花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    完【書庫】 翡翠の泉シリーズ

    完【翡翠の泉シリーズ】 last up 2013.02.14.


    白陽国、緑深い王領地の森にある美しい翡翠の泉。
    そこでの黎翔と夕鈴のエピソード


          上から順に、お読みください。

    黒龍  『翡翠の泉』 1   2    3  完  

    【短編】黒龍   翡翠の泉『翡翠の底・・・ 』※要注意!!! 陛下おばかです。 

    【短編】黒龍  翡翠の泉 『翡翠の泉の底・・・ 黎翔編』

    【短編】黒龍  翡翠の泉 『翡翠の泉の底・・・ 夕鈴編』

    【短編】 黒龍 翡翠の泉『湖緑 フーリュー』

    【短編】 黒龍 翡翠の泉 後日談『コレクション』 ※恋人の日限定コミュ投稿作品

    【短編】 黒龍「黄蝶の楽園」※大量の蝶が出てきます。蝶や羽虫が苦手の方は、避けてください。 

    2013.02.15.【ふんどし祭り★ザ・ファイナル】黒龍・翡翠の泉『コレクション2』 

    2013.08.17.【短編】大人風味『狩人の微笑』翡翠の泉シリーズ

    翡翠の泉 コミュにて回収種の水着のタネ
     
    『翡翠の泉の底・・・ 夕鈴編』 種のタネl  
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    黒龍  翡翠の泉 1

    ぶるるっと大きく鬣が揺れる
    長いまつげに夕鈴の顔も、自然とほころぶ
    自分に懐いてくれる黒龍が、嬉しかった。
    黒龍の感触を楽しみながら
    人参をあげるだけなのに、
    陛下は
    『一人では、絶対に黒龍とあわないでほしい。』
    『危ないから。』
    と諭される
    仕方ないので、今日は侍女と黒龍を愛でていた。

    『ここにいたのか。』
    『陛下。』
    『ここのところ、毎日だな。』
    妃の肩にあごを乗せ、後ろから抱きすくめられる。
    近すぎる距離に熱を禁じえない。
    『懐いてくれるから、可愛いのですわ。』
    『そして、君は私をかまってはくれない。』
    『・・・君から差し伸べられることなど、数えるほどしか私はないのに。』
    すねた陛下の頬が膨らむ。
    いつの間にか、小犬が出てきている。
    慌てて、周囲を見渡すとすでに、人払いがされていた。
    『明日は一日、夕鈴の予定を私にくれないか?。』
    『いとしい妃と遠乗りがしたい。』
    『いとしいって・・・。』
    顔を赤らめながら、袖で顔を隠す。
    『黒龍ばかりでなく、私もかまってほしい。』
    すねた狼が、小犬の口調でそう言った。


    ・・・続く
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    黒龍  翡翠の泉 2

    頬をなでる風が、涼を呼ぶ
    黒龍の背に揺られながら
    万華鏡のように流れる景色に
    夕鈴は、目が離せない

    黎翔の背にうでをまわしている
    君の熱を、汗ばむ背に感じながら
    『大丈夫?』
    黎翔は問うた。
    『もうすぐ着く。』
    爽やかな明るい木立を
    赤いひなげしが揺れている草原を
    ただひたすらに、夕鈴の熱を感じて
    黒龍を目的の場所へと急がせた
    黒龍が生み出す風も
    頬にことさら気持ちよかった

    やがて木立の中
    緑の森の中、そこだけ天の空を切り取った場所が現れた。
    人の目に隠れるように翡翠色した泉が輝く。
    目的の場所だった。


    燦燦と降り注ぐ日の光に負けないように
    泉が輝いている。
    『きれい。』
    『なんて幻想的な・・・。』
    感嘆のつぶやきに、黎翔は胸をなでおろす。
    (・・・やはり、ここで正解だった。)
    『湧き水の泉だよ。』
    『いつも、妃の演技している、夕鈴にごほうび。』
    『一緒に涼をとろう。泳ぐよ。』
    『!・・・でも、私水着持ってきて・・『はいコレ!』』
    『老師が用意してくれた。』
    黒龍を挟んで向こうの茂みがちょうど良い。
    『あそこで、着替えておいで・・・。』
    と促した。



    ・・・続く

    黒龍  翡翠の泉 3  完

    (これは・・・!)

