花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】 黒龍「流星雨」

    朔の夜
    先触れもなく
    庭から
    突然訪れた陛下

    「ゆうりん」

    「どうなさったのですか? 陛下?」
    「このような場所から来られるとは・・・。」

    「誘いに来たんだ。」
    「黒龍で、出かけよう。・・・・仕度をしておいで。」
    「見せたいものが、あるんだ。」

    見ると陛下はすでに、黒の外套を来ていて
    騎馬服にしっかり身を包んでいた。
    足元は、騎馬用ブーツを履いている。
    すぐに黒龍で、出かけられる仕度だった。

    「夏とはいえ、夜は冷える。しっかり着ておいで。」

    「分かりました。」
    「少々お待ちください。陛下。」

    うながされ
    急遽、身支度を整えた夕鈴は
    後宮の自室の庭から
    陛下に連れ出された。


    そのまま、黒龍のいる裏門まで、歩く
    月のない夜の為、足元が暗い。
    黎翔は、夕鈴の手を引き気遣いながら
    二人で王宮の外にいる黒龍へと足をむけるのだった。

    「夕鈴、気をつけて」
    「はい」
    陛下に抱えあげられ、夕鈴は黒龍の背に
    すぐさま、黎翔も黒龍の背へと飛び移る

    二人すぐさま
    黒龍の背にゆられ
    王宮から離れた王領地の丘へと
    馬首を向ける

    漆黒の闇の中
    黒龍は、二人を乗せ
    一陣の風となって
    疾走する

    森の静寂を破る黒龍のひづめの音

    木々の木立が
    切り絵のような濃い影を作る
    瞬く間に移り行く
    夜のモノクロのパノラマの中
    森を抜け、あっという間に王領地の丘へと着いた。

    月のない夜に満天の星々が、輝く

    「間に合ったか。」

    「?・・・・星が綺麗ですね。」
    「見せたかったものとは、これですか?」
    何が間に合ったのか聞けず。質問してみる

    「いや。・・・・・もう少し待って。」



    突然、満天の輝く星空から、星が落ちる
    ひとつ・・・またひとつ。
    瞬く間に
    次々と流れる星は、満天の流星雨に変わる
    「・・・きれい。」

    「夕鈴に見せたくて・・・」
    優しくささやく彼に寄り添う。
    「ありがとうございます。黎翔様。」

    流星雨の夜空
    時が止まったかような感覚になる

    「夕鈴」
    「はい。黎翔様。」
    「一生愛しているよ。」
    囁きとともに
    やさしい口付けがふる
    もう視界は貴方しか見えない

    恋人たちの夜は永遠に続く
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    【短編】黒龍『烏瓜ーからすうりー』狩猟・黎翔編




    駆け抜けてゆく 五色の森
    朝露を散りばめた野の草花たち
    色彩に溢れた秋の森
    それらの脇を漆黒の黒龍が、鬣(たてがみ)を靡(なび)かせ疾走する

