花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】『渇望』・・・・はじめに

    ※こちらは、【長編】『渇望』の書庫です。
    悪夢に追いかけられる黎翔を描いています。
    空虚感と焦燥感を心がけて書き綴りました。
    ちょっと、暗いSSです。
    楽しい作品を求めている方は、Uターン推奨です。


    2012.12.27.さくらぱん

    完『渇望ーかつぼうー』
    【中編】『渇望』・・・・はじめに
    【中編】『渇望-Ⅰ-』
    【中編】『渇望-Ⅱ-』
    【中編】『渇望-Ⅲ-』



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    【長編】『渇望-Ⅰ-』

    しわりじわりと・・・汗が滲む
    冷たい汗が背に伝う

    まだ夜は、明けず
    朝は遠い

    咽喉がひゅうひゅうと鳴る
    身体に貼り付く夜着が気持ち悪い。

    真夜中に目覚めた僕の意識は、夢を引きずる・・・・

    暗闇の向こうで、悪夢が、蹲(うずくま)る
    濃厚な闇を伴い、どろりと身を捩(よじ)る
    闇が、僕を捕まえようと、牙をむく
    僕を絡めようとしている悪夢に、僕は身動きが出来ない。

    のろのろと寝台から、起き上がり
    かすかな星明りを頼りに
    傍らの水差しに手を伸ばす

    水を並々と水杯に注ぎ入れると
    一気に、水を飲み干した。
    こくり・・こくり・・と咽喉が鳴る

    渇いた咽喉に、水分が廻る
    頭もスッキリした気分になった。

    咽喉の乾きが癒されたとたんの
    身体の震え、湧き上がる焦燥感と不安。

    寝台を手探りで探す
    ーーー誰か。

    寝台を  ーーー探しても   ーーーー探しても。

    空しく宙を彷徨う右手。

    ーーーーその手には、何も掴めない

    ーーーーぬくもりが、探せない。





    ・・・続く


    2012.09.12.

    【長編】『渇望-Ⅱ-』

    ーーーーーーーーーーーーー君が居ない

    焦りと不安で、寝室を飛び出す。

    闇が迫り悪夢が僕を追いかけてくるかのよう・・・

    篝火もない暗闇の人気の無い渡り廊下を

    白い夜着のまま・・・

    慣れた道を、急ぎ、駆け出す。

    (ーーーー夕鈴!!)

    (ーーーーー君が居ない、夢を見た!!)

    (今が、現実なのか、夢かなのかさえ分からない)

    (ーーーーー夢のように、君は居なくなっているのか?)

    (ーーーー君のぬくもりに、触れるまで僕は、眠れない!!!)

    駆け出す足は、止まらない。

    迷路のような後宮に悪夢の続きのような錯覚がする。

    夢の続きを見ているようだった・・

    いつの間にか星は、翳り何も見えない

    どろりとした闇が背後から迫っているような気がした。


    君を探して疾走する僕は、気が狂うほど君を渇望していた。






    ・・・続く


    2012.09.12.さくらぱん

    【長編】『渇望-Ⅲ-』

    夕鈴の寝室は、ひっそりと静かだった。

    暗闇にほのかにぼんやりと浮かび上がる

    夕鈴の寝台

    焦りと不安のまま・・・・のろのろと近づく。

    確かめるために、ここまで走ってきたはずなのに、

    確かめることが、こんなにも怖い。

    悪夢をいまだに見ているようだ。

    (ーーーーーーーーーーーーーーゆうりん)

    引きずる足が、寝台へと進む。

    まるで、罪人のように足取りが重い。

    夕鈴の寝台の薄紗をめくると・・・

    (嗚呼・・・。)

    金茶の髪が敷布に光りを放ち波打つ・・・・

    ほんのりと頬を染めて、幸せそうに夕鈴が、眠っていた。

    姿を確認したものの・・・夢と現実が曖昧で分からなかった。

    現実を確かめるべく・・・・・夕鈴の寝台に座り込み

    そっと・・・・その薔薇色の頬に触れてみる。

    手のひらに伝わるぬくもり。

    柔らかな絹糸のような金茶の髪を梳く

    指先を滑るいつもの感触。

    手のひらから、僕の身体を温める君のあたたかなぬくもり。

    焦燥と不安に苛まれた僕の心が癒される。

    何度も何度も確かめる。

    僕の心はこんなにも、君を求めている

    君が、好きだ・・・

    愛しい・・・

    愛している・・・・

    どれもまだ足りない。

    僕の気持ちは、言葉だけでは表せない。

    求めてやまない君に、どれだけ僕の気持ちが伝わっているのだろうか?

    先ほどまで、僕に追いつこうとしていたどろりとした闇は、霧散していた。

    かわりに浸み込む君の暖かさ

    ・・・・とくん・・・とくん・・・とくん

    僕の凍えた心臓が、暖かく脈打ちはじめる。

    触れるだけで足りなくて、柔らかな唇にキスをした。

    羽よりも軽いかするような口付け・・・・かすかなぬくもりが唇に伝わる

    (ーーーーはしばみ色の瞳に、僕を映して。)

    眠りを妨げるのは、申し訳なかったが、君の瞳が見たかった。

    もっと、君に触れたかった。

    もっと君に癒されたかった。

    君を渇望する僕の思いは、君を求める行動を起す。

    まどろみにいる君を強く抱きしめて、溢れる想いの深い口付けを。

    ーーーー君は、まどろみから目覚め、はしばみ色の瞳に僕を映した。


                     ー渇望・完ー


    2012.09.12.さくらぱん