    水着に着替えた夕鈴の姿に
    急に黎翔は落ち着かなくなる。

    短い一重の衣は、太ももまでで
    あわく薄く桃色に染まる足がまぶしい。

    それ以上視線を上げることが、出来ない。
    落ち着かない黎翔の視線に不安になり
    夕鈴は黎翔に声をかけた。

    『・・・あの、へんですか?』

    不安げにかぼそい夕鈴の声で
    我に返る

    顔には、羞恥に赤く染まりつつ、不安げな彼女がそこにいた。
    (・・・・まいったな。)
    『いや、なんでもないよ』
    勤めて自然に、夕鈴の手を取り、翡翠の水に身を浸した。

    夏の午後のきらめきが、穏やかに泉に流れていった。



                          ―完―


    翡翠の泉『翡翠の底・・・ 』 へ

    【短編】黒龍  翡翠の底・・・   ※要注意!!! 陛下おばかです。

    いつものように、遠乗りの休憩は、翡翠の泉

    蝉の喧騒が騒がしい森の中

    王領地とあって、人影はなく

    いつものように二人っきりの世界にいる

    夏空は、高く・・・・虫たちは、今を盛りに飛びまわる

    涼をもとめて集うのは、虫も人も同じか・・・・


    シュルリ・・・

    騒がしい虫の音に混じり、

    夕鈴の帯を解く、衣擦れの音を僕の耳が捕らえる

    いつものように、周囲に気を配り、耳をそばだてて、

    無防備な君を守りたい僕に、いつもの悩ましい音が聞こえてきて・・・

    僕の妄想を掻きたてる。




    僕から見えない、茂みの奥で、いつものように衣を脱ぎ、

    きっと君は、無防備に水着に着替えていることだろう・・・・

    ゆっくりと・・・白い肩から落ちる衣・・・

    期待に上気した肌から滑り落ちる

    冷たい水に、期待する無垢な瞳は、輝きに満ちて・・・




    もうすぐ、僕の眼の前に現れるだろう君に、

    不審がられるだろうことを予想して、慌てて妄想を振り払う。

    冷たい泉の水に、飛び込んで、泉の底に僕の邪な思いを沈め、閉じ込めた


    ー完ー


    【短編】黒龍  翡翠の泉 『翡翠の泉の底・・・ 黎翔編』へ 続きを読む

    ☆【短編】黒龍  翡翠の泉の底・・・ 黎翔編

    翡翠の泉の底で

    次々と・・・・・・泡立ち

    ゆらめく銀色の

    泡を身にまとい


    ・・・・・・夕鈴。
    僕の真珠が光り輝く。

    次々と溢れ零れる銀色の泡は、
    はるか水面のかなた天空に憧れて
    揺らぎながら水中を昇り行く

    香り放つごとく
    滲み出る真珠色(きみ)の光

    水底でもえたつように
    揺らめく金茶の髪…
    その白い腕(かいな)で水をかく…

    柔らかな微笑みに、僕は惹きつけられてやまない。

    君の放つ
    優しい光が、まぶしくて。

    どこにいても・・・・君を見つける

    隠れていても・・・君を探せる

    ・・・・・・夕鈴

    君を…我が手に。

    ー完ー






    【短編】黒龍  翡翠の泉 『翡翠の泉の底・・・ 夕鈴編』 続きを読む

    【短編】黒龍  翡翠の泉の底・・・ 夕鈴編

    ・・・・・・・こぽ・・・・こぽっ


    ・・・・こぽっ・・・ぽ・・・・


    翡翠の泉の底の幻想風景
    私もその一部になる


    揺らめく水中の銀の泡
    泉の底から次々と湧き出る水


    清冽な白陽国の
    何万年前かの雪解け水が・・・・
    時を越え・・・形を変えて・・・翡翠の泉を満たす
    そんな話を貴方は教えてくれた。


    気の遠くなるような年月を過ごしてきた水は
    ゆっくりと私を包み・・・・潤い・・・・癒してくれる。


    銀の泡を縫うように
    小魚たちが、群れをつくり泳いでゆく

    柔らかな緑の藻の森
    森の枝にも銀の実でいっぱい
    何度、目にしても感動するこの風景に

    ほら・・・
    貴方の姿が、加わる

    漆黒の黒髪を藻のように揺らめかせて
    銀の泡を身にまとい
    泉の底の私にまっすぐに・・・





    ひとときの幸せ
    泉の底の・・・
    私だけの至福の幻想風景


    ー完ー


    2012.08.11.さくらぱん


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     黒龍 翡翠の泉「湖緑 フーリュー」

    さっきから夕鈴は目のやり場に困っていた
    翡翠の泉のほとり
    木陰に一人、黎翔と黒龍を待っていたのだが・・

    (どうしよう・・・ほんとに困るんですけど・・・)
    お弁当作って、遠乗りに出かけようといわれたのは昨日で・・・
    今朝から、張り切って作ったお弁当はここにあって・・・

