花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    完【書庫】『朗読会』

    こちらは、本誌設定・中編を収めた書庫室です。
    こちらは、珀 黎翔陛下と汀 夕鈴妃の物語。続ける余地のある終わり方をしています。不定期更新。





    完『朗読会』※要注意お馬鹿ネタ・キャラ崩壊
    【中編】『朗読会―プロローグ―』
    【中編】『朗読会―黎翔編―』
    【中編】『朗読会―夕鈴編―』
    【中編】『朗読会―エピローグ―』

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    ☆【短編】『朗読会―プロローグ―』※要注意お馬鹿ネタ・キャラ崩壊

    甘い密やかな陛下の愛の言葉が、寝室に木霊する

    寝台の白い天蓋の薄い帳の中から聞こえてくる。

    空気を微かに震わせ甘やかに艶めく、低い男の囁き声。

    その声は黎翔のもの。
    色のある声で、黎翔が、寝台の帳の中で愛を囁くのは、この国で一人しかいない。

    この寝台の主(あるじ)。

    狼陛下唯一のお妃、夕鈴妃。

    先ほどから、寝台の帳の奥から、切羽詰まった女の声。

    「あぁ…や!ぁあ…」
    「もぅ…ダメ。耐えられないっ…」

    途切れ途切れ聞こえる粗い息遣い。

    「やだあっ…陛下ぁ!」

    「もぅ…やめてぇ~」

    今にも消え入りそうな夕鈴の声が、帳を震わせ夜の静寂を破る

    「…ああ…もぅ…許して!!…」

    涙声の夕鈴の声。

    黎翔の囁きは、止まらない。

    幾重にも重なる帳、貴人の寝台の中は容易には、覗けない。

    かろうじて、燭台に揺らめく蝋燭(ろうそく)の灯り。
    ほのかな灯りに透ける影は、寝台に重なる影が一つだけ…

    濃密な夜に密やかな睦言。

    黎翔の愉悦を含んだ艶声だけが、ハッキリと寝室に聞こえる。

    …王と妃の密やかな秘密の夜。

    …秘密を知るのは、お互いのみだった…





    …続く。

    【短編】『朗読会―黎翔編―』※要注意お馬鹿ネタ・キャラ崩壊

    (ああ…なんて愉しいんだろう…)

    低く色・艶の或る狼陛下の声で 君の耳に直に囁く 
    現実の僕らとはかけ離れた甘い甘い物語。

    或る想像上の僕達の邂逅の物語を
    君と寝台で、寝そべりながら君に読み聞かせる。
    甘い言葉を僕の舌にのせて、直に囁く物語の愛の言葉

    君は寝台で、必死に両手で両耳を塞ぎ、
    全身を朱(あけ)に染め、必死で耐えている。
    しっかり瞑る目頭に、涙が滲む。
    徐々に朱に染まった肌は、恥ずかしさで、
    身悶えている感情を素直に表している。
    耳を塞いでいても、きちんと聞こえているのだろう。

    (夕鈴、反応がかわいいよ♪)

    僕は、愉悦の微笑みを隠せない。

    (夕鈴、・・・・君は、本当に飽きない。)

    「・・・・陛下ぁ。もう、やめてぇ・・・・恥ずかしすぎるっ・・・・」

    消え入りそうな、息も絶え絶えな君の声。

    そんな声も楽しくて仕方ない。

    僕は、そんな君の反応を楽しみながら、
    艶の或る君が苦手な狼陛下の声で、華燭された大げさな愛の言葉を
    吐息がかかるほどの至近距離で君に朗読してあげていた。

    《…彼女は、涙を浮かべながら…彼に懇願した…

    『お願いっ、もう、私を離さないで…』

    彼の背中にすがりつき、こう呟いた。

    『愛しています』…》



    《振り向き、彼女を抱きしめ深く口付けた。

    満足げな甘い吐息が彼女の唇から零れ落ちる。

    『私もだ、私も君を愛している。・・・もう、君しか見えない!!!』

    そう言って彼女の唇に今一度口づける。

    透明な美しい涙が一滴頬を伝い流れ落ちていった。・・・・》






    ぷるぷる…小刻みに僕の腕の中で身悶え、震え耐えている。

    『夕鈴、ちゃんと聞いてる』

    「…陛下。もういいです。止めてぇ~~」

    『ダメだよ。夕鈴。』
    『明日、紅珠が感想を聞きに来るんでしょう』
    『しっかり、僕がお手伝いしてあげる。』
    『これならば、僕も夕鈴も休みながら、内容が分かるし、感想も言えるでしょ』

    頬杖をつきながら、更に、僕の側(そば)に君を引き寄せて、
    続きの物語を続けて囁く。

    (・・・・困ったな。君との朗読会が、癖になりそうだ。)


    『明日の晩も、朗読会をしようか。夕鈴。』

    今夜も楽しい二人の夜は、夜更けまで続いていくのだった。




    ・・・・続く
     

    【短編】『朗読会―夕鈴編―』※要注意お馬鹿ネタ・キャラ崩壊

    (ああ…もういっそのこと気絶したい!!)

    (ナンデ?ドウシテ?コウナッタノ?)



