花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】黒龍『葡萄棚の下で 1 』※要注意!!!一部・大人表現あり

    ※一部KISS表現で、大人表現があります。
    ご不快に思う方は、お読みにならないでください。
    それでも、よいと思う方は、そのままお進みください。
                2012.09.27.さくらぱん

    うららかな秋空の下

    「・・・ふぁ・・・・」

    少し目尻が赤い 今朝の兎妃は、黒龍の背でアクビをかみころす

    しっかりと黎翔が、夕鈴を支えているが、夕鈴は、必死で腕の中のお弁当を護り、睡魔と闘っていた。

    ともすれば落馬しそうな夕鈴の様子に、黎翔は苦笑する。
    原因の一端は自分なので、落ちないように夕鈴を支えねばならない。
    いつもなら、怒られるこの状況に、
    大義名分がつき公然と夕鈴に触れられることを黎翔は、楽しんでいた。


    ことのはじまりは、昨夜のこと

    朝の早い時間に、弟青慎のお弁当を作るため
    王宮の厨房を使える代わりに、黎翔と交わした昨夜の二人の約束。

    『明日の朝、青慎のお弁当を王宮の厨房で作るといい。』
    『出来たら、浩大に届けさせるよ。』
    「いいいんですか?」

    『そのかわり、僕にもお弁当作ってくれる?』
    『僕のお弁当を作る為といえば、快く貸してくれるよ。』
    「それでいいのですか?助かりますけど・・・。」
    『せっかくだから、黒龍で遠乗りしようか?』
    『二人分作ってよ。この時期だし、ちょっと遠出したいな。』
    『外で、二人でお弁当食べよう。明日が楽しみだな。』
    「遠乗りに連れて行ってくれるのですか・」
    「ありがとうございます。陛下。」
    「では、たいしたものは、作れませんけど、張り切って作りますね。」





    先ほどまで、早朝から王宮の厨房にいた夕鈴。
    手早く、三人分作り、一人分は浩大に渡した。


    色づき始めた初秋の森をさほど早くない速度で駆け抜ける。
    流れる輝く森の景色を黒龍の背から眺める

    紅葉の兆しは、まだ無いが秋草が咲き乱れる秋の森は、夕鈴の眼を惹いた。
    いつもなら、このまま王領地の森を駆け抜けるのがいつもの遠乗り
    今日は、少しコースが違っていた。

    早々と森を抜け、葡萄棚の続く人里へ
    丘陵地に延々と秋の果物が稔る。
    民たちが、忙しく収穫の喜びにいそしむ丘をゆっくりと通り過ぎる

    この穀物や果物の稔りは、白陽国が豊かであることの証

    豊富な水源を使い水路が張り巡らされ、
    水が途絶えることの無いように黎翔が地道に治水した。

    その行政の大きな結実。
    豊かな大地は、諸外国の羨望だった。

    それほど、豊かな大地を治める黎翔は
    実りの季節の遠乗りをいつも大事にしていた。

    民たちの喜びに輝く笑顔を見るたびに、
    黎翔の心に誇らしい気持ちが、膨れ上がる

    この黎翔が治める豊かな大地をいつか夕鈴に見せたいと思っていた。
    秋の実りのこの季節に。


    続く 続きを読む
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    【長編】黒龍『葡萄棚の下で 2 』

    大きな美味しそうな葡萄が鈴なりの葡萄棚
    うららかな陽射しが、葡萄の梢から降り注ぐ

    二人の座る頭上には、赤や黒・緑といった、大粒の房が重そうに下がる。
    辺りに香る、芳醇な葡萄の甘い良い香りに二人は包まれていた。

    発酵した葡萄酒の香りも・・・黎翔の手元には、今年の葡萄酒が
    並々と注がれていた。

    甘い葡萄の香りと葡萄酒の匂いと二人っきりの甘い時。

    (・・・・・・ああ・・・酔ってしまいそう。・・・・・)

    腰に廻された黎翔の手は夕鈴を離さない。
    敷物の上で、広げられたお弁当から、野菜を肉で巻いたものを
    黎翔の口に箸で運びながら、必死で夕鈴は、自分を保つ。
    夕鈴は、のぼせそうな頭で先程の記憶を手繰り寄せた。


    一軒の民家に黒龍が入っていったのは、つい先程。
    この家の主夫婦の二人が、黎翔達を待っていた。
    深々と礼をとる主人。

    《・・・・陛下、お妃様、お待ちしておりました。》
    『今年も、世話になるぞ。主人。』
    《心得まして、ございます。》
    《今年は、お妃様も一緒に視察と伺い、楽しみにしておりました。》
    《陛下、今年の葡萄も豊作にございます。》
    『それは重畳。楽しみだ。』
    《ごゆるりと、お妃さまとお楽しみくださいませ。》
    『では行こうか。夕鈴。』

    民家の主に黒龍をあずけ、二人は、葡萄畑へ向かったのだった。


    ・・・続く

    【長編】黒龍『葡萄棚の下で3』※角砂糖の甘さに注意!!!