    きらきらと輝く翡翠の泉の中に
    黎翔と黒龍はいた。
    正確にいえば、黎翔が黒龍を洗っていた。
    大切な主としての仕事なのだという。

    大切な仕事をしている黎翔の姿が、問題だった
    一生懸命に洗う黎翔の姿は、上半身裸。
    しかも、水に濡れている。
    (すごく色っぽいんですけど・・・)
    無駄の無いたくましい筋肉の黎翔の体に
    赤面がとまらない。
    心拍数が上がる
    視線を彷徨わすもまた見てしまう。
    さっきから、その繰り返しだった。

    「夕鈴、つまんないでしょ?」
    「一緒に水浴びしよう?」
    「夕鈴の水着あるよ。」

    「・・・え・遠慮します。」
    ぜったいに無理、近くに行くなんてダメだわ。
    ぶーぶー口を尖らせ不満げな黎翔を無視して
    心の平安を優先する夕鈴だった。

    ー完ー



    【短編】 黒龍「黄蝶の楽園」※大量の蝶が出てきます。蝶や羽虫が苦手の方は、避けてください。 続きを読む

    【短編】「コレクション」恋人の日限定コミュ 翡翠の泉 後日談

    夕方に、老子から渡された
    行李箱
    中身は色とりどりの女物
    黎翔のコレクションだという
    その物は
    ひどく夕鈴を傷つけた
    大きな瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちる。
    あとからあとから
    ぽろぽろと・・・
    悪い考えしか思い浮かばない。
    老子の言葉が頭から離れない。

    しばらく、ぽろぽろと泣いていたら、
    いつの間にか黎翔が来ていた。
    「どうしたの?」
    慌てる黎翔の抱擁を拒絶し、彼から離れる。
    「夕鈴?」
    「黎翔様ひどいです。わかってはいても・・・私・・・。」
    大きな涙を零しながら必死で言葉をつづる
    「わからないよ、夕鈴?」
    「落ちついて?」
    すっと夕鈴は長いすに置いた行李を指差す。
    それを見た、黎翔は、気づく
    夕鈴が、なぜ泣いているのかを。
    「・・・これを誰から?」
    「老子からです。」
    「陛下のコレクションだとききました。」
    話している間にも、ほろほろと頬を伝う・・・

    確かに私のものだが、夕鈴が考えているようなものではないのだが・・・

    無理やり抱きしめて、君の苦手な狼の声色で囁く
    「君はかんちがいしている。」
    「たしかに私のコレクションだ。」
    「ただし、君のだよ。」
    「!!!」
    その言葉で、流れていた涙は引っこんでしまった。

    また、老子にだまされた。
    「陛下のコレクション。」⇔陛下の食べた女の人のものと聞いたのだったから

    狼を拒絶した兎はそれはそれは美味しく狼にたべられてしまいましたとさ。 

    ー完ー



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    【短編】 黒龍「黄蝶の楽園」 ※蝶や羽虫が苦手の方は、避けてください。

    翡翠の泉に注ぐ清流の奥にその特別な聖地があるという。

    『この時期しか見られない、特別なものを君に見せたい。』
    黎翔が、そう言って夕鈴を後宮から連れ出した。

    まだ、蒸し暑い夏の陽射しを避けるために
    翌日の早朝、王領地へと出立する。

    いつものように、丘を越え、林を抜け、草原を黒龍で疾走する
    まだ夜露に濡れた緑の大地は、夏の花が咲き乱れ、
    空気がひんやりしていて とても気持が良かった。