    一匹の銀ぎつねが右往左往しながら、逃げ惑う

    けたたましい咆哮が幾つも重なる
    あぶりだす狩猟犬のしなやかな筋肉が跳躍(ちょうやく)し、獲物の狐を追い詰める

    逃げ惑う狐は、生きた心地がしない
    必死になってひた走る

    銀ぎつねを先頭に、錦の森を駆け抜ける黒龍
    蔦(つた)の絡まる秋の森
    木々の葉は、鮮やかに緑濃く・・・
    黒龍のゆくてと視界を何度も阻む

    黒龍の手綱を握るのは、珀 黎翔
    簡易のなめし皮の漆黒の胸当てと背に弓矢を背負う

    真紅の双眼は、真っ直ぐ獲物に狙いを定め
    逃げ惑う獲物を追い詰めていく。

    手綱と一緒に握るのは、小型ながらも殺傷力に溢れた狩猟用の弓
    馬上で、引き絞る弓弦(げん)は、獲物に向けて矢を放つ

    大きく弧を描き
    弓矢の風切り羽が
    鋭い風音(かざね)をたてて
    獲物を掠めて
    木々に絡まる赤い烏瓜を射抜いた。

    とたんに、烏瓜は破裂し、猟犬達の目が烏瓜へ・・・
    銀ぎつねは、身を翻して猟犬と黎翔の視界から消えた

    チッ・・・

    『・・・惜しい。外したか。』
    『腕が鈍ったか?』

    馬上で、黎翔が呟く

    一瞬の静寂の後、再び猟犬達の追跡劇が始まる
    今日の獲物も、時間の問題だろう
    今まで、黎翔の真紅の双眼から、逃げられた獲物はいないのだから・・・。

    確実に獲物を追い詰めていく黎翔の腕

    後宮に住まう、金茶の毛並みのはしばみ色の瞳の美しい兎もいずれ・・・時間の問題。



    2012年
    10月10日
    08:29

    【短編】黒龍『青北風―あおぎた―』

    ※要注意海辺の行幸&捏造・甘くない黒龍


    青北風―あおぎた―の風が吹く

    夏の暑気を払い
    澄んだ風が、空気を優しく研ぎ澄ます。
    青北風―あおぎた―が、秋を連れて来る

    まだ夜が明けきらぬ
    薄明の海に
    二艘で一対の漁師舟
    漁師達が手繰り寄せる
    大きな魚網に、たくさんの小魚たち

    漁師達の潮焼けした浅黒い肌に、労働の汗が流れる
    ピチピチと、あお背の魚が飛び跳ねる
    網を手繰り寄せる手も、もどかしい

    漁師達の目が輝く
    歓喜の掛け声が重なる
    網は、様々な魚たちではち切れんばかりだった。
    今日も漁は、大漁だった。

    凪いだ海に、朝日が輝く
    水平線から 太陽が顔をみせる
    海に光の道筋がつく
    夜が明ける 今日も漁師達の良い一日が始まる。


    昼、浜の女達は今日も共同で魚網を繕う。
    大漁を祈願する歌を歌いながら明るい唄
    が響く
    日も昇らぬうちに海へと漁へ出る男達の為に
    生活の糧となる魚を一匹でも 多く逃がさぬ為に…
    総手で大きな魚網の痛みを直していく。
    その手業は、見ていて小気味よいものだった。

    そこに、この国の王と妃の行幸
    供の者も少なく 身軽な軽装で
    浜の女達に 妃が近づく

    浜風が、妃の金茶の髪と真紅の外套に包まれた裳裾をひらめかせる
    王の手から、馬から降ろされた妃は
    はしばみ色の瞳を輝かせて
    浜の女達に声をかけた
    黒龍の背で、その様子を見守る王に
    供の者のの非難めいた妃への忠告
    無言でだまれというような仕草で
    王は供の者を黙らせると
    一瞥して自らも、黒龍から降りた。

    漆黒の外套が風に翻る
    そのまま打ち解けた空気で話している妃に近づいた。

    黒と赤の一対

    王に気付いた女達は、その場に平伏する

    『よい。そのまま作業を続けよ…』

    王の言葉に益々、畏まる女達。

    王は、妃を抱き寄せると呟いた。

    『妃よ。楽しげに何を話していたのだ!?』
    「今朝の漁の話です。今日もたくさん魚が採れたそうです。」
    「後ほど、離宮まで新鮮な魚を届けてくれるそうですわ。」
    『それは、楽しみだ。』
    「はい。楽しみですわ。」
    『夕鈴、そろそろ先へ進もう。皆が待っている。』
    「申し訳ありません。今すぐ…」
    妃は、王から視線を浜の女達に戻した。
    「皆さんお話、ありがとうございました。作業の手を休ませてしまいましたね。これからも、お仕事頑張ってくださいね。」
    《後ほど、自慢の美味しい魚をお届けいたします。》
    「楽しみにしています。ごきげんよう」

    そう言って王と妃は浜から去っていった。


    2012年
    10月18日
    01:35 続きを読む

    【短編】黒龍・恋人設定『木洩れ日の中で…』※ぴゅあ甘の実・新緑の頃



    ※バレンタインが過ぎたというのに、甘くて大変です。
    萌えが、パンクしそうです。
    以前から、読み手に指摘されてますが・・・・黒龍シリーズは、何でこんなに甘いのでしょう。。。
    今日は、砂糖大量投入のホットミルクのようです。
    早く、春が来ないかな・・・。待ち遠しい。