    『君の手料理は、どれも旨いな。』

    美味しそうにほおばる陛下に笑みが零れる
    頬に陛下の口付けとともに、賛辞の言葉が囁かれる

    誉められて、悪い気がしない
    素直な賛辞に、夕鈴は笑みが零れた

    夕鈴は陛下に、微笑む表情を隠さない
    うららかな陽射しとともに、穏やかな時間が流れる。

    夕鈴は、次の肴を陛下の口へと運ぼうと箸を進めると
    その手を陛下に止められた。

    『さっきから君は、食していない』
    『夕鈴、葡萄は、どうだ』
    『私が、食べさせてあげよう。』

    夕鈴は、返事をする間も与えられず、世界が反転した。
    急に抱き寄せられて、陛下に押し倒された

    宙を舞う金茶の髪
    状況が飲み込めず、混乱する頭。
    背に当たる毛織の敷物の柔らかな感触を確認した頃は、
    すでに夕鈴は世界を見上げていた。

    目の前には、たわわに稔る葡萄の房と眩しい青空。
    陛下の指先に、飲み干された杯の代わりに、一房の大きな葡萄。

    めまいがしそうなほどの至近距離に陛下の綺麗な顔がある。
    夕鈴は、混乱する頭のままで、陛下の紅い瞳に吸い寄せられる。
    そのまま、陛下は手の中の葡萄の房から瑞々しい一粒を口に銜(くわ)えた。




    黎翔は、腕の中の夕鈴が愛しくてたまらない。
    私の為に一生懸命に作ってくれたであろうお弁当は、どれも美味しい。
    まだ赤みの残る瞳。

    (まるで・・・兎のようだな。)

    その頑張りをねぎらいたい。
    手の中の瑞々しい葡萄を黎翔は、口に含むと夕鈴の唇へと運んだ。

    ・・・・・・口移しで運ばれる葡萄の一粒。

    ・・・続く

    完【長編】黒龍『葡萄棚の下で4』 ※角砂糖の甘さに注意!!!

    灼熱の柔らかな黎翔の舌先で、夕鈴の口に押し込まれる一粒の葡萄。
    情熱の深い口付けは、夕鈴を酔わせる。

    「・・・んふぅ・・・」

    夕鈴は、黎翔に口付けされて甘い吐息がもれ漏れる

    夕鈴の口唇から零れ落ちる甘い葡萄の果汁。
    口の中に広がる葡萄の甘さ
    口付けの滴る甘さにーーーーーーーーーーー痺れる舌先。
    そしてーーーーーーーーーーーーーーーーほんのりとした葡萄酒の香り

    くらくらとーーーーー酔いが廻っていく

    ( 嗚呼 ・・・何も考えられない。 )

    陛下に酔わされる・・・・・酔わされる・・・・酔う・・・・・




    ・・・・・・・・ふわ・・ふわ・・・ふわり

    ーーーーーーーーーーー夕鈴は、遠のく意識に逆らえない

    ほろ酔いのまどろみに滑り落ちる意識。

    夢と現実の区別が無くなる

    かすみゆく意識 



    『お休み、夕鈴』

    夕鈴の深いまどろみに滑りゆくなかで、囁かれた黎翔の言葉。

    繰り返し耳に木霊する優しい囁き




    爽やかな風が頬を撫でる
    葡萄の芳醇な香りが、二人を包む

    いつしか、うららかな日差しの下、たわわに実る葡萄棚の下で
    夕鈴は、黎翔に腕枕をされながら深い眠りに落ちた。

    夕鈴に掛けられた陛下の外套の上で、しっかりと繋がれた二人の手。
    二人寄り添いまどろむ二人の見る夢は、同じ甘い夢なのだろう。
    微笑みを浮かべる二人の幸せな時は、誰にも邪魔されなかったという。



    さわさわと、葡萄の葉ずれの音がする。
    艶やかな葡萄の実が、爽やかな風にそよぐ
    うららかな陽射しが二人に降り注ぐ

    穏やかな時間が静かに流れる。

    葡萄棚から零れる暖かな陽射しは、
    二人を更なる幸せな深いまどろみへと導くのだった。


                     ー完ー