    朝日が大地を照らしだすと、雫が反射して
    流れる景色は、きらきらと輝きだした。

    二人っきりの黒龍での遠乗りは、
    暑い日が連日続いたので、本当に久しぶりだった。

    『夕鈴、ごめんね。跳ばすよ・・・』

    そう言って、いつもより激しく跳ばす黎翔。
    揺れる黒龍の背で夕鈴は、
    黒龍から落ちないように
    黎翔に必死で しがみつくしかなかった。

    激しく揺れる背に驚き、夕鈴が黎翔にしがみつくたびに、
    黎翔の楽しげな笑い声がする。

    二人は、久しぶりの遠乗りを楽しんでいた。
    何より、お互いの体温を感じられて嬉しかった。

    黒龍で来れるところは、ここまで・・・そう言って、
    陛下は、泉のほとりで私を黒龍から降ろした。

    静かな翡翠の泉に 一匹の黄蝶が舞う

    凪いだ水面に ぎりぎりに舞う姿は、
    水鏡にくっきりと映って二匹に見えた。

    ここからは、徒歩(かち)だという。

    目印など、どこにも無い山道を陛下の後を追いながら進む
    ちょろちょろと足元に流れる小川を頼りに、森の奥へ・・・
    途中、大きな岩を飛び越え、滑る山道を黎翔を頼りに夕鈴は進んだ。


    どのくらい2人は、歩いたことだろう・・・・

    『着いたよ・・・』
    「ここですか?」
    整わぬ、息を抑え、見上げる夕鈴。

    うっそうと緑の茂る森のお奥。
    蔦(つた)の絡まる小山のような大岩から、ちょろちょろと小川が流れる。

    黎翔が、カーテンのような蔦をめくると・・・・

    人一人がやっと通れる岩の隙間があった。
    冷たい風が、奥から吹いている。
    ひんやりとした風は、疲れた身体に とても気持ちよかった。

    『ここから、奥に入るんだ・・・。』
    『夕鈴、ついて来て!!!』
    「はいっ!!!」
    『僕の手を離さないでね。』
    「こうですか。」
    『うん。』

    湿り気のある空気が二人を包む。
    真っ暗な穴の中を、明かりも無いのに、黎翔の足取りは迷いも無く進む。

    初めての場所、しかも穴の中で真っ暗なのに
    夕鈴は、すごく安心していた。

    黎翔と繋いだ手の温もりによって不安がなかった。
    彼女は、黎翔の後を付いて行く。

    前方に明るい光・・・出口は、すぐだった。

    眩しい外の光に思わず目を閉じる
    岩山の向こうは、輝く黄色の花の世界だった。

    緑の葉に満開に房のような黄色の花が咲き乱れる
    足元にも、明るい花の絨毯
    風がふんわりと、花房を揺らす・・・
    黄色の花に囲まれた奥にちょろちょろと清水の滝が岩肌を滑り落ちる。

    まだ・・日の光は、この場所までは、入らなかった。

    『・・・どうやら、間に合ったかな。』
    「何が、間に合ったのですか?」
    『・・ん・・・君に見せたい景色だよ。』
    『見ててごらん。』
    『もうすぐ、始まる。』


    始まりは、この場所に差し込む陽の光。
    やがて黄色から陽の光に輝く金色の花景色に生まれ変わる。
    そこに突然 強烈な突風が吹く。
    二人が来た岩山の隙間からこの場所に向かって強烈な上昇気流が・・・
    吹き散らされる金色の花々・・・
    青空にいっせいに散されて、空が金色に染まる。

    落ちてくるかと思いきや・・落ちてこない。
    そのままひらひらと飛んでいることに気づいた。

    今まで、花だと思っていたのは、陽の光に金色に輝く
    たくさんの黄蝶だった。

    今の上昇気流により、はるか高く青空を駆け上り
    風に乗ったらしい。
    抜けるような青空に、一筋の金のリボン・・・

    「なんて・・・きれい。」
    感嘆の声で金のリボンを見続ける夕鈴。

    『あれは、渡りの蝶なんだ。』
    『とても珍しくて、ここで休んで、また旅立つ』
    『渡りをするのは、知られているけど・・・』
    『実際、どこまで飛ぶのか誰も知らない。』
    「誰もしらないんですか。」

    『・・・・・。』
    『夕鈴、知ってる!?』
    『この黄蝶は、吉兆といってとても縁起がいいんだ。』
    『君に飛び立つ様を見せれて良かった。』

    その言葉に 夕鈴は振り向いた。
    夕鈴を見つめる陛下の顔は とても幸せそうに輝いていた。
    夕鈴は、黎翔の胸に寄り添い 空を見上げる。

    「黎翔様・・・夕鈴は、とても幸せです。」

    かすかに囁き 幸せに頬を染め、更に黎翔に寄り添う。
    黎翔は、そんな夕鈴を優しく抱きしめていた。

    二人はいつまでもいつまでも寄り添い
    金色の吉兆が、青空に消えるまで 見続けるのだった。

    ー完ー




    2012.08.26. さくらぱん


    黒龍・翡翠の泉『コレクション2』 続きを読む

    【ふんどし祭り★ザ・ファイナル】黒龍・翡翠の泉『コレクション2』

    ※ふんどし祭り★ザ・ファイナル
    さくらぱんのふんどし祭は、やはり黒龍でおわらせねば…
    ( ̄∀ ̄)にやり★

    前回の復習は、こちらから
    【短編】「コレクション」恋人の日限定コミュ 翡翠の泉 後日談
    2012.06.12. 



