花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【書庫】黒龍 『草原の真珠花・・・はじめに』

    こちらは、2012年7月に完了した。黒龍 【草原の真珠花】です。

    黒龍の素敵な切り絵を作ってくれた SNS白友・もあいさんへの贈答品です。
     
    黒龍 
     
    (2013.07.07.もあいさんから転載許可済み)



    目次は、続きに封入しています。
    PCカテゴリ連続読みをなされる方は、続きを開封しないほうが読みやすいです。


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    黒龍 【草原の真珠花1】

    カツ・・・カツ・・・・カツ・・・・

    黒龍のひづめの音だけが、断崖絶壁の谷底にこだまし、響き渡る。

    黒龍は、息を乱さす、先を急ぐ。
    王宮から、濃霧の王領地を抜け、さらにその先の目的地へと。

    黒龍の背に揺られ、手綱を握る陛下の腕の中には、愛しい妃の姿が…

    『疲れないか!?』
    『平気です。陛下。』

    岩と砂ばかりの大地は、谷底の風景を荒涼とした景色に見せる。
    その中を
    朝霧の濃い水蒸気のミルク色に包まれながら、三人は、先を急ぐ。

    視界が悪いものの、黒龍の足取りは軽い。

    若い頃から、王宮を抜け出して通い慣れた
    黒龍にも馴染み深い道だったから。

    黒龍と黎翔には、その先にあるものがわかっている。

    この先の景色を君に見せたくて・・・・

    それだけのために、王宮を抜け出し、濃霧の中、一直線に走らせた。

    霧の為、衣服がしっとりと水分を含み重い。
    夕鈴の髪もいつもと違い、肩に貼りついていた。

    『寒くはないか?』
    『大丈夫です。』
    『それより、ずいぶんと遠くまで来ました。・・・目的地は、まだなのですか?』

    胸の中の夕鈴は、少し震えつつそう答えた。

    その柔らかな頬も、指先も、濃霧で湿り冷たくなっていた。

    暖めるように、黎翔は全身で夕鈴をつつみこむ

    『もうすぐ、谷をぬける。ぬけた先が、目的地だ。』
    『霧が、晴れる前に先に進もう!!!』
    『はい。』


    お互いの熱が伝わる。
    夕鈴の震えは、もう止まっていて、元気な声が谷底に響いた。


    ・・・続く 続きを読む

    黒龍 【草原の真珠花2】

    目の前に霧に包まれた縦長の白い光・・・

    谷の出口だった・・・濃霧は、ここから谷に入り込んでいるのだろうか?

    出口に進むたびに、ミルク色の濃霧が纏わりつく

    淡く柔らかい光の出口を進むと、やっと視界がひらけて、谷を抜けた。

    真っ白で、明るい乳白色の濃霧に、景色は遮断され、何も見えない。

    たゆとい、ながれゆく乳白色の濃霧のその先が見たくて、

    目を凝らすも白の世界ばかり・・・

    『陛下、着いたのですか?』
    『着いたけど、霧が深いね』
    『疲れたろう、夕鈴。』
    『この先に、菩提樹の大木があるから、そこで休もう。』

    確かに、少し疲れたかも・・・・こくんと頷き、黎翔の胸に全身をあずけた

    目印もないのに迷いない黒龍の歩みの進むその先に、おぼろげな影

    近づくたびに、色を変え、はっきりしてきた影は

    まぎれもなく菩提樹の大木だった。

    太い幹は、苔むして、老木の貫禄をみせ、青々とした緑の葉は、太い枝に彩りをそえて、

    伸び伸びと茂っている。

    木の根元まで来た黎翔は、黒龍の足を止めさせた。

    黒龍は、よほど馴染みの場所なのだろう。

    その黒い耳をくるくると動かし、瞳を輝かせていた。

    宥めるように、首筋を叩き、たしなめる黎翔

    すぐさま、黎翔は黒龍の背から降り

    夕鈴を降ろすべく、両手を差しのべた

    『陛下、大丈夫です。一人で降りられます。』
    『だめだよ。夕鈴。危ないよ。』
    『僕にまかせて・・・』

    夕鈴の細い腰に手を添えて、やさしく降ろす

    バランスが取れない夕鈴は、ほとんど黎翔の胸に飛び込む形になり恥ずかしい。

    そのまま、抱き合ってお互いを感じていたら・・・黒龍が2人の時間の邪魔をした。


    ・・・続く

    黒龍 【草原の真珠花3】

    鼻面を寄せ、2人の間に割り込む。

    『黒龍・・・』

    そのまま首を揺らし、背中の鞍を外せとばかりに身体を揺らした。

    『・・・・ったく。』

    二人の甘い時間を、邪魔された黎翔。
    黒龍の様子に気づき、怒るでもなく、装備していた馬具をすべて外してやる

    ほどなく、すべての馬具を外された黒龍。
    うずうずと、身軽になったことを楽しむように足を踏み鳴らしはじめた。

    『行って来い!!もう、邪魔するなよ。』

    黒龍の身体を叩き合図を送ると、待ちかねたように濃霧の中へ走り出していった。

    『陛下、大丈夫なのですか?』
    『黒龍は、戻ってきますか?』

    『ここは、黒龍の庭なんだ。』
    『時々、ここで、自由に遊ばせている』
    『十分満足したら、帰ってくるから、大丈夫だよ。』

    あまりに、自由な行動に不安気になった夕鈴に
    黎翔は、安心するように伝えた。

    そのまま、馬具から、野外用敷布を取り出し菩提樹の下に敷いた。
    そして、夕鈴の手を取り、敷布へ導く。

    『お疲れ様、夕鈴。霧が晴れるまで、ここで休もう。』
    『はい。陛下。』
    二人並んで、菩提樹の下に腰掛ける。
    さきほどより、ミルク色に流れる霧が、薄くなった。