    若葉萌ゆる新緑の頃

    木陰のサヤサヤという葉擦れの音と
    爽やかな一陣の風

    暖かな陽気にまどろむ
    私を、優しく揺り起こす。
    白い腕。

    「黎翔様。もう、そろそろ王宮に帰りませんと、陽が暮れてしまいます。皆が心配します。」
    「もう、起きて下さい。黎翔様。」

    瞳を覗き込む恋人の優しい大樹の瞳。
    はしばみ色した美しい瞳。

    私を包み込む金茶の髪は、春の木洩れ日に透けて金色に輝く。
    まるで、降り注ぐ陽の光。

    恥ずかしげに、頬を薔薇色染め上げる姿は、愛おしく…
    私を一瞬で幸せにするその笑顔。

    目覚めたばかりの私の心を温める。
    春の光のような、眩しい私の恋人。

    いつの間に、私は眠ってしまったのだろう。

    遠乗りの先の春の森。
    柔らかな木洩れ日が美しい新緑の森に、二人きり。

    遠くで、黒龍と紅龍が、草をはむ


    …穏やかな風。

    …穏やかな時間。

    …ずっと、此処にこうしていたい。

    二人っきりで過ごしたいのに。

    …帰らなくてはならない、王としての責務。

    放棄したいわけじゃない。

    …誰にも邪魔されない時を、君と一緒に過ごしたかっただけ。

    ほんの少しの休息時間。

    王と妃でなくて、重責のない一個人。
    珀 黎翔と汀 夕鈴としての恋人時間が欲しかっただけ。

    律儀にも、そんなお願いを君は守って、僕の名を呼んでくれた。
    君に名前で呼ばれるのは、くすぐったくて幸せになる。

    ーーー夕鈴、もう帰ろうなんて言わないで。
    ーーーもう少しだけ・・・・もう一刻だけ
    ーーー君とこうして居たいんだ。

    寝ぼけたふりをして、時を止めよう。
    金に輝く金茶の髪ごと、君のうなじを引き寄せる
    私の上に倒れ込む君を捕らえて離さない。
    そのまま、柔らかな君の唇を塞ぐ・・・
    君が「帰ろう」と言えないように。

    木洩れ日の柔らかな光が僕らに降り注ぐ。
    大地の息吹・青草の香りが僕らを包む

    緑萌ゆる春の森。
    咲き初めた春の花々が揺れる大樹の木陰で…

    僕らは、優しい口付けを交わしあう…
    口付けて、捕らえる僕の恋人。

    柔らかな口付けは、身も心も癒やす。

    心通い合う愛した者だけしか使えない癒しの魔法。

    ーーー心から幸せになれる。
    君を抱き締めて離さない。離したくない。
    僕らは、愛を確かめる。
    かけがえの無い存在との恋人との時間。

    ーーー時を忘れて楽しもう。
    君と僕との恋人時間を
    春の光を浴びながら…

    柔らかな光を浴びながら
    僕らは穏やかな時を過ごす
    春の木洩れ日の中で…




    ー木洩れ日の中で…・完ー



    2013年
    02月18日
    18:32

    【短編】黒龍『新緑の風』

    ◆黎翔×夕鈴
    ◇KISSも何にもありません。ただのじゃれあい。
    ◆バイト妃でもあり、恋人にも見え・・・・どちらでも。
    ◇遠乗り時の陛下は、ちと意地悪設定。
    ◆爽やかほのぼの。


    某所で、叫んで書きたくなりました。
    あーーすっきりした。
    気持ちリセット・浄化中
                                        さくらぱん
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆






    初夏の緑の森を君と二人で駆け抜ける

    ある日の昼下がりの遠乗り

    咲き乱れる可憐な花々

    何処までも高く澄んだ青い空

    耀く太陽が

    濃くモザイク模様を作る柔らかな木々を照らしながら

    木漏れ日として降り注ぐ眩しい森

    新緑の美しい景色を楽しみながらの二人きりの楽しい遠乗り

    「へいかっ陛下!!!」
    「急がないで!!!落ちそうですーーー!!!」

    馬を走らせる僕に、必死に訴える愛しい君。
    腕の中の君は、涙を滲ませ少し恨みがましい瞳で陳情してくる。

    僕は、先ほどからわざと
    平坦とは、言えない悪路を選び黒龍を走らせていた。

    黒龍の背が揺れるたびに、必死で彼女が僕にしがみ付く。
    それに気がついてからは、わざと悪路を選んだ。
    君に悟られないように、走らせる。

    普段、君から率先して抱きしめることなど無い。
    遠乗りのこの時間は、僕にとって特別な時間。
    君が恥ずかしさも忘れて僕を抱きしめてくれる特別な時間。

    君の温もりが・・・・・
    僕の背に廻された小さな手のひらが・・・・
    君が、必死にしがみ付く行為が
    僕の心に喜びを与える。
    湧き上がる想いに僕は素直になれる。