    …どぞ☆

    或る雪のチラつく寒い夜
    自らが収集した、コレクションを片手に熱弁をふるう一人の男。
    期待に満ちた熱い時間。
    半ば…呆れた様子で、所在なさげに視線がさまよう居心地の悪い一人の女。

    盛大にまぼろしの尻尾を振って、上機嫌に熱弁するのは、この国の王・珀 黎翔。
    覚めた視線で、黎翔の熱弁を聞いてあ・げ・て・い・るのは、
    王の寵愛を一身に受ける黎翔の唯一の妃、夕鈴。

    先ほどから、熱く語る黎翔の手には、女性物のふんどしが

    李翔として通うお店は、下町にある。
    男なら躊躇する女性ものの下履き専門店では、馴染みの客だった。
    常連の愛妻家として有名で、一度にまとめてどさりと買う上お得意様としても有名だった。
    今日も、朝から、ふらりと出掛け、妻への贈り物を手に入れてきた。

    夕鈴の前には、今日の戦利品が、所狭しと並べられていた。
    ただ、いつもの戦利品と違うのは、同じものが、二枚づつあるということ。

    色も素材も形も大きささえも違う(ふんどしなのに!)様々な戦利品を、丁寧にも、1つ1つ手に持って、店員となのかと思うぐらい詳しく説明をする黎翔。

    『夕鈴どれが、いい』

    1つ説明が終わるたびに聞かれる夕鈴は、チラリと黎翔とその手の中のふんどしを見ては、顔を赤らめる。

    黎翔は、そんな夕鈴を見ては(なんて、初々しくて、愛らしい)と微笑み。
    満足しては、今度は別のふんどしを手に再び説明を始める。

    ……

    『夕鈴、コレは最近の流行で、黒のサテンのIバックって言うんだって。』

    『ほら、後ろは紐のようだけど、前にいくほど広がってるから身に着けると、下着の線がひびかなくて人気らしいよ。』

    「…はあ。」

    『それから、こっちはくりむぞん・れっどって言う新色のしーするー』
    『綺麗な赤だよね。夕鈴は、色が白いからとても良く似合うと思うよ。』
    「…へ…」

    『それから…』

    『こっちは、清楚な白。』
    『本物みたいな兎の尻尾付き』
    『夕鈴にぴったりだよね』

    「……(尻尾、邪魔なんじゃ…)」

    ウキウキと嬉しそうな小犬陛下の戦利品の数々。
    まぼろしの小犬の尻尾が高速で振られてた。



    最後の品の説明が終わった時。
    黎翔は、満面の笑顔で、夕鈴に微笑んだ。

    『・・・・で、夕鈴、今夜は、どれがいい』

    夕鈴は、動じることなく、まっすぐな瞳で黎翔を射抜く。

    「陛下、1つ質問よろしいでしょうか!?」

    夕鈴の常に無い怒気を孕んだ低い声

    『なに …夕鈴」 』

    戦利品を手に、上機嫌の陛下は何1つ気づかない。

    「陛下、下町へお忍びに行くたびにお土産として、私の下着を買ってくるのは止めて下さい。」
    「何度言ったら、聞きいれてくださるのですか!!!!」

    「しかも、今回は、同じものを二枚づつなんて!!!!
    こんなにあっても私一人では履ききれません!」

    「無駄遣いは、しないでください。国民の血税ですよ!」









    『・・・・面白くないな』



    「え!?今、何か言いました。!?」

    黎翔は、ぽそりと呟く。
    と、同時に小犬陛下から狼陛下へと気配を変えた。

    『・・・・面白くないと言った。』

    『それよりも、夕鈴、私に何か伝え忘れていると思うが・・・』

    「・・・・・は、何のことでしょうか!?」

    凄みのある笑顔で、夕鈴に近づく黎翔
    その仄暗い紅の双眸で、射すくらめ夕鈴は、身動きが出来ない。

    悠然と自分の方に歩み寄る黎翔を背に冷たいものを感じながら凝視していた。

    『面白い、我が愛しの妃は白をきるつもりか!?』

    「・・・・!?」

    そのまま、頤を捕らえられ、顔を上向かせる。
    顔を覗き込まれるように、抱きしめられて身動きが出来ない。

    『夕鈴、隠しても無駄だ。』

    「・・・・!?」

    『報告はあがっている。』
    『昨日の日中、汎 紅珠に会っただろう、そこで、何か受け取らなかったか!?』

    「・・・・・あ!!!」