    どうやら、霧が、晴れてきたようだ。

    こころなしか、明るい光に陽が昇りきったことがわかる

    輝くミルク色に霞む広い草原の景色に、黒龍の姿が見える

    伸び伸びと自由に草原を駆け抜けていた。


    『ふふっ・・・ほんとに楽しそう。』


    自然、夕鈴の顔が、ほころんでいく

    楽しそうに草原に遊ぶ黒龍の姿は、とても夕鈴の心に強く残った。



    ・・・続く 続きを読む

    黒龍 【草原の真珠花4】 完

    菩提樹の太い梢の先の雲間からまぶしい太陽が見えてきた。

    陽の光が地上に届き、徐々に濃霧が晴れてくる。

    霧が晴れるにつれ景色は、一変する。

    乳白色の世界に徐々に色がつく・・・・。

    彩色の世界に変わる。

    霧に閉ざされていた景色のあまりの変貌ぶりに思わず、

    夕鈴は、立ち上がり目を見開いた。


    夕鈴の目の前で、刻々と草原は、古い魔法が解けたかのように景色を変えた。
    そのまま言葉もなく、立ち尽くす。

    魔法にかかったかように立ち尽くす愛しい人を、黎翔は後ろから抱きしめる。

    腕の中に閉じ込めて、夕鈴の耳朶に優しく囁いた。

    『やっと、霧が晴れたね。』
    『夕鈴、どう?』
    『す・・・凄いです。綺麗~。』

    鮮やかに彩られた七彩の景色

    地上の夢が草原を彩る

    草原には見渡す限りに、色とりどりの百合の花が咲き乱れ

    その草原の中、黒龍が百合と遊び、戯れている・・・・

    朝露に彩られた満開の花々が、陽の光に真珠の光沢を放つ

    高貴で、芳醇な香りのその中に、夕鈴と黎翔はいた。

    信じられないほどの奇跡の風景に、夕鈴の瞳から、ほろりと輝く一粒の涙。

    そのまま・・・ぽろりぽろりと、泣き出してしまう。

    感動で、感極まって泣いてしまった夕鈴を、強く強く抱きしめて黎翔は、囁く。

    『夕鈴、君を愛してる』

    そのまま、愛する妃に優しいキスで慰めた。

    高貴な輝きに彩られた朝露の草原を、黒龍は、ゆったりと流れるように走っている。

    夢のような奇跡の中、一枚の絵のように二人いつまでもいつまでも離れることなく佇んでいるのだった。


    -草原の真珠花・完-


    『覚醒』へ

    「覚醒」から遊んでみた

    べたべたの実と甘々の実を投下
    ぴゅあ・ぴゅあ甘ぁ~いの目指します。

    「覚醒」 恋人の日・後夜祭 6

    まどろむ瞳が
    ついに開く

    煙(けぶ)る瞳に
    映る僕
    目覚めの時に
    たちあう今

    どうか 心も
    目覚めておくれ
    抱き寄せ
    瞼に口付ける
    夢にまどろむ
    君の瞳に

    かすかな身体の震えに
    覚醒の時

    目覚めの時
    夢のつづきを
    君はどれだけ
    覚えているのだろうか? .


    瞼に甘く口付けて
    震える瞼の開く時を待つ
    早くその輝く君の瞳に
    僕たげを映して・・・・

    独り占めしたくて、瞼に落とした
    口付けは、とても甘い味がした。
    .

    草原の菩提樹の根元
    ゆらゆらと、まどろむ君に口付ける
    白百合は、風に揺れ
    高貴な薫風が、二人を包む

    寄り添い、まどろむ君に口付けを・・・
    唇にもう何度目かわからない唇を重ねた

    暖かな陽の光が菩提樹の梢の隙間から零れ落ちる
    陽の光に輝く、君の金茶の髪が、金色に見える・・・
    爽やかな風が梢をさわさわと揺らし
    二人の間を吹き抜ける

    空は、どこまでも青く澄んでいた。
    いたずらな風が、僕らの髪をかき乱す。

    甘い君の香りとむせかえる百合の香りで、くらくらと酔う

    どこまでも甘い
    君にくらくらする

    君と寄り添い、抱きしめていたい。
    .際限なく君に口づけたい。

    そんな、僕の気持ちなんて知らずに
    無邪気な君はまどろみ続ける
    そのおだやかな眠りは、僕の心がじりじりと焦げていく

    僕は、悪い狼なんだよ。
    隙きさえあれば、君を食べようとしている悪い狼。
    そんな、安心しきった無防備な顔で僕の腕の中で、眠らないでよ…。

    .
    胸を焦がす君の無垢な寝顔
    無邪気に眠るその眠りを破りたい。
    甘くとろけるキスで、君を目覚めさせよう。

    まるで、物語のワンシーンのように…。



    2012年 07月30日 さくらぱんonly


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