    僕は自然に、くすくすとした笑みが零れた。

    『大丈夫だよ、夕鈴。』
    『黒龍は、君を振り落とさない』
    『僕もいるから、大丈夫。』

    『それよりも夕鈴、もっと黒龍を飛ばすよ。』
    『しゃべると舌をかむ。』
    『しっかり僕に捕まっていてね。』

    もっと君を感じたい。
    もっと君に頼りにされたい。
    その衝動を抑えきれず・・・
    僕は、黒龍のスピードをもっと上げた。

    「きゃあああっっっっ!!!」
    「陛下のいじわるっ!!!」
    夕鈴の声が森に木霊する。

    木漏れ日が素敵な光り耀く新緑の森
    僕らが、駆け抜けた場所に風が吹く

    可憐な花は、花首を揺らし

    木々の梢が、風にそよぐ・・・・

    楽しげな僕の笑い声が森に響く
    影の無い僕の明るい声。

    力強い大地を蹴る黒龍の蹄の音と共に、
    森を駆け抜ける爽やかで幸せな風になった。

    夕鈴、もっと僕にしがみついて
    僕と、どこまでも一緒に行こうよ。
    この小さな幸せを大切にしたい。

    僕達は、緑の風になる。
    光の森を駆け抜けていく。



    ー完ー



    2013年
    06月18日
    08:54

    【短編】幸せの丘で・・・

    本日は、白友Sanaさんのお誕生日
    おめでとうございます。
    sanaさんに、先ほど贈ったプレゼントです。


    00765-1-653.jpg 
    (ネモフィラの花の写真は、まちふぉと様からお借りしています。)

    遠くで蹄の音がする
    軽快な黒龍と紅龍の遊ぶ音が


    青い絨毯のような花の丘
    小高い丘の頂上に
    一本の木陰を作る木の下に
    黎翔は、夕鈴に膝枕をされて
    つかの間の休息をとっていた。

    「お疲れなのね。
    ……陛下。」

    連日の激務。
    少しやつれたみたい……

    夕鈴は、陛下の癖の無い黒髪を
    指で梳(くしけず)

    見渡せば……
    一面の青い花畑。

    「夕鈴、遠乗りしよう。
    君に見せたいものがあるんだ♪」

    どんなに忙しくても、私を気にかけてくれる陛下。
    膝にかかる重みが愛おしい。

    せめて、王としての重い責務から開放された
    今だけは
    私のもとで、休んでいて欲しい。
    この眠りは、誰にも邪魔させない。

    キラキラと降り注ぐ
    木漏れ陽を眩しそうに、顔を背ける陛下に
    夕鈴は、影を作ってあげた。

    “貴方が好き……”

    いつの間にか、貴方を好きになっていたの。
    募る思いを止められず
    愛しさだけが、私を苦しめる。

    いつの間にか、頬を涙が伝う。
    気づけば、陛下の唇に自分の唇を重ねていた。



    気づいて、ぱっと顔を離した。
    恥ずかしさに、顔を赤らめていると……

    「……夕鈴。」

    優しく呼ぶ声。
    嬉しげに見つめる陛下のまなざし。

    「大胆だな、夕鈴。
    王の唇を奪うなど……」

    夕鈴の頬を撫でる指先が彼女の涙を掬う。

    「どうして、泣いている?」

    それは・・・
    それは。

    言えない。
    好きだからなんて、言えない。

    陛下の唇を奪うなんて
    なんて、恐れ多いことをしたんだろう。

    キュッと目を瞑って、夕鈴は自分を悔いた。
    カタカタと身体が震える。
    涙が、ぽろぽろと止まらなかった。

    膝の重さが消えたかと思うと
    陛下にギュッと抱きしめられた。

    「夕鈴、好きだよ。
    君からの口付け、嬉しかった。
    私からもしていいか?」

    爽やかな風が丘を渡る。

    夕鈴は、天にも昇る気持ちで
    陛下と口付けを重ねた。

    何度も…
    何度も…・・・

    「愛している」と
    囁かれながら

    青い花咲く
    幸せの丘で……