    『紅珠とのお揃いを受け取ったと聞いたぞ。』

    「・・・・・・!!!!!」

    『私とのお揃いを受け取らないという言葉は聞きたくない。』

    「・・・・・・!!!!!」

    『・・・・夕鈴、先ほどから品を見せても、反応が薄いな。質問を変えよう。』

    ことさら、凄みのある美しい笑顔で、ゆっくりと黎翔は呟いた。

    『ーーーーーーーーーーーーー夕鈴、今夜はどれを私に着せたい?』

    「・・・・・・!!!!!」

    形勢逆転した哀れな夕鈴、結局黎翔の下着を選ぶまで、逃げられませんでした。ちゃん。ちゃん。


    おしまい。

    2013年
    02月15日
    23:57
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    【短編】大人風味『狩人の微笑』翡翠の泉シリーズ

    暑いですね。暑いです。
    ひとときの清涼感を求めて翡翠の泉にやって来た黎翔と夕鈴。
    なにやら流されています。 ←(笑)

    ************************************************************************************************************************


    ……ぴちゃん。

    水滴が、君の肌から水面に流れ落つ
    綺麗な波紋が一瞬で消えた

    次々と水滴が、白く柔らかな君の肌を滑り落ちる
    僕は君から目が離せない

    ……一陣の碧の風が僕らに吹いた

    冷たい泉に立ちすくむ
    君の頬に僕は触れてみる
    指先に伝わる冷たい感触

    はしばみ色の大きな瞳は戸惑いに大きく震え
    緑の森とともに僕が映る

    金茶の髪は泉に濡れ、色を増して耀く
    白く細い首筋に絡みつく細い髪

    薄絹の濡れた衣から覗く……君の柔肌。
    透けた衣が、君の身体の全てを引き立たせる

    …………夕鈴。

    泉の精のような君を引き寄せる
    君が翡翠の泉に消えないように

    儚く美しい
    ミステリアスな君に惹かれてやまない
    僕の唯一欲しい女(ひと)

    この腕で抱き締めたら、君の心ごと君を手に入れられるだろうか?
    瞬き一つで、清冽な翡翠の泉に消えそうな君を。

    小さな身体を抱き締めたら、僕の腕の中で大きく震えた。
    濡れた衣越しに伝わる君の冷たい体温

    僕の目の前で
    一瞬で、白磁の肌が薔薇色に染まった

    腕の中に確かな君のぬくもり
    先ほどまでとうって変わって、やけどしそうな灼熱の温度。

    …………どくん。どくん。
    脈うつ生身の身体。

    …………僕は君を捕まえた。

    微熱めいた
    潤んだ瞳で僕を見つめないで

    ……止められなくなる。

    君に優しくなんて出来ないよ
    余裕なんてホントは無いんだ。

    君の細い手首を引き寄せて
    薔薇色に染まる肌に
    僕の刻印を施す

    ……君は僕のもの

    君の甘く熱い肌に触れたら
    もう、止められない。止まらない。

    刻印を次々と施す
    一つじゃ足りない

    君の肌に紅き花が咲いていく

    君の熱い吐息が零れ落ちた。

    僕の理性を引き千切る
    君の呼ぶ声

    『……陛下。』











    翡翠の泉で二人きり
    助けを求められるものは誰も居ない
    呼べる名は僕の名だけ

    ……『黎翔』と呼んでよ。
    君だけに許された特権

    大声で啼き叫んでいいよ。
    ……ここには、僕しか居ないから
    君の可愛い声を聞くのは、僕だけに許された特権

    狩人の紅い瞳が、獲物を狩る
    君は、もう逃げられない

    愛しい獲物を見つめる焔の瞳
    狩人である僕の冷たくも優しい微笑み

    泉の畔の柔らかな木陰で
    君を優しく喰らってあげよう




    ……柔らかな緑の褥で
    望むまま君の全てを何度も味わってあげる。

    僕が飽くまで ……