、
    陛下に毛布をかけてもらう。

    陛下が目覚めるまで、そのまま人払いをお願いする。

    (あなたの眠りを守りたい。)

    ささやかな願いは叶って、あなたは夢の中に・・・・

    ふわっと、重なるように、やさしく陛下を抱きしめる。
    あなたの眠りの邪魔にならないようにそっとやさしく。

    (どうか、起きたら)
    (いつものように)
    (元気な笑顔を見せてほしいの。)

    愛しい気持ちといたわりを込めて、
    陛下のこめかみに 夕鈴はそっと静かに口付けた。

    ー完ー