    破裂しそうな思いに捕らわれた 夕鈴の思考回路は、
    空回りしたまま、ぐるぐると廻り続ける…

    夕鈴は、自分の寝台の上で、陛下の腕に捕らわれて、
    陛下の腕の中で『朗読会』と称した紅珠の夢物語をありがたくも
    はた迷惑な陛下の艶声で聴くとゆう、拷問を甘んじて受けて入れていた。

    ちらりと陛下の顔を見ると、何が面白いのか、
    相変わらずの凄みのある美しい顔で、楽しげな微笑。
    吐息のかかる至近距離で、頬づえを付きながら見下ろしてくる。
    耳元で囁く【紅珠の夢物語】の【大げさに華燭された愛の言葉】

    更に、これ以上なくご機嫌な小犬陛下が、私が苦手な狼陛下の艶声で囁いてくる。

    (きゃぁぁぁぁ・・・)

    (分かっていて・・・やっている。)

    (陛下のいじわるっ・・・)

    夢物語の朗読なのに、本気で愛を囁かれているような錯覚に夕鈴は囚われる。
    そんなはず・・絶対にないのに。

    居たたまれない。逃げ出したい。羞恥で、実際に衝動的に逃げ出した。

    結果、逆に捕獲され、捕らわれる。

    いつしか抵抗して暴れるうちに寝台に連れ戻されて、
    更に陛下に抱き寄せられて 私は、逃げ場を失ってしまった。

    もう、抵抗できるのはこの両耳を両手で塞ぎ、
    私を翻弄する陛下の色っぽい艶のある低音の声を
    聞こえないようにしっかりと塞ぐことだけ。

    恥ずかしさで身悶える。全身に震えが走る。
    …すでに火照る身体は朱(あけ)に染まっているのだろう。

    涙で視界が滲む。
    ぐるぐる廻る天井までもが、朱(あけ)に染まっているのかと思った。

    夕鈴のわななく唇が、最後の抵抗の言の葉を紡ぐ・・・

    「お願い・・・・・陛下。もぅ・・・・止めて!!」

    溢れ出した涙は、艶やかに朱に染まる頬から耳朶へ・・・そこから白い敷布へと流れ落つ。

    夕鈴の抵抗する相手が、悪かった。

    相手は、この国の王様で…
    私は、ただの一庶民に過ぎない。

    駆け引き上手が、誰かなんて勿論始めから分かっていた事。

    駆け引きなど、私ができるはずなく、あれよあれよと寝台に連れ込まれ
    望んでも居ないこの現状。
    ささやかな抵抗さえも、すべて空しくすべてが効かなかった

    そして、夕鈴が大好きな人・・・はじめから敵うはずのない相手。

    せめて、本当の恋人としての愛の囁きならば・・・・
    まったく別な思いに囚われ、無上の幸福を味わっていただろうに・・・

    失墜する意識の中で、陛下の甘い囁きの声が、暗闇に響く
    夕鈴の唇に、柔らかな暖かな感触。

    触れるだけの熱は、更なる熱を伴って更なる深淵へと
    夕鈴の意識を失墜させていった。

    『おやすみ・・・ゆうりん。』

    幾重にも帳に閉ざされた妃の寝台の奥で、意識を失う妃を
    愛しげに抱きしめて眠る王がいたという。


    …王と妃の密やかな夜。

    …王はまどろみに落ちる前に、妃の熱を味わった。…

    抱きしめる腕の中で、まどろみに落ちた妃に優しく微笑み口付けする王の姿があったという。






    ・・・続く



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    【短編】『朗読会―エピローグ―』※要注意お馬鹿ネタ・キャラ崩壊

    ゆるゆると浮上する意識とともに、
    温かなぬくもりに包まれていることに気づく

    幸せな夢を見ていたような・・・まどろみから覚めたくない気持ちにさせる
    温かさ。

    もっと味わいたくて、その温かさにすりすりと頬を押し付けた。

    暖かい気持ちの良い幸せな朝

    無常にも、目覚めゆく意識

    夕鈴はまどろみから目覚め始める

    始めは、いつにない寝心地の良い暖かさ

    爽やかな耳馴染みのあるかわいらしい小鳥達のさえずり

    ・・・・とくん・・・・・とくん・・・
    心を和ませ、いつまでも聞いていたいと思う音

    いつもと違う覚醒にさしたる疑問も持たずに
    はしばみ色の瞳がゆるゆると開かれた

    視界が白い。
    暖かな白いものを夕鈴は抱きしめていた。

    数秒の戸惑いと記憶の修復・・・・・硬直して固まる身体

    (昨日はいつ私は寝てしまったの? 空白の記憶。昨夜は・・・)

    悪い予感がする。
    ・・・・でも確かめなくてはならない。

    繋ぎ行く記憶と共に、夕鈴は頬ずりして抱きしめている
    暖かな白いものを視線を上に辿る

    目覚めには、心臓によろしくない
    朝に似つかわしい爽やかな笑顔と
    非常事態が待ち受けているとは、知らずに。


    元気な狼陛下の花嫁の朝は、今日もつんざく絶叫とともに始まったという。


    今朝も王の足取りは、軽く、ご機嫌は大変麗しかった。
    明るい笑い声を漏らしたまま、妃の部屋を出てゆくのだった。


    ー完ー
    2012..10.08.  さくらぱん



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